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ある真鳥類の発見および前期白亜紀鳥類放散に対するその意味 12.13.05
 Discovery of an ornithurine bird and its implication
 for Early Cretaceous avian radiation
 Zhonghe Zhou(周忠和) and Fucheng Zhang(張福成)
 18998–19002 PNAS December 27, 2005 vol.102 no.52

 中国内蒙古自治区の白亜紀前期の地層から発見された最古の歯のない嘴(くちばし)を持
 つ真鳥類の記載です。

 アブストラクトほにゃ訳
 真鳥類、Hongshanornis longicresta gen. et sp. nov.は、殆ど完全な関節した、全身
 羽毛に覆われた骨格により表されるが、これは中国北西部内蒙古自治区の下部白亜系熱
 河群の湖成堆積層から発見された。この鳥の歯は完全に退縮し、上顎下顎両方とも嘴が
 あり、最古の嘴がある真鳥類であることを表している。前歯骨の保持から、この構造は
 鳥恐竜類に特有なのでなく初期の真鳥類にも一般的であったことが確認される。この小
 型鳥類は低アスペクト比の翼を持ち、強力な飛行能力を有していた。それはおそらく、
 渉禽類であり、浅瀬や沼地で餌をとっていた。この発見から、水辺の環境が真鳥類、そ
 れは白亜紀/第三期境界近くでついには現生鳥類の勃興に連なる一つの分枝だが、その
 起源及び初期の放散において重要な役割を果たしたことが確認される。この発見から、
 真鳥類の起源及び初期進化について研究するばかりでなく、前期白亜紀鳥類の形態、体
 の大きさ及び食性の相違を理解する上でも重要な情報がもたらされる。

 *アスペクト比:翼の縦横比。空力的特性のひとつの目安となる。アスペクトが大きい
  翼ほど細長い。

 Hongshanornis longicresta gen. et sp. nov.
 属名は、この地域で最古の紅山文化から。種小名はラテン語のcresta(とさか)から。こ
 の鳥の上を向いたとさかから。

 完模式標本:IVPP V14533
 産地と層準:中国内蒙古自治区寧城県石仏(shifo) 義県層、前期白亜紀(Aptian)

 分類基準:小型の真鳥類。上下の顎には歯がない。前上顎骨には細長く先尖の吻側端が
 ある。歯骨には湾曲した吻側端がある。胸骨には2組の陥凹があり、外側柱は内側に傾き
 遠位に先細りになる。叉骨は"U"型で、短い叉骨突起がある。全翼長対後肢長の比は、約
 0.84である。手大指の第一指節には明確な外側突起があり、第二指節はわずかに湾曲し
 ている。