戻る

四肢動物の内鼻孔の起源 11.04.04
  The origin of the internal nostril of tetrapods
  MIN ZHU AND PER E. AHLBERG
  ネイチャー11月4日号 Nature 432, 94 - 97

  私達は鼻の穴をふだん気にせず、呼吸しています。鼻の穴は陸上で呼吸
 するために絶対必要な条件の一つでしょう。でも、呼吸と鼻の穴は最初から
 関連していたのではありません。鼻孔が口腔とつながって初めて呼吸の役
 に立つのです。現生の硬骨魚類では、前鼻孔と後鼻孔をもつトンネル状で、
 その中を通る水から化学物質を感じ取っています。鼻孔の起源は四肢の起
 源よりはるかに早く、魚類から四肢動物への移行開始の状況を理解するた
 めに不可欠であるそうです。

 では、鼻孔が口腔とどうやってつながったのか、これまでおよそ百年にわたっ
 て論争が続いてきたそうです。内鼻孔は外鼻孔が口蓋へ移動したものだと
 主張する研究者がいる一方、この移動は上顎骨−前上顎骨の歯列や三叉
 神経の枝である上顎神経をいったん断絶し、再結合することになるから受け
 入れられないと反対する研究者もいます。決着がつかなかったのは、既に知
 られている原始的な四肢動物では、内鼻孔が完全に発達しているからだそ
 うです。

 移動の中間段階を示すのが、今回報告された Kenichthys campbelli という、
 3億9千5百万年前の原始的な魚類化石です。中国雲南省で発見されました。
 最も初期の四肢動物形類として紹介されています。

 この魚の化石を復元すると、元々前外鼻孔と後外鼻孔の一対であった鼻孔
 のうち、後外鼻孔は、元々の位置より下に移動して前上顎骨と上顎骨を隔
 てる位置、歯列を断絶する位置に移動しています。

 これは、内鼻孔の起源を示す直接の証拠となり、また内鼻孔の相同性を確
 証するもので、転位した後外鼻孔が、Kenichthysに見られる短い移行段階
 に際して上顎骨と前上顎骨を隔てたものとしています。
 ニューサイエンティスト
 参考:顔の進化