遼寧省西部白亜紀前期産の新しいアズダルコ科翼竜 8.04.05
New Azhdarchid Pterosaur from the Early Cretaceous of Western Liaoning
LU Junchang(呂君昌) and JI Qiang(季強)
ACTA GEOLOGICA SINICA(地質学報英文版) vol.79 No.3 pp.301-307
遼寧省朝陽市九仏堂層産出の、下顎を伴った殆ど完全な翼竜骨格。アズダルコ科の
新属新種としての記載です。
Eoazhdarcho liaoxiensis gen. et sp. nov.
属名はアズダルコ科の初期形態であること、種小名は化石産出地、遼西を意味します。
アズダルコ科は歯のない翼竜で、白亜紀後期のQuetzalcoaltusなども含まれます。日
本でも、淡路島の和泉層群西淡層から同科の頚椎が産出しています(参照)。
Eoazhdarcho は比較的小型で、翼開張は約1.6mです。そのほかの分類基準として、頚
椎の中部の椎骨の長さ対幅の比は約3.5であること;上腕骨対大腿骨の比は約0.96であ
ること;他の遼西産の歯が無い翼竜とは異なり、肩甲骨と烏口骨が癒合してU形の骨に
なっていること;尺骨と翼の第四中手骨の長さの比は0.90であり、上腕骨の三角胸筋
稜と骨幹の長さの比は約0.33であることがあげられています。
他のアズダルコ科翼竜と比較すると、まず体の大きさがはるかに小さいこと、他の翼
竜では中部頚椎骨の長さと幅の比が4を超えることなどをあげ、Eoazhdarcho がアズ
ダルコ科の原始的な形態であるとしています。また、中国で発見された最古の同科翼
竜であるとしています。