中国から産出した、初の中生代変対趾鳥類 11.28.06
The first Mesozoic Heterodactyl Bird from China
ZHANG Zihui(張子慧), HOU Lianhai(侯連海), HASEGAWA Yoshikasu(長谷川善和),
Jingmai O'CONNOR, Larry D. MARTIN and Luis M. CHIAPPE
ACTA GEOLOGICA SINICA(地質学報英文版) vol.80 No.5 pp.631-635
変対趾足(Heterodactyl foot)とは、鳥類の足指のうち中趾(第3趾)と外趾(第4趾)が前方を
向き、後趾(第1趾)と内趾(第2趾)が後方を向いたもので、現生ではキヌバネドリ類に特有に
見られるそうです(参照:鳥類学事典 昭和堂)。ウィキペディア趾 (鳥類)
これまで知られているエナンティオルニス類は三前趾足(後趾(第1趾)のみ後方を向く)か記載
されていないかだったそうです。
アブストラクトほにゃ訳
Dalingheornis liweii gen. et sp. nov., 新しいエナンティオルニス類鳥類は、中国北西部の
前期白亜紀、義県層から採集された。それは中生代鳥類の中で高度に特殊化した変対趾足の最
初の記録である。短い叉骨突起を有するY形の叉骨は、他のエナンティオルニス類と異なってい
る。第4中手骨は太く、第3中手骨より長い。長い骨質の尾は、ドロマエオサウルス科のものに
類似した血道弓がある20個の尾椎骨で構成されている。このゆえに、鳥類と非鳥獣脚類間の進
化的関係に再び脚光を浴びせている。良好に保存された小翼羽と変対趾足から、Dalingheornis
の樹上性について強力な証拠がもたらされる。
Dalingheornis liweii gen. et sp. nov.
属名は、化石産地を流れる大凌河(Dalinghe)+ギリシャ語の鳥(ornis)。種小名は中国最初の宇
宙飛行士、楊利偉に献名。
産地と層準:中国遼寧省凌源市大王杖子。義県層。前期白亜紀。
分類基準:小型エナンティオルニス類鳥類。以下の派生形質を有する:短い前上顎骨及び下顎
結合;鋭く、疎らな歯;頚部は比較的短く、10の高さがあり短い頚椎骨で構成される;叉骨間
角度は60°、叉骨突起は短い。上腕骨は大腿骨より長い;第4中手骨は太く、第3中手骨より長
い;第3指の第1指節は第2指節より短い。尾は伸長した血道弓を有する20個の尾椎で構成され
る、尾端骨を欠く。大きい湾曲した爪をもつ変対趾(第1趾と第2趾が後方を向き、第3趾と第4趾
が前方を向く)。
頭骨長20mm、上腕骨長14mm、尺骨長14mm・・・
体全体に対して大きい頭部などから、幼体と考えられるそうです。