ティクターリクのヒレの復元 4.02.14
  サイエンティフィックアメリカンブログ
  岩からティクターリクの骨を取り出し、ヒレを復元する過程を描いています。
  参考:PBSで放送される"your innner fish"から動画
      Amazing Places, Amazing Fossils: Tiktaalik

Tiktaalik roseae の骨盤と腹鰭発見から、後肢の進化明らかに 1.14.14
  ユーレカアラート シカゴ大ニュース シカゴ大 ナショナルジオグラフィック(日) AFPBB
  Tiktaalik roseae といえば、水中から陸へ移行する過程の生物として有名です。日本でも
 ニール・シュービン「ヒトのなかの魚、魚のなかのヒト」で、よく知られています。
 その完模式標本には骨盤や後肢の部分がなく、後肢の進化についてはよくわかっていませ
 んでした。しかし、カナダ北部の模式産地で引き続いた発掘の結果、完模式標本の完全な
 骨盤と腹鰭部分を含むブロックを採集したそうです。その結果、単一個体の前後肢の比較が
 できるようになりました。
 その骨盤はいくつかの初期の四肢動物に匹敵するということです。その腰帯は肩帯とほぼ
 同サイズでした。股関節はボールとソケット状になっていて、胴体の下に伸ばすことができる
 高度に可動な大腿骨に関節する構造です。骨盤の筋肉がつく稜も、その強さと鰭の高度な
 機能を示しています。大腿骨そのものは見つかっていませんが、後肢鰭を含み、それは前肢
 と同様に複雑なものであることがわかりました。
 Tiktaalik の骨盤は、四肢動物に比べると、まだ魚のようで、3つの部分に分かれていないも
 のですが、一方、骨盤のサイズ、可動性、頑丈さおよびその股関節により、Tiktaalik を広い
 範囲に動き回ることを可能にしました。シュービンによると、その広い鰭は泳ぐときにパドル
 のように使ったが、一方、(水中を)歩くためにも使っただろうとのことです。
 Neil H. Shubin, Edward B. Daeschler, and Farish A. Jenkins, Jr.(2014)
 Pelvic girdle and fin of Tiktaalik roseae
 PNAS doi: 10.1073/pnas.1322559111 アブストラクト論文(PDF) オープンです。
 参考:Tiktaalik プロジェクト

最も初期のステム群四肢類の椎骨構造 2.16.13
  四肢類は、大ざっぱに言えば、最も初期に水中から陸上に上がったどうかという頃の動物
 です。その椎骨はまだ一体構造にはなっていませんでした。背側の神経弓と神経棘、前腹側
 に間椎心、後背側に対になった側椎心がある、ラキトム型椎骨という椎骨が最も初期の椎骨
 だと考えられてきたのです(参考:wiki/Tetrapod vertebrae)。
 しかし、今回実際にイクチオステガ標本を伝搬位相コントラストX線シンクロトロントモグラフィー
 にかけ、椎骨の構造を明らかにした研究が出ました。
 すると、椎骨どうしの関係が、従来の考え方とは違っていることが明らかになりました。側椎心
 がすぐ後ろの間椎心に接合または融合しており、これはラキトム型椎骨とは逆の「逆転ラキト
 ム型椎骨」構造をしていることがわかりました。また、アカントステガやペデルペスと比較した
 結果、逆転ラキトム型が四肢類の椎骨の祖先構造であることがわかったそうです。
 Stephanie E. Pierce, Per E. Ahlberg, John R. Hutchinson, Julia L. Molnar, Sophie Sanchez,
 Paul Tafforeau & Jennifer A. Clack (2013)
 Vertebral architecture in the earliest stem tetrapods
 Nature 494,pp.226?229 doi:10.1038/nature11825 アブストラクト

初期陸生四肢動物の皮骨は、血液の酸性化を防ぐ役割をした 4.28.12

四肢への移行はヒレを形成する遺伝子の喪失から 6.24.10
  ネイチャーニュース
  水中から陸上へ、どのように進出していったのかは、化石の上からも興味深いもの
 です。この研究は遺伝子の面から、どのようにヒレから四肢に移行していったかを解
 明したものです。
 オタワ大のMarie-Andree Akimenkoらがゼブラフィッシュを用いた研究で、ヒレの硬い
 繊維質を形成する蛋白質(actinodin 1 and 2)をコードする遺伝子群がゼブラフィッシュ
 やelephant sharkには存在するが四肢動物には存在しないことがわかりました。
 これに対し遺伝子の喪失が先か四肢の獲得が先かが問題とコメントする研究者もい
 ます。
 Jing Zhang, Purva Wagh, Danielle Guay, Luis Sanchez-Pulido, Bhaja K. Padhi, Vladimir Korzh,
  Miguel A. Andrade-Navarro & Marie-Andre'e Akimenko

 Loss of fish actinotrichia proteins and the fin-to-limb transition
 ネイチャー doi:10.1038/nature09137 アブストラクト

初期の四肢動物Ichthyostega の三次元下肢関節可動性 5.24.12
   ロンドン大 ケンブリッジ大
  脊椎動物が水中から陸上へ移行する際には、四肢が泳ぎから歩行できるよう、どのように変形し、
 機能していったか解明するこは、脊椎動物の進化の上で非常に重要なことです。
 この研究では初期の四肢動物Ichthyostega の立体再構築と、四肢可動性の定量比較分析を提示
 しています。その結果、Ichthyostega は四肢動物に典型的にみられる移動様式lateral sequence
 walking(左後脚、左前脚、右後脚、右前脚の順で脚が接地する歩行)を採用していなかったこと、特
 に地面から体を押して交互に順番に脚を移動させるに必要な四肢の回転運動を欠いていたを示す
 としています。ところが、四肢動物類の魚類では、ヒレは長軸回転することができるので、四肢動物
 の発展段階あるいはIchthyostega そのものが、この点においてユニークであったと思われる。
 さらに、Ichthyostega の骨格形態と四肢可動性から、最近報告された中期デボン期の行跡は、この
 ような動物のものではありそうでないと結論すると、しています。
 Stephanie E. Pierce, Jennifer A. Clack & John R. Hutchinson
 Three-dimensional limb joint mobility in the early tetrapod Ichthyostega
 Nature(2012)doi:10.1038/nature11124 アブストラクト
 参考:Structure and Motion Laboratory

 Panderichthysの胸びれと、指趾の起源 12.04.08
  9月29日付で紹介した四肢動物の指の起源についての論文、ネイチャー12月4日号に
 掲載となりました。
 Catherine A. Boisvert, Elga Mark-Kurik & Per E. Ahlberg
 The pectoral fin of Panderichthys and the origin of digits
 Nature 456, 636-638 (4 December 2008) | doi:10.1038/nature07339
 指が四肢動物で新奇に現れた構造ではなく、すべての肉鰭類魚類がもっていた遠位放射
 骨に由来するものであることを強力に証拠づけるものとしています。

手足の指は3億8000万年前の魚類に出現した、スウェーデン研究9.29.08
  AFPBB サイエンスデイリー ウプサラ大ニュース ナショナルジオグラフィック
  四肢動物の指の起源について、これまでTiktaalik が最初とされていましたが、
 それより魚に近いPanderichthysのヒレ内部の骨に既に指にあたる骨があった
 そうです。
 Catherine A. Boisvert, Elga Mark-Kurik & Per E. Ahlberg
 The pectoral fin of Panderichthys and the origin of digits
 Nature advance online publication 21 September 2008 | doi:10.1038/nature07339
 アブストラクト

デボン紀の四肢動物Ichthyostega(イクチオステガ)の体軸骨格 9.05.05

四肢動物の内鼻孔の起源 11.04.04

四肢動物はなぜ上陸したか 8.03.04

西ヨーロッパ産デボン紀の四肢動物化石 1.28.04

スコットランドから最古の陸上生物化石 1.26.04

初期四肢動物の超系統樹 12.02.03
  A supertree of early tetrapods
  Marcello Ruta ; Jonathan E. Jeffery ; Michael I. Coates
  Proceedings: Biological Sciences vol.270 No.1532 pp.2507-2516

  初期四肢動物のスーパートリーを50のソース系統樹から作成していま
 す。

アジア産の初めてのデボン紀四肢動物 12.19.02
  ネイチャー12月19日号掲載ブリーフコミュニケーション
  First Devonian tetrapod from Asia
  MIN ZHU, PER E. AHLBERG, WENJIN ZHAO & LIANTAO JIA
  Nature 420, 760 - 761 (2002); doi:10.1038/420760a

  中国北西部、寧夏回族自治区Zhongning 層(約3億5千5百万年前) で発
 見された、不完全な左下顎骨について報告しています。

「ローマーの空白」から見つかった初期四肢動物 7.04.02
  An early tetrapod from 'Romer's Gap'
  J. A. CLACK 
  ネイチャー7月4日号掲載 Nature 418, 72 - 76 (2002)

  初期四肢動物の化石記録は、デボン紀と石炭紀前期から新しい発見が増えてい
 るそうです。が、化石記録に乏しい2,000万年の期間(ローマーの空白)があり、その
 間に初期四肢動物は主要な陸生の特徴を獲得していったと見られています。

 今回報告された四肢動物は、Tournaisian(トルネー統層3億5,400万年〜3億4,400
 万年前)でこれまでに出土した四肢動物としては、関節のある唯一の骨格標本。
 Pederpes finneyae gen. et sp. nov. と命名されています。

 手には5本の指がありますが、小さい6本目の指があったかもしれません。デボン
 紀の四肢動物よりも陸生に適した構造をし、それより新しい姉妹群にあたるアメリ
 カ産のWhatcheeria属とともに、デボン紀後期の四肢動物に次いで最も原始的な
 四肢動物のクレードを構成し、デボン紀後期と石炭紀中期の四肢動物群の間にこ
 れまであった時間的、形態的、系統発生的な空白を埋めるものとしています。
 BBCニュース ヤフーニュース(時事) 朝日新聞
 ネイチャージャパン
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 参考:ハンテリアン博物館
 著書:Gaining Ground The Origin and Evolution of Tetrapods(インディアナ大)
    手足を持った魚たち-脊椎動物の上陸戦略 (講談社現代新書)

水から陸へ、ミッシングリンクの化石?5.2.00
  最も発達した魚は3億8千万年前、そしてこれまで知られている最古の上陸
 した四足動物は3億6千万年前なのだそうです。しかし、その間をつなぐミッシ
 ングリンクは発見されていませんでした。ところが、既に40年前にその化石が
 発見されていたそうです。
 
  エストニアの古生物学者、Elga Mark-Kurikは今年齢71歳になるそうですが、
 彼女がまだ学生だった1953年に発見した顎の化石、同様な化石は1964年に
 ラトビアでも発見されているそうですが、それがミッシングリンクのようなのです。
  このことは、prestigious British journal Paleontologyの8月号に掲載されるそ
 うです。

 では、なぜ40年以上もわからなかったのか?それは、東西冷戦時代のソビエト
 の鉄のカーテンのせいで、西側で発見された化石との比較研究ができなかった
 ためです。また、その頃の論文はロシア語で発表しなければならず、西側の研
 究者の眼にとまりにくかったようです。さらに、バルト3国が独立した後も経済的
 理由で西側との交流ができなかった、90年代半ば以降、NATOのスコットランド
 とバルト諸国の岩石を比較するという事業のおかげで交流できたそうです。
 
 化石はLivonia multidentataと命名されました。これは、その発見された場所と
 特異な5列の、あるいはかみそりのような歯にちなんだそうです。
 ヤフーニュース
 ディスカバリーオンライン

水から陸へ、かぎを握る化石発見4.4.00
  英自然史博物館のパー・アールバーグ率いる調査で、ラトビアとエストニア
 から3億7千万年前の顎部分の化石が発見されたそうです。これまで水から上
 陸した最初は3億6千5百万年前と考えられているそうですが、その祖先とされ
 る、最も進化した魚類と、最も原始的な両生類との間には、なおギャップがある
 そうです。
 新しく発見された化石は、このギャップを埋めるかもしれません。
 この化石の報告は、palaeontology誌に8月に掲載されるそうです。
  BBCニュース
  ディスカバリーオンラインカナダ
  英自然史博物館Dr.Per E.Ahlberg
  プロジェクト orgin & evolution of tetrapods
  参考:ケンブリッジ大Jenny Clack