中国内蒙古自治区から翼竜記載 11.18.14
  内蒙古自治区Daohugou(道虎溝)、Yanliao(燕寧)生物群から。
 Daohugoupterus delicatus 新属新種
 軟組織が残る部分的骨格に基づき記載されています。
 Xin Cheng, Xiaolin Wang, Shunxing Jiang & Alexander W.A. Kellner (2014)
 Short note on a non-pterodactyloid pterosaur from Upper Jurassic deposits
 of Inner Mongolia, China.
 Historical Biology (advance online publication)
 DOI:10.1080/08912963.2014.974038 アブストラクト

翼竜はどのように翼を得たか 11.01.14
  翼竜が、長く伸びた第4指や翼膜のような飛行に適した形質を発現するために、ど
 のようなホメオボックス遺伝子が働いたのか、解析しています。古生物について、こう
 いうアプローチから研究することもできるのですね。
 Masayoshi Tokita.(2014)
 How the pterosaur got its wings
 Biological Reviews DOI: 10.1111/brv.12150 アブストラクト

中国遼寧省から、のどに袋状の翼竜 9.12.14
  中国科学院古脊椎動物与古人類研究所(中国語)
  九仏堂層から産出した2標本により記載されています。上下方向に平らな頭骨
 ですが、注目すべきは下あごにあるフック状の突起。これは、現生のペリカンの
 ようにのどに袋があり、魚を獲っていたのではということです。
 Ikrandraco avatar  プテラノドン科の新属新種
 Xiaolin Wang, Taissa Rodrigues, Shunxing Jiang, Xin Cheng
 & Alexander W. A. Kellner.(2014)
 An Early Cretaceous pterosaur with an unusual mandibular crest from China
 and a potential novel feeding strategy
 Scientific Reports 4, Article number: 6329 doi:10.1038/srep06329
 論文フリーです。

アズダルコ科翼竜の再検討 8.21.14
  Pensoft
  レビューです。アズダルコ科翼竜は、白亜紀の空を支配し、歯がある翼竜から
 歯が無い翼竜へのシフトを表すものということですが、保存された化石の不完全
 性などから、これまで誤った解釈や同定がされていたものもあるようです。
 今回の論文では同科の系統、地理的分散および古環境について再検討をして
 います。モロッコ、Kem Kem層(セノマニアン)から産出するプテラノドン科、タペヤ
 ラ科およびアズダルコ科の全標本は、アズダルコ科翼竜 Alanqa saharica のも
 のとされました。ルーマニア産の Eurazhdarcho langendorfensis は、
 Hatzegopteryx thambema のジュニアシノニムになるようです。
 Alexander Averianov (2014)
 Review of taxonomy, geographic distribution, and paleoenvironments of
 Azhdarchidae (Pterosauria)

  ZooKeys 432: 1?107, doi: 10.3897/zookeys.432.7913 論文フリーです。

ブラジル南部からタペヤラ科翼竜記載 8.14.14
  ユーレカアラート ナショナルジオグラフィック(日)
  ブラジル南部パラナ州バルル盆地、上部白亜系 Caiuá層群 Goio-Ere 層から産
 出した、少なくとも47個体(!)のボーンベッドから、記載されています。
 Caiuajara dobruskii タペヤラ科タペヤラ亜科の新属新種 同科産出の南限。
 属名:産出層群名 Caiuá+Tapejara タペヤラ亜科の内部指定子の組み合わせ
 種小名:息子とともに、この新しいサイトを1971年に発見したAlexandre Dobruski
 に献名。
 翼開長0.65~2.3m、幼体から成体までが含まれます。成長段階によるトサカの形
 の変化なども解明されています。
 Manzig PC, Kellner AWA, Weinschütz LC, Fragoso CE, Vega CS, et al. (2014)
 Discovery of a Rare Pterosaur Bone Bed in a Cretaceous Desert with
 Insights on Ontogeny and Behavior of Flying Reptiles.
 PLoS ONE 9(8): e100005. doi:10.1371/journal.pone.0100005 論文

中国遼寧省からボレオプテルス科翼竜記載 7.10.14
  遼寧省北票(Heichengzi)黒城子から産出した標本により、Boreopterus 属の新種
 として、Boreopterus giganticus が記載されています。
 ボレオプテルス科自体が再検討され、Boreopterus cuiae, Boreopterus giganticus
 および Zhenyuanopterus longirostris が含まれることになりました。
 この新種は、大型であること、梨状眼窩、広範囲に窓がある涙骨、後方に向いた涙
 骨突起などがB. cuiae と異なるそうです。
 Shun-Xing Jiang, Xiao-Lin Wang, Xi Meng, and Xin Cheng (2014)
 A new boreopterid pterosaur from the Lower Cretaceous of western Liaoning,
 China, with a reassessment of the phylogenetic relationships of the Boreopteridae.
 Journal of Paleontology 88(4): 823-828 doi: 10.1666/13-068 アブストラクト

白亜紀末のルーマニアからタラソドロメウス亜科翼竜 6.26.14
  マーストリヒチアンのルーマニア、当時のテチス海にあったHațeg 島から
 産出した標本です。ゴンドワナ大陸以外で初めての産出であるとともに、同
 亜科の生息期間を4200万年も新しい時代に繰り広げたそうです。
 4200万年の隔たりについてや、サポートする情報の程度について、疑問を
 投げかける研究者もいます。
 Gerald Grellet-Tinner, Vlad A. Codre.(2014)
 Thalassodromeus sebesensis, an out of place and out of time Gondwanan
 tapejarid pterosaur
 Gondwana Research Available online 24 June 2014
 DOI: 10.1016/j.gr.2014.06.002 アブストラクト

アルゼンチンで立体的に保存された翼竜卵 6.09.14
  アルゼンチン中部で発見された、Pterodaustro guinazui の部分的な立体保存
 卵が記載されています。50 μmの炭酸カルシウムの殻があったことがわかりまし
 た。これは中国の柔らかい殻の卵と明らかに異なります。この翼竜の巣は現生の
 フラミンゴのような環境に作られていたとしています。
 Gerald Grellet-Tinner, Michael Thompson, Lucas E. Fiorelli, Eloisa Arganaraz,
 Laura Codorniu, E. Martin Hechenleitne.(2014)
 The first pterosaur 3-D egg: Implications for Pterodaustro guinazui nesting
 strategies, an Albian filter feeder pterosaur from central Argentina
 Geoscience Frontiers DOI: 10.1016/j.gsf.2014.05.002 
 アブストラクト論文フリー

新疆ウイグル自治区で40個体もの翼竜コロニー記載 6.09.14
  ユーレカアラート
  Hamipterus tianshanensis 新属新種
  とさかなど、雌雄の違いも明らかになりました。
  注目すべき点は、初めて立体的に保存された卵が発見されたことです。
 その殻は薄く、柔軟な膜は厚いそうです。
 Xiaolin Wang email, Alexander W.A. Kellner email, Shunxing Jiang , Qiang Wang ,
 Yingxia Ma , Yahefujiang Paidoula , Xin Cheng , Taissa Rodrigues , Xi Meng ,
 Jialiang Zhang , Ning Li , Zhonghe Zhou.(2014)
 Sexually Dimorphic Tridimensionally Preserved Pterosaurs and Their
 Eggs from China
 Current Biology DOI: http://dx.doi.org/10.1016/j.cub.2014.04.054 論文フリー

白亜紀前期のブラジルから、ズンガリプテルス科翼竜記載 4.30.14
  ズンガリプテルス科の新属新種として
 Banguela oberlii が記載されています。上向きに湾曲した歯のない顎などの
 特徴があります。
 Jaime A. Headdena & Hebert B.N. Campos.(2014)
 An unusual edentulous pterosaur from the Early Cretaceous Romualdo
 Formation of Brazil
 Historical Biology DOI:10.1080/08912963.2014.904302 アブストラクト

最古のプテロダクティスル上科、中国から 4.25.14
  huffingtonpost.com ナショナルジオグラフィック(日)
  Kryptodrakon progenitor と命名されています。
 Brian Andres email, James Clark , Xing Xu.(2014)
 The Earliest Pterodactyloid and the Origin of the Group
 Current Biology DOI: http://dx.doi.org/10.1016/j.cub.2014.03.030

競争と制約が翼竜の進化におけるコープの法則をもたらした 4.03.14
  コープの法則とは、同じ系統の進化の過程において、大きなサイズの種が、
 より新しい時代に出現する傾向があるという法則です。
 翼竜の系統について調べたところ、この傾向があるそうで、これは同時代の
 競争者、鳥類との競争が大進化をコントロールしたということです。
 Roger B. J. Benson, Rachel A. Frigot, Anjali Goswami, Brian Andres
 & Richard J. Butler.(2014)
 Competition and constraint drove Cope's rule in the evolution of
 giant flying reptiles
 Nature Communications 5, Article number: 3567 doi:10.1038/ncomms4567
 論文オープン

独、ゾルンホーフェンから翼竜幼体標本 3.07.14
  ゾルンホーフェンから産出したランフォリンクス科翼竜 Scaphognathus crassirostris
 の3番目の標本について。幼体標本です。
 この標本により前上顎骨に2本、上顎骨に6本、歯骨に5本の歯が生えていることがわ
 かりました。吻部はボート状に広かったそうです。

 Bennett, S. Christopher (2014)
 A new specimen of the pterosaur Scaphognathus crassirostris, with
 comments on constraint of cervical vertebrae number in pterosaurs
 Neues Jahrbuch fur Geologie und Palaontologie - Abhandlungen 271(3): 327-348
 DOI: http://dx.doi.org/10.1127/0077-7749/2014/0392

翼竜が水に浮く姿勢 12.07.13
  ディスカバリー
  翼竜がどのように浮くのか、デジタルで水と翼竜を作り、実験しています。
 翼竜の姿勢は鳥類とは大きく異なり、頭から胴体まで水面に水平な状態になり、
 鼻孔も水面すれすれ。かろうじて浮く=溺れやすい状態だったそうです。
 翼竜化石に幼体化石が成体より多くあるのも、幼体が溺れたためと推測してい
 ます。
 David W.E. Hone, Donald M. Henderson.
 The posture of floating pterosaurs: Ecological implications for inhabiting marine
 and freshwater habitats
 Palaeogeography, Palaeoclimatology, Palaeoecology
 http://dx.doi.org/10.1016/j.palaeo.2013.11.022

リオの国立博物館で巨大翼竜 Tropeognathus mesembrinus 標本公開 3.23.13
  AFPBB リオデジャネイロ連邦大(ポルトガル語)
  ブラジル北東部、アラリペ盆地のサンタナ層群、Romualdo層(アプティアン/アルビアン)
 から産出した、非常に完全な骨格で翼開長は8.2mを超すものです。南半球では最大、世
 界でも3番目の大きさです。
 なお、5月23日~5月26日、国立博物館で国際翼竜シンポジウムが開催されます。
 参考:記載論文
 ALEXANDER W. A. KELLNER, DIOGENES A. CAMPOS, JULIANA M. SAYÃO,
 ANTÔNIO A.F. SARAIVA, TAISSA RODRIGUES, GUSTAVO OLIVEIRA, LILIAN A. CRUZ,
 FABIANA R. COSTA, HELDER P. SILVA and JENNYFER S. FERREIRA (2013)
 The largest flying reptile from Gondwana: a new specimen of Tropeognathus cf.
 T. mesembrinus Wellnhofer, 1987 (Pterodactyloidea, Anhangueridae) and other large
 pterosaurs from the Romualdo Formation, Lower Cretaceous, Brazil
 Anais da Academia Brasileira de Ciências (2013) 85(1):pp.113-135 論文
 国立博物館古脊椎動物部門

ルーマニアからアズダルコ科翼竜、記載 1.31.13
  サザンプトン大
  ルーマニア、トランシルヴァニア盆地の上部白亜系Sebeş層(マーストリヒチアン前期)から産出し
 た椎骨と前肢骨に基づき中サイズ(翼開長約3m)の、アズダルコ科翼竜が記載されています。
 Eurazhdarcho langendorfensis 新属新種
 属名はヨーロッパ+Azhdarcho 種小名は模式産地 Lancrăm 村の、古名Langendorf(ドイツ語系)
 模式標本はヨーロッパで産出した最も完全な同科翼竜標本だそうです。
 中央アジアにいた同様のサイズのAzhdarcho lancicollis に近縁だそうです。
 また、同時代に同地域に、はるかに巨大なアズダルコ科翼竜翼竜Hatzegopteryx thambema
 生息していたことから、これらの翼竜が陸地の氾濫原や樹木が茂った環境と強力に関連していた
 ことが示唆されるとしています。
 Vremir M, Kellner AWA, Naish D, Dyke GJ (2013)
 A New Azhdarchid Pterosaur from the Late Cretaceous of the Transylvanian Basin,
 Romania: Implications for Azhdarchid Diversity and Distribution.
 PLoS ONE 8(1): e54268. doi:10.1371/journal.pone.0054268 論文

竜の尾:翼をもつ主竜類における尾椎形態の収斂 1.19.13
  地質学報英文版の翼竜特集からです。
  アブストラクトほにゃ訳
  ドロマエオサウルス科恐竜の尾とランフォリンクス類翼竜の尾には、血道弓と前関節突起から前
 方に伸びる桿が、それぞれある。これら尾椎の桿は平行で背腹方向に積み重なっている。完全に
 関節し、立体的に保存されたドロマエオサウルス科恐竜標本からは、これら尾椎の桿が、従来考
 えられてきたような剛体ではなく、柔軟であることが見て取れる。しかし、横断面からの尾椎の桿
 の検討から、複数の尾桿の複合効果は横方向の平面ではなく背腹方向に剛性をもたらしたことが
 示される。筋肉のデジタル復元結果から、ドロマエオサウルス科恐竜とランフォリンクス類翼竜は
 尾椎前位領域において、共にかなり縮退した尾椎・大腿筋を有していたことが確認される。ドロマ
 エオサウルス科恐竜とランフォリンクス類翼竜間のこの驚くべき類似性から、両者が似通った行動
 的・生物力学的な圧力のもとで進化したことが示唆される。ドロマエオサウルス科恐竜の尾桿の
 進化の中で樹上性の飛行/滑空の2形態間に分類される、近年発見されたデイノニコサウルス類
 と組み合わせると、ドロマエオサウルス科恐竜とランフォリンクス類翼竜の、独特な形態は、両者
 とも、空中生活への適応であった証拠である。
 W. Scott PERSONS, Philip J. CURRIE (2012)
 Dragon Tails: Convergent Caudal Morphology in Winged Archosaurs
 Acta Geologica Sinica,86(6):1402-1412
 アブストラクト(wiley 中国地質学会)

Pricesaurus megalodon とは何か? 謎の翼竜の再検討 1.13.13
  プテロダクティルス上科翼竜Pricesaurus megalodon の標本を再検討した結果、それは実は
 アンハングエラ科翼竜、Anhanguera 属のものであることがわかりました。この学名は無効名にな
 りました。
 Felipe Lima Pinheiro, Cesar Leandro Schultz, Rafael Gioia Martins-Neto
 & Jose Artur Ferreira Gomes de Andrade (2012)
 What is ?Pricesaurus megalodon?? Reassessment of an enigmatic pterosaur.
 REVISTA BRASILEIRA DE PALEONTOLOGIA, 15 (3):262-272 doi:10.4072/rbp.2012.3.03
 論文

Acta Geologica Sinica - English Edition(地質学報英文版)No.6,2012 1.03.13
  翼竜特集です。論文9編あります。
  中国河北省北部青竜(Qinglong)満族自治県のTiaojishan Formation(髫髻山層)(中期
 ジュラ紀)から産出した、アヌログナトス科翼竜Dendrorhynchoides の新種、
 Dendrorhynchoides mutoudengensis を記載しています。
 Lu Junchang , David W.E. HONE(2012)
 A New Chinese Anurognathid Pterosaur and the Evolution of Pterosaurian
 Tail Lengths
 Acta Geologica Sinica(),86(6):1317-1325
 WILEYではまだ出ていません。

翼竜は主竜形類 9.26.12
  S. Christopher Bennett (2012)
 The phylogenetic position of the Pterosauria within the Archosauromorpha re-examined.
 Historical Biology (advance online publication) DOI:10.1080/08912963.2012.725727
 アブストラクト

ドイツから、食べた内容物が残る翼竜化石 8.25.12
  The Local Spiegel(独語、クリックするとやや大きくなる写真あり)
  ドイツ、バヴァリア州の Wattendorf村のサイトから昨年発見されました。ここでは2004年か
 ら発掘作業が続き、これまでに5000点の標本が得られているそうです。
 ニュースの翼竜化石、非常に保存がよいものです。年代は、約1億5500万年前。翼開長約
 1.2m。翼も脚も非常に長いそうです。顎には約400本の細かい歯があり、フラミンゴのように
 浅い湖で濾過食をしていたのでは?と推測されているようです。また食べた内容物として
 魚が体内に残っているそうです。
 未記載ですが、記載されればかなり注目されるでしょう。この標本は、Bamberg自然史博物館
 で特別展示されるそうです。

ドイツ南部、ゾルンホーフェンから後期ジュラ紀のランフォリンクス科翼竜 7.06.12
  ゾルンホーフェンでも、古くからのサイトではなく、新しく研究された、これまでより古い年代
 のサイトから産出したそうです。若幼体で、保存状態は非常によいものです。翼竜標本全て
 の中でも非常に小型の部類に入る標本です。
 Bellubrunnus rothgaengeri 新属新種
 属名はラテン語の‘bellus’美しいの意味+完模式標本の産出サイトBrunn
 種小名は完模式標本の発見者、Monika Rothgaenger に献名。
 他の、プテロダクティルス上科に含まれない翼竜とは異なり、尾椎の血道弓や関節突起は、
 長く伸びていない。また、他の全ての翼竜とは異なり、翼端が前方に湾曲している特徴が
 あります。これは、ユニークな飛行をしていたことが示唆されます。
 Hone DWE, Tischlinger H, Frey E, Röper M (2012)
 A New Non-Pterodactyloid Pterosaur from the Late Jurassic of Southern Germany.
 
PLoS ONE 7(7):e39312.doi:10.1371/journal.pone.0039312 論文
 参考:Introducing Bellubrunnus 
     Bellubrunnus – definition, diagnosis, and why it’s not Rhamphorhycnhus

スペインからヨーロッパ初のタペジャラ科翼竜 7.04.12
  タペジャラ科翼竜化石は、前期白亜紀のブラジルと中国から産出していますが、これまで
 ヨーロッパでは報告されていません。
 Europejara olcadesorum 新属新種
 属名はヨーロッパとタペジャラの合成。種小名はイベリア半島のこの地方の最初の住民で、
 ケルト系のケルティベリア人に関連する、Olcade人にちなんでいます。
 産地と層準 スペイン クエンカ県 Las Hoyas(ラ・ホヤ) 
         下部白亜系Huérguina層(upper Barremian)
 後方に湾曲した歯骨の突起などの特徴があります。
 Vullo R, Marugán-Lobón J, Kellner AWA, Buscalioni AD, Gomez B, et al. (2012)
 
A New Crested Pterosaur from the Early Cretaceous of Spain: The First European
 Tapejarid (Pterodactyloidea: Azhdarchoidea).

 PLoS ONE
7(7):e38900.doi:10.1371/journal.pone.0038900
 論文 時事

 翼竜の骨盤の進化 5.08.12
  翼竜の腰帯は系統発生と生体力学について豊富な情報を提供する複雑な構造をしていますが、これ
 まで翼竜の研究者からは大方見過ごされてきたとしています。翼竜骨盤の形態を見直し、翼竜の系統
 解析で識別されるクレードとよく相関する有意な差異を見つけるものです。成体個体における、腸骨突
 起の長さと方向、寛骨臼の位置、坐恥骨プレートの大きさ、および中枢神経上の癒合は、分類学的に
 情報価値がある。骨盤形態における個体発生的変化から、骨学的に成熟した標本においては、これら
 の形質の多くが発達していることを評価する必要があることが、示される。骨盤の形質は、容易に翼竜
 の系統解析に組み込むことができるし、このグループの議論の多い相互関係を解決するに役立つかも
 しれないことを示唆する。特徴的な翼竜骨盤の形態型から、このグループ全体にわたり、姿勢、運動力
 学および後肢の機能にかなりの相違があったことが示唆される。
 Elaine S. Hyder, Mark P. Witton, and David M. Martill
 Acta Palaeontologica Polonica in press available online 04 May 2012
 doi: http://dx.doi.org/10.4202/app.2011.1109 アブストラクト

中国遼寧省義県層産出の、最大の歯をした翼竜 5.02.12
  完全な頭骨、下顎および前位頸椎に基づき、記載されています。
 Moganopterus zhuiana 新属新種
 属名は中国古代史に名高い2振りの名剣、莫邪(moye)と干将(ganjiang)の合成語。莫邪は雌剣、干将
 が雄剣で2つは分かれたことがないと説明しています。この翼竜の長い上下の顎と翼から。
 種小名は標本を提供したZhu Haifen(女性)に献名。
 産地と層準:遼寧省葫芦島市、建昌(Jianchang)県、喇嘛洞(Lamadong)鎮,小三家子(Xiaosanjiazi)
         義県層
 上下顎全体で少なくとも62本の長く、湾曲して先のとがった歯が生えています。
 頭骨長は750㎜で、歯はこれまで世界中で発見されたどの翼竜より大きいそうです。
 この翼竜を入れた系統分析に基づき、ボレオプテルス科は、ボテオプテルス亜科とモガノプテルス亜科
 に分けられるそうです。
 LU Junchang(呂君昌), PU Hanyong, XU Li, WU Yanhua & WEI Xuefang (2012)
 Largest Toothed Pterosaur Skull from the Early Cretaceous Yixian Formation of Western Liaoning,
 China, with Comments on the Family Boreopteridae.
 Acta Geologica Sinica - English Edition(地質学報英文版), 86: pp.287-293.
 doi: 10.1111/j.1755-6724.2012.00658.x アブストラクト 論文

長崎市から翼竜化石 4.28.12
  長崎新聞 西日本新聞 朝日新聞
  福井県立恐竜博物館と長崎市は、同市野母崎地区の三ツ瀬層(後期白亜紀約8400万年前)から、
 翼竜化石約15点を発見したと発表しました。同一個体の複数部位が発見されたのは国内で初めての
 ことです。
 下顎、頸椎、大腿骨のそれぞれ一部のほか、尺骨(約17㎝)、指骨などで、翼開長は3~4m。アズダル
 コ科翼竜とのことです。
 化石は次の日程で展示されます。長崎市野母崎行政センター(4月26~27日)、長崎県亜熱帯植物園
 (4月28日~5月6日)、長崎市科学館(5月7~7月1日)

Ornithostoma sedgwicki Seeley, 1891は、アズダルコ上科翼竜の有効な分類群 4.14.12
  Ornithostoma sedgwicki はずいぶん昔に記載された翼竜なんですね。今回の論文によると、模式標
 本は、その後Lonchodectes であるとされたそうですが、やはり独自の特徴があるそうで、その有効性
 が確認されています。
 A.O. Averianov (2012)
 ORNITHOSTOMA SEDGWICKI - VALID TAXON OF AZHDARCHOID PTEROSAURS.
 Proceedings of the Zoological Institute RAS 316(1): pp.40-49 論文

中国科学院古脊椎動物与古人類研究所の Guidraco venator 紹介記事 3.26.12
  論文は2月25日に紹介しました(アブストラクト)。
 紹介記事 中国語 英語 復元画制作:Maurilio Oliveira

オルニソケイルス上科翼竜 Istiodactylus latidens の頭蓋に関する新考察 3.22.12
  Istiodactylus latidens の顎の長さは、これまで不完全な断片に基づき考えられていた長さより、はる
 かに短いものということです。
 Witton MP (2012)
 New Insights into the Skull of Istiodactylus latidens (Ornithocheiroidea, Pterodactyloidea).
 PLoS ONE 7(3): e33170 doi:10.1371/journal.pone.0033170 論文

C. FOTH, S. L. BRUSATTE, R. J. BUTLER(2012) 2.24.12
 Do different disparity proxies converge on a common signal? Insights from the cranial
 morphometrics and evolutionary history of Pterosauria (Diapsida: Archosauria)
 Journal of Evolutionary Biology (advance online publication)
 doi: 10.1111/j.1420-9101.2012.02479.x アブストラクト

中国遼寧省、九仏堂層から新種翼竜 2.25.12
  中国科学院古脊椎動物与古人類研究所
  前期白亜紀の翼竜、Guidraco venator が記載されています。
 上を向いた稜のある前頭骨や大型の吻側歯などの特徴があり、そのうちのいくつかはくちばしを
 閉じたときに頭骨や下あごのラインを超えるそうです。
 この翼竜はブラジルのCrato Formation産の稀な分類群と似通っており、タペジャラ科やアンハン
 グエラ科はアジア起源でないかという古生物地理仮説をサポートするものとしています。
 Xiaolin Wang, Alexander W. A. Kellner, Shunxing Jiang and Xin Cheng (2012)
 New toothed flying reptile from Asia: close similarities between early
 Cretaceous pterosaur faunas from China and Brazil.
 Naturwissenschaften (advance online publication)
 Volume 99, Number 4, pp.249-257
 DOI: 10.1007/s00114-012-0889-1 アブストラクト

Jeholopterus ninchengensis は恐竜にたかる吸血生物だったのか? 2.25.12
  109.com
  2002年に記載された後、David Peters が、これは吸血生物だったのではとする論文を発表
 したこと、でも、結局は生きているものを観察しない限り、吸血だったかどうかは・・・
 と続く、面白い記事です。

翼竜Rhamphorhynchus の幼体成長速度は速かった 2.17.12
  ランフォリンクスの孵化から成長する過程について、これまで超早成のヒナで、孵化時から飛
 ぶことができたが、その後の成長スピードはワニと同程度だったと考えられていました。
 しかし、その成長各段階の骨組織の研究から、幼体の成長スピードは速かったことがわかりま
 した。最初から飛べることはなかったようです。
 Prondvai, E., Stein, K., A?si, A. & Sander, M.P. (2012)
 Life History of Rhamphorhynchus Inferred from Bone Histology and the Diversity of
 Pterosaurian Growth Strategies.
 PLoS ONE 7(2): e31392. doi:10.1371/journal.pone.0031392 論文

世界最大の、歯をもつ翼竜 2.17.12
  MSNBC Leicester大
  論文はArticles in Pressとして昨年10月に公開されているので、既に知られているものですが、
 MSNBCで紹介しているので、紹介します。
 英ケンブリッジ、Greensand(Cenomanian)から産出した、癒合した左右前上顎骨の先端部断片に
 歯槽に入った歯断片がついている標本に基づいて記載されています。
 この標本は、Seeleyが1870年に記載したオルニトケイルス科翼竜Coloborhynchus capito とさ
 れていますが、これから推定される翼竜の大きさは、頭骨が0.75m、翼開張が6~7mに達する
 ものです。歯のある翼竜として最大の大きさになるそうです。
 David M. Martill, David M. Unwin
 The world’s largest toothed pterosaur, NHMUK R481, an incomplete rostrum of
 Coloborhynchus capito (Seeley, 1870) from the Cambridge Greensand of England
 Cretaceous Research Volume 34(April 2012) pp.1-9
 アブストラクト

19世紀に採集された翼竜標本を記載 2.14.12
  これまで未報告で、仏国内にあるゾルンホーフェン産の標本としては最も完全なものの
 一つである、19世紀後半に購入された翼竜Pterodactylus の成体標本を記載しています。
 Romain Vullo, Jean-François Heil & Michèle Dunand (2012) On a 19th Century
 Pterodactylus (Pterosauria) specimen held in the Natural History Museum of La Rochelle,
 France.
 Annales de Paléontologie (advance online publication)
  http://dx.doi.org/10.1016/j.annpal.2011.11.004 アブストラクト

世界最大の歯をもつ翼竜 10.13.11
  Leicester大プレスリリースが出ています。
  ちょっと違うけれど、ポーツマス大Pterosaurs: dragons of the air

翼竜、鳥類、コウモリの肢要素の統合・解離の比較 10.6.11
  BELL, E., ANDRES, B. and GOSWAMI, A. (2011).
 Integration and dissociation of limb elements in flying vertebrates:
 a comparison of pterosaurs, birds and bats.
 Journal of Evolutionary Biology (advance online publication)
 doi: 10.1111/j.1420-9101.2011.02381.x アブストラクト

中国遼寧省からランフォリンクス科翼竜10.04.11
  ランフォリンクス科スカフォグナス亜科して記載されています。中期ジュラ紀における
 翼竜は著しく放散していたとしています。
 Jianchangopterus zhaoianus 新属新種
 Junchang LU, Xue BO
 A New Rhamphorhynchid Pterosaur (Pterosauria) from the Middle Jurassic Tiaojishan
 Formation of Western Liaoning, China
 Acta Geologica Sinica - English Edition 85(5): 977–983
 DOI: 10.1111/j.1755-6724.2011.00231.x アブストラクト
 記載者Junchang LÜ(呂君昌)は昨年も同亜科の新属新種Fenghuangopterus lii を記載
 しています(論文)。

世界最大の歯をもつ翼竜 9.30.11
  英国東部で産出したオルニトケイルス科翼竜Coloborhynchus capito 吻部化
 石はこれまで報告された中で最大の歯をもつと報告しています。
  David M. Martill, David M. Unwin
 The world's largest toothed pterosaur, NHMUK R481, an incomplete rostrum of
  Coloborhynchus capito (Seeley 1870) from the Cambridge Greensand of England
 Cretaceous Research (advance online publication)
 doi:10.1016/j.cretres.2011.09.003
 BBC

翼竜の翼の形態 9.28.11
  基本的な力学及び空気力学の制約に基づき、翼竜の翼の形態を復元していま
 す。
 Colin Palmer and Gareth Dyke
 Constraints on the wing morphology of pterosaurs
 Proc. R. Soc. B Published online before print September 28, 2011, doi: 10.1098/rspb.2011.1529
 アブストラクト
 ライブサイエンス

タペジャラ科翼竜Tupandactylus imperatorの新情報 1.09.11
  Felipe L. Pinheiro, Daniel C. Fortier, Cesar L. Schultz, Jose Artur F.G. De Andrade,
  and Renan A.M. Bantim
  New information on Tupandactylus imperator, with comments on the relationships
  of Tapejaridae (Pterosauria)
  Acta Palaeontologica Polonica in press doi:10.4202/app.2010.0057

翼竜はパラグライダーに似ていた、米研究 11.25.10
  AFPBB
  翼竜の翼モデルの風洞実験により、翼竜は熱帯の穏やかな風に適応した低速飛行
 は得意だったが、強風には極度に弱かったことが明らかになったそうです。
  Colin Palmer
  Flight in slow motion: aerodynamics of the pterosaur wing
  Proc. R. Soc. B Published online before print November 24, 2010,
  doi: 10.1098/rspb.2010.2179

翼竜は棒高跳びのように前肢を使って飛び立った 11.16.10
  BBC ニューサイエンティスト ポーツマス大ニュース
  キリンのサイズにも匹敵する巨大な翼竜は飛ぶことができなかったのではないか?
 そんな議論がされているところに、一つの研究結果が大きい影響を与えるようです。
 ポーツマス大のMark P. Wittonらによると、翼竜と鳥類の骨格は非常に異なり、それ
 から生じる飛行のメカニズムは全く異なる。巨大な翼竜が飛べないという議論は、両
 者の飛行メカニズムの違いを考慮していないのだそうです。
 翼竜が飛び立つときには、前肢を棒高跳びの棒のように使い、勢いよく空に飛びだし、
 力強く羽ばたいたのだそうです。
 また、彼らの研究では、翼竜の最大サイズはこれまで翼開長13m、体重544kgとされて
 いたのに対し、翼開長10~11m、体重200~250kgとしています。
 Witton MP, Habib MB, 2010
 On the Size and Flight Diversity of Giant Pterosaurs, the Use of Birds as Pterosaur
 Analogues and Comments on Pterosaur Flightlessness.
 PLoS ONE 5(11): e13982. doi:10.1371/journal.pone.0013982
 参考(翼竜イラスト)Mark Witton's photostream

足跡から体重を推計する 11.16.10
  足跡から絶滅動物の体重を推計することは、これまで試みられていなかったよう
 です。現生の17種の四肢動物から足跡面積と体質量の関係が導き出され、それを
 翼竜の足跡に応用した論文が出ています。
 その結果、翼竜の体重は110gから145kgという広い幅にわたっていたことがわかり
 ました。これは、最も体重が重い鳥類より翼竜は10倍も重かったことになるそうです。
 Tai Kubo(久保 泰)
 Estimating body weight from footprints: Application to pterosaurs
 Palaeogeography, Palaeoclimatology, Palaeoecology Article in Press
 doi:10.1016/j.palaeo.2010.11.001 

Chaoyangopterus の新標本 9.06.10
  遼寧省朝陽市太平房鎮原家窪(Yuanjiawa)村の前期白亜紀九仏堂層から産出した
 翼竜Chaoyangopterus zhangi の新標本を記載しています。不完全な散乱した骨格で
 すが、頭骨部分と下顎が含まれるそうです。ほどほどに伸びた中位頸椎には低い、刃
 のような神経棘があり、外側含気孔を欠くことがわかり、このことはアズダルコ上科内
 でチャオヤンゴプテルス科の特異な位置を示すだけでなく、アズダルコ科の進化を再
 吟味する範囲を提供するとしています。
 Zhou, Chang-Fu
 New material of Chaoyangopterus (Pterosauria: Pterodactyloidea) from the Early
 Cretaceous Jiufotang Formation of western Liaoning, China
  Neues Jahrbuch fur Geologie und Palaontologie - Abhandlungen,
  Vol. 257, No. 3, September 2010 , pp. 341-350(10)
 DOI: 10.1127/0077-7749/2010/0081
 アブストラクト

ルーマニアで世界最大級の翼竜椎骨 9.05.10
  9NEWS Adevaru(ルーマニア語)
  つい先日報道されたBalaur bondoc の記載者、Matyas Vremir が、ルーマニア中央
 部のAlba郡Sebesで2008年に最大級の翼竜椎骨を発見したそうです。翼開長16mと
 見込まれています。英・独の研究者と研究し、今年末までには記載論文が刊行される
 そうです。

盤竜類の背ビレも翼竜のとさかも性的シグナル 6.29.10
  ポーツマス大 ハル大 西オーストラリア大
  ディメトロドンやエダフォサウルスの背のヒレや、翼竜類のとさかの機能については
 体温調節のためという説が有力です。では、本当にそのために、あんなに極端な形に
 なったのでしょうか?
 翼竜プテラノドンのとさかは、体温調節のためとしては、その体に比べ大きすぎる、ま
 た、盤竜類の背の帆も同様ということです。そこから、これらの機能は異性を惹きつけ
 るため。性的シグナルであったと結論づけています。
 Joseph L. Tomkins, Natasha R. LeBas, Mark P. Witton, David M. Martill, and Stuart Humphries
 Positive Allometry and the Prehistory of Sexual Selection
 The American Naturalist 2010. Vol. 176, pp. 000–000 DOI: 10.1086/653001
 アブストラクト

中国遼寧省前期白亜紀義県層産出のボレオプテリクス科翼竜 3.10.10
  Lu Junchang 2010
  A New Boreopterid Pterodactyloid Pterosaur from the Early Cretaceous Yixian
  Formation of Liaoning Province, Northeastern China
  Acta Geologica Sinica ,2010,84(2):241-246 アブストラクト

  Zhenyuanopterus longirostris 新属新種を記載しています。
  頭骨、下あごとも含まれる完全な骨格に基づいています。特徴には数多くの歯が
 ありますが、前の歯は後ろ側の歯よりはるかに大きいことがあげられます。
 遼寧省および周辺地域で発見された同科翼竜中最大です。

日本初の翼竜足跡 11.17.09
  Yuong-Nam Lee, Yoichi Azuma, Hang-Jae Lee, Masateru Shibata, Junchang Lü
  The first pterosaur trackways from Japan.
  Cretaceous Research. doi: 10.1016/j.cretres.2009.11.001.
  福井県勝山市北谷恐竜発掘地の北谷層(下部白亜系)から産出した翼竜足跡に
 ついてです。64個の足跡のある行跡は、明瞭に4足歩行のパターンを示しているそう
 です。前肢と後肢の足跡の長さは22.6mmと21.9mm。小型です。足跡の特徴から、
 プテロダクティルス上科の翼竜が前期白亜紀の日本などにいたのだろうろしています。

最近の論文から 11.16.09
  タンザニア、テンダグル層産出の2つの翼竜上腕骨について
  フンボルト大所蔵の2つの標本について。1つ(MB.R. 2828)はズンガリプテルス科
  の新分類群、もう1つ(MB.R. 2833)はアーケオプテロダクティルス上科でアフリカ産
  最小の翼竜としています。
  Costa, F.R., and Kellner, A.W.A. 2009.
  On two pterosaur humeri from the Tendaguru beds (Upper Jurassic, Tanzania).
  Anais da Academia Brasileira de Ciências 81(4):813-818.
   doi: 10.1590/S0001-37652009000400017. アブストラクト(論文ダウンロード)

 中国遼寧省産の尾と頚部の長い翼竜
  Wukongopterus lii という新属新種の翼竜を記載しています。プテロダクティルス上
 科ではなく、ランフォリンクス科などより原始的な分類になるそうです。
 属名は悟空+ギリシャ語で翼、種小名はこの標本ほか多数の標本のプレパレーター
 Yutong Li に献名。
  Wang, X., Kellner, A.W.A., Jiang, S., and Meng, X. 2009.
  An unusual long-tailed pterosaur with elongated neck from western Liaoning of China.
  Anais da Academia Brasileira de Ciências 81(4):793-812.
  doi:10.1590/S0001-37652009000400016.アブストラクト(論文ダウンロード)

翼竜足跡化石、韓国慶尚北道軍威郡で発見 9.08.09
  中央日報 東亜日報 聯合ニュース
  文化財庁国立文化財研究所天然記念物センターが軍威郡で恐竜化石調査中
 にこの3月末発見したもので、世界最大の大きさだそうです。
 長さ354mm、幅173mmあり、翼竜は推定体長6~7m以上とのことです。
 SVP総会で発表されます。

翼竜Jeholopterus の皮幕に3層の繊維層 8.05.09
  ナショナルジオグラフィック(日)
  これまで翼竜の皮幕にはアクチノフィブリル(actinofibril)と呼ばれる単層の
 繊維構造があるとされていました。しかし、Jeholopterus 標本に紫外線を照
 射して調べたところ、少なくとも3層の交互に繊維方向の異なった繊維構造
 層があることがわかりました。補強に役立ったか、翼の姿勢制御に役立った
 か、これからの研究が待たれます。
 Alexander W. A. Kellner, Xiaolin Wang, Helmut Tischlinger, Diogenes de Almeida Campos,
  David W. E. Hone and Xi Meng

 The soft tissue of Jeholopterus (Pterosauria, Anurognathidae,
 Batrachognathinae) and the structure of the pterosaur wing membrane
 Proceedings of the Royal Society B doi: 10.1098/rspb.2009.0846
 アブストラクト

中国内蒙古自治区寧城から産出した幼体のプテロダクティルス上科翼竜 2.25.09
  LU Junchang(呂君昌)2009.
  A baby pterodactyloid pterosaur from the Yixian Formation of Ningcheng,
  Inner Mongolia, China
  Acta Geologica Sinica(地質学報英文版) 83(1):pp. 1-8.

  内蒙古自治区寧城県の義県層から産出した翼竜幼体標本をプテロダクティルス上
 科の新属新種として記載しています。
  Ningchengopterus liuae
  属名は完模式標本の産地寧城+ギリシャ語-pterus(翼竜の接尾辞として用いられる)
  種小名は標本の発見者Liu Jingyi(女性)に献名。
 完全模式標本:頭骨がついている殆ど完全な骨格。朝陽地質公園蔵(CYGB-0035)
 産地と層準:蒙古自治区寧城県大双廟(Dashuangmiao)郷柳条溝(Liutiaogou)
         義県層
 特徴:幼体ですが、小型の翼竜(頭骨長3.8cm)で50本も歯があります。中国で初めて
 発見された小型プテロダクティルス科翼竜です。食性は魚食と推定されています。
  Acta Geologica Sinica(地質学報英文版) 83(1):pp. 1-8.

翼竜の飛行及び空中での巨大化の起源を促進する呼吸の進化   2.18.09
  オハイオ大ニュース Wired サイエンスナウ
 Leon P. A. M. Claessens, Patrick M. O’Connor, David M. Unwin
 Respiratory Evolution Facilitated the Origin of Pterosaur Flight and Aerial Gigantism

  PLoS One 論文
  翼竜に高度な飛行能力があったことは知られていますが、その飛行を支える呼吸のシ
 ステムについてはあまり知られていません。この論文では翼竜の呼吸器の機能と構造
 について、絶滅・現生主竜類双方の広範囲にわたる比較研究をしています。翼竜と鳥類
 の骨格についてCTスキャンをし、現生鳥類とワニ類についてX線フィルムにより骨格の呼
 吸ポンプについて研究し、歴史的化石標本の骨格構造を研究しています。
 その結果、様々な骨格的証拠により、翼竜が、引き続く羽ばたき飛行を支えるに足る、
 非常に高度な貫流呼吸系を持っていたことが明らかになったとしています。これは鳥類が
 同様のシステムを得る7千万年前のこととしています。
 白亜紀の翼竜のいくつかの系統で巨大化が認められますが、これは体幹及び遠位肢帯
 まで肺気嚢システムが拡張することにより、体密度の低下が進んだことにより可能となっ
 たことであり、翼竜の進化において呼吸適応の重要性を強調するとともに、形態的多様化
 と進化上の放散において肉体的束縛からの解放の劇的効果を強調するとしています。

白亜紀の翼竜Nyctosaurus頭部の突起には皮膜がついていた 1.19.09
 Xing, L., Wu, J., Lu, Y., Lü, J., and Ji, Q. 2009.
 Aerodynamic characteristics of the crest with membrane attachment of Cretaceous
 pterodactyloid Nyctosaurus
 Acta Geologica Sinica (English Edition)(地質学報英文版) 83(1):25-32.
 Nyctosaurus の頭部には大きな突起があり、その復元には突起としているものもあれば
 皮膜が覆っているものもあります。
 この論文ではこの突起に何もついていない場合、皮膜がついていた場合の空力特性を
 論じています。皮膜が付着していた場合には最大、体重の90%以上の推力を生み出すこ
 とができたとしています。

サハラの発掘で竜脚類と翼竜の新種?発見 12.17.08
  ダブリン大ニュース写真 ポーツマス大ニュース AFPBB
  ダブリン大、ポーツマス大、モロッコのハッサン2世大の研究者からなるチームが、サハ
 ラで数百の化石を発掘しました。その中には竜脚類と翼竜の新種と思われる標本も含ま
 れているそうです。
 翼竜については、長さ40cmほどの吻部が発見されているそうです。翼開長6mと推定され
 ています。竜脚類については、体長20から30mと推定されています。

ブラジル、CRATO層(下部白亜系アプティアン?)産出のアズダルコ上科翼竜 12.04.08
  ポーツマス大ニュース ガーディアン BBC
  部分的な頭骨に基づき、新属新種 Lacusovagus magnificens を記載しています。
 系統的位置づけはタペジャラ科とNeoazhdarchiaの間。翼開長約5mと推定されています。こ
 れは、近縁と考えられる、中国のChaoyangopterus Jidapterus の翼開長が60cmだそう
 ですから、かなり巨大です。肩までの高さは約1mとされています。
 MARK P. WITTON
 A NEW AZHDARCHOID PTEROSAUR FROM THE CRATO FORMATION (LOWER CRETACEOUS, APTIAN?)
  OF BRAZIL

  Palaeontology 51 (6) pp.1289-1300. DOI:10.1111/j.1475-4983.2008.00811.x
  アブストラクト

アズダルコ科翼竜の新属新種Volgadraco bogolubovi 11.12.08
  ロシア、サラトフ州 Shirokii Karamyshの2箇所の発掘サイト(Rybushka層 上部白亜
 系下部カンパニアン)から産出した下顎のクチバシ断片及び頭骨以外のいくつかの骨
 から記載されました。
 チューロニアン・サントニアンの中型アズダルコ科(Azhdarcho, Bakonydraco)と、マー
 ストリヒシァンの巨大アズダルコ科Quetzalcoatlusの中間のサイズということです。
 A. O. Averianov, M. S. Arkhangelsky, and E. M. Pervushov
 A New Late Cretaceous Azhdarchid (Pterosauria, Azhdarchidae) from the Volga Region
 Paleonotological Journal Vol. 42, No. 6, 2008 pp.634-642 アブストラクト
 DOI: 10.1134/S0031030108060099

翼竜種名リスト第3版 11.06.08
  DinosaurMLでMike Hansonが紹介していたので、紹介します。PDFです。

翼竜の古ゲノム学及び飛行する脊椎動物における小サイズゲノムの進化 10.23.08
  Chris L. Organ and Andrew M. Shedlock
  Palaeogenomics of pterosaurs and the evolution of small genome size
  in flying vertebrates
  Biol. Lett. doi:10.1098/rsbl.2008.0491アブストラクト
  翼竜のゲノムサイズをベイズアプローチにより推測しています。小サイズのゲノムは
  鳥類、コウモリ、翼竜において飛行に関連して進化したとしています。

翼竜 Tapejara wellnhoferi ロボット探査機になるか 10.09.08
  GSAプレスリリース チャタジーの発表要旨 ライブサイエンス ヤフー
  10月7日、GSA総会で、テキサス工科大のシャンカール・チャタジーが発表。
 これまで鳥、コウモリ、昆虫をモデルにして無人探査機が開発されてきたが、前期白
 亜紀ブラジル産の翼竜Tapejara wellnhoferi こそはるかに高レベルでなモデルになる
 としています。
 翼膜と頭部のトサカは広大な感覚組織として働く。特にトサカは気温、気圧、風向の
 感覚器官として神経末端や血管が集中している等、その優秀性をあげてます。そし
 て、 陸上(4足、離陸時には2足走行)、海上(翼を帆のように使い、水面上をかすめ
 飛んで採食する)などの特性から、空中、陸上、海上を飛行・走行できる無人機のプ
 ロトタイプとなるとしています。
 Pterodroneと名づけられた無人機、目立たず偵察できるでしょうか。

翼竜の翼骨格の3次元幾何学及び、空中と地上における移動に対する係わり合い
 9.15.08

<サイエンスリポート>『翼竜』の脳は語る 8.26.08
  中日新聞
  X線CTを使った翼竜頭骨の解析など、大橋智之博士研究員の研究と思いを紹介
 しています。

スイスから三畳紀の翼竜記載 4.09.08
  Raeticodactylus filisurensis という基盤的非プテロダクティルス類翼竜が記載され
 ています。翼開長135cm、関節した頭骨と部分的なその他の骨があるそうです。
 Rico Stecher(2008)
  A new Triassic pterosaur from Switzerland (Central Austroalpine, Grisons),
 Raeticodactylus filisurensis gen. et sp. nov.
 Swiss Journal of Geosciences. doi: 10.1007/s00015-008-1252-6.
 アブストラクト
 参考:雑誌表紙にある標本の写真(独語 PDF)

中国遼寧省から新しい翼竜 3.17.08
  BRIAN ANDRES, JI QIANG (2008)
  A NEW PTEROSAUR FROM THE LIAONING PROVINCE OF CHINA, THE PHYLOGENY
  OF THE PTERODACTYLOIDEA, AND CONVERGENCE IN THEIR CERVICAL VERTEBRAE
   Palaeontology 51 (2) , 453–469 doi:10.1111/j.1475-4983.2008.00761.x
   アブストラクト
  Elanodactylus prolatus を記載。

濾過食翼竜 Pterodaustro guiñazui の発達成長パターン 3.03.08
  A. Chinsamy, L. Codorniú, L. Chiappe
  Developmental growth patterns of the filter-feeder pterosaur, Pterodaustro guiñazui
  biology letters アブストラクト  DOI:10.1098/rsbl.2008.0004

  約1億4千万年前のアルゼンチンに生息していた翼竜Pterodaustro guiñazui は、1000本
 以上の針状の歯を持ち、濾過食をしていたとされています。また、その標本は数百、翼開長
 0.3~2.5m、孵化前の卵に入ったものから成体まで含まれています。
 そこで、その成長パターンを調べてみたところ、孵化後、成体の53%の大きさに達するまでに
 約2年、比較的早く成長します。また性的にも成熟します。しかし、成体の大きさに達するには
 そこからより遅い成長レートで3~4年かかるのだそうです。これはPterodaustro が有限成長
 戦略をとっていた決定的な証拠であるとしています。
 ケープタウン大ニュース Independent Online

中国遼寧省から産出した、最小の翼竜 2.12.08
  ナショナルジオグラフィック ニューサイエンティスト ITN(動画ニュース) AFPBB 読売新聞
  中国遼寧省葫芦島市建昌県要路溝郷Luzhougouの九仏堂層(約1億2千万年前)から産出した、
 これまで知られる中で最小の一つとされる翼竜が記載されました。殆ど完全な関節した骨格です。
 成体ではないが、孵化直後や幼体ではないそうです。(翼開長~250mm)。

 プテロダクティルス類、ズンガリプテルス上科の新属新種 Nemicolopterus crypticus
 属名:ギリシャ語でNemos;森+ikolos;居住者+pteros;翼 種小名:ギリシャ語kryptos;隠された
 隠された空飛ぶ森の居住者という意味でしょうか。

 森の樹幹で主に昆虫を食べていたと推測されています。足の爪も枝に止まるのに適応しているそ
 うです。翼竜の進化にまた新しい一面を開いたものといえます。

 Xiaolin Wang, Alexander W. A. Kellner, Zhonghe Zhou, and Diogenes de Almeida Campos
 Discovery of a rare arboreal forest-dwelling flying reptile (Pterosauria, Pterodactyloidea) from China
 www.pnas.org/cgi/doi/10.1073/pnas.0707728105

翼竜Huaxiqpterusの新種 11.21.07
  LU Junchang(呂君昌), GAO Yubo, XING Lida(邢立達), LI Zhixin and JI QIANG(季強)
  A New Species of Huaxiapterus (Pterosauria: Tapejaridae) from the Early Cretaceous of
  Western Lianoning, China
  ACTA GEOLOGICA SINICA(地質学報英文版) vol.81 No.5 pp.683-687

  中国遼寧省朝陽市の九仏堂層から産出した、タペジャラ科翼竜Huaxiapterus 属の新種、
  Huaxiapterus benxiensis を記載しています。
 種小名は、完模式標本(BXGM V0011) を収蔵する本渓地質博物館(Benxi Geological Museum)
 にちなむ。

 H. benxiensis の特徴は、よく発達した前上顎稜と頭頂棘が平行に後背側に伸び、下顎結合の
 前位背側面に、浅く広いあることだそうです。中国のタペジャラ科の、この異なった形態から、そ
 れらが、これまで考えられていたより派生していることを示すとしています。
 邢立達のページに復元図及びアブストラクトが載っています。

翼竜はスキムフィーディングをしたか? 7.25.07
  Humphries S, Bonser RHC, Witton MP, Martill DM (2007)
 Did pterosaurs feed by skimming? Physical modelling and anatomical evaluation of an unusual feeding method.
 PLoS Biol 5(8): e204. doi:10.1371/journal.pbio.0050204

 ハサミアジサシのように波間すれすれに飛び、下嘴を水中に入れて魚を採っていたのか、
 疑問を呈する論文です。体重1kg以上の翼竜にはこの採食方法は不可能だったとしていま
 す。

岐阜で翼竜の子どもの化石発見、国内での繁殖可能性大 1.12.07
  読売新聞

中国下部白亜系義県層産出のクテノカスマ科翼竜 1.11.07
  Xiaolin Wang, Alexander W.A. Kellner, Zhonghe Zhou and Diogenes de Almeida Campos
  A new pterosaur (Ctenochasmatidae, Archaeopterodactyloidea) from the
  Lower Cretaceous Yixian Formation of China
  Cretaceous Research article in press doi:10.1016/j.cretres.2006.08.004 

  Gegepterus changi gen. et sp. nov. というクテノカスマ科翼竜を記載しています。
 属名Gegeは清朝皇女の称号「格格」+ギリシャ語の翼、種小名は張弥曼に献名。

Flying reptile mystery 'solved' 8.02.06
  BBC ポーツマス大ニュース
  アズダルコ類の翼竜Tupuxuara 幼体の頭蓋から、その稜は成長に伴い、吻部から上、
 後ろ側に、もう一つの稜は後頭部で大きくなり、成体になると癒合することがわかりました。
 そのため、これは性的ディスプレイに関係するものだろうとしています。

 CRANIAL CREST DEVELOPMENT IN THE AZHDARCHOID PTEROSAUR TUPUXUARA, WITH A REVIEW OF
 THE GENUS AND TAPEJARID MONOPHYLY

 DAVID M. MARTILL and DARREN NAISH
 Palaeontology Volume 49 Page 925 - July 2006
  doi:10.1111/j.1475-4983.2006.00575.x

中国遼寧省西部下部白亜系産出のHuaxiapterus の新種 7.12.06

中国遼寧省産の新しいイスティオダクティルス科翼竜 7.09.06
  A new iodactylid pterosaur from western Liaoning,China
  王麗; 李莉; 段冶; 程紹利;
  地質通報 2006年 06期
  中国恐竜網によると、遼寧省朝陽九仏堂層産出のLongchengpterus zhaoi gen. et sp. nov.という翼竜
 が記載されたそうです。同層から産出した唯一のイスティオダクティルス科翼竜になるそうです。
 ただし、JVP26(1)pp.70-78Istiodactylus sinensis という九仏堂層産の同科翼竜が記載されているので
 唯一というわけではありません。いずれにしても、論文を入手しないと詳細は不明です。

アルゼンチン、北西パタゴニア産のジュラ紀後期の翼竜 5.10.06
  A Late Jurassic pterosaur (Reptilia, Pterodactyloidea) from northwestern Patagonia, Argentina.
  Laura Codorniú, Zulma Gasparini, and Ariana Paulina-Carabajal
  Journal of South American Earth Sciences Volume 20, Issue 4 , March 2006, Pages 383-389
  論文ダウンロードできます。

  ジュラ紀後期の海成層産のプテロダクティルス上科翼竜化石を記載しています。パタゴ
 ニア、ネウケン州中部、Los Catutos。Vaca Muerta 層(middle-late Tithonian)。
 同地域から初めての翼竜であるとともに、これまで南米で発見された最も完全なジュラ
 紀翼竜化石ということです。小型-中型(翼開長約1.10m)の亜成体です。

中国遼寧省下部白亜系産のISTIODACTYLUS 新種 5.07.06

翼竜Beipipaopterus chenianus の翼膜の走査電子顕微鏡による観察 1.24.06
  SEM Observation of the Wing Membrance of Beipiaopterus chenianus (Pterosauria)
  ACTA GEOLOGICA SINICA Vol.79 No.6 pp.766-769
  LU Junchang(呂君昌), 小林欣次, YUAN Chongxi(袁崇喜), JI Shu'an(姫書安) and JI Qiang(季強)
  
  アブストラクトほにゃ訳
  クテノカスマ科翼竜Beipiaopterus chenianus の翼膜の断面及び表面が、走査電子顕
 微鏡(SEM)を用いて観察された。その結果、翼膜には高密度の血管が通っていることが
 示され、コウモリの翼膜と同様、強力な体温調節機能をほのめかしている。これは、翼竜
 翼膜の微細構造を現生コウモリの翼膜と初めて比較したものである。少なくとも比較的小
 型翼竜にコウモリ様の生理機能が存在することが推量されることにより、これらの翼竜た
 ちは温血で活動的な飛行をしていたことが示唆される。

新しい翼竜3点 12.20.05
  ブラジル古生物学会2005年例会が12月16,17両日開催されたようです。その講
 演要旨がPDFファイルでアップされています。
 http://www.phoenix.org.br/Paleo2005_Boletim.pdf
 中に翼竜の報告が3本掲載されています。
 いずれもHebert Bruno Campos他の報告です。

 A new pterosaur specimen from the Santana Formation, Araripe Basin, Northeastern Brazil
 北九州市立自然史・歴史博物館(いのちのたび博物館)収蔵の標本を報告して
 います。その特筆すべき特徴は、稜のない頭骨。また歯列を構成する個々の歯
 は、その直径が等しい。稜のない頭骨は、BrasileodactylusCearadactylus
 のみ知られるが、歯列はCriorhynchusに緊密に比肩する。

 A new tapejarid pterosaur from Santana Formation, Northeastern Brazil
 サンタナ層産のタペジャラ科の報告。

 A new pterosaur (Tapejaridae) from the Early Cretaceous of China
 韓国のGyeryongsan 自然史博物館収蔵の殆ど完全な関節した標本を報告してい
 ます。遼寧省の九仏堂層から産出したタペジャラ科です。
 
中国の白亜紀陸上生態系に見られる翼竜類の多様性と動物相の交代10.06.05
  ネイチャー10月6日号
  遼寧省義県層産出の翼竜Feilongus youngi
  遼寧省九仏堂層産出の翼竜Nurhachius ignaciobritoi
  を記載しているようです。
  ナショナルジオグラフィック MSNBC ライブサイエンス

中国遼寧省産の新しいタペジャラ科翼竜 9.27.05

中国遼寧省西部義県層産出の新しいプテロダクティルス類翼竜 9.21.05

翼開長18mの翼竜(?) 9.13.05
  ヤフーニュース(ロイター)9日付によると、英ポーツマス大のDavid Martill らは、メキ
 シコで翼竜の足跡化石を発見したが、それから翼開長18mと推定されるそうです。た
 だ、それに関してDinosaurMLで流れたメールを見ると、まだ情報はそれほどはっきり
 していないようです。もう少し様子を見たほうが・・・
 BBC ポーツマス大古生物

遼寧省西部白亜紀前期産の新しいアズダルコ科翼竜 8.04.05

遼寧省前期白亜紀産の新クテノカスマ科翼竜 5.23.05

中国遼寧省前期白亜紀産の新しいオルニトケイルス科翼竜 5.23.05

中国遼寧省で新種翼竜発見 12.26.04

翼竜の頚椎化石、兵庫県で発見 7.14.04
  神戸新聞
  兵庫県立人と自然の博物館ニュース

白亜紀前期の翼竜胎児 6.10.04

飛行爬虫類の神経解剖学及び飛行、姿勢、習性に対するその意味
  10.30.03
  Neuroanatomy of flying reptiles and implications for flight, posture and behaviour
  LAWRENCE M. WITMER, SANKAR CHATTERJEE, JONATHAN FRANZOSA
   & TIMOTHY ROWE

  ネイチャー10月30日 Nature 425, pp.950 - 953

  WITMERらは、比較的原始的なジュラ紀のRhamphorhynchus と、比較
 的発達した白亜紀のAnhanguera という2種類の翼竜頭蓋をCTスキャンに
 かけ、脳幹をデジタルに再現しました。

 それを、鳥類や他の爬虫類と比較しました。翼竜は鳥類と比較すると体の
 割りに小さい脳を持っていますが、全体の構成は鳥類と同様で、発達した
 視葉と縮小した嗅葉があります。全体の大きさの違いは、鳥類がすでに地
 上で脳を発達させた非鳥獣脚類から進化したためだろうとしています。
 
 そのほか、三半規管からその頭の角度なども論じています。
 翼竜は視覚や平衡感覚に優れ、飛行能力が優れた爬虫類だったそうです。
 ヤフーニュース(毎日)
 オハイオ大ニュース
 論文

 中国遼西産出の新翼竜 BEIPIAOPTERUS CHENIANUS 10.15.03
  A NEW PTEROSAUR: BEIPIAOPTERUS CHENIANUS, GEN. ET SP. NOV.
  (REPTILIA: PTEROSAURIA) FROM WESTERN LIAONING PROVINCE OF CHINA
  呂君昌
  福井県立恐竜博物館紀要第2号 pp.153-160

  遼寧省北票市四合屯義県層(バレミアン)産出。クテノカスマ科の新属
  新種として、Beipiaopterus chenianus gen. et sp. nov. 記載されてい
  ます。

  翼竜の飛行、歩行などに関して 10.10.03
  筋肉の付着などから、羽ばたいて飛んだこと、歩行の様子など
 最近の全般的な研究成果をレビューとして述べているようです。
  ディスカバリーチャンネル
  Biologist 50(5)プレスリリース
  論文(PDF)
  参考:Crested Nyctosaurus Specimens

ブラジルの翼竜について論文2本 9.16.03
  DinosaurMLでの紹介。
  オランダのWEB上のジャーナルwww.palarch.nlから
 Preliminary description of a skull and wing of a Brazilian Cretaceous
 (Santana Formation; Aptian-Albian) pterosaur (Pterodactyloidea) in the
  collection of the AMNH
 Andre J. Veldmeijer PDFファイル

 http://www.naturalis.nl/sites/naturalis.nl/contents/i000288/sg125%20veldmeijer.pdf
 同じくAndre J. Veldmeijer による。ブラジル アルビアン期のプテロダクティルス上科
 Coloborhynchus spielbergi
 記載

中国遼寧省産の2つの新しい翼竜 2.19.03
  遼西早白亜世九仏堂組両種新的翼手竜化石
  汪筱林、周忠和
  TWO NEW PTERODACTYLOID PTEROSAURS FROM THE EARLY CRETACEOUS
  JIUFOTANG FORMATION OF WESTERN LIAONING, CHINA
  古脊椎動物学報第41巻第1期pp.34-41

  九仏堂層から産出した2つの翼竜化石を報告しています。1つは、
 ニクトサウルス科の Chaoyangopterus zhangi gen. et. sp. nov.
 張氏朝陽翼竜(新属新種)。もう1つは、アンハングエラ科の
 Liaoningopterus gui gen. et. sp. nov. (顧氏遼寧翼竜) です。

 前者は比較的良好に保存された骨格で、後者は頭骨と頭骨より後ろ
 の一部が保存されています。
 Chaoyangopterus zhangi は、ニクトサウルス科としてアジアで初めて
 の記録であるとともに、同科でもっとも早期でありもっとも完全な化石
 であるそうです。そのため、4つの翼指骨があること、第1から第3指
 もよく発達していることがわかったそうです。同科ではこれまで、翼指
 骨は3つしか確認されていなかったそうです。
 翼開長は約1.85mと見積もられています。 
 産地は朝陽市太平房の公皋、九仏堂層(Aptian)
 種小名は、朝陽日報の記者、張万連を記念してで、彼は70年代末
 から遼寧の化石について100編以上の報道をしてきたのだそうです。
 (人民日報)

 後者は中国でこれまで発見された最大の翼竜だそうです。またその
 歯も既知の翼竜中最大だそうです。歯の生えかわり現象が明確に
 認められるそうです。頭蓋長は610mm、翼開長は約5mとされていま
 す。
 議論では、九仏層はブラジルのサンタナ層よりわずかに古いという
 ことも言われています。
 中国恐竜網(化石写真があります)

Natura Nascosta No.24 10.27.02
  イタリアにあるMuseo Paleontologico Cittadinoという博物館の紀要らし
 いのですが、イタリア語がわからないので、今ひとつサイト構成がわかり
 ません。
 Scarica Natura Nascosta Nー24というところをクリックすると、PDFファイル
 をZIP形式で圧縮したものをダウンロードすることができます。
 そのほかの号はhttp://www.fante.speleo.it/nat.nasc.phpを。
 つい最近記載された内蒙古産の翼竜、Jeholopterus ningchengensis
 ついての論文(英語)があります。

遼寧省白亜紀前期九仏堂層産のタペジャラ科翼竜 10.29.02 10.30追加
  遼西早白亜世九仏堂組一翼手竜化石及其地層意義
  汪筱林 周忠和
  科学通報2002年10月 第47卷 第20期 pp.1521-1527
  表紙写真 中国恐竜網
  Sinopterus dongi gen. et sp. nov.董氏中国翼竜(新属新種)が報告され
 ています。
 白亜紀前期の終わりにブラジルのサンタナ層にみられる、タペジャラ(タペヤ
 ラ)科に属するとされています。中国で報告されたタペジャラ科翼竜で最古
 であり、 保存も最良とのことです。両翼を展開すると1.2m、歯はなく、嘴の
 先端は特に尖り、角質の嘴をもっていた。嘴部から後頭部にかけて骨質
 のとさかがある。目の部分は小さいが、前鼻孔は大きい。華奢な体に比べ
 頭は大きい。この化石から遼寧省西部は歯のない翼竜の起源の中心だっ
 たと説明できる。

 完模式標本:腹側面を見せる一個の完全に保存された骨格。
  IVPP V13363

 地点と層準 遼寧省朝陽市朝陽県東大道郷喇嘛溝、
  九仏堂層、白亜紀前期(Aptian)

 語源 属名:Sinae(ラテン語で中国)+pterus(ギリシャ語で翼)
     種小名:Dong 董枝明にちなむ

特徴
 中小型の翼竜。頭骨長約170mm、両翼展開長約1.2m、吻部先端はとがっ
 て長い、歯は無い。嘴部は角質が具わっている。前上顎骨と歯骨は背側に
 低い弧を描いている。前上顎骨の背側突起最後部先端と頭骨は分離し、
 頭頂骨の背側突起と平行に上向きに湾曲している。前鼻孔は大きく長い
 (長さは高さの約2.5倍)で、頭骨長の1/3を超える。

 上腕骨、橈骨、翼掌骨と第1翼指はだんだん長くなり、後三者と上腕骨の
 長さ比は1.5、1.6、および2倍である。手根骨は粗大で癒合していない。肩
 甲骨は強く湾曲し、烏口骨の肩甲骨関節側は異常に膨大し、扇形をしてい
 る。

 脛骨と大腿骨の長さの比は1.4.第1中足骨が最長、第2から第4中足骨に
 至るに従い短くなり、第3中足骨は翼掌骨の22.1%、第5中足骨は第1中足
 骨の1/5。

 タペジャラは歯のない翼竜で、魚食または雑食と考えられるそうです。義県
 層は湖に堆積した地層なので、湖の魚を食べていたとも考えられますが、
 この論文では嘴の先がとがり、鳥類と同様な角質をもち、下顎と頚椎が頑
 丈で、前肢の爪も強力なことから、種子食の仮説をたて、被子植物の進化
 と同時に進化したという仮説をたてています。

 熱河群には、異なる翼竜の組み合わせがある。義県層の翼竜の組み合わ
 せは、ドイツのジュラ紀後期(Tithonian)ゾルンホーフェンに似ており、九仏
 堂層の翼竜の組み合わせは白亜紀前期の終わり(Aptian/Albian)ブラジル
 サンタナ層の翼竜の組み合わせと似ている。・・・
 
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ブラジル白亜紀前期からの特異な翼竜のとさかとあごの機能 7.19.02
  サイエンス7月19日号Volume 297, No. 5580, Issue of 19 Jul 2002, pp. 389-392.
  Alexander W. A. Kellner, Diogenes de Almeida Campos

  Thalassodromeus sethiと命名された翼竜について。 属名はsea runner
 種名はエジプトの神セト(オシリスの殺害者、鳥のようなくちばしをしている)
 頭蓋骨は長さが約140cmありますが、側面から見る面積の75%がとさかで占め
 られています。 このとさかには血管がよく分布し、温度を下げるラジエーターの
 働きをしていたそうです。 あごの形は、2枚の薄い板からなり、水面近くを滑空、
 下あごを使って魚をすくように食べることで知られるハサミアジサシという鳥の
 ものによく似ていたそうです。
 参考:セト神
 ヤフーニュース(毎日) ヤフーニュース(時事)
 ヤフーニュース(ロイター) 同写真
 ABCニュース(飛びながら捕食するアニメーションあり)
 NSMBC 毎日新聞 ニューサイエンティスト ナショナルジオグラフィック
 朝日新聞
 参考:復元画作者の別のイラスト(スタウリコサウルス)

ゾルンホーフェン産の翼竜 Germanodactylus rhamphastinus の頭部の稜に
  残された軟組織 3.06.02
  SOFT TISSUE PRESERVATION OF THE CRANIAL CREST OF THE
  PTEROSAUR GERMANODACTYLUS FROM SOLNHOFEN
  Journal of Vertebrate Paleontology: Vol. 22, No. 1, pp. 43-48.
  S. CHRISTOPHER BENNETT
  ドイツ南部ゾルンホーフェン産の石灰岩層から産出したゲルマノダクティルス
 Germanodactylus rhamphastinus の標本から、頭部の稜についた軟組織の
 報告です。

 前上顎稜から上方に、稜の高さの2倍の軟組織が、骨質の稜を覆っているそう
 です。これはおそらく角質化した表皮を構成していたものだろうとしています。
 
 この標本を他のプテロダクティルス上科と比較すると、全てに、生存中は稜の
 高さと同じ軟組織があったことが示唆されるとしています。

白亜紀最後期ルーマニア産のがっしりした頭蓋骨のある巨大翼竜 3.05.02
  A new giant pterosaur with a robust skull from the latest Cretaceous of Romania
  E. Buffetaut, D. Grigorescu, Z. Csiki:
  Naturwissenschaften, DOI 10.1007/s00114-002-0307-1
  Hatzegopteryx thambema, nov.gen., nov.sp., という翼竜についてのショート
 コミュニケーションです。Densu-Ciula層(マーストリヒト期)から産出したもので
 す。
 推定翼開長12mという大きさ、これはケツアルコアルトスQuetzalcoaltus に匹
 敵します。また、頭蓋骨は頑丈で、ほぼ3mに達したということです。

 この頭蓋骨は、他の翼竜が細長い薄い頭蓋骨をしているのと対照的です。
 この大きい頭蓋骨の重量を軽くする、一風変わった工夫が骨内部にあります。
 非常に薄いまるで発泡スチロールを思い起こさせるような構造が密に構成され
 ているのだそうです。
 参考:Hateg Dinosaurs ルーマニア Hateg 盆地産の恐竜化石 PDFファイル
    
内蒙古自治区から発見された"毛"を生やした翼竜 1.15.02
  熱河生物群発現帯“毛” 的翼竜化石
  科学通報第47巻第1期pp.54-58 表紙写真
  A nearly completely articulated rhamphorhynchoid pterosaur with
  exceptionally well-preserved wing membranes and "hairs" from Inner
  Mongolia, northeast China
  Chinese Science Bulletin Vol.47 No.3 Feb.2002 pp.226-230 photo
   汪筱林 周忠和 張福成 徐 星

  中国内蒙古自治区寧城山頭郷道虎溝の義県層底部で発見された、ほと
 んど完全に関節した翼竜化石です。
 Jeholopterus ningchengensis gen. et sp. nov. と命名されました。
 属名は熱河から、種名は発見地の寧城からです。寧城熱河翼竜。
 翼膜と、全身に"毛"が、非常によく保存されています。
 短い頸部、短い中手骨と特に長い第5趾骨は、ランフォリンクス上科に特有
 ですが、その奇妙な短い尾からアヌログナトゥス科に帰せられる。本標本は
 同科の他のメンバー、ドイツ・ゾルンフォーヘン産のAnurognathus 、カザフ
 スタンKaratau産のBatrachognathus および中国遼寧省北票産の
 Dendrorhynchoides よりはるかに完全なものである。
 この新しい翼竜は翼膜が足首の踵まで達しているのを表している。足指に
 水かきがある。さらに、その体に、羽毛恐竜Sinosauropteryx の毛のような
 外皮構造物に類似したものが生えている。もちろんその類似に対し議論す
 る、あるいは反論する証拠はないが。

 表紙写真説明では、”毛”は体温調節、飛行あるいは飛行する音を小さくす
 るためかもしれないとしています。この翼竜は強い飛行能力をもち、おそらく
 水辺に住んでいたとしています。その短く幅広い頭蓋骨と歯の形質から、お
 そらく昆虫食だったろう(魚のような他の食物も食べたろうが)ということです。
 
 
 韓国慶尚南道で翼竜化石骨発見 10.29.01
  この化石は、8月12日に慶尚南道固城郡の海岸で恐竜化石愛好者に
 より発見されたもの。長さ30cm、幅3cmほど。地層年代については報道
 されていません。
 ソウル大地球環境科学系の任鐘徳博士と米の研究者の共同分析によ
 れば、その骨頭外縁に薄膜があり、それは翼竜化石の典型的な特性で
 あること、またこれは肩の骨頭であるそうです。
 韓国ではこれまでに翼竜の足跡化石は発見されていますが、化石骨が
 発見されたのは初めて。
 新華社

ルーマニアとスペインで発見された大型翼竜について9.18.01
  先ごろ仏トゥールーズで開催された翼竜シンポで討議されたそうです。
  ダラスモーニングニュース

細い毛の生えた翼竜8.31.01
 これもJVP3号に掲載されているそうです。
 SOFT TISSUE IN AN EARLY CRETACEOUS PTEROSAUR FROM LIAONING
 PROVINCE, CHINA
 Lu Junchang(呂君昌) & Wang Xioalin
 遼寧省西部産白亜紀前期の翼竜化石を走査電子顕微鏡でスキャンしたとこ
 ろ、頸部の周りに細く短い毛の印象があったそうです。
 
中国遼寧省四合屯産出の翼竜6.21.01
  遼寧西部義県組翼手竜化石的発現
  Discovery of a pterodactylid pterosaur from the Yixian
  Formation of western Liaoning, China
  汪筱林、呂君昌(中国科学院古脊椎動物與古人類研究所)
 白亜紀前期義県層(およそ1億2千640万年前)から産出した非常に保存
 状態のよい翼竜化石です。
 ほとんど完全な頭骨があります。プテロダクティルス科の新属新種として
 Haopterus gracilis gen. et sp. nov. と命名されています。
 中国語文、英文両アブストラクトからごちゃまぜで紹介すると、

 低く長く稜のない頭骨で、上下の顎前部に細くとがった歯がある。長い
 頸部、よく発達した竜骨突起のある胸骨。肩帯と前肢は発達している。
 長い中手骨と指骨、中足骨は縮小し、ほとんど同じ長さの第一から第
 三中足骨と短い第五趾がある。最長の骨でも中手骨の1/5に満たない。
 
  熱河生物群の中で初めて完全な頭骨をもった翼竜化石であるとともに、
 アジアにおけるプテロダクティルス科の議論の余地の無い化石である。
 ジュラ紀後期ドイツゾルンフォーヘン産のプテロダクティルスより派生して
 いる。この発見はプテロダクティルス科のヨーロッパ、アフリカ及びアジア
 における分布範囲を広げるとともにジュラ紀後期から白亜紀前期にかけ
 て最後の産出となっている。熱河生物群の起源と輻射の研究に新たな
 証拠をもたらすととともに、ジュラ紀後期の翼竜の進化と分布に新たな
 光を与えるものである。
  科学通報2001年2月第3号(アブストラクト中国語)化石写真
  Chinese Science Bulletin vol.46 No.13 2001年7月英語 化石写真
  なぜか化石写真の色調が中・英でぜんぜんちがう!

A REEXAMINATION OF FOUR PROLACERTIFORMS
  WITH IMPLICATIONS FOR PTEROSAUR PHYLOGENESIS 11.29.00
 DAVID PETERS
 RIVISTA ITALIANA DI PALEONTOLOGIA E STRATIGRAFIA 
 Abstracts vol.106 (2000) n,3 で、翼竜類の系統的位置付けについて、再検討して
 います。Cosesaurus aviceps, Longisquama insignisSharovipteryx mirabilis
 記載標本の再調査により、多くの形質が異なって解釈されうることが示唆され、
  新たに記載されたLangobardisaurus とともに翼竜類のシスターグループを成す
 ことが示唆されるとのこと。(よくわからないで書いているので、アブストラクトを
 お読みください。)

イタリアで発見された基盤翼竜類11.28.00
  DinosaurMLによると、Paleontologica Italiana.39 (2): 229-234で報告された
 もの。フリウリ地方のノリアン(三畳紀後期)の地層から第4指の長さが137mm
 に達するものだそうです。
 同じMLでは、韓国で8千6百万から9千2百万年前の翼竜足跡が発見さ、その
 長さは35cmにもなり、これは最大の翼竜ケツアルコアルトスに匹敵するという
 ことです。マーチン・ロックレイがSVP総会で語ったという記事。
 ニューサイエンティスト11月24日号に掲載されているそうです。

穂別町立博物館で展示中の翼竜化石について7.16.00
  同博物館櫻井学芸員から、下記資料をお送りいただきました。
 7月10日付けのヤフーニュースでは簡単にしか触れていないことですが、実際には、
 これだけ研究されているのですね(展示標本どれにも言えることでしょうが)。ぜひ同
 博物館に見にいらしてください。

1.「世界に2例」
 ご指摘の通り,「立体的に保存された頸椎」として世界で2番目です.
 翼竜化石は南極大陸を除く各大陸から発見されていますが,非常に軟らかいチョーク
 層に保存されている場合が多く,圧密によって扁平なレリーフ状となっている場合がほ
 とんどのようです.逆に言えば,翼竜の全身骨格は,多くはそうした扁平な化石から復
 原されているようです.その中で,初めて立体的に保存された標本がアメリカ合衆国デ
 ラウエア州で発見され(デラウエア標本,1981年に記載論文公表),今回展示した「遠
 別産翼竜化石」が2例目となるわけです.

 日本で発見される場合は,保存状況の違い(包有されている地層の違い)から,扁平
 になることは少ないようですが(少なくとも北海道ではノジュール中に保存されること
 が多いようで,化石は基本的に立体的です),その一方で断片的であるというのが悩
 みです(ご存じのように,脊椎動物化石丸ごと一体はそう簡単にはありません....).
 なお,道内産翼竜化石が見られるのは,当館の他は,三笠市立博物館のみです.こ
 ちらには,上腕骨1点(夕張産),大腿骨1点(三笠産),歯2点(三笠産)が展示され
 ており,これらはもちろん,立体的に保存された標本です.

2.「遠別産翼竜化石についてのデータ」
  本標本についての記載は,地徳(1996)にてなされています.それによりますと,
 「オルニソケイルス科に属するが,プテラノドン(プテラノドン科)に類する特徴を持つ」
 とされています.どっちなんだと思いますが,この問題は,遠別標本もしくはデラウエ
 ア標本(おそらく遠別標本と種レベルで一致する)の少なくとも頭骨が見つかるか,
 立体的に保存されたプテラノドン化石が発見されるまで,解決できないようです.

 なお,翼開長5.8mは,デラウエア標本の推定値を採用しています.遠別標本は,「中
 部系列頸椎<第3~第7頸椎>のうちのどれか」とされています.デラウエア標本は
 遠別標本よりも一回り大きいのですが,中部系列頸椎(第3~第7)の範囲内に納ま
 るようです.この値は,プテラノドンとすれば同じか若干小さめですが,オルニソケイル
 ス科とすれば遥かに大きいようです.その他は,後掲の参考資料をご覧下さい.
 なお,翼竜の頸椎は,Howse(1986)によれば,一般的に9個あり,前部・中部・後部
 の三系列に分けられるそうです.前部系列(環椎<第1頸椎>と軸椎<第2頸椎>),
 中部系列(第3~第7頸椎),後部系列(第8~9頸椎)は各々特徴が異なるようです.
 つまり今回の遠別産翼竜の頸椎は,9つあるうち,まん中のどれかということになりま
 す.

3.「展示期間」
 2000年6月1日より常設展示室にて公開中で,当面の間,公開します.展示室を大幅
 に更新しない限り,展示しているつもりです.


[参考資料]
--------------------------
遠別産 翼竜化石

産出地   :北海道遠別町

発見者   :岩田 正敏(札幌市在住)

産出層・時代:函渕層群・中生代白亜紀後期,後期シャンパーニュ世(約8000万年前)

標 本   :頸椎(首の骨,中部系列頸椎<第3~第7頸椎>のうちのどれか)

寄 贈   :1993年7月2日

標本番号  :HMG-1052(穂別町立博物館登録資料)

分 類   :翼竜目
       翼手竜亜目(プテロダクティルス亜目)
       オルニソケイレス科(Ornithocheiridae Seeley, 1870)
       もしくは
       プテラノドン(Pteranodon Marsh, 1876; プテラノドン科 )

特 徴   :立体的に保存された,世界で2つ目の翼竜の頸椎.翼竜は空を飛ぶために
      体を軽くし,骨内部の大部分はスポンジ状組織が占めている.そのためとて
      ももろく,ほとんどは平面状につぶれて発見されている.立体的に保存され
      ている翼竜の頸椎の1つ目は,アメリカ合衆国デラウエア州から発見された
      化石(デラウエア標本)である(そのレプリカは当館が所蔵している).

大きさ   :産出した頸椎の長さは56mm.遠別標本の翼を広げた大きさ(翼開長)
      は約5.8mと推定される.これは,デラウエア標本(67mm)の大きさを推
      定したBaird & Galton (1981) の値に基づく.

研 究   :地徳 力(穂別町立博物館・元学芸員)によって研究(地徳,1996).

公 表   :新聞報道(北海道新聞,1994年4月2日,夕刊)

展示の意義 :1993年に寄贈,1996年に研究された後,収蔵庫に保管されていた翼竜
       化石を展示した.穂別町からの産出ではないが,穂別地域でアンモナイトや
       クビナガリュウが泳いでいた時代,遠別町では翼竜が空を舞っていたのであ
       る.また,穂別地域から豊富に産出・展示されている海の生物(クビナガ
       リュウ,モササウルス,ウミガメ,アンモナイトその他),最近話題の陸の
       生物(新属新種のリクガメ.クリーニング未完状態のレプリカは以前から展
       示されている)に加えて,空の生物が仲間入りすることとなる.
       なお,翼竜化石を展示している公立の博物館は,道内では当館のほかは,
       三笠市立博物館だけである(上腕骨1点:夕張産,大腿骨1点:三笠産,歯
       2点:三笠産).

翼竜の解説 :中生代(穂別では海竜の時代)に空を飛んでいたハ虫類.海岸の切り立っ
       たがけで生活し,長くのびた第四指(くすり指)と体の間にある皮膜で空中
       を滑空,海上で魚などをとらえていたらしい.南極を除く各大陸に分布.恐
       竜とともに白亜紀末に絶滅した.後期三畳紀~後期ジュラ紀に繁栄した,カ
       ラス大~人間大の嘴竜亜目(ランフォリンクス亜目)と,後期ジュラ紀~後
       期白亜紀に繁栄した,人間大~十数mの翼手竜亜目(プテロダクティルス亜
       目)の2つのグループに分けられる.なお,クビナガリュウ,モササウルス
       などと同様に,「恐竜」ではない.

文 献   :地徳 力,1996.北海道遠別産,翼竜の頸椎.
       穂別町立博物館研究報告.第12号.p.17-22.
--------------------------
参考:穂別町立博物館の紹介サイト
      穂別町立博物館公認サイト
      The Pterosaur Home Page

穂別町立博物館で展示中の翼竜化石について7.16.00
  同博物館の櫻井学芸員から詳しい資料をお送りいただきました。
 最新ニュースに掲載します。

国立科学博物館モノグラフ17号出版3.22.00
  「アンハングエラ科(翼竜)の新種の記載とブラジル北部サンタナ層の翼竜相」
 というタイトル(英文"DESCRIPTION OF A NEW SPIECIES OF ANHANGUERIDAE
 (PTERODACTYLOIDEA) WITH COMMENTS ON THE PTEROSAUR FAUNA
 FROM THE SANTANA FORMATION (APTIAN-ALBIAN),NORTHEASTERN
 BRAZIL" 135ページ)。

 本館1階に展示してあるアンハングエラ属の化石を詳しく調べた結果、新種で
 あるとともに、これまで知られていなかった多くの解剖学的特徴が明らかになっ
 たそうです。さらにブラジル産のその他の多様な翼竜化石についても注釈を加
 えています。

 著者はブラジル国立博物館地質古生物部門長アレックス・ケルナー博士と科博
 の冨田幸光室長。
 1冊1,300円。本館地下ミュージアムショップで販売しています。

北海道三笠市で発見された翼竜の歯化石8.24.99
  三笠市立博物館(高橋英昭館長)は24日、同市内の蝦夷層群三笠層(白亜紀後期
 セノマニアン階(約9,700~9,000万年前)の地層)発見された二個の化石が、オルニト
 ケイルス科の翼竜(よくりゅう)の歯と確認されたと発表した。
 白亜紀後期の同科の翼竜が発見されたのはアジアで初めてという。

 同博物館によると、翼竜の歯はこれまでに、岐阜県で白亜紀前期の化石が見つかって
 いるが、白亜紀後期の同科翼竜は英国とモロッコで発見されているだけという。

 同博物館の早川浩司主任研究員によると、化石は岩見沢市内の無職解良正利さん(73)
 が'88年5月、同市の会社員小山内年昭さん(53)が'97年6月に、それぞれ三笠市の桂沢
 と奔別沢で発見し、同七月に三笠市立博物館に鑑定依頼があった。同博物館は翼竜の
 権威、ドイツ・フンボルト大自然博物館(ドイツ)のデビッド・アンウィン博士に研究を依頼し
 ていた。

 解良さんが見つけた歯は長さ24ミリ、幅最大9.8ミリ。小山内さんのは長さ12.5ミリ、幅
 最大5ミリ。解良さんのものは断面がフットボール型で、片側がやや平らなのに対し、反
 対側は丸みを帯び、エナメル質に覆われている。小山内さんの歯も類似しており、同博
 士はイギリスなどで発見された化石と比較から、「大きさ、形、装飾の形状から、オルニ
 トケイルス科の翼竜と考えられる」と鑑定結果を回答してきた。

 翼竜に詳しい国立科学博物館の真鍋真研究官は「オルニトケイルスは9千万年前までに、
 アジアでは絶滅していたと考えられてきた。今回の発見は少なくとも同時期に、アジアでも
 生息していたことを示すものだ」と評価している。 

 オルニトケイルス 頭骨は細長く、すべての種に歯がある。翼を広げた長さは約2.5mにもなり、
 白亜紀前期(約1億4,500~9,700万前)には世界的に生息していたとされる。
 オルニトケイルス科の翼竜は36種数えられるそうですが、三笠の翼竜は今後の資料で新種
 になるでしょうか。
 ヤフーニュースライン時事
 ヤフーニュースライン毎日新聞
 ヤフーニュースライン北海道新聞詳しい
 読売新聞やや詳しい
 参考:三笠市立博物館を紹介しているページ
     The Pterosaur Home Page


翼竜化石は羽毛恐竜の年代を決めるか?4.16.99
 ネイチャー4月15日号のScientific Correspondence欄へのカリ
 フォルニア大学バークレー校のK Padian たちの報告によると、遼
 寧省北票で見つかった翼竜化石から、この動物群はジュラ紀後
 期のものとしているようです。羽毛恐竜の年代を決定する決め手
 となるでしょうか。
 ネイチャー
 ネイチャー門(日本語サマリーあり)

北海道夕張市で昨年発見された化石が翼竜の上腕骨と判明3.17.99
 昨年9月に夕張市のシューバロ湖で採取された化石が約8,800万年前
 白亜紀チューロニアンに生息していた翼竜の上腕骨であることが、判明
 しました。発見者は岩見沢市内の会社員小山内年昭さん。化石採集中に
 発見し、三笠市立博物館に鑑定を依頼したそうです。
 化石は長さは17cm、周囲は細い部分で9cmで、両端の一部が欠けるとの
 こと。翼を広げた時の大きさは5、6mと推定されるそうです。
 北海道の空を巨大な翼竜が舞っていたと想像すると、ちょっとすごいですね。
 ヤフーニュースライン
 読売新聞ストリーム(写真と声の解説。要リアルプレイヤー)
 読売新聞ストリーム(記事)