謎の恐竜デイノケイルスの全貌が明らかに 12.24.14
  Natureダイジェスト
  ネイチャー本誌に10月22日掲載された記事の日本語訳です。原文と対照すれば、この
 分野の英文をどう翻訳していくか、参考になるでしょう。

オルニトミムス科における成長と骨密度のバリエーション 12.05.14
  恐竜の成長曲線を調べるとき、1個体のみを対象にしていると、間違った結論を出す
 おそれがあります。ここでは、複数個体で調べたようで、結果は各個体の差より1個体
 中の骨の各部により骨密度が異なる場合もあるようです。サンプリング次第で結果に
 バイアスが与えられることに注意する必要があるのでしょう。
 Thomas M Cullen, David C Evans, Michael J Ryan, Philip J Currie and
 Yoshitsugu Kobayashi (2014)
 Osteohistological variation in growth marks and osteocyte lacunar density in a
 theropod dinosaur (Coelurosauria: Ornithomimidae).
 BMC Evolutionary Biology 2014, 14:231 doi:10.1186/s12862-014-0231-y
 アブストラクト

デイノケイルス、ナゾの恐竜(きょうりゅう)ふしぎな進化/通信員だより 11.11.14
  北海道新聞 道新小学生新聞フムフム
  デイノケイルスはどのような恐竜だったのか、小学生向けにやさしく解説しています。

デイノケイルスの謎、解明 10.23.14
  北海道大学(PDF) 北海道大学総合博物館 ネイチャーニュース NHK 
  47ニュース 毎日新聞 サイエンスポータル
  長い間、両腕から先しか知られていなかったデイノケイルス。新しい標本が発掘され
 全容が徐々に知られてきましたが、今日、ネイチャーに論文が掲載されました。
 デイノケイルスは巨大化したオルニトミモサウリア類であること、含気化した骨をもち、
 走るのをやめゆっくり歩く。伸びた吻部、深い顎長い棘突起、尾端骨、U形をした鎖骨、
 強力な筋肉が付着する膨大した骨盤、比較的短い前肢、幅広い足指等の特徴があげ
 られています。頭骨の機能、数千の胃石が残っていること、胃の中に魚の残骸がある
 ことから、デイノケイルスは中湿性環境に生息し、魚も食べていた雑食性だったとして
 います。
 Yuong-Nam Lee, Rinchen Barsbold, Philip J. Currie, Yoshitsugu Kobayashi,
 Hang-Jae Lee, Pascal Godefroit, Francois Escuillie & Tsogtbaatar Chinzorig
 Resolving the long-standing enigmas of a giant ornithomimosaur
 Deinocheirus mirificus

 Nature (2014) doi:10.1038/nature13874 アブストラクト

ヨーロッパのオルニトミモサウルス類 5.27.14
  ヨーロッパのオルニトミモサウルス類といえば、ペレカニミムスしか頭に浮かび
 ません。が、論文によると、フランス南西部から数百のオルニトミモサウルス類の
 化石が産出し、それにより英サセックスから産出したValdoraptor は、南アフリカ産
 Nqwebasaurus と同時代であり最古の同類である等の再評価がされています。
 オルニトミモサウルス類はアフリカからヨーロッパ・アジアを経て北米まで放散し
 たのでしょうか。
 R. Allain, R. Vullo, J. Le loeuff & J.-F. Tournepiche (2014)
 European ornithomimosaurs (Dinosauria, Theropoda): an undetected record.
 Geologica Acta 12(2) (advance online publication) June 2014 論文

腕だけだった謎の恐竜、胴体を発見 11.07.13
  ナショナルジオグラフィック(日)
  話題のデイノケイルス。この記事を見ると、やはり背にヒレですか。
 
デイノケイルス(Deinocheirus mirificus)の新標本について 11.02.13
  徳川さんのツイッタ―でデイノケイルスの全身像が予想外過ぎ・・・と出ています。
 デイノケイルスのこれまで唯一の標本は、現在国立科学博物館で展示されています。
 しかし、SVPのアブストラクトを見ると新標本が発見されています。
 2006年アルタン・ウウルWから。2009年にブギン・ツァフから、いずれもネメグト層から産出
 しています。発掘したのは韓国・モンゴル共同チーム。ブギン・ツァフの標本は頭骨を除く骨
 格の一部。その上腕骨長993oは模式標本の938mmをしのぐ長さです。アルタン・ウウルW
 標本は亜成体(ブギン・ツァフ標本の約72%の大きさ)で、後肢などがあります。
 これらの標本により、
 系統分析によりデイノケイルスはオルニトミモサウルス類の基盤的メンバーだが、多くの骨
 の特徴が他の同類と異なっている。例えば遠位胴椎には椎体高の7〜8倍の高さがある神
 経棘がある。仙骨にも腸骨高の170%の高さの癒合した神経棘がある。
 →これらから背中にヒレという復元になるのでしょうか。
 それら特徴から、デイノケイルスは他のオルニトミモサウルス類とは異なり、あまり速く走る
 動物ではなく、骨盤と手足ががっしりと大きかったとしています。しかし肋骨は膨らんでいな
 いので胴体はそう太くなかったとしています。胃石がブギン・ツァフ標本から1100個あまり発
 見されているので、植物食であったことが示唆されるとしています。
 SVP会場で見てみたい!!

 
福井からオルニトミモサウルス類指化石など 6.25.13
  福井新聞(動画記事) 中日新聞
  福井県立恐竜博物館は、24日、北谷層から産出したオルニトミモサウルス類の
 指の骨やイグアノドン類の幼体、多丘歯類など2種類の哺乳類の顎の骨を確認し
 たと発表しました。また、イグアノドン類幼体の大腿骨を切断して、断面に成長停
 止線が3つ確認できたということです。3歳以上だったのでしょうね。
 発表内容は28日から熊本大で開催される日本古生物学会で発表されます。

植物食の獣脚類恐竜では、体重増加の方向性進化の証拠はなかった 11.29.12
  ノースカロライナ州立大
  獣脚類=肉食ととらえられがちですが、ここではテリジノサウルス類、オビラプトル類、オル
 ニトミモサウルス類、を植物食ととらえています。
 これらの恐竜で最大のものは、3t以上に達しています。一般的に植物は肉より低栄養価な
 ので、巨大な消化器官を有していた方が生存に有利になり、選択圧が生じると仮説されま
 す。しかし、これらの恐竜グループで体サイズが最小のものは時系列の中で早期に出現し
 最大のものは最後に出現していますが、この単純な相関関係は、大きなサイズが進化上の
 利点であったどうか示すには至りませんでした。
 資源の豊富さなど、別の要因もからみ、体サイズのみが圧倒的に優位な要因になるわけで
 はなかったのでしょう。
 Lindsay E. Zanno & Peter J Makovicky (2012) [2013]
 No evidence for directional evolution of body mass in herbivorous theropod dinosaurs.
 Proceedings of the Royal Society B 280 (1751): 20122526 doi: 10.1098/rspb.2012.2526
 アブストラクト 論文フリー

 
ダチョウ恐竜に羽毛 10.26.12
  北海道大学(詳しい解説と写真)
  カルガリー大ニュース ロイヤルティレル古生物学博物館 47ニュース ユーレカアラート
  オルニトミムスに羽毛があったことがわかりました。カナダ、アルバータ州の白亜紀後期の河川
 チャネル堆積物の砂岩層から産出した、オルニトミムス科恐竜、Ornithomimus の化石、成体2体
 と幼体1体の標本に、羽毛痕跡が認められました。これは、西半球で初めて羽毛痕跡のある標本
 発見です。また、マニラプトル類ではないオルニトミムス科恐竜に羽毛があったことがわかりました。
 1歳未満の幼体1体には胴体や付属肢に繊維状の羽毛が認められました。成体1体は、前肢を欠
 いた不完全なものです。繊維状の羽毛が頸部や胴体の前部に認められました。
 羽軸のついた羽毛の痕跡は、もう1体の成体標本の前肢に認められています。翼のような外観を
 していたのでしょう。
 飛べない非鳥恐竜に生えていたこのような羽毛は、繁殖時のディスプレイや、抱卵時の保護のよ
 うな行動に関わっていたのだろうと推測されています。
 Darla K. Zelenitsky, Francois Therrien, Gregory M. Erickson, Christopher L. DeBuhr,
 Yoshitsugu Kobayashi, David A. Eberth, Frank Hadfield (2012)
 Feathered Non-Avian Dinosaurs from North America Provide Insight into Wing Origins
 Science Vol. 338 no. 6106 pp. 510-514 DOI: 10.1126/science.1225376 アブストラクト

 
モンゴルからオルニトミムス科恐竜の新標本 11.10.10
  Acta Palaeontologica Polonica
  Forthcoming papers に掲載されています。
  モンゴル、ウムヌゴビ県ツァガーン・クシュの後期白亜紀の地層、ネメグト層から産出し
 た派生的なオルニトミムス科恐竜標本をを記載しています。ブギン・ツァフ近くから産出し
 たAnserimimus planinychus と同様だが、手の指の長さなどに違いがあり、これまで知ら
 れていないネメグト層産の3番目の同科恐竜となる可能性があるようです。
 Robert Bronowicz
 New material of a derived ornithomimosaur from the Upper Cretaceous Nemegt Formation of Mongolia
 Acta Palaeontologica Polonica in press available online 04 Nov 2010

  
ガリミムス、低い姿勢で歩行か 9.13.10
  時事 時事
   ゴビ砂漠西部、約7000万年前の地層から発見されたガリミムスの後肢と足跡化石を
 分析したところ、従来の推定より低い姿勢で歩いていたことが分かったそうです。同様に
 タルボサウルスでも低い姿勢で歩いていたことがわかったそうです。
 低い姿勢で歩くのが獣脚類に一般なものであれば、復元も相当変化するでしょう。
 9月18日から富山大で開催される日本地質学会第117年学術大会の9月20日ポスター
 で、林原自然科学博物館(岡山市)の松本幸英研究員と石垣忍副館長が発表します。

タイ東北部からオルニトミモサウリア類 5.13.09
  タイ東北部コーンケーン県Phu Wiangの前期白亜紀Sao Khua 層から産出した、オル
 ニトミモサウリア類が記載されています。
 Kinnareemimus khonkaenensis
 属名はキンナリー(日本の仏教では帝釈天の眷属、緊那羅)タイでは半女性半鳥の存在
 とされているようです。種小名は産地から。
 中足骨に特徴があります。第三中足骨は近位で第二・第四中足骨の間から見えていま
 すが、その間に著しく挟まれ、断面は三角形になってきています。この中足骨の状態か
 ら、この恐竜はHarpymimusGarudimimus より派生しているがArchaeornithomimus
 より派生していないということです。
 Buffetaut, E., V. Suteethorn & H. Tong. 2009.
 An early 'ostrich dinosaur' (Theropoda: Ornithomimosauria) from the Early Cretaceous
 Sao Khua Formation of NE Thailand,
 pp. 229-243 IN E. Buffetaut, G. Cuny, J. Le Loeuff & V. Suteethorn (eds.),
 Late Palaeozoic and Mesozoic Ecosystems in SE Asia.
 Geological Society, London, Special Publications 315: 229-243. DOI: 10.1144/SP315.16

中国甘粛省から2種の獣脚類記載 4.23.09
  ユーレカアラート
  中国甘粛省嘉峪関市近くのゴビ砂漠、前期白亜紀(アプティアン〜アルビアン)新民堡層群
 から産出した2種の獣脚類が記載されています。

 1つは、Xiongguanlong baimoensis
 属名は"Xiong guan" 中国語で”雄関”険しい関所を指し、万里の長城最西部にある嘉峪関
 にちなんだもの+"long" 中国語で”竜”。
 種小名は"bai mo" 中国語で”白魔” 白魔城として知られるフィールドのドラマチックな地形
 にちなんで産出地を表します。

 この恐竜はティラノサウルス上科の進化の中で、初期の祖先と後期のT-REXなどの間をつ
 なぐ、ミッシングリンクの位置にあるそうです。腰までの高さ1.5m、推定体重270kgという、中
 型のハンター。細長い吻部が特徴的ですが、一方、短く幅広い頭蓋ほか、T-REXにつながる
 特徴をすでに備えているそうです。
 Daqing Li, Mark A. Norell, Ke-Qin Gao, Nathan D. Smith and Peter J. Makovicky
 A longirostrine tyrannosauroid from the Early Cretaceous of China
 Proceedings B doi: 10.1098/rspb.2009.0249 アブストラクト

 2つ目は、Beishanlong grandis
 属名は"Beishan" 中国語で”北山”+”竜” 馬?山地区で発見されたためのようです。
 種小名は体型が十分巨大なことから。
 同じフィールドから産出したオルニトミモサウルス類です。
 この仲間としては巨大で、推定体重626kg。しかも成体ではなかった(推定14歳)そうです。
 系統的にはHarpymimus とともにShenzhousaurus より派生し、Garudimimus 及びオルニト
 ミムス科からなるクレードと姉妹群をなすそうです。
 Peter J. Makovicky, Daqing Li, Ke-Qin Gao, Matthew Lewin, Gregory M. Erickson and Mark A. Norell
 A giant ornithomimosaur from the Early Cretaceous of China
 Proceedings B doi: 10.1098/rspb.2009.0236 アブストラクト

若者恐竜は集団で歩き回り、死亡した 3.17.09
  シカゴ大ニュース ナショナルジオグラフィック(日)
  12月20日付けで紹介した、中国内蒙古自治区で発見されたSinornithomimus
 dongi
20個体以上の集団化石についてのニュースです。
 ダチョウ恐竜若者組とでもいいましょうか、1歳から7歳の集団でした。

Acta Palaeontologica Polonica 12.02.08
  53 (4) 2008にも恐竜ほか興味そそられる論文があります。
  David J. Varricchio, Paul C. Sereno, Zhao Xi-jin, Tan Lin Jeffrey A. Wilson, and
  Gabrielle H. Lyon
  Mud-trapped herd captures evidence of distinctive dinosaur sociality
  pp.567-578
  中国内蒙古自治区で発見されたSinornithomimus dongi 20個体以上の集団化石について。
  その状況から、干上がりかけた湖か池で泥にはまった、破滅的な大量死だったこと、また
 その集団構成は1歳から7歳までだったこと。そこから白亜紀のダチョウ恐竜では、幼体は成
 体から離れて社会的集団をつくるのが普遍的な生活史の戦略だったかもしれないこと。等が
 論じられています。

 
 
Palaeontology 7.16.08
  Volume 51 Issue 4 (July 2008)には、数々の興味深い論文が掲載されています。
 うち、いくつか
 NICK LONGRICH
 A NEW, LARGE ORNITHOMIMID FROM THE CRETACEOUS DINOSAUR PARK
 FORMATION OF ALBERTA, CANADA: IMPLICATIONS FOR THE STUDY OF
 DISSOCIATED DINOSAUR REMAINS
 DOI: 10.1111/j.1475-4983.2008.00791.x

ガルディミムス再記載 11.24.05
  Reexamination of a primitive ornithomimosaur, Garudimimus brevipes Barsbold, 1981
   (Dinosauria: Theropoda), from the Late Cretaceous of Mongolia

  Yoshitsugu Kobayashi(小林欣次) and Rinchen Barsbold
  Canadian Journal of Earth Sciences 42(9): 1501-1521 (2005)
  詳細に記載され、固有派生形質もかわっているようです。

ダチョウ恐竜の食性 3.16.05

義県層から新オルニトミモサウルス類 11.10.03

中国白亜紀後期産の群居性のある新しいオルニトミムス科恐竜
  7.03.03

The Beaks of ostrich Dinosaurs 8.30.01

オルニトミムス類恐竜における植物食の食性12.2.99

山中竜は世界最古級のオルニトミムス科の恐竜7.4.99