白亜紀前期で最大の鳥類および最初期の鳥類の生態的多様化につい
 て、その影響 1.15.02
  Largest bird from the Early Cretaceous and its implications for the
  earliest avian ecological diversification
  Zhonghe Zhou(周忠和)、Fucheng Zhang(張福成)
  Naturwissenschaftenショートコミュニケーション
 (2002) 89: 34-38
 昨年11月17日付けでオンラインファーストのアブストラクトをお知らせしたも
 のです。出版されました。
 残念ながらまだ本文を入手できないのですが、11月にお知らせしたアブス
 トラクト(再掲)およびDinosaurMLでの要旨紹介によると

 アブストラクト
  1つの例外を除いて、白亜紀前期の鳥類は、その近縁にあたる獣脚類恐
 竜よりもみな小型である。ここに我々は中国北東部遼寧省の白亜紀前期の
 羽毛恐竜を産出した陸成層から、新しい鳥類について報告するが、それは
 Archaeopteryx
より大型であるだけでなく、基盤的ドロマエオサウルス類
 Microraptor のほとんど2倍の大きさである。

 新分類群、Sapeornis chaoyangensis gen. et sp. nov., はArchaeopteryx
 (始祖鳥)を除くすべての鳥類より基盤的な系統上の位置を占める。その非
 常に長い前肢、よく発達した、上腕骨の三角胸筋稜、近位で癒合した中手
 骨、比較的短い後肢および短い尾端骨から、力強い飛行能力が示され、さ
 らに白亜紀前期鳥類の生態的多様化は、これまで想定されていたより一層
 進んでいたことが示唆される

 本文から要旨
 
 綱 鳥綱
 目および科 不確実
 属 Sapeornis gen. nov.
 種 Sapeornis chaoyangensis sp. nov.

 模式標本 中国科学院古脊椎動物学與古人類学研究所 V 12698

 語源 SAPE(Society of Avian Paleontology and Evolution古鳥類学会)
     の略記。完模式標本が採集された直前に200年6月、第5回総会が
     中国で開催された。種名は朝陽地区に由来する。

 模式産地 中国遼寧省朝陽市Shangheshou

 層準 白亜紀前期 九仏堂層

 分類基準 Sapeornis は癒合した尾端骨のような、Archaeopteryxより派生
    した特徴を有する。Confuciusornis (孔子鳥)とは、多くの特徴の中
    でもよく発達した腓骨、著しく異なった上腕骨の近位端を有する点で
    異なる。中国産白亜紀前期の他の記載された全ての鳥類とは、第5中足
    骨、長い手の第1指および短い烏口骨を含む原始的特徴を有する点
    で異なる。大型の体と極端に長い前肢[前肢(上腕骨+尺骨+手根中
    手骨)対後肢(大腿骨+脛足根骨+足根中足骨)比は1.55]、上腕骨の
    三角胸筋稜は上腕骨長の約1/3、三角胸筋稜の背側-遠位部は鋭角
    な突起へと先細になっている、脛足根骨は恥骨より短い、および大腿
    骨は脛足根骨とほとんど同じ長さである点でも他の白亜紀前期の鳥
    類と識別できる。

    その系統的位置について、SapeornisArchaeopteryx を除いて最
    も原始的な鳥類として発見された(図2、補足情報参照)。それは、
    Archaeopteryx およびdromaeosaursと、短く支柱のようでない烏口
    骨、よく発達した手の第1指、脛骨は足首の関節の遠位端まで達す
    る、遊離足根骨の存在および第5中足骨の存在のような、原始的な特
    徴を共有する。一方、Sapeornis はサドルのような関節面のある頚椎、
    尾端骨および癒合した足根中足骨の存在、恥骨結合は恥骨長の1/3
    および尺骨が上腕骨より長いというような、より派生した特徴も表して
    いる。

中国遼寧省から白亜紀前期で最大の鳥類 11.17.01
  Largest bird from the Early Cretaceous and its implications for the
  earliest avian ecological diversification
  Zhonghe Zhou(周忠和)、Fucheng Zhang(張福成)
  Naturwissenschaften online First
 ショートコミュニケーション
  中国遼寧省白亜紀前期の、羽毛恐竜を産出する堆積層から産出した新し
 い鳥類 Sapeornis chaoyangensis gen. et sp. nov. についての報告です。

 白亜紀前期の鳥類は、その近縁にあたる獣脚類恐竜よりもみな小型ですが
 これは始祖鳥Archaeopteryx より大型であるばかりでなく、最小のドロマエ
 オサウルス類 Microraptor の殆ど2倍大きいそうです。
 
 その、とりわけ長い前肢、よく発達した、上腕骨の三角胸筋稜、近位で癒合
 した中手骨、比較的短い後肢および短い尾端骨から、力強い飛行能力が示
 され、さらに白亜紀前期鳥類の生態的多様化は、これまで想定されていたよ
 り一層進んでいたことが示唆されるとしています。