福井県勝山市で発見された我国初の中生代鳥類全身骨格化石について 1.08.15
  福井県立恐竜博物館の研究情報に掲載されました。発見の経緯、その化石の意
 義などについて、詳しく紹介しています。必読ですね。

国内最古の鳥類化石、福井で発見 1.07.15
  読売新聞 読売新聞(関西発) 福井新聞 47ニュース
  福井県立恐竜博物館が1月5日発表。勝山市の白亜紀前期、約1億2千万年前の
 地層から、ほぼ全身が揃った鳥類化石を発見したと発表しました。詳しい調査はこれ
 からのようです。が、推定体長60㎝、翼開長約1mの成体としています。サペオルニ
 スに似ているということは、かなり原始的であるとともに、遼寧省の鳥類と比較研究
 できることにもなりますね。これからの調査研究に期待しましょう。同博物館では、1
 月6日から展示しています。

ライバル種は「最初の鳥」の重要性を書き換える 12.04.14
  ネイチャーニュース
  今年のSVP総会はベルリンで開催されました。ご当地の標本といえば、始祖鳥。
 もちろん始祖鳥のシンポジウムも開かれています。それらをふまえ、現在始祖鳥が置
 かれている状況をまとめています。
 Anchiornis huxleyiMicroraptor xui のように、4翼飛行をしたであろう羽毛恐竜、
 始祖鳥同様の爪や脚をしていたAurornis xui は、始祖鳥より1000万年前に生息して
 いました。これらからも解るように、始祖鳥が最初の鳥という位置は揺らいでいます。
 しかし、1990年代に発見され、2009年に個人所有となった標本が、現在バヴァリア博
 物館に貸し出され、研究が続けられているそうです。‘phantom’ というこの標本は、
 他の始祖鳥より生息年代が新しく、始祖鳥が複数種あったことが示唆されるそうです。
 また、第11標本の脚に羽毛が見られること。X線CTスキャンによる頭骨の立体復元等
 恐竜から鳥類へ移行する流れの中で研究対象としての重要性はかわらないとしてい
 ます。

ヘスペロルニスの比較骨学 11.20.14
  Laura E. Wilson, Karen Chin(2014)
  
 Comparative osteohistology of Hesperornis with reference to pygoscelid
 penguins: the effects of climate and behaviour on avian bone microstructure
 Royal Society Open Science DOI: 10.1098/rsos.140245. 論文

中国遼寧省から真鳥類記載 10.31.14
  中国科学院古脊椎動物与古人類研究所
  遼寧省凌源市Sihedang(四合当)という新しいサイトのYixian(義県)層から発掘され
 た標本に基づき、記載されています。
 Iteravis huchzermeyeri 新属新種
 他の産地と違い、ここから産出する標本の大部分は真鳥類で、この状況は甘粛省の
 アプチアン、Xiagou 層と同様で、鳥類相の大部分が一種から成ることも同様とのこと
 です。
 Shuang Zhou, Jingmai K. O’Connor, Min Wang.(2014)
 A new species from an ornithuromorph (Aves: Ornithothoraces) dominated
 locality of the Jehol Biota
 Chinese Science Bulletin(科学通報) DOI:10.1007/s11434-014-0669-8
 アブストラクト

中国遼寧省からJeholornis の新種記載 10.20.14
  遼寧省のYixian (義県)層から産出した標本にもとづき、Jeholornis curvipes が、
 記載されています。また、この新種を含む系統の再検討の結果、ジェホルニス形類
 は側系統であり、Jixiangornis orientalis とともに pygostylia と姉妹群をなすとして
 います。
 Ulysse Lefèvre, Dongyu Hu, François Escuillié, Gareth Dyke and
 Pascal Godefroit (2014)
 A new long-tailed basal bird from the Lower Cretaceous of north-eastern China.
 Biological Journal of the Linnean Society 113 (3): 790–804
 Special Issue: Celebrating Dinosaur Island DOI: 10.1111/bij.12343
 アブストラクト

鳥類は8千万年かけ恐竜から徐々に進化 9.30.14
  ナショナルジオグラフィック(日)
  飛躍的な進化ではなく、徐々に鳥類としての特徴を獲得していったそうです。
 
鳥類の脳の進化的起源 8.18.14
  アメリカ自然史博物館
  飛行が先か、飛行できるようになる脳の巨大化が先かという問題に対する研究
 です。CTスキャンを用いて始祖鳥、現生鳥類および鳥群および鳥類の双方の飛
 行の起源と系統発生的に近い複数の非鳥類型マニラプトル類恐竜計2ダース以
 上の標本の、頭蓋容量の推定および比較を行っています。
 鳥類様の脳の拡大は獣脚類の進化史の初期から始まっていることが確認されて
 いますが、今回、始祖鳥の相対化した脳サイズはいくつかの非鳥恐竜のものより
 小さいことが明らかになりました。よって、鳥類様の脳は複数回進化しており、始
 祖鳥に飛行能力があったのなら、少なくとも他の一部のマニラプトル類恐竜にも
 飛行能力があったことを示すということです。
 Amy M. Balanoff, Gabe S. Bever, Timothy B. Rowe & Mark A. Norell.(2014)
 Evolutionary origins of the avian brain
 Nature 501, 93-96 (05 September 2013) doi:10.1038/nature12424
 アブストラクト

 
鳥類に連なる系統の恐竜は5千万年かけて体を小型軽量化 8.01.14
  サイエンス8月1日号日本語ハイライト(PDF) 47ニュース
  ユーレカアラート(Adelaide大 Southampton大)
  鳥類が非鳥獣脚類恐竜から進化したことは明白ですが、その詳細な過程に
 ついては未解明でした。今回の研究では、高度な統計的手法と120種の獣脚
 類と初期鳥類から記録された1549の形質データセットを用いて、あらゆす獣脚
 類の体サイズの変化と解剖学的進化の速度を計測しています。
 その結果、始祖鳥の登場以前5000万年間に平均163㎏あった体重が始祖鳥
 の0.8㎏まで12回かけて小型軽量化したことが明らかになりました。
  このように継続的な小型化が鳥類への進化を促進した要因の1つであり、も
 う1つは鳥類に連なる骨格構造の変化で、これは他の恐竜系統の4倍の速度
 で適応進化したということです。
 Michael S. Y. Lee, Andrea Cau, Darren Naish, and Gareth J. Dyke (2014)
 Sustained miniaturization and anatomical innovation in the dinosaurian
 ancestors of birds.
 Science 345(6196): 562-566 DOI: 10.1126/science.1252243
 アブストラクト

史上最大の翼をもつ骨質歯鳥、記載 7.08.14
  ユーレカアラート ニューサイエンティスト AFPBB ナショナルジオグラフィック(日)
  米、サウスカロライナ州南部のCharleston近郊で1983年に発見された部分的な
 骨格に基づいて記載されています。
 ペラゴルニス科の新属新種、Pelagornis sandersi
 特筆すべきは、その巨大さです。翼開長6.4mに達します。これは現生のシロアホウ
 ドリの2倍ということ。それで、実際に飛べたのかも研究されました。結果は、グライ
 ダーのように滑空する高度な飛行能力があり、海上を長距離にわたって滑空して
 いたのだろうということです。
 Daniel T. Ksepka (2014)
 Flight performance of the largest volant bird
 PNAS doi: 10.1073/pnas.1320297111 アブストラクト
 参考:2010年Pelagornis chilensis の骨格図 ナショナルジオグラフィック(日)

始祖鳥第11標本から大羽(pennaceous feather)の役割や飛行の起源解明
  7.03.14
  phys.org マクシミリアン・ルードヴィッヒ大(大きな写真へのリンクあり)
  始祖鳥第11標本は、非常に保存のよい標本で、羽毛印象が明確にわかるも
 のです。その研究がネイチャーに発表されました。
 始祖鳥の全身にわたって大羽(pennaceous feather)が生えていたことがわかり
 ました。特に後肢では、脛足根骨部には長い左右対称の羽毛が生えていたが、
 足根中足骨部には短い羽毛が生えていたことが明らかになりました。このあたり
 については、飛行の4翼起源説に打撃を与えるものと思われます。
 また、進化したマニラプトル類や鳥群の尾、後肢および腕にある大羽の系統発生
 的分布を分析した結果、これらの起源が飛行のためではなく、むしろ一部の研究
 で示唆されたように、ディスプレイ起源に関連すると強く示唆されるそうです。
 また、飛行に関連する能力は、複数回にわたって収斂的に獲得された可能性が
 示されるそうです。
 Christian Foth, Helmut Tischlinger & Oliver W. M. Rauhut.(2014)
 New specimen of Archaeopteryx provides insights into the evolution of
 pennaceous feathers
 Nature 511, 79-82 (03 July 2014) doi:10.1038/nature13467 アブストラクト

鳥の羽、カロテノイド色素は新生代以降に 7.01.14
  羽毛の色といえば、アンキオルニスのように保存状態がよければ、再現で
 きることがわかっています。しかしこれまで再現された色はメラニン由来の黒
 や茶色です。一方、現生鳥類には、赤、オレンジ、黄などカロテノイドよる鮮
 やかな色の羽毛をもつものが多数あります。
  今回の研究では、カロテノイド色素による色がついて羽毛をもつ現生鳥類を
 しらべ、それを最新の系統樹の中に落とし込んでいます。
 その結果、236の現生鳥類の科のうち95にその羽毛があることがわかりまし
 た。一方、系統樹に落とし込むと、カルテノイドをもつ羽毛は独立して何回も
 現れたことがわかりました。新生代を通じてカルテノイドをもつ科は増加しま
 すが、その起源の大方は中新世以降(2300万年前)だそうです。最も初期の
 カルテノイド羽毛起源はスズメ目で暁新世(6600~5600万年前)に再現され
 たが、クラウン系統鳥類の基盤にではなかったということです。
 Daniel B. Thomas, Kevin J. McGraw, Michael W. Butler, Matthew T. Carrano,
 Odile Madden and Helen F. James.(2014)
 Ancient origins and multiple appearances of carotenoid-pigmented feathers
 in birds
 Proc. R. Soc. B 7 August 2014 vol. 281 no. 1788
 doi: 10.1098/rspb.2014.0806 アブストラクト

軟組織が異常に良く保存された更新世のハゲワシ 6.11.14
  この標本の写真がツイッタ―でまわってきた時、人工物?と疑いました。
 火砕流堆積物の中で保存され、CTから再現されています。
 写真だけでも、のぞいてみてください。
 Dawid A. Iurino, Luca Bellucci, Danielle Schreve, Raffaele Sardella.(2014)
 Exceptional soft tissue fossilization of a Pleistocene vulture (Gyps fulvus):
 new evidence for emplacement temperatures of pyroclastic flow deposits
 Quaternary Science Reviews DOI: 10.1016/j.quascirev.2014.04.024
 アブストラクト

恐竜から鳥類への生殖の移行 6.02.14
  鳥類では、恐竜やワニでは2組ある卵巣や卵管が1組に減っています。この移
 行がどの時点でどのように起こったのか、これらの器官が非常によく保存されて
 いる、基盤的鳥類 Jeholornis の標本などをもとに論じています。
 Jingmai K. O'Connor, Xiaoting Zheng, Xiaoli Wang, Yan Wang
 and Zhonghe Zhou.(2014)
 Ovarian follicles shed new light on dinosaur reproduction during the transition
 towards birds
 Natl Sci Rev 1 (1): 15-17. doi: 10.1093/nsr/nwt012j 論文

白亜紀前期、エナンティオルニス類鳥類 Zhouornis hani の頭骨情報 5.30.14
  エナンティオルニス類、ボハイオルニス科 は、Bohaiornis guoi
 Shenqiornis mengi の共通祖先とその子孫が含まれる科で2014年に設立され
 たものです。しかし、その頭骨の情報については詳細にはわかっていませんで
 した。
 新たに見つかった同科 Zhouornis hani 標本により、詳細な情報が得られたそう
 です。
 Yuguang Zhang, Jingmai O’Connor, Liu Di, Meng Qingjin, Trond Sigurdsen &
 Luis M. Chiappe (2014)
 New information on the anatomy of the Chinese Early Cretaceous
 Bohaiornithidae (Aves: Enantiornithes) from a subadult specimen of
 Zhouornis hani.
 PeerJ 2:e407 doi: http://dx.doi.org/10.7717/peerj.407 論文フリー

白亜紀前期、熱河生物群の鳥類の多様性は低かった 5.29.14
  phys.org シカゴ大学
  中国、遼寧省をはじめとする熱河生物群には、いろいろな鳥類が知られていま
 す。しかし、その違いはスズメとカラス程度の違いであり、現代の鳥類と比べると
 はるかに多様性は低かったとする研究が出ています。
 翼竜にまだ大空を押さえられていたからなのでしょうか。化石保存上のバイアス
 がかかっている可能性はどうでしょうか。
 
花粉を媒介する最古の鳥類化石 5.29.14
  ライブサイエンス
  独、メッセルで発見された約4700万年前の小型鳥類、Pumiliornis tessellatus
 の化石です。その胃の部分から多数の花粉が発見されました。研究者は、ハチ
 ドリのような生態的位置を占めていたのではないかと見ています。胃には昆虫の
 残骸もあったそうです。
 Gerald Mayr and Volker Wilde.(2014)
 Eocene fossil is earliest evidence of flower-visiting by birds
 Biol. Lett. May 2014 vol. 10 no. 5 20140223 doi: 10.1098/rsbl.2014.0223
 論文

Yanornis の新標本から魚食性と現代の鳥類のような消化管が判明 4.15.14
   Yanornis は、約1億2千万年前、中国遼寧省に生息していた、現生鳥類の
 共通祖先に近い鳥類です。これまでに、胃石が発見されたこともあり、季節的
 に植物食から雑食性とされています。
 今回、研究された標本では、丸ごとの魚が体内に残るものが複数ありました。
 また、ある標本では食道に丸ごとの魚が残っていました。
 そのため、この鳥に歯はありましたが、獲物を捕獲するために使われるが咀嚼
 には使われなかったことがわかりました。また、消化管が魚を管内で移動させ
 るために、効率的な蠕動運動をしていたことがわかりました。
 この研究では、Yanornis の多くの標本から魚が発見されるのに、胃石が発見
 される標本は非常に僅かであることから、胃石といわれるものの再解釈をして
 います。結局、これは誤飲されたもので、それが宿便のように体内にたまり、
 死に至ったものとしています。
 Zheng X, O'Connor JK, Huchzermeyer F, Wang X, Wang Y, et al. (2014)
 New Specimens of Yanornis Indicate a Piscivorous Diet and Modern
 Alimentary Canal.
 PLoS ONE 9(4): e95036. doi:10.1371/journal.pone.0095036 論文

 
ニュージーランドのモアはポリネシア人上陸後急速に説滅 3.23.14
  サイエンスニュース
  化石に残されたDNAの解析から明らかになったようです。
  Morten Erik Allentoft, Rasmus Hellerd, Charlotte L. Oskam, Eline D. Lorenzen,
  Marie L. Hale, M. Thomas P. Gilbert, Christopher Jacomb, Richard N. Holdaway,
  and Michael Bunce.(2014)
  Extinct New Zealand megafauna were not in decline before human colonization
  PNAS March 17, 2014 doi: 10.1073/pnas.1314972111アブストラクト

福井県勝山市北谷層から世界最古になる鳥類卵殻化石 3.18.14
  福井新聞 日本経済新聞 
  北谷層(白亜紀前期、約1億2千万年前)から1990年に発掘した岩石から含ま
 れていた卵殻化石が、鳥類のものと判明しました。研究したのは福井県立大
 学恐竜学研究所の今井拓哉研究生。
 殻の表面が滑らか、比較的薄い(約0.4㎜)、3層構造という特徴から、鳥類のも
 のと判断。現生鳥類の卵殻と非常に似た構造ということです。これまで最古は、
 アルゼンチンやモンゴル産の約8千万年前のもの。
 
ドードーは日本に上陸していたか? 3.16.14
  英自然史博物館
 有名なわりにその実体がよくわかっていない鳥、ドードー。ところがドードーが
 日本に上陸した可能性があるそうです。
 アーティスト&鳥類古生物学者の Julian Pender Hume が長崎出島のオランダ
 商館長の日誌を調べたところ、1647(正保4)年(三代将軍家光の時代)にモーリ
 シャスからドードーと白鹿が日本に輸出された記録があることがわかりました。
 両者は日本の為政者(長崎奉行?将軍?)への贈答品目的だったそうです。
 この年は、一般にドードーが絶滅したと推定されている年より数年後ということ
 です。白鹿が長崎に到着した記録はありますが、ドードーの記録は見つかって
 いないそうです。日本側の記録に何か残っていないでしょうかね。

 Ria Winters & Julian P. Hume.,(2014)
 The dodo, the deer and a 1647 voyage to Japan
 Historical Biology DOI:10.1080/08912963.2014.884566 アブストラクト
 アブストラクト

恐鳥ガストルニスの食性、骨の研究から植物食に 2.22.14
  ガストルニスの食性については、小型哺乳類を捕食する、その頃の頂点捕食者だっ
 たという見解と、いやいや植物食だったよという見解が対立しています。今回の研究で
 はガストルニスと現生の肉食・植物食鳥類の骨内のアパタイトに含まれる炭素同位体
 C13の含有量を比較することにより、その食性を植物食としています。その頃の生態系
 復元も変わってきますね。
 D. Angst, C. LAccuyer, R. Amiot, E. Buffetaut, F. Fourel, F. Martineau,
 S. Legendre, A. Abourachid & A. Herrel (2014)
 Isotopic and anatomical evidence of an herbivorous diet in the Early Tertiary giant
 bird Gastornis. Implications for the structure of Paleocene terrestrial ecosystems.
 Naturwissenschaften (advance online publication)
 DOI: 10.1007/s00114-014-1158-2 アブストラクト

12番番目の始祖鳥標本発見 2.21.14
  donaukurier.de(ドイツ語) ewilloughby
  ドイツ、アイヒシュタットにある、観光客やアマチュアのためのSchamhaupten発掘場で
 Franzと Rosi Gerstner 夫妻が2010年に発見したとあります。しかし、標本の価値から
 金がからみ詳細は明らかになっていません。文章からは標本が3つの大きな断片とい
 くつかの小断片からなることがわかる程度です。

古脊椎動物学報 1.24.14
  2014年の1号は、昨年3月9日に亡くなった米の古生物学者 Larry Martin を追悼して、
 鳥類特集になっています。
 個々の論文は、少し見てから紹介しますが、今日から古生物学会なのでちょっと遅れる
 かもしれません。

鳥類の翼の3本の指は何指か 1.08.14
  ユーレカアラート
  Ⅰ・Ⅱ・Ⅲなのか、Ⅱ・Ⅲ・Ⅳなのか、日本の研究で決着がついていたのかと思っていま
 したが、まだ議論も研究も続いているようです。
 2011年東北大学の田村宏司教授らの研究では、発生初期にはⅠ・Ⅱ・Ⅲとなっていた各
 指の前駆細胞は、指の番号が指定される時期までにずれて、Ⅱ・Ⅲ・Ⅳになるというもの
 でした。今回の研究ではこれを「ずれ説」と呼んでいるようです。指の仮説については、もう
 ひとつ「ピラミッド型退縮説」というのでしょうか、そういう説があるそうです。
 ・・・これは途中なので、あとでまた書きます。

白亜紀前期の鳥類 Hongshanornis longicresta の新標本 1.04.14
  新標本により、原記載論文では不明だったことが明らかになりました。

モンゴル、バルン・ゴヨト層からエナンティオルニス類鳥類記載 12.19.13
  モンゴル上部白亜系(カンパニアン)、約8000万年前のバルン・ゴヨト層から産出
 した2個の卵の中の胚に基づき、エナンティオルニス類鳥類が記載されています。
 Gobipipus reshetovi
 孔子鳥とならび基盤的エナンティオルニス類鳥類で、真鳥形類とこれまで認識さ
 れていたより多くの形質を共有していたことが明らかになったそうです。前後肢の
 骨化程度や多くの骨の癒合程度から、早成性であり、孵化すると、すぐに巣の外
 に出て歩くことができただろうということです。

 E. N. Kurochkin, S. Chatterjee, K. E. Mikhailov
 An embryonic enantiornithine bird and associated eggs from
 the cretaceous of Mongolia
 Paleontological Journal Vol. 47, Issue 11, pp 1252-1269 アブストラクト
 この、Gobipipus reshetovi 検索するとSAPE(SOCIETY OF AVIAN PALEONTOLOGY
 AND EVOLUTION)のニュースレター1995年No.9にあらわれています。
 シャンカール・チャタジーとKurochkinで1997年に何か出ているようですが、短報だっ
 たのでしょうか。論文は孵化するまでにずいぶん時間がかかったようです。
 Paleontological Journal誌がこの論文を受理したのは、筆頭著者の死後という話も
 あります。

現生-化石鳥類の体重推定のための骨格との相関関係 12.02.13

ヨーロッパ始新世産の‘恐鳥’(フォルスラコス科)はテティスを超えた分布を
  暗示する
 11.28.13

恐竜の尾を失ったため、飛べない鳥にもサイズの制限 11.22.13
  SVP総会の発表の紹介です。

ペンギンモドキ:やっぱりペンギン?! 脳の形類似 11.06.13
  毎日新聞
  岐阜県博物館の河部学芸員らの研究。これまでペリカンの仲間と考えられていたペン
 ギンモドキの脳の形をCTスキャンで解析したところ、ペンギンの仲間の可能性が高いこ
 とがわかりました。
 Soichiro Kawabe, Tatsuro Ando and Hideki Endo.(2013)
 Enigmatic affinity in the brain morphology between plotopterids and penguins,
 with a comprehensive comparison among water birds
 Zoological Journal of the Linnean Society DOI: 10.1111/zoj.12072 アブストラクト

オーストラリア最古の鳥の足跡 10.29.13
  時事 ユーレカアラート モナシュ大 参考:Dinosaur Dreaming
  豪、ビクトリア州、Dinosaur Coveの約1億500万年前、白亜紀前期の地層Eumeralla 層(ア
 ルビアン)から発見された、2つの3本指の足跡です。
 オーストラリア最古であるとともに、白亜紀前期では唯一のゴンドワナ大陸からの鳥類足跡
 になるそうです。
 Anthony J. Martin, Patricia Vickers-Rich, Thomas H. Rich & Michael Hall (2013)
 Oldest known avian footprints from Australia: Eumeralla Formation (Albian),
 Dinosaur Cove, Victoria.
 Palaeontology (advance online publication) DOI: 10.1111/pala.12082 アブストラクト

中国甘粛省から基盤的真鳥類3種記載 10.15.13
   甘粛省Changma(昌馬)盆地、下部白亜系Xiagou(下溝)層 から産出した3種の真鳥類
 標本を記載しています。
 Yumenornis huangi 新属新種
 Changmaornis houi 新属新種
 Jiuquanornis niui   新属新種
 甘粛省の真鳥類といえば、Gansus yumenensis がこれまでに知られていますが、新しく
 記載された3種は互いに異なるとともに、Gansus yumenensis とも異なっているそうです。
 この記載により、これまで認識されていなかった昌馬盆地の鳥類相が明らかになりまし
 た。
 Wang Y-M, O'Connor JK, Li D-Q, You H-L (2013)
 Previously Unrecognized Ornithuromorph Bird Diversity in the Early Cretaceous
 Changma Basin, Gansu Province, Northwestern China.
 PLoS ONE 8(10): e77693. doi:10.1371/journal.pone.0077693 論文

白亜紀の原始的な鳥類、Jeholornis は2つ形の尾羽を持っていた 10.08.13
  ニューサイエンティスト ナショナルジオグラフィック(日)
  中国科学院古脊椎動物与古人類研究所()
  Jeholornis は記載されてから10年以上経ちます。この鳥は現生鳥類のような尾端骨を
 持っているのではなく、長い尾椎があります。これまで尾羽は尾椎の遠位にあり、異性を
 惹きつける観賞用と考えられる長いものが知られていました。しかし、その標本をよく調べ
 ると、尾の基部に、これまで知られていなかった尾羽があることがわかりました。2種類の
 尾羽をもっていたことになります。復元画も変わっていきますね。
 尾の基部の尾羽は、現生の鳥類などのように、扇型をしていて、飛行時の抵抗を減らした
 り、安定に関与していたりしたと考えられています。周忠和ら研究者は、これは性的選択と
 自然選択の両方が働いたものとしています。また尾羽の進化は葉状から扇状への直線的
 なものでなく、もっと複雑だったとしています。
 Jingmai O’Connor, Xiaoli Wang, Corwin Sullivan, Xiaoting Zheng, Pablo Tubaro,
 Xiaomei Zhang, and Zhonghe Zhou.(2013)
 Unique caudal plumage of Jeholornis and complex tail evolution in early birds
 PNAS doi: 10.1073/pnas.1316979110 アブストラクト

三畳紀の鳥類足跡は幻に 9.12.13
  2002年にネイチャーに掲載された論文で、アルゼンチンの後期三畳紀の地層から鳥類のよ
 うな足跡が報告されています。しかし、今日のネイチャーで、その地層を同位体元素により最新
 の年代測定をしたところ、後期始新世であることがわかったため、上記論文を撤回するという
 レターが入っています。
 Ricardo N. Melchor, Silvina de Valais & Jorge F. Genise(2013)
 Retraction: Bird-like fossil footprints from the Late Triassic
 Nature 501, 262 (12 September 2013) doi:10.1038/nature12497 

恐鳥Gastornis は草食だった 8.30.13
  ユーレカアラート
  恐鳥は、某公共放送の特集番組で恐竜絶滅後の哺乳類の上にのしかかった恐るべ
 き捕食者として描かれたように、一般に肉食のイメージが浸透しています。しかし、本当
 に肉食だったのかどうか、化石骨に含まれるカルシウム同位体の組成から、驚くべき結
 果が発表されました。
 ボン大学のThomas Tütken がGoldschmidt conference で発表したものです。
 Gastornis の化石骨に含まれるカルシウム同位体を植物食の恐竜や哺乳類と比較した
 ところ、それらと同様の組成だったそうです。カルシウム同位体は食物連鎖の上位にな
 るに従い'軽く'なるそうですが、そうではなかったということなのでしょう。通常、同位体の
 組成分析には歯のエナメル質が使われますが、鳥ですから歯はありません。骨もその
 40%がカルシウムなので、使われたそうです。

尾の短縮は鳥類の多様化を促進した 8.14.13

哺乳類および鳥類における脳の体積と脳の幅の関係 8.12,13
  絶滅動物の脳の幅から脳の体積を推定する適切な変数として使用できるかどうか確
 かめるために、現生の広範囲の哺乳類と鳥類の脳の幅と体積の関係を調べています。
 哺乳類55種、鳥類64種の頭骨CTイメージを使ってその関係を調べたところ、脳の体積
 と幅は強い線形相関を示し、現生及び絶滅哺乳類と鳥類の脳体積は脳幅から推定でき
 ることがわかったとしています。
 キノドン類、トリコノドン類や非鳥獣脚類の脳幅は現生哺乳類・鳥類より比較的狭く、こ
 のデータは、彼らの初期の祖先に比べて、哺乳類や鳥類の両方の脳の幅が脳エンド
 キャスト量に関して増加していることを示しています。
 結論として脳の容積と脳幅の関係は絶滅した哺乳類や鳥類の脳容積を推定するために
 有用であること、また哺乳類・鳥類の相対的な脳幅はその進化史の中で初期の祖先よ
 り現生種まで増加していることがわかったとしています。
 Soichiro Kawabe, Tetsuya Shimokawa, Hitoshi Miki, Takashi Okamoto, Seiji Matsuda,
 Takuya Itou , Hiroshi Koie, Masato Kitagawa, Takeo Sakai, Misato Hosojima
 and Hideki Endo.(2013)
 Relationship Between Brain Volume and Brain Width in Mammals and Birds
 Paleontological Research 17(3):282-293. 2013
 doi: http://dx.doi.org/10.2517/1342-8144-17.3.282
 参考: 絶滅した鳥の脳の大きさを知りたい!~脳の体積と幅からわかること~
      (バードリサーチニュース)

始祖鳥の「飛行のための脳」、恐竜も持っていた 米研究 8.1.13
  AFPBB アメリカ自然史博物館
  Amy M. Balanoff, Gabe S. Bever, Timothy B. Rowe & Mark A. Norell
  Evolutionary origins of the avian brain
 Nature (2013) doi:10.1038/nature12424 アブストラクト
 こちらにアップしました。8.06.13

鳥類の翼の指の進化をたどる 6.24.13
  鳥類の前肢の指について古生物と発達の両面をふまえレビューしています。
  Xing Xu & Susan Mackem (2013)
 Tracing the Evolution of Avian Wing Digits. [Review Article]
 Current Biology 23(12): R538–R544 アブストラクト 論文ダウンロードできます
 参考:かがくナビ

始祖鳥は真っ黒だったわけでもない 6.13.13
  マンチェスター大 SLAC
  最近の研究では始祖鳥の羽は真っ黒だったとされていました。今回の研究では、違う
 結果が出ています。
 英マンチェスター大のPhillip. L. Manning,らのチームは、始祖鳥の羽毛中の」シンクロ高
 速捜査蛍光X線マップを作成し、羽毛中の有機硫黄の分布マップを明らかにしました。この
 マップや微量元素の分布から、羽毛中のメラニン顆粒の残存が示唆されます。
 分布パターンから、羽毛は明るい色で端と先端部が暗色で縁どられていたことがわかり
 ました。
 Phillip. L. Manning, Nicholas P. Edwards, Roy A. Wogelius, Uwe Bergmann,
 Holly E. Barden, Peter L. Larson, Daniela Schwarz-Wings, Victoria M. Egerton,
 Dimosthenis Sokaras, Roberto A. Mori and William I. Sellers.(2013)
 Synchrotron-based chemical imaging reveals plumage patterns in a 150 million
 year old early bird
 J. Anal. At. Spectrom., 2013,28, 1024-1030 DOI: 10.1039/C3JA50077B アブストラクト

始祖鳥Archaeopteryx 頭蓋の新観察 6.12.13
  Archaeopteryx 頭蓋は、その発見から150年を経過しているが、標本が平らになっ
 ていることなどにより、詳細は謎に包まれていました。この論文では頭蓋が良好に保
 存された、最近の第10標本(サーモポリス)と第7標本(ミュンヘン)を調査し、非鳥類獣
 脚類恐竜と共通するいくつかの特徴を明らかにし、これまで認識されていたよりさらに
 獣脚類のようだったとしています。さらに、鳥類に見られる頭蓋キネシスが存在したと
 いう仮説に疑問を呈しています。
 Oliver W. M. Rauhut (2013)
 New observations on the skull of Archaeopteryx.
 Palaontologische Zeitschrift (advance online publication)
 DOI: 10.1007/s12542-013-0186-0 アブストラクト

 
Aurornis の年代に疑問が 6.07.13
  サイエンスNews & Analysis
  5月30日に記載論文がネイチャーで発表されたAurornis の年代について疑問が出
 されています。論文本文で触れられていませんが、supplementary information で、こ
 の標本の出自について、研究者が発掘したものではなく、購入されたものであること
 が、述べられています。そのため、年代は1億6500万年前ではなく3500万年新しい、
 1億2500万年前の義県層から産出したのではないかという疑いがもたれているそうで
 す。中国の化石ブラックマーケットについても述べられています。
 Michael Balter
 Authenticity of China's Fabulous Fossils Gets New Scrutiny
 Science 7 June 2013: Vol. 340 no. 6137 pp. 1153-1154
 DOI: 10.1126/science.340.6137.1153

鳥類の初期系統問題を解決する、ジュラ紀のアヴィアラエ類恐竜 5.30.13
  ネイチャーニュース ナショナルジオグラフィック(日)
  中国遼寧省建昌県要路溝(Yaolugou, Jianchang)のTiaojishan(髫髻山)層(中-後期
 ジュラ紀)から産出した、アヴィアラエ類(鳥群)恐竜を記載しています。
 Aurornis xui 新属新種
 属名はAurora ラテン語で夜明け+Ornis ギリシャ語で鳥。
 種小名は徐星に献名。
 系統上の位置づけとして、この恐竜を最も基盤的なアヴィアラエ類としています。
 シャオティンギアの記載論文では、始祖鳥を鳥類の系統からはずし、デイノニコサウ
 リア類に位置付けていました。この論文では、始祖鳥はアヴィアラエ類の系統に復帰
 し、アンキオルニスとシャオティンギアの間に位置しています。
 また、トロオドン科をアヴィアラエ類の姉妹群としています。シャオティンギアの記載論
 文では飛行は異なった系統で複数回起こったとしていました。この論文では、力飛行
 の起源はパラアヴィア類(原鳥類)の中1回のみであるとしています。
 そして、アヴィアラエ類とパラアヴィア類の初期多様化が中-後期ジュラ紀に起こったと
 しています。
 Nature(2013)doi:10.1038/nature12168
 Pascal Godefroit, Andrea Cau, Hu Dong-Yu, Francois Escuillie, Wu Wenhao
 & Gareth Dyke (2013)
 A Jurassic avialan dinosaur from China resolves the early phylogenetic
 history of birds アブストラクト

 
鳥の脚が曲がっているのは恐竜時代から 5.02.13
  ナショナルジオグラフィック(日)
  4月25日に紹介した研究「鳥類に連なる系統の主竜類の体形状と運動力学の進化の
 リンク」をわかりやすく紹介しています。

鳥類に連なる系統の主竜類の体形状と運動力学の進化のリンク 4.25.13
  The Royal Veterinary College Structure & Motion Laboratory
  鳥類とヒトは2足歩行をしていますが、脚の姿勢はずいぶん異なっています。ヒトから
 見れば、鳥類は常に空気椅子状態。こんな姿勢がなぜ生じたのか、鳥類に連なる系統
 の主竜類の体をデジタルに復元し、その謎を解いています。
 その結果、あのうずくまった姿勢になる要因は尾の短縮よりも飛行に適応するため、前
 肢がより長くなったことが、より影響していることが明らかになりました。前肢の影響は、
 これまで見過ごされていた点です。
 Vivian Allen, Karl T. Bates, Zhiheng Li & John R. Hutchinson (2013)
 Linking the evolution of body shape and locomotor biomechanics in
 bird-line archosaurs
 Nature(2013)doi:10.1038/nature12059 アブストラクト

アフリカにもかつて複数種のペンギンがいた 3.27.13
  ユーレカアラート
  現生のペンギンは、アフリカには南アフリカのケープペンギンただ1種が生息しています。
 しかし、化石調査によると、500~700万年前には少なくとも4種のペンギンが生息してい
 たことがわかりました。中にはコウテイペンギンに匹敵する体長のものもあったそうです。
 これらペンギンが絶滅した原因はよくわかっていませんが、海水準の変動に関連すると
 いう見方がでています。
 Thomas, D. and D. Ksepka (2013).
 A history of shifting fortunes for African penguins
Zool. J. Linn. Soc. DOI: 10.1111/zoj.12024 アブストラクト

基盤的鳥類は輸卵管1本の状態に 3.18.13
  臨沂大学(中国語) 中国科学院古脊椎動物与古人類研究所( )
  獣脚類恐竜の卵を産んだ巣の化石を見ると、細長い卵が2個ずつペアで並んでい
 ることに気づきます。これは輸卵管が2本あるためです。一方、現生鳥類の輸卵管は
 1本なので、卵を1個ずつ産みます。では輸卵管1本になったのはどの段階からか?
 このことに関する新たな証拠が記載されました。
 前期白亜紀の熱河層群で発見されたJeholornis と2つのエナンティオルニス類鳥類
 化石において、排卵直前の状態であるものが確認されました。これらの標本により
 活動している輸卵管は1本であることがわかりました。
 また、基盤的鳥類では、ワニ類や原鳥類恐竜のように、骨成熟の前に性成熟をむか
 えていたこともわかりました。さらに2つのエナンティオルニス鳥類の違いにより、この
 系統も真鳥類と並行して高度な繁殖特性を進化させてきた可能性があることを示す
 そうです。
 Xiaoting Zheng, Jingmai O'Connor, Fritz Huchzermeyer, Xiaoli Wang, Yan
 Wang, Min Wang & Zhonghe Zhou (2013)
 Preservation of ovarian follicles reveals early evolution of avian reproductive behaviour.
 Nature (advance online publication) doi:10.1038/nature11985
 アブストラクト

 
初期鳥類は脚にも翼を 3.15.13
  山東省天寧自然博物館に収蔵された、熱河層群から産出した非常に保存のよい
 基盤的鳥類11標本の研究から、基盤的鳥類はあまねく脚にも翼をもっていたことが
 明らかになりました。
 Xiaoting Zheng, Zhonghe Zhou, Xiaoli Wang, Fucheng Zhang, Xiaomei Zhang,
 Yan Wang, Guangjin We1, Shuo Wang, Xing Xu (2013)
 Hind Wings in Basal Birds and the Evolution of Leg Feathers
 Science 15 March 2013: Vol. 339 no. 6125 pp. 1309-1312
 DOI: 10.1126/science.1228753 アブストラクト
 臨沂大学(中国語) 中国科学院古脊椎動物与古人類研究所

 
初期鳥類の独特な羽毛形態の発達の相同性及び潜在的な細胞・分子メカニズム
  3.04.13
  非鳥恐竜と初期鳥類の羽毛形態について比較議論しています。
 Jingmai K. O’Connor, Luis M. Chiappe, Cheng-ming Chuong, David J. Bottjer
 and Hailu You (2012)
 Homology and Potential Cellular and Molecular Mechanisms for the Development of
 Unique Feather Morphologies in Early Birds.
 Geosciences 2(3): 157-177; doi:10.3390/geosciences2030157 論文フリー

Avian Ancestors 3.01.13
  「鳥類の祖先」と題されたこの本は、ウネンラギア科、ミクロラプトル類、アンキオルニス、
 スカンソリオプテリクス科の系統関係に関するレビューとのことです。
 Look Inside で、それぞれ2ページ程度見ることができます。
 Federico L. Agnolin & Fernando E. Novas (2013)
 Avian Ancestors: A Review of the Phylogenetic Relationships of the Theropods
 Unenlagiidae, Microraptoria, Anchiornis and Scansoriopterygidae
 SpringerBriefs in Earth System Sciences
 ISBN: 978-94-007-5636-6 (Print) 978-94-007-5637-3 (Online)
 DOI: 10.1007/978-94-007-5637-3_3

孔子鳥の雌雄判明 1.24.13
  ユーレカアラート 時事 朝日新聞
  「誰か烏の雌雄を知らん」とは、詩経(小雅 正月)にある一節で、人の心や優劣、善悪の判定を
 することは難しいという例えだそうです。
 さて、中国産の孔子鳥、従来から尾羽の長い方がオスではないかと言われていた気がします。
 しかしこれまで証明されていませんでした。
 今回、長い尾羽のない方の孔子鳥の長骨内部に、産卵時の卵殻をつくるために使われるカルシ
 ウムを貯蔵する組織が確認されました。これは原生鳥類を同様な生殖方法です。
 Anusuya Chinsamy, Luis M. Chiappe, Jesus Marugan-Lobon, Gao Chunling
 & Zhang Fengjiao(2013)
 Gender identification of the Mesozoic bird Confuciusornis sanctus
 Nature Communications 4,Article number:1381doi:10.1038/ncomms2377 アブストラクト
 参考:産卵鶏におけるMedullary boneの組織化学的,ミクロラジオグラフ的研究

中国遼寧省から産出した基盤的真鳥形類、Archaeorhynchus spathula の解剖学 1.14.13
  Archaeorhynchus spathula は2006年に記載された遼寧省産の基盤的真鳥形類です。今回新
 たに同省葫芦島市建昌県(jianchang)の九仏堂層から産出した2体の殆ど完全な標本に基づき、
 詳しい記載がされています。
 後頭部の内部構造を含む頭骨、前肢、後肢及び胸骨の形態について新しい情報がもたらされ、
 胸骨については甘粛省産の無名の真鳥形類のものに類似しているそうです。
 産出した標本は亜成体ですが、これらから基盤的真鳥形類の尾端骨の発達について明らかに
 なり、少なくとも4個の尾椎骨が遠近位に癒合して尾端骨を形成していることがわかりました。また、
 胃石が保存されていることから、この鳥は植物食だったようだとしています。
 Shuang Zhou, Zhonghe Zhou & Jingmai K. O’Connor (2013)
 Anatomy of the basal ornithuromorph bird Archaeorhynchus spathula from the Early
 Cretaceous of Liaoning, China
 JVP Volume 33, Issue 1, 2013 pp.141-152 DOI:10.1080/02724634.2012.714431
 アブストラクト

エナメル質で覆われた歯をもつ初めてのエナンティオルニス類鳥類 1.08.13
  時事 SVP ライブサイエンス
  中国、遼寧省の前期白亜紀(121-125百万年前)の地層から産出した、エナンティオルニス類
 鳥類が記載されています。
  Sulcavis geeorum と命名されています。JVP最新号に論文掲載です。
 この鳥の特徴は、エナメル質に覆われた歯をもつことで、これは鳥類で初めてのことです。
 内側表面に溝のある頑丈な歯で、昆虫やカニのような殻をもつ生物を食べる食性だったと、
 推定されています。
 他の鳥類が食べられない食物を食べることにより、生態系の中で新たなニッチを広げていた
 とみられています。
 Jingmai K. O’Connor, Yuguang Zhang, Luis M. Chiappe, Qingjin Meng, Li Quanguo & Liu Di
 (2013)
 A new enantiornithine from the Yixian Formation with the first recognized avian
 enamel specialization
 JVP Vol.33 No.1 pp.1-12 DOI:10.1080/02724634.2012.719176
 アブストラクト 論文フリー

始祖鳥とアンキオルニスは原始的な羽毛配列の翼だった 11.27.12

始祖鳥第11標本 11.22.12
  tagesanzeiger tagesanzeiger
  ドイツ語なのでよくわかりませんが、2011年のミュンヘンショーの目玉だったようです。
 現在はアータル恐竜博物館に収蔵されています。同博物館ではプレス用の写真等を公開
 しています。

エナンティオルニス鳥類幼体から鳥類胸骨の初期進化を洞察 10.15.12
  中国科学院古脊椎動物与古人類学研究所() 臨沂大学地質古生物研究所
  胸骨は鳥類の飛行に使われる筋肉が付着する主要な骨です。その形態は種類により、いろい
 ろ異なっているそうです。
 この研究では、山東省天寧自然博物館に新たに所蔵された多くの標本から、エナンティオルニス
 鳥類の幼体標本の胸骨の骨化や癒合の状態を調べたものです。
 その結果、同類と、現生鳥類の胸骨の違いが明らかになりました。
 エナンティオルニス鳥類の胸骨には骨化のセンターが6か所ありました。うち3か所はこの研究で
 初めて明らかになったものです。胸骨体の骨化について、エナンティオルニス類では、非対称的
 に一方的にその尾側から先に骨化することがわかりました。一方、現生鳥類では、他の恐竜と同
 様に胸骨内側と外側が対照的に、また頭側から尾側方向に骨化しています。
 このことから、見かけ上非常に似通った特徴があるにもかかわらず、両者の胸骨は異なった発達
 上の起源をもち、完全に相同とはいえないことがわかりました。このことは、恐竜から鳥類への移
 行を特徴づける高度な成因的相同を強調するとともに、相同性仮説をテストするために発達を調
 べる重要性を強調することになっています。
 この研究からは、発達段階のより良い理解を通じて、エナンティオルニス鳥類と現生鳥類が姉妹
 群であると結びつける多くの特徴は平行したものであることを示唆し、両者が姉妹群であることは
 もはや支持されないとしています。
 Xiaoting Zheng, Xiaoli Wang, Jingmai O'Connor & Zhonghe Zhou (2012)
 Insight into the early evolution of the avian sternum from juvenile enantiornithines
 Nature Communications 3,Article number:1116doi:10.1038/ncomms2104
 アブストラクト
 
Dalianraptor はキメラか? 8.1112
   Dalianraptor cuhe はGao & Liu(2005)により記載された初鳥類です。これが、アーケオラプト
 ルのような合成された標本という指摘が出ています。短い前肢はマニラプトル類のものというの
 です。
 Darren Naish のTetrapod zoology 、これはThe Complete Dinosaur 第2版の紹介なのですが、
 ここで言及されています。さらに、Matthew Martyniuk のDinoGossでフォローアップされています。
 
ヘスペロルニス形類の新科新属 3.11.12
  ヘスペロルニスは、海で潜水し、魚を獲っていましたが、ここで記載された1属4種からなるブロドア
 ビス科は、淡水で生活していました。後期白亜紀 (Maastrichtian) のアジアと北米に生息していたそう
 です。Brodavis mongoliensis, B.baileyi, B.americanus, B. vameri が記載されています。
 Larry D. Martin, Evgeny N. Kurochkin & Tim T. Tokaryk (2012)
 A new evolutionary lineage of diving birds from the Late Cretaceous of North America and Asia.
 Palaeoworld (advance online publication)
 http://dx.doi.org/10.1016/j.palwor.2012.02.005

2500万年前、ニュージーランドに生息していたペンギン、復元 2.28.12
  ノースカロライナ州立大ニュース March of the Fossil Penguins ナショナルジオグラフィック(日)
  ニュージーランド、オタゴ大のEwan Fordyce により1977年に採集されたペンギン標本が、ノース
 カロライナ大のDANIEL KSEPKAらにより研究され、復元されたそうです。体高1.27mといいますか
 ら、かなり巨大なペンギンです。
 Kairuku という、マオリ語で食物を持ち帰ってくるダイバーという意味をもつペンギンは、1940年代
 に初めて発見され、記載されていましたが、翼の骨の一部分しかない保存状態だったので、今回
 の研究によりその全体像が詳細にわかり、復元にいたったそうです。JVPに掲載されるそうです。

古脊椎動物学報50巻1期 2.13.12
  遼寧省下部白亜系九仏堂層から産出した基盤的真鳥類 Schizooura lii の記載などがあ
 ります。論文はどれもダウンロードできます。
 ZHOU Shuang, ZHOU Zhong-He & Jingmai K. O’CONNOR (2012)
  A NEW BASAL BEAKED ORNITHURINE BIRD FROM THE LOWER CRETACEOUS OF
 WESTERN LIAONING, CHINA. Vertebrata PalAsiatica 50(1): 9-24
 中国科学院古脊椎動物与古人類研究所ニュース

  
現生から絶滅動物へ 運動の個体発生と鳥類飛行の進化 2.03.12
  レビューです。アブストほにゃ訳
  進化による変化は、移行的形態をもつ化石により記録される。それは生命史を理解する鍵と
 なる。これらの変化を再構築するためには、現生の組織においてどのように同様な特徴がある
 かを探ることにより、絶滅動物の機能的属性を解釈することが要求される。しかしながら、現生-
 絶滅の比較はしばしば困難を伴う。なぜなら、現生成体の形は、しばしば化石材料と大幅に異
 なっているからである。私たちは、現生鳥類の孵化後から成体への発達が、獣脚類恐竜の進
 化による変化に、豊かで斬新な洞察を、どのように提供するのか説明する。幼体は、現生-絶
 滅の比較において注目されてこなかったが、多くのグループにおける発達中の幼体は、解剖
 学的および概念的に進化に伴う変化とパラレルな形態・機能・行動の中間段階を経る。発達
 に伴う変化を探求することは、長らく謎であった進化の疑問に対し、観察できる、生態学的に
 関連した解答を明示するかもしれない。

 と、ここまでやっても、具体的なことはあまり出てきません。
 アブストラクトのページには、各図版とその説明文が載っていますので、それらを見ると、もう
 少し著者らのいうことがわかります。
 Ashley M. Heers & Kenneth P. Dial (2012)
 From extant to extinct: locomotor ontogeny and the evolution of avian flight.
 Trends in Ecology and Evolution (advance online publication)
 http://dx.doi.org/10.1016/j.tree.2011.12.003  アブストラクト

 
羽毛恐竜は始祖鳥より古いことが明確に 2.03.12
  羽毛恐竜や、翼竜 Darwinopterus の性成熟個体とその卵が共にが産出している、Daohugou
 (道虎溝)生物群は、熱河生物群より古い年代とされていますが、その確実な年代は、これまで
 わかっていませんでした。中期ジュラ紀から前期白亜紀という幅があったのです。
 今回、SHRIMP U-Pbジルコン年代法により、化石産出層の年代が明らかになりました。これに
 より、中国に初めて羽毛恐竜が出現した年代は1億61百万年より前であり、Archaeopteryx
 り紛れもなく古いことがわかりました。さらに、鳥盤類恐竜に初めて羽毛が現れたのは、前期白
 亜紀の後期よりは1億59百万年以前であり、移行的形態の翼竜が出現したのは1億61百万年
 以前であるとしています。
 Yong-Qing Liu, Hong-Wei Kuang, Xiao-Jun Jiang, Nan Peng, Huan Xu & Hui-Yi Sun (2012)
 Timing of the earliest known feathered dinosaurs and transitional pterosaurs
 older than the Jehol Biota.
 Palaeogeography, Palaeoclimatology, Palaeoecology (advance online publication)
 http://dx.doi.org/10.1016/j.palaeo.2012.01.017  アブストラクト

マニラプトル類から現生鳥類にいたる換気メカニクス 2.03.12
  非鳥マニラプトル類恐竜から現生鳥類まで共有されている特徴の一つに鉤状突起と呼吸器の
 構造があります。最近の研究から、これらの特徴はオヴィラプトル科およびドロマエオサウルス
 科にみられることが示唆されています。オヴィラプトル科のCitipati osmolskae、基盤的アヴィアラ
 エ類のZhongjianornis yangi, Confuciusornis sanctus 及びより派生した鳥類 Yixianornisgrabaui
 これらのの胸郭の大きさは現生鳥類と同じであり、化石胸郭形態の幾何学的形状測定から、鉤
 状突起により力学的な利点がもたらされるとしています。 これら骨格の特徴から、非鳥獣脚類
 と基盤的アヴィアラエ類のフロースルー呼吸器システムにさらなる証拠をもたらし、鉤状突起は
 現生鳥類よりはるかに前に放散した肺・気嚢システムによる換気を促進する鍵となった適応で
 あるとしています。
 TICKLE, P. G., NORELL, M. A. and CODD, J. R. (2012)
 Ventilatory mechanics from maniraptoran theropods to extant birds.
 Journal of Evolutionary Biology (advance online publication)
 doi: 10.1111/j.1420-9101.2012.02465.x アブストラクト

 
現生から絶滅動物へ 運動の個体発生と鳥類飛行の進化 2.03.12
  レビューです。アブストほにゃ訳
  進化による変化は、移行的形態をもつ化石により記録される。それは生命史を理解する鍵と
 なる。これらの変化を再構築するためには、現生の組織においてどのように同様な特徴がある
 かを探ることにより、絶滅動物の機能的属性を解釈することが要求される。しかしながら、現生-
 絶滅の比較はしばしば困難を伴う。なぜなら、現生成体の形は、しばしば化石材料と大幅に異
 なっているからである。私たちは、現生鳥類の孵化後から成体への発達が、獣脚類恐竜の進
 化による変化に、豊かで斬新な洞察を、どのように提供するのか説明する。幼体は、現生-絶
 滅の比較において注目されてこなかったが、多くのグループにおける発達中の幼体は、解剖
 学的および概念的に進化に伴う変化とパラレルな形態・機能・行動の中間段階を経る。発達
 に伴う変化を探求することは、長らく謎であった進化の疑問に対し、観察できる、生態学的に
 関連した解答を明示するかもしれない。

 と、ここまでやっても、具体的なことはあまり出てきません。
 アブストラクトのページには、各図版とその説明文が載っていますので、それらを見ると、もう
 少し著者らのいうことがわかります。
 Ashley M. Heers & Kenneth P. Dial (2012)
 From extant to extinct: locomotor ontogeny and the evolution of avian flight.
 Trends in Ecology and Evolution (advance online publication)
 http://dx.doi.org/10.1016/j.tree.2011.12.003  アブストラクト

 
羽毛恐竜は始祖鳥より古いことが明確に 2.03.12
  羽毛恐竜や、翼竜 Darwinopterus の性成熟個体とその卵が共にが産出している、Daohugou
 (道虎溝)生物群は、熱河生物群より古い年代とされていますが、その確実な年代は、これまで
 わかっていませんでした。中期ジュラ紀から前期白亜紀という幅があったのです。
 今回、SHRIMP U-Pbジルコン年代法により、化石産出層の年代が明らかになりました。これに
 より、中国に初めて羽毛恐竜が出現した年代は1億61百万年より前であり、Archaeopteryx
 り紛れもなく古いことがわかりました。さらに、鳥盤類恐竜に初めて羽毛が現れたのは、前期白
 亜紀の後期よりは1億59百万年以前であり、移行的形態の翼竜が出現したのは1億61百万年
 以前であるとしています。
 Yong-Qing Liu, Hong-Wei Kuang, Xiao-Jun Jiang, Nan Peng, Huan Xu & Hui-Yi Sun (2012)
 Timing of the earliest known feathered dinosaurs and transitional pterosaurs
 older than the Jehol Biota.
 Palaeogeography, Palaeoclimatology, Palaeoecology (advance online publication)
 http://dx.doi.org/10.1016/j.palaeo.2012.01.017  アブストラクト

マニラプトル類から現生鳥類にいたる換気メカニクス 2.03.12
  非鳥マニラプトル類恐竜から現生鳥類まで共有されている特徴の一つに鉤状突起と呼吸器の
 構造があります。最近の研究から、これらの特徴はオヴィラプトル科およびドロマエオサウルス
 科にみられることが示唆されています。オヴィラプトル科のCitipati osmolskae、基盤的アヴィアラ
 エ類のZhongjianornis yangi, Confuciusornis sanctus 及びより派生した鳥類 Yixianornisgrabaui
 これらのの胸郭の大きさは現生鳥類と同じであり、化石胸郭形態の幾何学的形状測定から、鉤
 状突起により力学的な利点がもたらされるとしています。 これら骨格の特徴から、非鳥獣脚類
 と基盤的アヴィアラエ類のフロースルー呼吸器システムにさらなる証拠をもたらし、鉤状突起は
 現生鳥類よりはるかに前に放散した肺・気嚢システムによる換気を促進する鍵となった適応で
 あるとしています。
 TICKLE, P. G., NORELL, M. A. and CODD, J. R. (2012)
 Ventilatory mechanics from maniraptoran theropods to extant birds.
 Journal of Evolutionary Biology (advance online publication)
 doi: 10.1111/j.1420-9101.2012.02465.x アブストラクト

 
始祖鳥の羽は黒かった 1.25.12
  朝日新聞 ブラウン大プレスリリース(動画あり) AFPBB
  始祖鳥標本の羽毛から試料を採取し、走査型電子顕微鏡で調べたところ、メラゾームとい
 う、メラニン色素が入った粒を発見、現生の鳥類87種のメラゾームと比較した結果、95%の確
 率で黒とわかったそうです。
 Ryan M. Carney, Jakob Vinther, Matthew D. Shawkey, Liliana D'Alba & Jorg Ackermann
 New evidence on the colour and nature of the isolated Archaeopteryx feather
 Nature Communications 3, Article number: 637 doi:10.1038/ncomms1642
 アブストラクト

翼竜、鳥類、コウモリの肢要素の統合・解離の比較 10.6.11
  BELL, E., ANDRES, B. and GOSWAMI, A. (2011).
 Integration and dissociation of limb elements in flying vertebrates:
 a comparison of pterosaurs, birds and bats.
 Journal of Evolutionary Biology (advance online publication)
 doi: 10.1111/j.1420-9101.2011.02381.x アブストラクト

鳥の起源は韓国? 10.03.11
  テスト版にアップしました。

鳥類も恐竜同様白亜紀末に大量絶滅 9.25.11

前期白亜紀鳥類にそのう(嗉嚢)があった化石証拠 9.07.11
  テスト版にアップしました。

前期白亜紀のエナンティオルニス類鳥類Rapaxavis pani の解剖学 1.09.11
  Jingmai K. O'Connor, Luis M. Chiappe, Chunling Gao, and Bo Zhao
  Anatomy of the Early Cretaceous bird Rapaxavis pani (Aves: Enantiornithes)
  Acta Palaeontologica Polonica in press doi:10.4202/app.2010.0047
  Rapaxavis pani は遼寧省の九仏堂層から産出したロンギプテリクス科鳥類です。
 その剖出の進行に伴い、新たに加わった情報によりその形態を再検討しています。

孔子鳥の新種Confuciusornis jianchangensis 9.22.10
  遼寧省葫芦島市建昌県頭道管子郷西店の下部白亜系九仏堂層から産出した孔子鳥の
 新種を記載しています。 Confuciusornis jianchangensis 建昌孔子鳥
 種小名は産出地建昌から。建昌地区から初めて発見された孔子鳥だからでしょう。
 特徴:前肢や肩帯は保存されていませんが、小型のサイズ、鱗状骨は三角形に近い形、
 方形骨は大きい、歯骨の前端に突起がある、足根中足骨の近位は癒合、第5中足骨は無
 い、尾端骨は幅広く厚みがある等により他種と区別されるとしています。
 LI Li(李莉),WANG Jing-qi(王晶琦),HOU Shi-in(侯世林)
 A New Species of Confuciusornis from Lower Cretaceous of Jianchang, Liaoning, China
 世界地質2010, 29(2)pp.183-187 アブストラクト

翼開長5.2mの骨歯鳥類 9.16.10
  ディスカバリー ナショナルジオグラフィック(日( 全身骨格 頭骨))
  鳥類の翼開長のレコードですね。体重は16~29kgとされています。チリで発見された骨歯
 鳥類Pelagornis chilensis は同類として最大で、骨格も立体的に保存されたものです。
 GERALD MAYR; DAVID RUBILAR-Rogers
 Osteology of a new giant bony-toothed bird from the Miocene of Chile, with a revision
 of the taxonomy of Neogene Pelagornithidae
 Journal of Vertebrate Paleontology, Volume 30, Issue 5 September 2010 , pages 1313 - 1330
 DOI: 10.1080/02724634.2010.501465 アブストラクト

恐鳥はくちばしをボクサーのジャブのように使った 8.19.10
  オハイオ大ニュース NSF ナショナルジオグラフィック(日)
  恐竜絶滅後の哺乳類は、ワニと恐鳥類に脅かされる日々を送ったと、NHK
 スペシャル「恐竜絶滅 ほ乳類の戦い」でも強調していました。番組ではその
 足に注目していたようですが、今回の研究は、その頭骨とくちばしの解析から
 獲物を捕らえる習性を解き明かしたものです。
 この研究では、約600万年前、アルゼンチン北西部に生息していた中型の種、
 Andalgalornis の頭骨を解析しています。頭骨をCTスキャンし、コンピュータ内
 で再構成した上で、有限要素法により、くちばしも含めた頭骨各部の強度を可
 視化しています。
 研究結果によれば、くちばしを突出し、また頸を後ろに引く方向には十分な強度
 があります。しかし、頭を振る動きに対しては強度が低いことがわかりました。
 そのため、獲物を捕らえるためには、比較的小さい獲物に対し、くちばしをボク
 サーのジャブのように素早く何度も打ち下ろすやり方をした、としています。
 Federico J. Degrange, Claudia P. Tambussi, Karen Moreno, Lawrence M. Witmer, Stephen Wroe
 Mechanical Analysis of Feeding Behavior in the Extinct “Terror Bird”
 Andalgalornis steulleti (Gruiformes: Phorusrhacidae)
 PLoS ONE 5(8): e11856. doi:10.1371/journal.pone.0011856 論文
 解析画像、動画、解説など WitmerLab

 
恐竜時代のモンゴルの陸上を走り回っていた鳥 3.16.10
  林原プレスリリース 47ニュース
  現生でいえば、ミチバシリのような生態でしょうか。飛ぶことはできるが、もっぱら地
 上を走り回り、地上で餌をとり、地面に巣を作るタイプの鳥類ということです。
 第三中足骨と第四中足骨の癒合した先端部分に血管が通る穴が存在する点から、
 現生の鳥類の祖先グループであるオルニチュウロモルファ類に分類される。また、第
 四中足骨が非常に短いこと、脛骨と大腿骨の関節面が特殊なことから新種の鳥化石
 であると判断したとのことです。
 Hollanda luceria と命名されています。属名はチアッペ博士が所属するロサンゼルス
 郡立博物館恐竜研究所の研究支援者Holland氏にちなむ、種小名はラテン語で輝く。
 Bell et al.(2010)
 Description and ecologic analysis of Hollanda luceria, a Late Cretaceous bird from
 the Gobi Desert (Mongolia)
 Cretaceous Research Volume 31, Issue 1, February 2010, Pages 16-26 論文

 
モアや象鳥の卵殻から古代のDNA 3.10.10
  Sheffield大 Murdoch大 BBC AFPBB
  化石卵殻にDNAが保存されていることを明らかにしたのは、これが初めてではな
 いでしょうか。研究者たちは、マダガスカルの象鳥(エピオルニス)、オーストラリアの
 エミューと絶滅したフクロウ、そしてニュージーランドのモアと絶滅カモの卵殻を用い
 多くのサンプルから非常によい保存状態の核・ミトコンドリア両方のDNAを取り出し
 ています。
 モアの卵殻は、骨に比べ細菌性負荷が約125分の1ということです。このような暖か
 い地方で良好なDNAが保存されていることから、卵殻は非常に優秀なDNA保存材
 であるといえます。
 卵殻を用いた新しい研究がこれから展開されるかもしれませんね。
 Charlotte L.. O. et al (2010)
 Fossil avian eggshell preserves ancient DNA
 Proceedings B doi: 10.1098/rspb.2009.2019 アブストラクト(論文ダウンロード可)

 
中国河北省北部Qiaotou(橋頭)層産出のエナンティオルニス類鳥類 3.10.10
  WANG Xuri, Jingmai K. O’Connor, ZHAO Bo, Luis M. Chiappe, Gao Chunling and Cheng Xiaodong
  New Species of Enantiornithes (Aves: Ornithothoraces) from the Qiaotou
  Formation in Northern Hebei, China
  Acta Geologica Sinica,2010,84(2):247-256 アブストラクト

  Shenqiornis mengi 新属新種を記載しています。
 非常によく保存された頭骨があり、そのため、大型の後眼窩骨に、長く先細りにな
 る頬骨突起があり、そのためある種のエナンティオルニス類は、Confuciusornis
 同様、完全に双弓類の頭骨だったかもしれないことを示す。標本の歯の形態は独
 特で、エナンティオルニス類の中でこれまで知られていなかった食性の特殊化を示
 すらしいとしています。
 
  
初期鳥類はなぜ歯を失ったか 12.08.09
  ニューサイエンティスト
  始祖鳥Archaeopteryx には立派な歯があるのに、それから2千万年もたつと歯
 のない鳥類が現れる。これはなぜか。一つの解答が示されています。
 周忠和、張福成らが記載した遼寧省下部白亜系九仏堂層産出の鳥類、
 Zhongjianornis yangi の研究から、初期の鳥類は4つのグループで別々に歯を失
 い、くちばしを形成したことがわかりました。そこで、歯を残していた鳥類と歯を失っ
 た鳥類の骨格を比較すると、歯を残した鳥類のほうが飛行に適応した骨格をしてい
 ることがわかったそうです。
 適応していない骨格の鳥類は、重心から最も遠い頭部の重量を減らすために歯を
 失ったのだそうです。

 Zhonghe Zhou(周忠和) and Fucheng Zhang(張福成) Zhiheng Li 2009.
 A new Lower Cretaceous bird from China and tooth reduction in early avian
 evolution
 Proceedings of the Royal Society B, DOI: 10.1098/rspb.2009.0885
 論文ダウンロードできます。

巨鳥モアの進化史、明らかに 11.19.09
  ニューサウルウェールズ大ニュース アデレード大ニュース(最終稿でない論文あり)
  ニュージーランドに600年前まで生存していたモア類の亜化石に含まれるミトコンドリ
 アDNAの研究により、その進化史が明らかになるとともに、ニュージーランド島の歴史
 も明らかにしたそうです。
 これまでの研究では、モア類は20属、64種にもなることが示唆されていたそうです。
 しかしこの研究では3科6属9種にまとめられました。
 ディノルニス科のDinornis 、エミュー科のPachyornis, Emeus, Anomalopteryx,
 Euryapteryx 及び新しい科で基盤的モア類とされるメガラプテリクス科のMegalapteryx
 です。

 では、このモア類がどう進化してきたのかは、ニュージーランドがたどった歴史と切り離
 して考えることはできません。
 ニュージーランド南北島は約6千万年前にゴンドワナ大陸から分離し、モア類の共通祖
 先も、他のゴンドワナ大陸から分かれた各地の鳥類(ダチョウやレアなど)の祖先と分か
 れていきました。約2500万年前にはニュージーランドは殆ど水没した時代もありました。
 その後、約150万年前まで南島と北島は広い海に隔てられていたそうです。

 このような環境の中、モア類は南島で、サザンアルプスが700万年前に隆起し、環境の
 多様化が進んでから多様に進化したことがわかりました。北島には150万年前以降、南
 北島がつながった時期に分布を広げていったそうです。
 M. Bunce, T. H. Worthy, M. J. Phillips, R. N. Holdaway, E. Willerslev, J. Haile, B. Shapiro,
 R. P. Scofield, A. Drummond, P. J. J. Kamp, and A. Cooper(2009)
 The evolutionary history of the extinct ratite moa and New Zealand Neogene
 paleogeography
 PNAS published online before print November 18, 2009, doi:10.1073/pnas.0906660106
 アブストラクト

中国遼寧省から新鳥類新属新種 11.12.09
  遼寧省朝陽市建昌県の九仏堂層から産出した、殆ど完全な関節した亜成体骨格
 が記載されました。 Jianchangornis microdonta (小歯建昌鳥)
 属名は産出地建昌から。種小名は歯骨にある小さい歯から
 ZHOU Zhong-He(周忠和), ZHANG Fu- Cheng(張福成), LI Zhi-Heng(李志恒) 2009.
 A NEW BASAL ORNITHURINE BIRD (JIANCHANGORNIS MICRODONTA GEN. ET SP. NOV. )
 FROM THE LOWER CRETACEOUS OF CHINA
 VERTEBRATA PALASIATICA(古脊椎動物学報) vol.47 No.4 pp.299-310
 論文

 
最新古生物学・現生生物学資料に基づく、羽毛の起源と早期進化 11.12.09
  同じく古脊椎動物学報に掲載された論文です。
 XU Xing(徐星), GUO Yu(郭昱) 2009.
 THE ORIGIN AND EARLY EVOLUTION OF FEATHERS: INSIGHTS
 FROM RECENT PALEONTOLOGICAL AND NEONTOLOGICAL DATA
 VERTEBRATA PALASIATICA(古脊椎動物学報) vol.47 No.4 pp311-329
 論文
 なお、古脊椎動物学報は、中国科学院古脊椎動物与古人類学研究所(IVPP)のサイト
 に、1973年以降の論文がPDFで掲載されています。学報文章目録で年次から調べて
 もいいし、学報文章下載で新しい論文を確認することもできます。

Archaeopteryx(始祖鳥)の成長速度や生理は非鳥恐竜並みだった 10.12.09
  フロリダ州立大ニュース ユーレカアラート
  Archaeopteryx の大腿骨等長骨資料を偏光顕微鏡で観察したところ、急速な成
 長であれば血管が発達し、繊維の成長方向があらゆる方向の網状骨になっている
 のですが、その骨は無血管性骨の平行繊維質骨であり、その成長速度は、デイノ
 ニコサウリア類やオヴィラプトロサウリア類恐竜と同程度だったことがわかりました。

 Archaeopteryx ばかりでなく、中国産の初期鳥類 Jeholornis primaSapeornis
 chaochengensi
でも、骨の構造は同様であることが確認されました。一方、約9,400
 万年前北米にいたIchthyornis dispar では現生鳥類同様の網状骨がよく見られるそ
 うです。

 現生鳥類はヒナが成鳥になるまで数週間しかかかりません。一方、Archaeopteryx
 は成体になるまでに970日かかった(後期ジュラ紀の1年は375日)そうです。また成体
 の大きさはワタリガラス(Common Raven (Corvus corax)体長56~69cm) 程度だった
 としています。

 鳥類の飛行は、恐竜の生理でも可能であり、成長や代謝の増加は鳥類進化のある
 時期からだったことになります。結局、Archaeopteryx は羽毛恐竜と変わりなかった
 のでしょうか。
 Erickson GM, Rauhut OWM, Zhou Z, Turner AH, Inouye BD, et al. (2009)
 Was Dinosaurian Physiology Inherited by Birds? Reconciling Slow Growth in Archaeopteryx.
 PLoS ONE 4(10): e7390. doi:10.1371/journal.pone.0007390 論文
 参考:bone histology

中国遼寧省から最も基盤的な無歯鳥類 7.09.09
  遼寧省の九仏堂層から産出したほぼ完全な骨格に基づき記載されています。
  Zhongjianornis yangi (楊鐘健鳥)
  中国古生物学の父、楊鐘健(C.C.Young)の没後30年を記念して命名されています。
  上下の顎に歯は無く、嘴は先尖。上腕骨には大きくがっしりした三角胸筋稜がある
 などの特徴があります。
 系統的にはConfuciusornis(孔子鳥)や他の主要な中生代鳥類(Enantiornithes and
 Ornithurae)に対し基盤的としています。よって前期白亜紀の鳥類放散について新しい
 情報をもたらし、最も基盤的な鳥類において完全に歯を失っていたこと、またくちばしの
 形成は鳥類の異なった系統で独立して数回起こったこと等が示されるとしています。
 Zhonghe Zhou and Fucheng Zhang Zhiheng Li
 A new Lower Cretaceous bird from China and tooth reduction in early avian evolution
 Proc. R. Soc. B published online before print July 8, 2009,
 doi:10.1098/rspb.2009.0885 アブストラクト
 化石網

唐津市北波多でペンギンもどきの化石発見 4.13.09
  佐賀新聞
  
孔子鳥の新種、Confuciusornis feducciai 記載 3.24.09
  カリフォルニア大ニュース カリフォルニア大出版部ニュース 化石網
  遼寧省の義県層から産出したこの新種はConfuciusornis 属中最大。前後肢比
 が最大、V字形の叉骨、長方形の三角胸筋稜、上腕骨近位端に楕円形の孔が無
 い、非常に細長い小翼指、かなり長い、恥骨長の2/3の長さがある坐骨及び胸骨
 の形態にその固有の特徴があります。解剖学的特長から樹上性であることが示唆
 されるとしています。
 種小名は、同大のAlan Feduccia に献名したものです。
 Zihui Zhang(張子慧), Chunling Gao, Qingjin Meng, Jinyuan Liu, Lianhai Hou and Guangmei Zheng
 Diversification in an Early Cretaceous avian genus: evidence from a new
 species of Confuciusornis from China
 Journal of Ornithology DOI:10.1007/s10336-009-0399-x アブストラクト

1千万年前の鳥の化石発見 2.28.09
  47ニュース AP ロイターUK
  ペルー南部イカ州の沿岸地方で発見された1千万年前の古顎類鳥類の頭骨ほ
 かの化石です。翼開長約6m、頭骨長は40cmとのことです。

 
恐竜より賢かった古代の鳥類 2.03.09
  ナショナルジオグラフィック(日)
  
 
三次元CTスキャンにより始祖鳥の聴覚能力を解明 1.15.09
  オハイオ大ニュース オハイオ大ウィットマー研究室 英自然史博物館ニュース
  内耳の蝸牛の長さや形状は、可聴能力や行動に関連しています。まず59の現生爬
 虫類や鳥類骨内蝸牛の長さや形状が調べられました。そして、それが聴覚能力や他の
 能力とどう関連するかが調べられました。同様に始祖鳥化石についてもCTスキャンが
 行われ、現生動物と比較すると、その聴覚能力は現生鳥類、特にエミューに非常に近い
 ものだったことが判ったそうです。
 Stig A. Walsh, Paul M. Barrett, Angela C. Milner, Geoffrey Manley and Lawrence M. Witmer
 Inner ear anatomy is a proxy for deducing auditory capability and behaviour in reptiles
 and birds
 Proc. R. Soc. B doi:10.1098/rspb.2008.1390
 オハイオ大ウィットマー研究室から論文ダウンロードできます。

 
Archaeopteryx (始祖鳥)Thermopolis 標本、X線スキャン実施 12.24.08
  スタンフォード大ニュース 同国立加速器研究所ニュース
  同イメージギャラリー ビデオギャラリー
  始祖鳥のサーモポリス標本は、独ゾルンフォーヘンで発見された後、紆余曲折を経て
 2007年、ワイオミング恐竜センターの所蔵となりました。
 現在、その研究プロジェクトが進められています。ニュースによると、スタンフォード大の
 加速器研究所で、X線のビームでスキャンをし、化石内部を調査しています。X線により
 化石内部の科学組成を調べ、骨だけでなく羽毛などが内部にどう隠されているか明らか
 にすることを目的にしています。
 
 
孔子鳥の尾羽は性的2形か? 10.08.08
  孔子鳥、Confuciusornis sanctus は中生代鳥類の中で最も標本数が多い鳥で
 す。印象深いのは、尾羽の長い個体とそうでない個体の2羽がそのまま一緒に化
 石となった標本。いかにも雌雄仲良く1億年と思われます。
 しかし、これは本当に雌雄かとLuis M. Chiappeらは、私蔵されていない106標本を
 計測してみました。その結果、尾羽の有無と体の大きさの分布には何の関連もない
 ことがわかったそうです。
 Chiappe, L. M. et al 2008.
 Life history of a basal bird: morphometrics of the Early Cretaceous Confuciusornis
 Biol. Lett. doi:10.1098/rsbl.2008.0409 アブストラクト
 Supplemental Material でJinzhouornis(J. zhangjiyingia 及び J.yixianensis) は、
C. sanctus  のジュニアシノニムであることが示唆されるとしています。

  
Palaeontology 7.16.08
  Volume 51 Issue 4 (July 2008)には、数々の興味深い論文が掲載されています。
 うち、いくつか

 CHUNLING GAO, LUIS M. CHIAPPE, QINJING MENG, JINGMAI K. O'CONNOR,
 XURI WANG, XIAODONG CHENG and JINYUAN LIU. 2008.
 A NEW BASAL LINEAGE OF EARLY CRETACEOUS BIRDS FROM CHINA AND
 ITS IMPLICATIONS ON THE EVOLUTION OF THE AVIAN TAIL.
 Palaeontology 51: pp.775-791. 10.1111/j.1475-4983.2008.00793.x

 中国遼寧省凌源市近郊の義県層から産出した、新しい鳥類Zhongornis haoae を記
 載しています。骨質の長い尾から、尾が短くなり、数個の骨が尾端骨に癒合する中間
 形態をしているそうです。尾は短くなっていますが、尾端骨はありません。
 系統的位置づけは、全てのパイゴスティル類と姉妹群をなすとしています。

中国遼寧省から産出したエナンティオルニス類鳥類(新科) 5.21.08
 LI Li(李莉),HU Dong-yu ,DUAN Ye ,GONG En-pu, HOU Lian-hai
 ALETHOALAORNITHIDAE FAM. NOV. :A NEW FAMILY OF ENANTIORNITHINE BIRD FROM
 THE LOWER CRETACEOUS OF WESTERN LIAONING
 遼寧西部下白亜統反鳥類一新科——Alethoalaorvithidae fam.nov.
 Acta Palaeontologica Sinica_ 46 (3): 365-372.アブストラクト
 遼寧省朝陽市朝陽県太平房原家窪から産出したエナンティオルニス鳥類化石に基づき、新
 しい科が設立されています。
 カタイオルニス形類の中の新科 Alethoalaornithidae 真翼鳥科
 Alethoalaornis agitornis 新属新種
 属名"Aletho"はラテン語で真、"-alo"翼 種小名"agit"ラテン語で敏捷な
 
 
オウム類最古の化石 5.18.08
  DAVID M. WATERHOUSE, BENT E. K. LINDOW, NIKITA V. ZELENKOV, GARETH J. DYKE (2008)
   TWO NEW PARROTS (PSITTACIFORMES) FROM THE LOWER EOCENE FUR FORMATION OF DENMARK
   Palaeontology 51 (3) , 575–582 doi:10.1111/j.1475-4983.2008.00777.x
アブストラクト
  デンマーク始新世約54百万年前の地層から産出した2つのオウム類化石を記載しています。
  1つはPseudastur科に属するとされ、もう1つは新属新種Mopsitta tanta と命名されています。
 これは、既知最大の化石オウム類ということです。両方ともこれまで最古のオウム類化石となる
 そうです。
 IRCSET

  
エナンティオルニス類の新属新種Pengornis houi 5.05.08
  これもMLでは4月22日に流れていました。
  Zhou, Z., Clarke, J., and Zhang, F. 2008.
  Insight into diversity, body size and morphological evolution from the largest
  Early Cretaceous enantiornithine bird.
  Journal of Anatomy. doi:10.1111/j.1469-7580.2008.00880.x.アブストラクト

 中国遼寧省朝陽市太平房前期白亜紀、九仏堂層から産出したエナンティオルニス類鳥
 類(IVPP V15336)部分的に関節した殆ど完全な骨格 を記載しています。
 Pengornis houi
 属名"Peng"は中国語"鵬"+ギリシャ語"ornis"鳥
 種小名は中国古鳥類学の開拓者、侯連海に献名
 
 基盤的エナンティオルニス類としていますが、これまで真鳥類のみに見られる特徴も有
 しています。
 体の大きさは大腿骨長の比較ではConfuciusornis sanctus と同じくらいです。

中国河北省から産出した原始的孔子鳥科鳥類 5.03.08
  ZHANG Fucheng(張福成)   ZHOU Zhonghe(周忠和)    Benton Michael 2008.
  A primitive confuciusornithid bird from China and its implications for early avian flight
  Science in China Series D-Earth Sciences 2008 Vol.51 No. 5 pp.625-639
  082007-643 アブストラクト英文 中文 論文ダウンロードできます

  中国河北省豊寧(Fengning)県四岔口(Sichakou)郷の前期白亜系大北溝層(1億31百万年前)か
 ら産出した、殆ど完全な標本(IVPP V11977)により孔子鳥科の新属新種を記載しています。同科
 で最も原始的ということです。

 Eoconfuciusornis zhengi 鄭氏始孔子鳥
 属名はギリシャ語"eo"(暁)+confuciusornis 種小名は卓越した中国の鳥類学者鄭光美に献名。

 これまで知られていた孔子鳥科鳥類の年代は約1億2千万年前から1億2千5百万年前でした。同
 科鳥類の出現が11百万年遡るとともに、同科は前期白亜紀鳥類で最も長く存続した科となりまし
 た。
 Eoconfuciusornis zhengi とその近縁を比較すると、多くの骨格上の変化があります。例えば、上
 腕骨の三角胸筋稜や胸骨の竜骨突起が大きくなったことがあげられます。明らかに飛行能力の発
 達への適応を示しています。
 ブリストル大ニュースでは同科について角質の嘴を持った最古の鳥類と紹介し、Eoconfuciusornis
 zhengi
Archaeopteryx と他の遼寧省の鳥類との間を埋める位置にあり、鳥類の飛行能力発達の
 中間的段階にあると紹介しています。
 中国科学院ニュース

  
中国遼西下部白亜系産出のサペオルニス科新属新種 3.04.08
  YUAN Chongxi
  A New Genus and Species of Sapeornithidae from Lower Cretaceous in Western Liaoning, China
  ACTA GEOLOCICA SINICA(地質学報英文版) vol.82 No.1 pp.48-55

  サペオルニス科鳥類はこれまでSapeornith chaoyangensis のみが記載されています。
 今回、同科の新属新種として記載されました。
 Didactylornis jii gen. et sp. nov.

羽毛の初期進化:フランスの白亜紀琥珀から化石証拠 2.26.08
  Vincent Perrichot, Loïc Marion, Didier Néraudeau, Romain Vullo, and Paul Tafforeau
  The early evolution of feathers: fossil evidence from Cretaceous amber of France
  Proc. R. Soc. B. 10.1098/rspb.2008.0003 論文ダウンロードできます。

 フランス西部で発見された琥珀の中の羽毛。その原始的な特徴について報告しています。
 Telegraph ナショナルジオグラフィック

  
ニュージーランド最古の鳥類化石発見 2.12.08
  TVNZ
  ニュージーランド、チャタム諸島で6千5百万年前に遡る海鳥の化石が発見されたそうです。

  
鳥類の基本的な羽ばたきから得られる飛翔の進化に関する新しい見方 2.21.08
  ネイチャー2月21日号 p985 doi:10.1038/nature06517
  Kenneth P. Dial, Brandon E. Jackson & Paolo Segre
  A fundamental avian wing-stroke provides a new perspective on the evolution of flight
  1月24日、ネイチャーAdvance online publicationで公開された論文です。
  地上性鳥類の若鳥の成長の間にみられる、原始的な移動運動様式(降下飛行と傾斜面を
 羽ばたきながら走り上がる運動)から水平飛行までの羽ばたきの運動学的性質の比較を初
 めて報告したものです。地上性鳥類は、重力方向に対して20 °未満の狭い範囲に限られる
 羽ばたきを孵化後間もなく開始し、これは成鳥になっても継続する。この羽ばたきによって、
 空力学的な力が水平面に対して約40 °上方に向けられ、180 °の範囲での進行が可能に
 なるそうです。
 「個体発生における翼の移行(ontogenetic-transitional wing)」仮説を提唱しています。
 羽ばたきのエボデボとでもいうのでしょうか。

  
前期白亜紀中国から産出した鳥類幼体 12.28.07
  Chiappe, Luis M. Ji, Shu-An. Ji, Qiang.
  Juvenile birds from the early Cretaceous of China : implications for enantiornithine ontogeny
  American Museum novitates, no. 3594

中国河北省北部前期白亜紀産、4枚の尾羽をもつエナンティオルニス類鳥類 11.21.07
  ZHENG Xiaoting, ZHANG Zihui and HOU Lianhai(侯連海)
  A New Enantiornitine Bird with Four Long Rectrices from the Early Cretaceous of
  Northern Hebei, China
  ACTA GEOLOGICA SINICA(地質学報英文版) vol.81 No.5 pp.703-708

  中国河北省豊寧の義県層から産出したエナンティオルニス類鳥類を記載しています。
 新属新種 Paraprotopteryx gracilis として記載しています。
 属名から連想されるprotopteryx と同じように長い尾羽それも4枚も持っています。

  
鳥類の祖先は樹上より地上で採食 11.08.07
  ユーレカアラート
  Christopher L. Glen, and Michael B. Bennett
  Foraging modes of Mesozoic birds and non-avian theropods
  Current Biology, Vol 17, R911-R912, 06 November 2007
  足の爪の湾曲具合から、鳥類の祖先は地上で採食としています。

世界最大の鳥Argentavisの航空力学 7.31.07
  Sankar Chatterjee, R. Jack Templin{ddagger and Kenneth E. Campbell, Jr.
  The aerodynamics of Argentavis, the world’s largest flying bird from the Miocene of Argentina
7.31.07
  PNAS | July 24, 2007 | vol. 104 | no. 30 | 12398-12403 OPEN ACCESS ARTICLE

  
Beep Beep! from the Cretaceous 7.16.07
  ネイチャーニュース
  パンテオンでは3月30日に紹介しました。山東省で発見された対趾足の足跡化石から
 ミチバシリ(ロードランナー)のようなのようなニッチェを占めていた鳥が後期白亜紀にいた
 としています。足跡はShandongornipes muxiai と命名されています。
  Lockley, M. G., Li, R., Harris, J. D., Matsukawa, M. & Liu, M.
 Earliest zygodactyl bird feet: evidence from Early Cretaceous roadrunner-like tracks
 
Naturwissenschaften 94, 657-665 (2007).


史上最大級の飛べる鳥、主に滑空か 7.04.07
  時事

ペルーで巨大ペンギン化石 6.26.07
  読売 時事 ニューサイエンティスト ネイチャーニュース サイエンスナウ ナショナルジオグラフィック
  アメリカ自然史博物館ニュース ノースカロライナ州立大ニュース

  ジュリア・クラークら論文
  ペルーで発見された2種のペンギンを記載しています。1種は約3600万年前に生息し
 ていた巨大ペンギン、Icadyptes salasi 。1.5m以上mp身長で、クチバシも非常に長い
 のが特徴です。
 もう1種は、約4200万年前にいた Perudyptes devriesi これは現生のキングペンギンと、
 ほぼ同じ大きさだそうです。

 極地に行くほど体が大きいというわけではなかったようですね。ペンギンの進化史のを書き
 直す必要があるそうです。
 
 Julia A. Clarke, Daniel T. Ksepka et al
 Paleogene equatorial penguins challenge the proposed relationship between penguin
 biogeography, diversity, and Cenozoic climate change
 Proceedings of the National Academy of Sciences (DOI: 10.1073/pnas.0611099104)
 アブストラクト

 
ヨーロッパロシア白亜紀産の化石化した脳及び鳥類の感覚器官の進化 4.18.07
  Evgeny N. Kurochkin, Gareth J. Dyke, Sergei V. Saveliev, Evgeny M. Pervushov, Evgeny V. Popov
  A fossil brain from the Cretaceous of European Russia and avian sensory evolution
  Biology Letters FirstCite Early Online Publishing DOI: 10.1098/rsbl.2006.0617
  論文ダウンロードできます。
  
  ロシア、ヴォルゴグラード地方の‘Melovatka-3’サイトでリン酸塩コンクリーションの中
 から発見された、鳥類頭蓋内キャスト(後期白亜紀95-93百万年前)について記載し、鳥
 類の感覚器官の進化について議論しています。
 この脳の大きさは始祖鳥ロンドン標本とほぼ同じですが、幅は13.2mmあるそうです。
 始祖鳥の脳と比較すると、この脳から、初期鳥類の脳の増大は羽ばたき飛行進化と関
 連していないことが示唆されるそうです。

最古の対趾足鳥類の足跡、前期白亜紀におけるミチバシリのような行跡の証拠 3.30.07
  Martin G. Lockley, Rihui Li, Jerald D. Harris, Masaki Matsukawa and Mingwei Liu
   Earliest zygodactyl bird feet: evidence from Early Cretaceous roadrunner-like tracks
  Naturwissenschaften DOI 10.1007/s00114-007-0239-x

  鳥類の足の指のうち、第1趾・第4趾が後方を向き、第2趾・第3趾が前方を向くものを対趾足と
 いいます。"X"字のような感じですね。現生ではオウム類、フクロウ類、カッコウ類などがこの足
 指をしています。
 本論文では中国山東省で発見された対趾足の足跡化石を記載しています。Shandongornipes
 命名しています。その行跡から、ミチバシリのようなニッチェを占めていた鳥が後期白亜紀にいた
 としています。

前期白亜紀の真鳥類Gansusの水かきのある足 2.04.07

  
Archaeopteryx第10標本 1.30.07
  GERALD MAYR, BURKHARD POHL , SCOTT HARTMAN2 and D. STEFAN PETERS
  The tenth skeletal specimen of Archaeopteryx
  Zoological Journal of the Linnean Society  Volume 149 Issue 1 Page 97 - January 2007
   doi:10.1111/j.1096-3642.2006.00245.x アブストラクト

  表題のとおり、始祖鳥第10標本(サーモポリス標本)を記載しています。その口蓋骨は、非鳥獣
 脚類のように四方的であり、他の鳥類のような三方的なものではないそうです。その他の特徴は
 後日紹介します。

テキサスやフロリダの恐鳥は、パナマ地峡以前に北米へ 1.24.07
  フロリダ大ニュース ライブサイエンス MSNBC
  これまで北米の恐鳥類Titanis walleri は、約300万年前、パナマ地峡が南北アメリカ大陸をつな
 いでから北米に入ってきたと考えられてきました。しかし、フロリダ自然史博物館のMacFaddenら
 が、中部フロリダのサンタフェ河から産出した6標本について、化石に含まれる希土類により年代
 測定したところ、年代は、約5百万年前と測定されました。恐らく後にパナマ地峡になる島づたいに
 北米に入ったのだろうということです。
 この論文は、Geology誌2月号に掲載されるそうです。

 Bruce J. MacFadden, Joann Labs-Hochstein, Richard C. Hulbert Jr, Jon A. Baskin
 Revised age of the late Neogene terror bird (Titanis) in North America during the
 Great American Interchange
 Geology Volume 35, Issue 2 (February 2007)pp. 123–126
 DOI: 10.1130/G23186A.1

 
A NEW ENANTIORNITHINE BIRD FROM THE LATE CRETACEOUS OF THE GOBI DESERT
  12.11.06
  Luis M. Chiappe, Shigeru Suzuki, Gareth J. Dyke, Mahito Watabe, K. Tsogtbaatar and Rinchen Barsbold
  Journal of Systematic Palaeontology Forthcoming article doi:10.1017/S1477201906001969

  白亜紀後期のゴビ砂漠で発見されたエナンティオルニス類鳥類を記載しています。立体的に保存された
  化石だそうです。含気化した叉骨などの特徴があるそうです。どうも飛ぶことをやめてしまった鳥のようで
  す。エナンティオルニス類は一般に飛行に長けた鳥とされていますが、その中で制限された飛行能力しか
  ない例として初めての証拠となるそうです。アブストラクトでは学名に触れていませんが、DinosaurMLによ
  ると、Elsornis keni というそうです。

中国から産出した、初の中生代変対趾鳥類 11.28.06

遼寧省西部中世代鳥類の足根中足骨形態の統計分析とその意義 11.21.06
  張玉光他
  古脊椎動物学報第44巻第4期pp.297-306
  論文(PDF)

巨大恐鳥類の頭蓋形態 10.26.06
  Skull morphology of giant terror birds
  Luis M. Chiappe and Sara Bertelli
  ネイチャー10月26日号 Nature 443, 929(26 October 2006) | doi:10.1038/443929a

  アルゼンチン、パタゴニアのComalloから産出した巨大恐鳥類の殆ど完全な頭蓋(BAR 3877-11)を
 報告しています。長さ716mmという、大きさです。これまで、巨大恐鳥類の頭蓋は、それより小さい恐
 鳥類の頭蓋を拡大したものとして考えられてきました。側面から見ると、分厚いくちばしをしているとさ
 れていました。しかし、この頭蓋のくちばしは、はるかにうすく、長いものになっています。また、足根中
 足骨もこれまで知られる最大の恐鳥類より10%長く、骨軸の径と長さの比が0.11と細長いため、かなり
 す早く走れたのでないかということです。
 報道では、この頭蓋の詳細な記載はJVPに掲載されるそうです。
 ニューサイエンティスト newsguide.us ネイチャーニュース ナショナルジオグラフィック

  
始祖鳥は4翼で飛んだ 9.24.06
  18日付で紹介した論文のニュースが流れています。
  ユーレカラート MSNBC カルガリー大ニュース
 Structure and function of hindlimb feathers in Archaeopteryx lithographica
 Nick Longrich
 Paleobiology: Vol. 32, No. 3, pp. 417–431.doi: 10.1666/04014.1

世界最古の水かきのある鳥の足跡、韓国で発見 9.14.06
  ヤフーニュース(AFP) Zee news.com 星島環球網
  韓国国立教育大の地球科学教授Kim Jeong-Yulの発表。ソウルから南に270kmのChangseon
 島で彼のチームは100の足跡化石を発見したそうです。およそ1億1千万年前、足跡の大きさは、
 幅4.5cm、長さ5.1cmだそうです。韓国自然科学協会に報告され、"Ignotornis yangi."と命名された
 そうです。ここから180km西のHaenam 郡には、これまで最古とされた9400万年前の水かきのある
 鳥の足跡があるそうです。

獣脚類と鳥類の平行進化 9.02.06
  Parallel Evolution of Theropod Dinosaurs and Birds
  E. N. Kurochkin
  Zoologicheskii Zhurnal. 85(3): pp.283-297. DOI: 10.1134/S0013873806100046
  この論文が多くの支持を得るかどうかわかりませんが・・・

  獣脚類と古鳥類(Sauriurae) には多くの共有派生形質があるが、真鳥類とはそれは認められない。
 しかし、真鳥類が単系統であることは示唆されている。古鳥類と真鳥類が独立した起源をもつという
 仮説は立証されている。前者はジュラ紀の獣脚類に起源をもつが、後者は三畳紀後期の基盤的主
 竜形類群から進化した。鳥類が中生代前期から存在したことは、世界各地に残る上部三畳系及び
 下部ジュラ系の足跡の発見により支持されている。

  
中国下部白亜系産出の、くちばしのある基盤的真鳥類 7.09.06
  A beaked basal ornithurine bird (Aves, Ornithurae) from the Lower Cretaceous of China
  Zhonghe Zhou(周忠和) & Fucheng Zhang(張福成)
  Zoologica Scripta Volume 35 Page 363 -373 July 2006 doi:10.1111/j.1463-6409.2006.00234.x

 遼寧省義県の義県層から産出した基盤的真鳥類 Archaeorhynchus spathula gen. et sp. nov.を記載。
 歯のない顎をもち、rhynchokinetic (嘴可動性?)のある頭蓋だったそうです。また、3ダースの胃石があり
 植物食が示唆されるそうです。

オランダの古生物学者チーム、モーリシャスでドードー(Raphus Cucullatus)の骨発見 6.26.06
  飛べない鳥ドードーは、あんなに有名な鳥なのに、完全な骨格は残っていません。1755年、オッ
 クスフォードの博物館にあった標本が火災ではかなくなったからです。
 オランダ、国立自然史博物館のチームは、昨年もモーリシャスでドードーの骨を発見したそうです。
 しかし、今度の発見はより重要なもので、完全な腰部、大腿骨、腓骨、脛足根骨及び下足根骨が、
 含まれるそうです。
 BBC MSNBC ヤフーニュース
 オランダ国立自然史博物館 プレスリリース ドードー発掘ブログ

鳥の祖先:水生鳥類の化石見つかる 中国北西部 6.16.06

 
孔子鳥化石から魚食を示唆する痕跡 6.05.06

  
遼寧省白亜紀前期九仏堂層産出のアヴィアラエ類 5.28.06

  
原翼は、鳥類の祖先が起伏の多い地形を渡るのを助けたかもしれない 5.01.06

中国北西部白亜紀前期甘粛省産の新しい化石鳥類 1.02.06

モーリシャスでドードーの骨発見 12.24.05
  モーリシャスのサトウキビ農園で20体のドードー成鳥及び雛からの700
 個の骨を発見し、オランダのライデン国立博物館に提示されたそうです。
  ABC BBC MSNBC ライブサイエンス

くちばしを持つ最古の現代型鳥類 12.13.05
  朝日 ヤフーニュース(時事) ナショナルジオグラフィック

獣脚類の特徴を備えた、良好に保存されたArchaeopteryx標本 12.04.05

地元の科学者が恐竜と鳥の関係に論争を巻き起こす 11.20.05
  allAfrica.com
  以前、イルカの分解したコラーゲンが「原羽毛」と同様であるというような論
 文がNaturwissenschaften誌に掲載されました。この著者は最近、フェデュー
 シャ達とJournal of Morphology誌に「恐竜は鳥でない」派の見解をまとめたレ
 ビューを掲載しています。この記事は、その著者、クヮズールー・ナタール大の
 古生物学者Theagarten Lingham-Soliar教授 の側に立ち、同論文を紹介して
 います。さて、同論文はどのくらい受け入れられるものでしょうか。コロンビア
 大の Walter Bock教授は賞賛しているようですが。

獣脚類恐竜は鳥類に進化していない 10.10.05
  ノースカロライナ大ニュース
  アラン・フェデューシャらによる論文がJournal of Morphologyに10日掲載される
 そうです。現生爬虫類の皮膚を強力な顕微鏡で調べ、プロトフェザーと言われる
 ものは、皮膚の分解したものと関連しているというのです。microraptor類は、彼
 によると鳥類に入るので、真の羽毛を持っていて当然ということのようです。
 Do Featured Dinosaurs Exist?: Testing the Hypothesis on Neontological and Paleontological Evidence
 Alan Feduccia, Theagarten Lingham-Soliar, and J. Richard Hinchliffe
 Journal of Morphology, Published Online: October 10, 2005 (DOI: 10.1002/jmor.10382).
 ユーレカラート

羽毛の発達の複雑なパターンのための簡単な説明 8.18.05

始祖鳥新標本写真 9.14.05
  DinosaurMLでJerry D. Harris が紹介しているので、一応紹介。
 PDFファイルでは14ページにある羽毛など。
 HTMLでも同じ写真を見ることができます。ドイツ語なので、意味はあまりわかりま
 せんが・・・

ニュージーランドのモア類は皮質骨の成長線からみて幼体の成長に
 年数がかかった6.16.05
 成体と同じ大きさに成長するのに約10年、さらに性的成熟に達するの
 に数年かかったそうです。そのため、ニュージーランドにポリネシア人
 が到達すると急速に絶滅してしまったのだそうです。
 ネイチャー6月16日号
 BBC ナショナルジオグラフィック

 
中国の「天下第一の鳥」、日本で展示へ 世界最古の原始鳥化石 5.31.05
  中国大使館
  福井県立恐竜博物館の東洋一副館長らが"華美金鳳鳥"の産地を訪問し、地
 質調査を行ったそうです。
 新華社

  
絶滅した「象鳥」の謎を解け 古生物学者ら14人が研究 4.25.05
  朝日新聞

「始祖鳥より原始的な鳥化石」 3.22.05

鳥には恐竜の翼がある:分子からの証拠 11.03.04
  
中国河北省前期白亜紀産出の新エナンティオルニス鳥類 9.15.04
  Description of a new enantiornithine bird from the Early Cretaceous of
  Hebei, northern China
  Fucheng Zhang(張福成), Per G.P. Ericson, and Zhonghe Zhou(周忠和)
  Canadian Journal of Earth Sciences Vol.41, No. 9, pp.1097-1107
  残念ながらアブストラクトも未だです。

中国下部白亜系から産出した早成性の鳥類の孵化前の雛 10.22.04

前期白亜紀鳥類の脚に羽毛 10.21.04

Yanornisの胃石 9.29.04

鳥類の起源と早期進化:化石証拠による発見、論争および展望 9.09.04

Morphology, phylogenetic taxonomy, and systematics of Ichthyornis and Apatornis (Avialae: Ornithurae).
  9.09.04

Archaeopteryx の鳥類性と内耳 8.05.04
 
鳴鳥類は4千5百万年前にオーストラリアから 7.21.04
  
 
現代型ハチドリの旧世界化石記録 5.07.04
 
中国遼寧省白亜紀前期の、双弓類の頭蓋をもつエナンティオルニス
  類鳥類とその歯の発達
 4.14.04

中生代鳥類に関して新しい栄養特殊化を記録する中国産の新しい白亜
  紀前期化石
 2.12.04

アジア最古のスズメ目化石発見 12.10.03
南米最古のペンギン化石 12.10.03
鳥類の進化:魚竜の外皮繊維はドロマエオサウルス類の原
  羽毛と一致する
 7.28.03
飛行理論には脚がある 7.14.03
恐竜と初期鳥類の呼吸と繁殖の古生理学 7.09.03
 
中国遼寧省産出の白亜紀前期Avialae鳥類 7.01.03
中国遼寧省産出の原始的鳥類 Sapeornis chaoyangensis
  の解剖構造
 6.23.03

最初期鳥類の進化についての新しい理解をもって
 Archaeopteryxと比較されたJeholornis
4.21.03
Apsaravis ukhaana の形態と系統的位置 12.16.02
 
始祖鳥に挑戦?東方吉祥鳥、中華恐竜園に収蔵 12.10.02
 
オランダ・マーストリヒトで6千6百万年前の鳥類化石 12.03.02
THE MESOZOIC RADIATION OF BIRDS 12.03.02
 
Archaeoraptor の、 より良い半分 11.21.02
羽毛の形態形成 11.21.02
  The morphogenesis of feathers
  ネイチャー11月21日号掲載 Nature 420, 308 - 312 (2002);
  MINGKE YU, PING WU, RANDALL B. WIDELITZ & CHENG-MING CHUONG
  10月31日付けネイチャーadvance online publicationで紹介した研究。
 正式に掲載されました。
 ネイチャージャパン(無料の登録必要)
  今週のフィーチャーでアブストラクト部の訳が読めます。論文ダウン
 ロードもできます。
CHENG-MING CHUONG のラボサイト 12.05.02
  11月21日付け”羽毛の形態形成”の共同執筆者
  ここでもネイチャー論文がダウンロードできます。ネイチャー掲載の
 写真もあります。他論文アブストラクトへのリンクなども。
羽毛の形態形成 10.31.02
羽毛の進化的起源と多様化 10.14.02
 
トールキンの登場人物の鳥類化石 10.03.02
 
ラ・ホヤの鳥たち 8.28.02
 
鳥類の翼の5本指の基底状態 8.28.02
 
羽毛形態形成のアニメーション 8.28.02
 
オーストラリア北部特別地域から巨大肉食鳥化石 8.16.02
 
中国の白亜紀前期層で出土した尾の長い種子食の鳥類化石 7.25.02
 
真正の飛行能力をもつ恐竜 7.23.02 8.23.02改定
  
進化:飛べない鳥が孤島にいたわけ 3.08.02
 
白亜紀中国産の新しい原始的エナンティオルニス類鳥類 3.06.02
 
ドードーの進化 3.01.02
 
 
Der bayerische Urvogel, Archaeopteryx bavarica 1.30.02
 
鳥類の飛行の起源に新理論 1.30.02
白亜紀前期で最大の鳥類および最初期の鳥類の生態的多様化につい
 て、その影響
1.15.02
鳥類の起源、陸島仮説 11.09.01
始祖鳥最大標本を新属新種に 9.29.01
Two new ornithurine birds from the Early Cretaceous
  of western Liaoning, China
7.30.01
鳥類の成長パターンの進化7.26.01
3種の鳥の復元画6.26.01
Liaoxiornis(嬌小遼西鳥)の報道記事6.07.01
Longipteryx chaoyangensisの論文など 5.28.01
Longipteryx chaoyangensis 5.27.01
中国遼寧省西部で新種鳥類化石2種発見5.19.01 5.21追記
1億3千万年前、最古の羽毛、琥珀から 5.19.01
ロシアのエナンティオルニス類 5.16.01
白亜紀前期のペレット2.22.01
最大級のペンギンモドキ、プロトプテルムの化石発見 1.28.01
羽毛の進化について論文AMERICAN ZOOLOGIST に1.28.01
モンゴル、ウカー・トルゴッドで発見された8,000万年前の鳥類1.11.01
原始的なエナンティオルニス類鳥類と羽毛の起源12.8.00
鳥類はなぜ歯を失ったか8.26.00
韓国下部白亜系で発見された最古の水かきのある鳥の足跡8.23.00
群馬県安中市で発見された1,200万年前の化石6.12.00
トリの離陸はジャンプから3.13.00
最古の水生鳥類ヘスペロニス目、北海道三笠で発見1.28.00
チャタジー、プロトアビスの論文発表12.23.99
アラスカで父娘のコンビ、白亜紀のトリの足跡化石発見9.23.99
シュヴーニアの羽毛状構造物にベータケラチン特有の免疫学的反応8.12.99
CHANGCHENGORNIS(長城鳥)6.30.99
孔子鳥の新種(Confuciusornis dui sp.nov.)の双弓類的特徴6.17.99
トリの起源について侯連海にインタビュー6.21.99
オウムは恐竜の肩にとまったことがあるか6.2.99
"トリの翼は走るスピードを増すためだった"説5.6.99
鳥の起源は恐竜でないとする説3.17.99
侯連海、董 枝明両教授に新華社インタビュー3.1.99
恐竜と鳥の関係のディベート2.16.99
林原自然科学博物館準備室、モンゴルでの新種のトリ化石発表1.25.98
中国禁輸の孔子鳥を公立5博物館が購入7.5.98