鳥類の飛行の起源に新理論 1.30.02
  新しい理論は、鳥類の祖先がその子育ての技術を洗練させていくうちに、
 樹上に移り、飛ぶようになったというものです。
 カリフォルニア大デイヴィス校の昆虫学部の教授、James Carey(専門は人
 口統計学のようです)が、ドイツの専門誌"Archaeopteryx," に今月発表し
 たものです。

 鳥類の飛行の起源については、次の二つの主な説があります。「樹上から
 飛び降りた」説では、木の枝の間に住んでいた鳥類の祖先が木から地面
 に降りる際に飛行距離が増えて飛ぶようになったとします。
 「地上から飛び上がり」説ですと、羽毛の生えた前肢をばたばたさせて走っ
 ているうちに飛ぶようになったとします。

 Careyは、どちらの説にも欠陥があるとします。「樹上から」説ならば、鳥類
 の最初の祖先はモモンガやコウモリのように皮膜をもった爬虫類だったと
 断言しています。一方「地上から」説が正しいのなら、四肢をもった爬虫類
 と鳥類の中間に発達した形態に明白な利点があるべきだったと続けます。
 この中間段階で、鳥類の祖先が最初は熱を保存し、次に空中の昆虫を叩
 き落すために使った羽を使ったという示唆には説得されないといいます。

 さて、彼の”親の世話”理論は、爬虫類が翼のある恐竜に進化し、最終的
 に鳥類になる、行動的および肉体的変化と一致しているといいます。
 彼によれば、鳥類のごく早期の祖先はちょうどワニのように、地上に巣を
 つくり、それを守る爬虫類だったとしています。長い年月のうちにその卵は
 皮のような殻から硬い殻へとかわり、そのこどもにより安定した環境を提供
 するために、一定の体温を調節する能力を進化させた。羽毛は両親をより
 カモフラージュし、保温するために発達したとしています。

 そのうち、鳥類の祖先は育児のためにより発達したテクニックを使うように
 なった。巣でヒナにエサを与えだし、ヒナに液体状の食物を送ったり小さい
 エサを口中に入れだした。ヒナの数はより少なくより親に依存するようにな
 り、卵の数は減った。捕食者からヒナを守るために、巣を藪の中から低木に
 かけるようになった。

 徐々にその前肢に羽毛が生え、長くなり、卵を扱いやすくなるとともに、地
 上に降りるときにパラシュート降下を可能にした。その後滑空、さらに羽ば
 たいて飛ぶようになったとしています。

 彼によれば、鳥類のくちばしも哺乳類の乳首と同様、ヒナに対する食物の
 点源だったとしています。重量を減らすために歯を失ったとする一般的な説
 と対立しています。

 彼は、化石証拠とりわけArchaeopteryx に、親の保育が鳥類の飛行の原
 動力であった十分な証拠を見出せるとしています。たとえば、
 ・始祖鳥の化石標本には、古代の鳥の先祖が樹上生活者であったという
  概念を支持して、前肢鉤爪がある;

 ・始祖鳥の羽毛は、他の鳥類のような特徴より高度であるように見える。
  それは、羽毛が巣篭もりする成体を悪天候から守るためにごく早期に進
  化したという概念と一致する。

 ・Archaeopteryxのくちばしはかなり原始的である。これは育児の特色中
  洗練された巣作りと給餌行動は、かなり後に発生したという概念と調和
  している。

 ・始祖鳥の羽毛は高度に発達していた一方、その骨格と筋肉の構造は限
  られた飛行能力しかなかったように見える。親の世話理論によれば、保
  護的な羽毛をした爬虫類が樹上に移ってかなり後に飛行が発達したと、
  断言できる。

 さらに、アジアで最近発見されている羽毛恐竜は、飛行の前に生もうが進
 化したといういっそうの証拠を提供する。

 彼は、翼竜などの羽毛でない皮膜をもった爬虫類が絶滅したのは、環境の
 変化に対応できる、洗練された子育ての技術を欠いたからと、示唆してい
 ます。

 さて、この仮説、結構いいとこどりをしているようにも感じるのですが、皆さん
 どうお考えになりますか?
  ユーレカアラート UCDAVISニュース(同文)