孔子鳥の新種(Confuciusornis dui sp.nov.)の双弓類的特徴6.17.99
  ネイチャー6月17日号掲載。侯連海、ラリー・マーチン、Zhonghe Zhou、
 アラン・フェデューシア、Fucheng Zhang
  孔子鳥は、1995年以来、嘴をもつ最古の鳥として知られています。今回
 発表された新種、Confuciusornis dui sp.nov.は、よく保存された頭骨を有
 しています(横向きになっています)。そのため、側面から見た頭骨の構造
 がよくわかりました。

  この新種は代表的孔子鳥であるConfusiusornis sanctus(聖賢孔子鳥)
 より15%ほど小さいそうです。標本は2つ紹介されています。オスには長い
 尾羽があります。産出したのは中国遼寧省の北票ほか。義県累層のジュ
 ラ紀後期から白亜紀初期の層です。

  この種の特徴として、次のことが上げられます。
 1.角状の嘴を持つ鳥として直接証拠のある中生代の初めてのもの
  標本写真を見ると、やや上向きにとがった嘴の輪郭がわかります。
  その形状から植物食だったのではないかとされています。
  また、このことは嘴の進化がジュラ紀の始祖鳥からわずか1,000から
  1,500万年の間になされたことを示します。始祖鳥の場合は、嘴でなく恐
  竜に似た鼻面をもっていたと考えられています。
 2.頭骨の原始的な特徴
  後眼窩骨は大きく、Yの字型をしています。頬骨と広く接しています。
  このことは、孔子鳥でしか今のところ知られていないそうです。
  また、鱗状骨も後眼窩骨としっかりと接合しており、この2つの骨でアー
  チを作り、ほかの双弓亜綱の爬虫類のように上側頭窓と下側頭窓を分
  けています。
 3.現生鳥類に見られる角状の嘴と、恐竜時代に遡るような側頭窓が混在
  することは、鳥類の初期の進化が直線的ではなく、藪のようにこみ入って
  いたとを示すと共に、いくつもの絶滅した枝があったことを示します。
  この頭骨の特徴をラリー・マーチンは"T型フォード車の後ろに新型エンジ
  ンを見つけたようなもの"と、表現しています。
 4.孔子鳥の産出が豊富なだけでなく、種の分化があること、また同地域か
  らの遼寧鳥をも加えたエナンティオルニス類の発見は、これまで考えられ
  ていたより、エナンティオルニス類の歴史が長いことを指摘する。
 5.そのほか、樹上性で飛行能力に優れていたこと、集団で生息していたこと
  など論じられています。
 6.論文でははっきり出てきませんが、この化石の発見により発表者達はトリ
  の起源が恐竜でないことを証拠づけると主張しています。
 ネイチャー
 CNNニュース
 ABCニュース
 ディスカバリーオンライン(化石写真あり)
 サイエンスデイリー
 ノースカロライナ大学ニュースアラン・フェデューシア
 共同通信社
 チャイナデイリー(トリの起源に関し侯連海の見解あり)
 参考:恐竜からトリの骨盤、叉骨と前肢(とりわけ半月状の手根骨)比較図