「始祖鳥より原始的な化石」 3.22.05
報道を総合すると、中国科学院の季強らは地質通報2005年3月号に新しい鳥類化石を
発表しました。「華美金鳳鳥」といいます。
First avialian bird from China
中国発現世界上最原始的鳥類化石:華美金鳳鳥(新属、新種)
JI Qiang, JI shu'an, LU Jun-Chang, YOU Hailu, CHEN Wen,
LIU Yongqing, LIU Yanxue(季強、姫書安、呂君昌、尤海魯、陳文、柳永清、劉燕学)
地質通報 (GEOLOGICAL BULLETIN OF CHINA)Vol.24,No.3 Mar.,2005 pp.197-210
学名はJinfengopteryx elegans gen. et sp. nov.
属名は金鳳+翼(ギリシャ語)、種小名はelegans(ギリシャ語)エレガントの意
化石の産地は、河北省豊寧龍鳳山頂部の中生代後期の地層、橋頭単層(Qiatou Bed)です。
同層産出の鳥類化石としてJibeinia luanhera(灤河冀北鳥) が知られています。その深
灰色-灰黒色薄層凝灰質粉砂質泥岩で、熱河生物群のリコプテラやPeipiaosters pani(潘
氏北票鲟)などが常に産出しているそうです。遼寧省の中華竜鳥が産出した地層に比べさ
らに低部になるそうです。年代はジュラ紀後期から白亜紀前期で、アイソトープによる
測定作業中とのこと。
分類基準としては、大型のアヴィアラエ類鳥類。Archaeopteryx とは、より多数の密集
した歯をもち(上下各顎に18個の歯)、頭蓋の前眼窩部は比較的短く高さがあり、第二中
手骨は第一中手骨と比べ短く、前肢に比べ後肢はより長く太い(前後肢比0.62)点で区別
される。Shenzhouraptor およびJixiangornis とは主にはるかに多い歯を有する点、後
肢に比べかなり短い前肢である点で異なり、トロオドン科とは、より少ない、セレー
ションのない歯である点、ドロマエオサウルス科とは極度に長い尾椎前関節突起がない
点が異なる(血道弓は伸びている)としています。
化石(は、頭から尾まで54.8cm。右側面を見せる、羽毛のあとは、明確に頚部、胴部、
臀部、後肢上部、尾、手付近にあります。うち前4部の羽毛は単純な構造で、
Sinosauropteryx、Protoarchaeopteryx やいくつかのドロマエオサウルス科恐竜と同様
としています。右手部に2つの羽毛斑があるが第一翼羽の確認には十分ではない。
頭部側面の輪郭は三角形で、くちばしは短いとのこと。上下の顎にはセレーションのない
光沢のある歯が各18個あります。12個の頚椎骨、11個の胴椎骨および23個の尾椎骨があ
り、尾の長さは27.3cmで、身体部の約半分です。前肢に3本の爪のある指があります。
体腔内には黄褐色で長径10mmの卵とみられるものが11個あります。
季強らは205の形質を用いて系統分析したところ、Archaeopteryx(始祖鳥)と姉妹群を
なし、初鳥類(アヴィアラエと同義でしょう)の基盤に位置し、Archaeopteryxより原始的
であるとしています。また、両者あわせ、クレード(Shenzhouraptor+パイゴスティリィ
ア)の姉妹群をなすとしています。
まず、歯の特徴としてArchaeopteryxは歯の数は少なく(10個)、小さく、歯冠は弧状に
なり、表面は光沢がありセレーションはない。Jinfengopteryxの歯は多く、高く、密に並
び、表面は光沢がありセレーションはない。第一中手骨に比べ第二中手骨が短い点、
Archaeopteryxの前肢と後肢の長さは大体同じだが、Jinfengopteryxは後肢がやや長く前
肢が短い点、鼻孔が比較的小さい点、および短い吻部という点からJinfengopteryxが
Archaeopteryxより原始的と説明できるとしています。
また、長く太い後肢から、陸上を早く走って採食する鳥とし、さらに鳥類の飛行の陸上
起源説を補強するとしています。
中国新聞網(化石写真あり) 光明日報(骨格図あり) 科技網 日本経済新聞
中国恐竜網(大きい化石写真、骨格図あり)