最古の水生鳥類ヘスペロニス目、北海道三笠で発見1.28.00
   三笠市内の白亜紀後期サントニアン期(約8,500万年前)の地層で
 発見された化石が、最古の水生鳥類「ヘスペロルニス目」であることが
 27日までに、国立科学博物館と三笠市立博物館の調査で分かった。
 同目に属する水生鳥類化石の発見は、環太平洋地域では初めてで、
 これまでの生息分布を塗りかえるものとして注目されそうだ。
 29日に東京早稲田大で開かれる日本古生物学会で報告される。  
  同学会会員、解良正利さん(74)=岩見沢市在住=が1996年8月、
 同市内の幾春別川上流熊追沢で発見、大人のこぶし大の石のかたま
 りから骨の一部が露出していたという。国立科学博物館の掛川陽子技
 術補佐員と三笠市立博物館の早川浩司主任研究員が調査していた。  
 発見された化石は大腿(たい)骨、脊椎(せきつい)骨、ひざの下にある
 腓(ひ)骨の三つの部位の計9点。長さは2-5cm。大腿骨の形状や、脊
 椎骨の側面に深いくぼみをもつことが、ヘスペロルニス目と鑑定する決
 め手となったという。この個体の体長は約0.9mと推測されている。
  ヘスペロルニス目の鳥類は、白亜紀後期のサントニアン期(8,660万年
 〜8,300万年前)から北米に生息し始め、その後、カンパニアン期(8,300
 万年から7,100万年前)以降、欧州や中央アジア地域に分布を広げたと
 考えられていた。環太平洋地域では化石の発見例がなく、空白地帯だっ
 た。
   掛川技術補佐員は「サントニアン期の化石は北米でしか見つかってい
 なかった。今回の発見で分布が太平洋地域に広がった。骨の(細部の)
 形状はこれまで見つかっているものとそっくりではなく、同目の中の新し
 い種である可能性も否定できない」としている。
 古脊椎(せきつい)動物学が専門で、水生鳥類に詳しい国立科学博物
 館の真鍋真研究官の話 ヘスペロルニス目の標本は少なく、貴重な発
 見だ。かなり進化の早い段階で環太平洋地域にも分布していたことにな
 り、同目のルーツが北米ではない可能性も出てきた。
   ヘスペロルニス目 空を飛べす、くちばしに歯を持つ最初の水生鳥類。
 鳥類は、は虫類から進化し、約一億五千万年前のジュラ紀には、は虫
 類の要素を残した始祖鳥が誕生、続く白亜紀になると、ヘスペロルニス目
 や飛力のあるイクチオルニス目などが進化した。ヘスペロルニス目は、約
 7千万年前に絶滅。翼は退化、消失し、後ろ足に水かきがあり、水中に潜っ
 て魚を食べていたという。体長約1.5m。(北海道新聞)