中国白亜紀後期産の群居性のある新しいオルニトミムス科恐竜
7.03.03
A new ornithomimid dinosaur with gregarious habits from the Late
Cretaceous of China
小林欣次and 呂君昌(Jun-Chang Lu)
Acta Palaeontologica Polonica 48 (2), 2003: 235-259
1997年に内蒙古自治区の発掘調査で発見され、ネイチャーでも一
度、胃石についてブリーフコミュニケーションが発表されているもの
です。
アブストラクトほにゃ訳
中国内蒙古自治区上部白亜系ウランスハイ層から少なくとも14個
体のオルニトミムス科骨格が採集された。それらは新属新種
Sinornithomimus dongi とされた。標本の解剖学が記載された。オ
ルニトミモサウルス類の比較および系統的研究により、この骨格は
Archaeornithomimus より派生的であり、クレード[(Anserimimus +
Gallimimus) + [Struthiomimus + (Dromiceiomimus +
Ornithomimus)]] より基盤的であることが立証された。系統解析か
らは手の構造がArchaeornithomimus と同様であり、原始的なもの
(Harpymimus) と派生的なもの(Anserimimus, Gallimimus,
Struthiomimus, Dromiceiomimus, and Ornithomimus)の状態の中間
状態を表していることが示唆されている。この解析ではオルニトミム
ス科の単系統は、ただ一つの共有派生形質(アークトメタタルサル状
態)により支持されるが、このことから同科はこれまで示唆されていた
ほど強力には支持されないことが示される。この解析からは、北米分
類群の角鞘(嘴を覆う角質)の形態はアジア分類群のそれと異なって
いたかもしれないことも暗示される。これまでの研究から、胃石の特
徴に基づき、植物食性が示唆されている。Sinornithomimus 骨格は
単一特異的なボーンベッドから幼体の高比率(14中11)をもって採集
されたが、このことから捕食者に対する防御のための群居性が示唆
される。幼体が多数いることから、幼体の死亡率、または高率の幼
体を伴った個体群の激変による大量死が示される。Sinornithomimus
の個体発生を通し、脛骨対大腿骨の相対比が増加することから、幼
体よりも成体の高度な走行性が示唆される。