ウェールズ南東部から魚竜化石 12.22.14
  BBC
 2mあまりのよく関節した骨格です。約2億年前のもののようです。

中国湖北省から頸部の短いフーペイスクス類、記載 12.18.14
  ユーレカアラート ライブサイエンス
  フーペイスクス類は、中国湖北省の三畳紀の地層から産出する海生爬虫類です。
 主な特徴の一つに、長い頸部があります。頸椎の数は、9から10個が普通です。
 今回記載された新種は、これに反し、6個の頸椎しかない、短いクビのフーペイスクス類
 で、頸部の短い同類は初めての記載となります。
 Eohupehsuchus brevicollis 新属新種
 属名:"eo"ギリシャ語で暁+"hupe"湖北省+"suchus"ギリシャ語でワニ
 種小名:"brevis"ラテン語で短い+"collum"ラテン語でクビ
 左前肢は不完全で、これは、捕食者に襲われたものということです。
 系統的には、フーペーイスクス科と姉妹群をなすそうです。
 Chen X-h, Motani R, Cheng L, Jiang D-y, Rieppel O (2014)
 A Small Short-Necked Hupehsuchian from the Lower Triassic of Hubei Province,
 China.
 PLoS ONE 9(12): e115244. doi:10.1371/journal.pone.0115244 論文

【化石】顎の大きな古代の巨大爬虫類動物 12.02.14
  ネイチャーアジア
  三畳紀中期(約2億4700万年~2億3700万年前)の中国南西部の海に生息してい
 た、大型海生爬虫類 Nothosaurus zhangi この時代にはペルム紀末の大量絶滅後、
 生態系が回復して、このような頂点捕食者が生存できたということです。詳細は、リン
 クのページをご覧ください。
 Jun Liu, Shi-xue Hu, Olivier Rieppel, Da-yong Jiang, Michael J. Benton, Neil P.
 Kelley, Jonathan C. Aitchison, Chang-yong Zhou, Wen Wen, Jin-yuan Huang,
 Tao Xie & Tao Lv.(2014)
 A gigantic nothosaur (Reptilia: Sauropterygia) from the Middle Triassic of SW
 China and its implication for the Triassic biotic recovery
 Scientific Reports doi:10.1038/srep07142 論文

中国、三畳紀地層から、吻部が短く陸上でも移動できた基盤的魚竜形類 11.06.14
  カリフォルニア大学デイビス校 ナショナルジオグラフィック(日)
  原始的な魚竜といえば、ウタツサウルスが頭に浮かびます。これはウナギのような
 泳ぎ方をしていましたが、完全に水生適応していて、上陸することは考えられません。
 魚竜の祖先がどんな動物だったのかという問いに光を当てるのが、今回記載された
 基盤的魚竜形類です。
 Cartorhynchus lenticarpus 新属新種
 属名:καρτοσギリシャ語で短くなった+ρηψνχηοσギリシャ語で吻部
 種小名: lentus ラテン語でフレキシブル+carpus ラテン語で手首
 産地と層準:中国安徽省Hefei(合肥)市,Chaohu(巣湖)市の近郊
 下部三条系Nanlinghu(南陵湖)層(スパシアン、オレネキアン) 約2億4800万年前
 主な特徴:非常に大きい鰭脚をもち、限定的ながら陸上移動した可能性がある。
 胴には短い胴体や短い吻部のような陸生双弓類の特徴を残している。他の魚竜類
 とは異なり、おそらく吸引食をしていた。
 系統的にはこの新種はichthyosauriforms(魚竜形類)とHupehsuchia の姉妹群関係
 を支持し、両者あわせ ichthyosauromorphaをなすとしています。
  ichthyosauromorpha と ichthyosauriforms の定義もこの論文で述べられています。
 Cartorhynchus はichthyosauriformsより1段階下のichthyopterygia と姉妹群関係
 としています。
 生息環境は、三畳紀前期の暖かい湿潤な熱帯性多島海ということです。
 Ryosuke Motani(藻谷亮介), Da-Yong Jiang, Guan-Bao Chen, Andrea Tintori,
 Olivier Rieppel, Cheng Ji & Jian-Dong Huang.(2014)
 A basal ichthyosauriform with a short snout from the Lower Triassic of China
 Nature (2014) doi:10.1038/nature13866 アブストラクト

ノルウェー、スバールバル諸島からオフタルモサウルス科魚竜、記載 8.05.14
  オスロ大自然史博物館(ノルウェー語)
 Roberts AJ, Druckenmiller PS, Sætre G-P, Hurum JH (2014)
 A New Upper Jurassic Ophthalmosaurid Ichthyosaur from the Slottsmøya
 Member, Agardhfjellet Formation of Central Spitsbergen.
 PLoS ONE 9(8): e103152. doi:10.1371/journal.pone.0103152 論文

魚竜学200周年 6.24.14
  Ichthyosaurs: a day in the life…
  6月23日は、1814年に魚竜が初めて論文に記載された満200年ということで
 す。当時の論文を見ると、図版はすごい!

チリで魚竜の墓地発見 6.03.14
  GSA
  チリ南部のトーレス・デル・パイネ国立公園内の地域で発見されたものです。
 白亜紀前期の地層から、46個体ものオフタルモサウルス科魚竜が発見されまし
 た。アンモナイトやベレムナイト、植物化石も共産しているそうです。
 生息していた当時の環境は、海底峡谷があり湧昇流によりエサが豊富だったが
 一方、海底峡谷の地すべり等の流れにより、魚竜も深海に引き込まれ溺死し、
 深海の無酸素環境で保存されたのだろうということです。
 Wolfgang Stinnesbeck, Eberhard Frey, Luis Rivas, Judith Pardo Perez, Marcelo
 Leppe Cartes, Christian Salazar Soto and Patricio Zambrano Lobos(2014)
 A Lower Cretaceous ichthyosaur graveyard in deep marine slope channel
 deposits at Torres del Paine National Park, southern Chile
 GSA Bulletin doi: 10.1130/B30964.1 アブストラクト

魚竜の長骨の微小解剖学及び組織学の新知見、かれらの水生生活への適応
  への影響 4.22.14
  魚竜の長骨から、その多様性や運動能力を探る研究です。
  Houssaye A, Scheyer TM, Kolb C, Fischer V, Sander PM (2014)
 A New Look at Ichthyosaur Long Bone Microanatomy and Histology:
 Implications for Their Adaptation to an Aquatic Life.
 PLoS ONE 9(4): e95637. doi:10.1371/journal.pone.0095637 論文

三畳紀前期の胎児化石により示される中生代海生爬虫類の胎生の陸上起源
  2.13.14
  ユーレカアラート ナショナルジオグラフィック(日)
  魚竜など海生爬虫類が卵生でなく、胎児を産んだことはよく知られています。
 一般には、水中では卵を温められないから卵生から胎生に移行したと考えられて
 います。しかし、今回の研究ではその考え方に大きく疑問を投げかけました。
 研究対象となった標本は、中国安徽省Chaohu(巣湖)の南部Majiashan(馬家山)の
 現場、約2億4800万年前の地層から発掘された原始的な魚竜 Chaohusaurus
 す。出産中の姿で化石になったもので、体内に1体、腰まで出たもの1体、母体外
 にでたもの1体の胎児・新生児が共産しています。胎児を含む標本ということ自体、
 これまでの記録を1千万年遡るものですが・・・
 この生まれかかった1体が問題です。通常、水中の出産では頭部は一番最後に
 母体外に出ます。尾が先に出てくるのです(派生した魚竜では尾が先)。頭が先で
 時間がかかったら窒息してしまいますから。しかし、この標本は頭が先に出ていま
 す。逆子がたまたま化石になったとはまず考えられない。したがって、胎生はこれ
 までの考え方とは逆に陸上の祖先に起源があったと考えられる。その胎生の祖
 先は、これまでの見方より遥かに早く、ペルム紀末の大量絶滅後の回復期に登
 場していたとしています。
 Motani R(藻谷亮介), Jiang D-y, Tintori A, Rieppel O, Chen G-b (2014)
 Terrestrial Origin of Viviparity in Mesozoic Marine Reptiles Indicated by Early
 Triassic Embryonic Fossils.
 PLoS ONE 9(2): e88640. doi:10.1371/journal.pone.0088640 論文

三畳紀の鰭竜類、パキプレウロサウルス類、記載 1.30.14
  北イタリアのBesano層から産出。Odoiporosaurus teruzzii
 新属新種
  Silvio Renesto,  Giorgio Binelli & Hans Hagdorn  (2014)
 A new pachypleurosaur from the Middle Triassic Besano Formation of Northern Italy.
 Neues Jahrbuch fur Geologie und Palaontologie - Abhandlungen 271(2): 151-168
 DOI: http://dx.doi.org/10.1127/0077-7749/2014/0382

カナダ、ブリティッシュコロンビア州からウタツサウルス頭蓋天井標本 1.30.14
  同州の中~東部にある Sulphur Mountain 層Vega-Phrosoシルト岩部層から産出した、
 頭蓋天井化石がUtatsusaurus のものとして記載されています。
 Robin Scott Cuthbertson, Anthony Russell & Jason Anderson (2014)
 The first substantive evidence of Utatsusaurus (Ichthyopterygia) from the Sulphur
 Mountain Formation (Lower-Middle Triassic) of British Columbia, Canada: a skull roof
  description with comparison to other early taxa.
 Canadian Journal of Earth Sciences (advance online publication)
 doi: 10.1139/cjes-2013-0185 アブストラクト

魚竜絶滅前の多様性 1.23.14
  魚竜絶滅前の数百万年間、西ヨーロッパはその多様性のホットスポットだったという
 ことです。論文中で、オフタルモサウルス科の魚竜 Sisteronia seeleyi 新属新種が記
 載されています。
 Fischer V, Bardet N, Guiomar M, Godefroit P (2014)
 High Diversity in Cretaceous Ichthyosaurs from Europe Prior to Their Extinction.
 PLoS ONE 9(1): e84709. doi:10.1371/journal.pone.0084709 論文

恐竜時代の海生爬虫類は皮膚が黒かった 1.15.14
  ナショナルジオグラフィック(日)
  パンテオンでは9日に紹介した研究のニュースです。

T・レックスは何色?絶滅爬虫類の皮膚色素を特定、研究 1.10.14
  AFPBB
  話はあくまで海生爬虫類の皮膚の色の研究についてです。いきなりT-REXではありませ
 ん。

海生爬虫類の皮膚の色解明 1.09.14
  ユーレカアラート
  恐竜の羽毛化石から元の色を解明した研究はよく知られています。しかし海生爬虫類が
 実際どんな色だったのか、これまで不明でした。ネイチャー電子版に出た論文によると、
 オサガメ類、モササウルス類、魚竜類のあまり近縁でもない3系統の化石化した皮膚に残る
 メラソーム粒を確認し、生きていた時の色を再現することができたそうです。
 その結果、これら海生爬虫類は暗い色をしていたことがわかりました。
 海面でより早く太陽熱を吸収し、体温を維持するため、紫外線の保護また保護色としての
 機能が考えられています。
 Johan Lindgren, Peter Sjovall, Ryan M. Carney, Per Uvdal, Johan A. Gren, Gareth Dyke,
 Bo Pagh Schultz, Matthew D. Shawkey, Kenneth R. Barnes & Michael J. Polcyn.(2014)
 Skin pigmentation provides evidence of convergent melanism in extinct marine reptiles
 Nature (2014) doi:10.1038/nature12899 アブストラクト

三畳紀前期のギョリュウ、Shastasaurus tangae の性的二形性 12.07.13

ヨルダンから尾鰭の印象が残るモササウルス化石 9.11.13
  ルンド大 ナショナルジオグラフィック(英) ナショナルジオグラフィック(日)
  ヨルダン中部Harrana のマーストリヒチアン期の地層から2008年に産出した、Prognathodon
 の標本は、全身が関節しているだけでなく、尾の周囲にヒレの印象が残っているものでした。
 尾鰭の印象が残る標本は、モササウルス類では初めてとのことです。
 その結果、派生したモササウルス類は上下非対称の尾(下異形尾) をもつことが明らかになり
 ました。生態学的側面においては、これらモササウルス類は、遠洋性のサメのような遊泳能力
 を持っていたことがわかるそうです。
 Johan Lindgren, Hani F. Kaddumi & Michael J. Polcyn (2013)
 Soft tissue preservation in a fossil marine lizard with a bilobed tail fin.
 Nature Communications 4, Article number: 2423
 doi:10.1038/ncomms3423 アブストラクト

上部白亜系南極からエラスモサウルス科プレシオサウルスの多様性の追加 8.13.13
  ハイライトとして以下の事を挙げています。
  南極、セイモア島、上部マーストリヒチアンから産出した、おそらく新分類群になるエラ
 スモサウルス科プレシオサウルス標本。
 ジェームス・ロス島、上部カンパニアンのクビが長いエラスモサウルス科の初の証拠。
 ジェームス・ロス島、上部カンパニアンのAristonectes の最古の標本。
 Rodrigo A. Otero,  Sergio Soto-Acuna, Alexander O. Vargas, David Rubilar-Rogers,
 Roberto E. Yury-Yanez & Carolina S. Gutstein (2013)
 Additions to the diversity of elasmosaurid plesiosaurs from the Upper Cretaceous
 of Antarctica.
 Gondwana Research (advance online publication)
 http://dx.doi.org/10.1016/j.gr.2013.07.016,

国内最古級の爬虫類化石、宮城県で発見 6.29.13
  産経新聞 読売新聞
  宮城県南三陸町の約2億5千万年前の地層から産出した海生爬虫類化石です。
 ウタツサウルスとは違うものです。詳細は今日の古生物学会ポスターで発表されます。

ウタツサウルスの頭蓋形態再解釈と、その系統における意味 6.26.13
  東日本大震災でその模式産地、歌津も大きな被害を受けました。原始的な魚竜
 Utatsusaurus hataii の完模式標本の頭蓋は不完全なものですが、頭部が保存さ
 れているUHR 30691標本(参考 Motani et al.(1998))を記載し、系統分析をしていま
 す。その結果、同じく原始的な魚竜 Parvinatator とともに他の魚竜類の姉妹群をな
 しているとしています。
 Robin S. Cuthbertson, Anthony P. Russell & Jason S. Anderson (2013)
 Reinterpretation of the cranial morphology of Utatsusaurus hataii
 (Ichthyopterygia) (Osawa Formation, Lower Triassic, Miyagi, Japan) and
 its systematic implications.
 Journal of Vertebrate Paleontology 33(4):817-830
 DOI:10.1080/02724634.2013.756495 アブストラクト

忘れられていた標本から、レプトクレイドゥス科プレシオサウルス記載 3.31.13
  ドイツ西部、ノルトライン=ヴェストファーレン州の都市Gronauにあった鉱山から1912年
 に採集され、現在、ミュンスター大学地質博物館に収蔵されている、歯や顎、脳函、頸椎骨
 などにより記載されたものです。
 Gronausaurus wegneri 新属新種
 Oliver Hampe (2013)
 The forgotten remains of a leptocleidid plesiosaur (Sauropterygia: Plesiosauroidea) from
 the Early Cretaceous of Gronau (Munsterland, Westphalia, Germany).
 Palaontologische Zeitschrift (advance online publication)
 DOI: 10.1007/s12542-013-0175-3 アブストラクト

オフタルモサウルス亜科の魚竜記載 3.03.13
  Ophthalmosaurus といえば、大きな眼や深海潜航する行動で知られていますが、その
 属するオフタルモサウルス亜科については、化石標本が稀だったり、保存が良くなかっ
 たりし、その進化史は明らかになっていませんでした。この論文では、同亜科の基盤的
 新属新種として、Leninia stellans を記載しています。
 この頭蓋が白亜紀の同亜科と同様な特徴をもつことから、オフタルモサウルス亜科は、
 その長い進化史上、同様なニッチを占め続けていたことが示唆されるとしています。
 VALENTIN FISCHER, MAXIM S. ARKHANGELSKY, GLEB N. USPENSKY,
 ILYA M. STENSHIN and PASCAL GODEFROIT(2013)
 A new Lower Cretaceous ichthyosaur from Russia reveals skull shape conservatism
 within Ophthalmosaurinae
 Geological Magazine DOI: http://dx.doi.org/10.1017/S0016756812000994
 参考:復元画

母体周囲に散乱した胎児の骨をもつ、魚竜 1.31.13
  母体の骨格は関節して完全なのに、胎児の骨は母体周囲に散乱している。独ホルツマーデンで
 産出した標本、論文ではその原因についていろいろな仮説が検討されていますが、これぞという
 説は確定していないようです。
 A. J. van Loon (2013)
 Ichthyosaur embryos outside the mother body: not due to carcass
 explosion but to carcass implosion.
 Palaeobiodiversity and Palaeoenvironments (advance online publication)
 doi: 10.1007/s12549-012-0112-6 論文フリー

自身と同サイズの動物を捕食していた、巨大魚竜 1.09.13
  ナショナルジオグラフィック(日) 独プレスリリース(写真ダウンロードへのリンクあり)
  米ネバダ州の中期三畳紀の前期の地層(約2億4400万年前)から産出した、巨大魚竜が
 記載されています。
 Thalattoarchon saurophagis と命名されているそうです。トカゲを食べる海の支配者の意味。
 体長8.6mという巨大さで、巨大な頭骨には、唇舌面に平たくなり切断するエッジがついた歯
 が生えています。このことから、自分と同サイズの海生爬虫類などもエサにした頂点捕食者だ
 と考えられています。
 また、このことから、地球史上最大の絶滅イベントだった、ペルム紀-三畳紀の大量絶滅から
 わずか800万年で、複雑な海洋生態系が回復していたことが明らかになりました。
 Nadia B. Frobisch, Jorg Frobisch, P. Martin Sander, Lars Schmitz, and Olivier Rieppel(2013)
 Macropredatory ichthyosaur from the Middle Triassic
 and the origin of modern trophic networks
 PNAS Published online before print January 7, 2013, doi: 10.1073/pnas.1216750110
 アブストラクト

淡水環境に生息していたモササウルス、初めての記載 12.20.12
  モササウルスは、海生トカゲ。これがこれまでの常識でした。今回、ハンガリーからおびただしい標
 本が産出しました。幼体から成体まで含まれています。また、その生息環境は淡水であったそうです。
 Pannoniasaurus inexpectatus 新属新種
 属名は古代ローマでハンガリーのドナウ川地域にあった属州名 “Pannonia”+saurus。
 種小名は、淡水で生息していたという、予期せぬ事態をもたらしたことから。
 上部白亜系(サントニアン 8580~8350万年前) Csehbánya層
 体長6mほどです。
 Makádi L, Caldwell MW, Ősi A (2012)
 The First Freshwater Mosasauroid (Upper Cretaceous, Hungary) and a New Clade of Basal
 Mosasauroids.
 PLoS ONE 7(12): e51781. doi:10.1371/journal.pone.0051781 論文
 ナショナルジオグラフィック(日)

英ワイト島から新種プレシオサウルス類記載 12.12.12
  レプトクレイドゥス科の新属新種として、Vectocleidus pastorum が記載されています。
 同科の位置づけは、これまでプリオサウルス上科の基盤的なものとされてきましたが、この研究では
 プレシオサウルス上科の中でより発達した位置づけになっています。
 また、'Cimoliasaurusvaldensis について、新属Hastanectes としています。
 R. B. J. Benson, H. F. Ketchum, D. Naish and L. E. Turner. 2013.
 A new leptocleidid (Sauropterygia, Plesiosauria) from the Vectis Formation (Early Barremian–early
 Aptian; Early Cretaceous) of the Isle of Wight and the evolution of Leptocleididae, a controversial
 clade.
 
Journal of Systematic Palaeontology DOI:10.1080/14772019.2011.634444 アブストラクト

ウタツサウルスの骨組織学、初期魚竜の生物学へのインプリケーション 10.10.12
  Utatsusaurus hataii は、東日本大震災で大きな被害を受けた、宮城県旧歌津町(現三陸町)
 の三畳紀の地層から産出した、最初期の魚竜です。後の魚竜のようなマグロのような体形では
 なく、ウナギのように身をくねらせて泳いだといわれています。
 しかし、今回の研究では、魚竜の水生適応の初期段階に関する理解は乏しいものだったとし、
 初めてUtatsusaurus の骨組織学について報告しています。海綿骨組織からは、開いた海の環
 境で能動的に泳ぐ適応をしていたことが示唆されます。さらに、繊維層板状複合中の急速に積み
 重なった骨組織発生の可能性から、現生の変温性爬虫類より高い代謝、従って、恒温性の傾向
 が示唆されるとしています。Utatsusaurus はその形態からこれまで考えられてきたより、既に水
 生適応しており、海生適応の過程は三畳紀前期までに十分進んでいたとのことです。
 Yasuhisa Nakajima, Alexandra Houssaye, and Hideki Endo (2012)
 Osteohistology of Utatsusaurus hataii (Reptilia: Ichthyopterygia): Implications for early
 ichthyosaur biology.
 Acta Palaeontologica Polonica (in press) doi: http://dx.doi.org/10.4202/app.2012.0045
 アブストラクト

仏の下部ジュラ系から魚竜Temnodontosaurus の新種 9.19.12
  フランス南東部の都市、リヨン近郊のボージョレ山麓地域の中期トアルシアンの地層から産出
 した、殆ど完全な魚竜骨格を記載しています。
 Temnodontosaurus azerguensis 新種
 特徴として、細長く、おそらく歯のない吻部および方形骨が退縮していることがあります。
 これまでTemnodontosaurus 属は前期ジュラ紀の海で最上位の捕食者であると考えられてきま
 したが、新種の記載により、頂点捕食者や、柔らかい獲物を捕食する細長い吻部の捕食者を含
 む、魚竜の中で生態学的に異なった属の一つであるとしています。
 この標本と同じ層準で採集されたアンモナイトから、年代はトアルシアン海洋無酸素事変として
 知られる、厳しい環境の変化と無脊椎動物の絶滅イベントより、やや後であったことが示される。
 したがって、本研究は、危機後の脊椎動物相の回復、その中にTemnodontosaurus の新しい生
 態学的ニッチへの分散も含まれるが、それがこのイベントを通じた海洋生態系の再編の結果であ
 ったのかどうかという問題を提起する、としています。
 JEREMY E. MARTIN, VALENTIN FISCHER, PEGGY VINCENT & GUILLAUME SUAN (2012)
 A longirostrine Temnodontosaurus (Ichthyosauria) with comments on Early Jurassic
 ichthyosaur niche partitioning and disparity.
 Palaeontology 55 (5): 995-1005 DOI: 10.1111/j.1475-4983.2012.01159.x アブストラクト

魚竜のケーソン病は何が原因? 8.21.12
  メルボルン大ニュース
  ケーソン病あるいは潜水病は、深海から急速に海面へ浮上する時に血液中のガスが気泡
 となり、血流を阻害するものです。うろ覚えですが、魚竜では例えばオフタルモサウルスの上
 腕骨近位に、これによる壊死の痕が見られるものがあります。
 これまでの解釈では、深海で捕食者等に襲われた時に急速浮上したために発症したものとさ
 れています。
 B. M. Rothschild, Z. Xiaoting and L. D. Martin(2012) では、この解釈を元にし、時代による発
 症率を比較しています。後期ジュラ紀の中ごろには15%、また前期白亜紀には18%の高率を示
 すが、三畳紀にはほとんど皆無だった。これは、ジュラ紀後期に大型捕食者が進化したため、
 逃れるための急速浮上が頻繁になるまでは、ゆっくりしたものだった、という論旨です。
 一方、これに対し、メルボルン大のJohn Hayman は、発症の原因は、長時間深海に潜水した
 後、急速でなくても浅海に浮上すると、加圧された体内で血液中に溶解した窒素などのガスが
 気泡となるためだと、コメントを投稿しています。
 議論はこれからも続くのか、興味がありますね。後者の考え方だと、魚竜の潜水能力の向上
 により、発症率が上昇したと考えられるのかな・・・

ドイツ南西部の中部ジュラ系から産出した魚竜Stenopterygius の新種 8.11.12
  Plos1、シュトゥットガルト州立自然史博物館(独語)
  ドイツ南西部、有名な産地ホルツマーデンに近い、Zell am Aichelberg中心部近くから産出した
 部分的な関節標本に基づき、ステノプテリギウス属の新種として記載されています。
 Stenopterygius aaleniensis 新種
 種小名は完模式標本の層序来歴(Opalinuston層、アーレニアン)に基づく
 ジュラ紀中期は、魚竜の進化史上重要な時期であり、ジュラ紀前期の魚竜が、のちにジュラ紀中
 期末まで唯一生き残るオフタルモサウルス科魚竜と置き換わっていく時期です。しかし、アーレニ
 アン-バトニアン間 (176–165 百万年前)の時期に産出する標本は貧弱なため、オフタルモサウル
 ス科の起源や、いつ支配的になったのか、よくわかっていません。
 今回記載されたステノプテリギウス属は、ジュラ紀前期のヨーロッパでは繁栄していましたが、中
 期の北半球から産出したのは初めてのことです。
 これまで、置き換わりはジュラ紀前期末のトアルシアンで起こったという仮説がたてられているそ
 うですが、少なくとも北半球ではアーレニアン-バトニアン間でオフタルモサウルス科が出現した
 証拠はないとしています。
 Maxwell EE, Fernández MS, Schoch RR (2012)
 First Diagnostic Marine Reptile Remains from the Aalenian (Middle Jurassic): A New
 Ichthyosaur from Southwestern Germany.
 PLoS ONE 7(8): e41692. doi:10.1371/journal.pone.0041692 論文

大阪で発見の化石、海の最強爬虫類の仲間 7.02.12
  日本経済新聞 西日本新聞
  大阪府泉南市の約7千万年前の地層から見つかった海生爬虫類化石が、モササウルス
 類、プログナソドンとわかり、記載されています。国内で初めての産出とのことです。
 
カナダ、アルバータ州から頸が最も長いクビナガリュウ記載 5.11.12
  福井新聞
  福井県立恐竜博物館は、アルバータ州の上部白亜系から産出したクビナガリュウ骨格を
 Albertonectes vanderveldei と命名したことを発表したそうです。
 7月に前脚(ひれ)や首の骨などの複製標本を展示する予定。
 Tai Kubo, Mark T. Mitchell & Donald M. Henderson (2012)
 Albertonectes vanderveldei, a new elasmosaur (Reptilia, Sauropterygia) from
 the Upper Cretaceous of Alberta
 Journal of Vertebrate Paleontology Volume 32, Issue 3, 2012 pp.557-572
 DOI:10.1080/02724634.2012.658124 アブストラクト

ガス圧で爆発?魚竜胎児化石散乱のナゾ解明 3.31.12
  チューリッヒ大 examiner Telegraph
  魚竜の胎児化石がなぜ母体から散乱して発見されるのか?これまでは、屍体の腐敗により体内にガ
 スがたまり、圧力が高まると爆発し、そのため散乱すると考えられてきました。
 しかし、実際の散乱過程は異なっていたようです。ガスが主因であることは間違いありませんが、海底
 に沈んだ屍体がガスの浮力でいったん海面に浮いている間に様々なスカベンジャーに食い荒らされ、
 胎児も結果として、再び沈む母体の周囲に散乱するように沈降するということです。
 Achim G. Reisdorf, Roman Bux, Daniel Wyler, Mark Benecke, Christian Klug, Michael W. Maisch,
 Peter Fornaro, Andreas Wetzel (2012)
 Float, explode or sink: post-mortem fate of lung-breathing marine vertebrate.
 Palaeobiodiversity and Palaeoenvironments, 92(1): 67-81.
 DOI: 10.1007/s12549-011-0067-z アブストラクト

三畳紀-ジュラ紀境界産クビナガリュウの高度多様性、程度多様性および小さい体サイズ 3.18.12
  これまであまり研究されていなかった、英サマセット州Streetおよび近隣地域産の最初期プレシオサ
 ウルス類動物相の研究結果と、下部ジュラ系のタクサに焦点をあてた新しい系統データセットをもたら
 すもので、これらはプレシオサウルス類の進化の最初期段階を研究するツールとして使えるものだと
 しています。
  プレシオサウルス類は三畳紀末の絶滅イベント後直ちに外洋環境に進出していきました。その多様
 化は、ヨーロッパの3か所の集中的にサンプリングされた化石群集に2千万年のスパンで記録されてい
 る。これらから、四肢動物の外洋への二次適応と関連する、鍵となる大進化のパラメーターを記録する
 またとない機会が提供される。英国のStreetのBlue Lias 層およびSomersetにある近隣の産地から産
 出する最古の動物相(最前期ジュラ紀2億年前)に総合的な評価をあて、2つの小型のロマレオサウルス
 科(Stratesaurus taylori gen et sp. nov.; Avalonnectes arturi gen. et sp. nov) および最も基盤的なプレ
 シオサウルス上科Eoplesiosaurus antiquior gen. et sp. nov.を記載しています。
 Benson RBJ , Evans M , Druckenmiller PS (2012)
 High Diversity, Low Disparity and Small Body Size in Plesiosaurs (Reptilia, Sauropterygia) from the
 Triassic–Jurassic Boundary.

 PLoS ONE
7(3):e31838.doi:10.1371/journal.pone.0031838 論文

イタリア、ロンバルディア州ベルガモ県から産出したCymbospondylus 椎体 2.29.12
  ベルガモ県Piazza Brembana のPrezzo Limestone(上部アニシニアン、三畳紀)関節した位置で
 産出した4個のCymbospondylus 椎体について記載するとともに、この魚竜グループの年代層序
 分布について概観しています。
 Marco Balini & Silvio C. Renesto (2012)
 CYMBOSPONDYLUS VERTEBRAE (ICHTHYOSAURIA, SHASTASAURIDAE) FROM THE
 UPPER ANISIAN PREZZO LIMESTONE (MIDDLE TRIASSIC, SOUTHERN ALPS) WITH
 AN OVERVIEW OF THE CHRONOSTRATIGRAPHIC DISTRIBUTION OF THE GROUP.
 Rivista Italiana di Paleontologia e Stratigrafia 118(1):

派生した魚竜が全て遠洋性とは限らない 2.04.12
  魚竜の骨組織学の研究です。基盤的魚竜はウナギ型の泳ぎをする沿岸性のものでしたが、
 派生した魚竜はマグロ型の高速遠洋性のものなっていきました。派生した魚竜である
 Temnodontosaurus, Stenopterygius, Ichthyosaurus, 及びCaypullisaurus などでは、その骨
 組織は全て海綿骨になっています。しかし、派生した魚竜の一種、中期ジュラ紀のパルヴィペ
 ルヴィア類
、オフタルモサウルス科のMollesaurus の肋骨骨組織を調べたところ、他のパルビ
 ペルヴィア類とは異なり、その特徴は堅牢で分厚い皮質骨であることがわかりました。このこ
 とから、派生した魚竜もすべて高速遠洋性とは限らず、これまで考えられていたより生態的に
 より放散していたことがわかったとしています。
 Marianella Talevi and Marta S. Fernandez (2012)
 Unexpected skeletal histology of an ichthyosaur from the Middle Jurassic of Patagonia:
 implications for evolution of bone microstructure among secondary aquatic tetrapods.
 Naturwissenschaften (advance online publication) DOI: 10.1007/s00114-012-0886-4
 アブストラクト

和歌山県有田郡有田川町で発見されたモササウルス前肢化石 10.26.11
  和歌山県立自然博物館によると、2006年、有田川町鳥屋城山で後肢の骨などが発
 見されたモササウルス類の化石を追加発掘したところ、前肢の骨、歯、つながった状
 態の脊椎骨などの化石をが発見と、紹介しています。
 後肢発見について 2006年前肢発見について

クビナガリュウは胎生だった? 8.17.11
  やっと、テスト版のほうにアップしました。

北極圏、スヴァルバルド諸島で発掘された「プリデターX」 3.18.09
  オスロ大学自然史博物館ニュース ニューサイエンティスト
  1億4千7百万年前、ジュラ紀の海で最強の捕食者。プリデターXは、プリオサウルス
 類です。その頭骨はT-REXの2倍の大きさ、噛み付く力は15,000kgに及ぶそうです。
 2008年の夏、2週間の発掘で現れた、この化石。まだ学名はなさそうです。
 しかし、あちらのヒストリーチャンネルでは3月29日に特集番組を放映予定です。

魚竜Ichthyosaurus皮膚化石から初めてコラーゲンの超微細構造を観察 10.25.08
  ライブサイエンス
  魚竜皮膚化石の断面を見ると、現生のイルカやマグロのように繊維の層が重なって
 いるそうです。これがイルカやマグロと同様にコラーゲンなのかどうか、走査電子顕微
 鏡により観察し、確認したものです。
 皮膚や腱のコラーゲンは繰り返し構造のある繊維で、その周期は67ナノメートルです。
 コラーゲン分子は約300ナノメートルの長さで、棒状の分子が1/4ずつずれながら、規
 則正しく並んでいるそうです。この構造が確認されました。
 この研究をしているTheagarten Lingham-Soliar は、かねてから羽毛恐竜の"原羽毛"
 について、羽毛ではなくコラーゲン繊維であると議論している方です。今回の研究から
 走査電顕による観察がその解明に役立つとしています。

  Theagarten Lingham-Soliar, James Wesley-Smith
  First investigation of the collagen D-band ultrastructure in fossilized vertebrate
  integument
  Proceedings of the Royal Society B. Vol. 275, No. 1648 pp.2207-2212
  DOI 10.1098/rspb.2008.0489

中国雲南省から産出した最も完全なピストサウルス上科 5.20.08
  ZHAO Lijun, Tamaki SATO(佐藤たまき) and LI Chun
  The Most Complete Pistosauroid Skelton from the Triassic of Yunnan, China
  ACTA GEOLOGICA SINICA(地質学報英文版) vol.82 No.2 pp.283-286
  
  ピストサウルス類は鰭竜類 (Sauropterygia)に含まれる海生爬虫類です。この論文では、
 Yunguisaurus属の殆ど完全な骨格のうち頭蓋について記載しています。Yunguisaurus属の
 模式種 Yunguisaurusl iae Cheng et al. 2006 と異なる特徴があるが、新種かどうかは今後の
 詳細な研究にまつとしています。

故Elizabeth L. Nichollsに献名されたプレシオサウルス 3.24.08
  カルガリー大ニュース 写真
  故Elizabeth L. Nicholls博士は、ロイヤル・ティレル博物館で海生爬虫類を研究して
 いた高名な研究者です。2004年10月18日に逝去しました。国立科学博物館にその
 後頭部が展示されている巨大魚竜Shonisaurus sikanniensis の記載論文は真鍋真
 博士との共著で逝去の数か月後に出版されました。アブストラクト

 今回献名されたプレシオサウルス Nichollsia borealis は、北米で発見された最も完
 全な骨格の標本であり、白亜紀でこれまで発見された最古のプレシオサウルスという
 ことです。約1億1200万年前に生息していたそうです。これはプレシオサウルス類の
 4千万年の空隙を埋める存在ということです。1994年Syncrude Canada Ltdの鉱山採
 掘中、地下60mの地点で偶然発見されたそうです。
 Palaeontographica Abteilung Aに論文は掲載されたそうです。
 死後数年たっても献名されることは、なお本人にとっても遺族にとっても意義あること
 といえます。

ノルウェー、スヴァールバル諸島で過去最大のクビナガリュウ類発見 2.27.08
  BBC ナショナルジオグラフィック
  北極圏のバレンツ海にあるスヴァールバル諸島のスピッツベルゲン島で、オスロ大自然史
 博物館のチームが2006年に発見し、2007年に発掘した標本です。
 約1億5千万年前のその標本、体長15mと推定されています。これまで最大のプリオサウルス
 類は、オーストラリア産のKronosaurus 。体長10から11mです。かなり違いますね。
 前肢のヒレは3mにもなります。
 オスロ大ニュース 大きい写真 The Plesiosaur Site 

「海のティラノサウルス」と呼ばれる爬虫類の化石、北極圏で発見 12.07.07
  AFPBB News

ロシア、ボルガ川流域でプリオサウルス類化石 9.04.07
  RussiaToday Capital Online
  モスクワから東に893km、ボルガ川流域の都市ウリヤノブスク近郊で約1億2千万年前
 から1億4千万年前のプリオサウルス類後ろ足断片が発見されたそうです。現地の地質
 学者Vladimir Yefimov によると、その地方で最古の爬虫類標本であり、また体長は12か
 ら15mと見積もられているそうです。
 参考:プラウダ21.06.05

南極からプレシオサウルス骨格発見 12.13.06
  National Science Foundation
  米とアルゼンチンの共同発掘チームが、南極ヴェガ島で発掘したものです。約7千万年前のプレシオサウ
 ルス幼体骨格、これまで発見されたプレシオサウルス骨格で最も完全であり、南極で発見された骨格とし
 て最もよく関節した骨格だそうです。

 体長1.5mのエラスモサウルス科ということです。特に腹部が良好に保存され、腹肋骨は枝分かれし、ある
 ものは三叉に分かれているそうです。腹部からは胃石も発見され、幼体の時からバラストあるいは消化の
 役に立っていたことが示唆されるそうです。この化石の頭部は体部から離れてしまい、未発見です。

 当時の火山の大噴火により爆発物や火山灰が海中に押し寄せ、幼体を死に至らしめたそうです。発掘現場
 はヴェガ島の標高200mの地点で、浅海だったと考えられています。他にプレシオサウルスや水鳥の化石も
 発見されているそうです。
 NSF記者会見の模様(動画)

30年前発見のクビナガリュウ全身化石 実は大小2体分! 中川 12.08.06
  北海道新聞
  中川町の白亜紀の地層から30年前に発見されたクビナガリュウ化石は、成体と亜
 成体の2体だったことがわかりました。

中国貴州省三畳紀中期アンシュンサウルスの新種 11.21.06
  貴州中三畳世安順竜(爬行綱:海竜目)一新種
  オリバー・リッペル他
  古脊椎動物学報第44巻第4期pp.285-296
  Anshunsaurus wushaensis sp. nov. 記載
  論文(PDF)

米モンタナ州で最良のプレシオサウルス類頭蓋発見 11.04.06
  モンタナ州立大ニュース
  約7千万年前の、クビの長いプレシオサウルス類の頭蓋と下顎が発見されました。クビの
 長いプレシオサウルス類(エラスモサウルス類)の完全な頭蓋はこれまでなかったそうです。
 頭蓋長は約40cmあり、クビはその7から10倍の長さだっただろうとのことです。

ネス湖の怪物はなぜプレシオサウルスではないのか 11.03.06
  ニューサイエンティスト
  SVP総会でケンブリッジ大Sedgwick地球科学博物館のLeslie Noèが発表したことについて、
 紹介しています。彼はMuraenosaurus というプレシオサウルス類の隣接する頚椎の椎体、神
 経弓および頚肋骨の関節状態を調べてみたそうです。すると、クビは腹側(下方)に最もよく曲
 げやすく、他の方向へ曲げるには制限があることがわかりました。このことから、プレシオサウ
 ルス類の食性は、海底のエサを食べることを示唆し、頭蓋や歯の適応もこのことを反映してい
 るそうです。プレシオサウルスは沈殿した堆積物を濾して食べる、いわば水中に浮かぶ電気
 掃除機だったようです。というわけで、水面からクビを上に上げるような真似はできず、ネス湖
 の怪物にはなりえないのだそうです。
 参考:Loch Ness Monster

ノルウェーの研究チーム、巨大な首長竜の化石を発見 10.06.06
  朝日新聞
  オスロ大Jørn Hurum と Hans Arne Nakrem らのチームにより、北緯78度、北極点から約1300kmの所
 にあるスピッツベルゲン島のジュラ紀(約1億5千万年前)の地層から、海生爬虫類の化石が発見されまし
 た。2週間の調査で、28個体の化石が確認されました。21個体のクビが長いプレシオサウルス、6個体の
 ギョリュウ、1個体のクビの短いプレシオサウルスです。
 その中最も特筆すべきものは巨大なプリオサウルスです。皿のような頚椎、バナナのような歯があるそ
 うで、推定体長10m以上とされています。“The  Monster” とニックネームをつけられました。
 オスロ大Pliosaurus 2006

新種魚竜は卓球台の下から発見された 9.24.06
  ディスカバリーチャンネルカナダ ライブサイエンス
  Palaeontology Volume 49(5) pp.1043 - 1068 で記載された魚竜Maiaspondylus lindoei の標本が入った箱は、
 発掘以来25年間、アルバータ大の学部学生の研究室にある卓球台の下に置かれていたそうです。
 記載者の一人、 Michael Caldwell が2000年に大学に着任し、研究室を片付けていて発見したそうで
 す。
 Maiaspondylus とは、Paratype UALVP 45639標本の脊椎近くに2つの胎児化石があったため、ギリシャ
 語のmaia(良い母親)とspondylus(脊椎)をあわせたものです。

中期三畳紀ネヴァダ産出Cymbospondylus の新種 8.21.06
  A new species of Cymbospondylus (Diapsida, Ichthyosauria) from the Middle Triassic of
  Nevada and a re-evaluation of the skull osteology of the genus
  NADIA B. FRÖBISCH, P. MARTIN SANDER and OLIVIER RIEPPEL
  Zoological Journal of the Linnean Society Volume 147 Page 515  - August 2006
  doi:10.1111/j.1096-3642.2006.00225.x

  Cymbospondylus は中期三畳紀によく知られた魚竜です。ネヴァダ州オウガスタ山脈Favret層産出の
 立体的に保存された頭骨部分を含む骨格により新種が記載されました。
 CYMBOSPONDYLUS NICHOLLSI  SP. NOV.
 Cymbospondylus petrinus に比べ長い吻部をもつことなどが特徴となっています。

.Australian 'Nessie' fossils found 8.02.06
  BBC
  最近記載された2つのプレシオサウルス類を取り上げています。
 Umoonasaurus は既に紹介しました。
 もう1つ、Opallionectes andamookaensis は体長6mに達し、針状の歯を持ち、魚やイカを
 捕らえていたそうです。両者とも1億1千5百万年前に生息していたそうです。

 参考:Umoonasaurus demoscyllus について記載論文
     An archaic crested plesiosaur in opal from the Lower Cretaceous high-latitude deposits of Australia
     Biology Letters ISSN: 1744-9561 (Paper) 1744-957X (Online)
     DOI: 10.1098/rsbl.2006.0504

     Opallionectes andamookaensis について
     MARINE REPTILES FROM THE LOWER CRETACEOUS OF SOUTH AUSTRALIA: ELEMENTS OF A
       HIGH-LATITUDE COLD-WATER ASSEMBLAGE

      BENJAMIN P. KEAR
     Palaeontology Volume 49 Page 837 - July 2006
     doi:10.1111/j.1475-4983.2006.00569.x Volume 49 Issue 4

7千万年前のプレシオサウルス、発見者の電気工に献名へ 7.22.06
  BBC
 2002年ヨークシャーのScarborough という所でアマチュアのNigel Armstrong が崖に突き出ている骨を
 発見したもの。この人は電気工なんですね。種小名に"Armstrongi" とつけられるようです。
 この時代のプレシオサウルスはその前後の時代のプレシオサウルスのギャップを埋めるものだそうです。
 2007年にはRotunda博物館が再開館する時に展示されるそうです。
 参考:DINOSAUR COAST NEWSページ2002年10月24日に、その発見の記事があります。

オーストラリア高緯度の下部白亜系産出のオパール化したプレシオサウルス 7.05.06

中国発現三畳世奇特初竜 6.06.06
  中国恐竜網から、Qianosuchus mixtus のページを紹介します。
  三畳紀中期、貴州省に生息していた、海生環境にモザイク的に適応した原始的主竜類で
 す。3月末に記載が発表されました。張宗達の復元画、どうでしょうか。

フタバスズキリュウ記載 5.15.06

クビナガリュウ西日本で初、下あごの化石発見 鹿児島・東 1.30.06
  同島で昨年見つかった化石はエラスモサウルスの下顎だったそうです。香川大仲谷教授
 鑑定。「サツマウツノミヤリュウ」
  毎日新聞 読売新聞 南日本新聞
  参考:南日本新聞7.24.05付(獅子島で発見の化石、エラスモサウルスの頚椎、歯と判明)

獅子島で発見の化石、エラスモサウルスと判明 7.23.05
  南日本新聞
  東町獅子島で2004年2月に発見されたクビナガリュウとみられる骨の
 化石は、白亜紀後期初め(約9800万年前)のエラスモサウルスと判明

HALISAURUS STERNBERGI 大陸間に分布した小型モササウルス
  6.21.05
  HALISAURUS STERNBERGI, A SMALL MOSASAUR WITH AN
  INTERCONTINENTAL DISTRIBUTION

 JOHAN LINDGREN and MIKAEL SIVERSON
 Journal of Paleontology: Vol. 79, No. 4, pp. 763?773.

 Halisaurusはモササウルス科の中でも最も基盤的な属だそうです。
 ここではスウェーデンKristianstad盆地産の標本について記載してい
 ます。今年3月に記載発表されたばかりのEonatatorを新参無効同物
 異名としているのが興味深いところです。
 参考:Kansas Mosasaurs in Sweden:
     BARDET et al., 2005

貴州省盤県から三畳紀魚竜などの化石群 5.25.05
  最近2.3億から2.5億年前の三畳紀中期海生動物群化石が大量に出土して
 いるそうです。
 新華社

カナダ、ブリティッシュコロンビア州三畳紀後期PARDONET層産出の
 巨大SHONISAURUS 新種
 12.28.04

三畳紀の海生爬虫類は子どもを生んだ 11.18.04
  Triassic marine reptiles gave birth to live young
  YEN-NIEN CHENG, XIAO-CHUN WU & QIANG JI
  ネイチャー11月18日号 Nature 432, 383- 386(2004)

  鰭竜類(Sauropterygian)は中生代を通じ規模も多様性も最大の爬虫類
 ですが、その繁殖がウミガメのように卵生なのか、魚竜やモササウルス
 類のように胎生なのか、直接的な証拠はまだありませんでした。
 今回、中国産のKeichousaurus hui の標本2体が報告されています。
 それぞれ胎児が体内腰部の両側にいます。
 NMNS-cyn2002-01では2匹の胎児が左右に、NMNS-VL191では少なく
 とも3匹のつぶれた胎児が両側にあります。

 このすばらしくよく保存された標本は、鰭竜類における繁殖様式や性的
 二型の初の決定的な証拠となるだけでなく、Keichousaurus が含まれる
 パキプレウロサウルス類では可動性のある骨盤の進化によって胎生が
 促進された可能性があることも示している。これは見方を広げれば、可
 動性の骨盤をもった他の鰭竜類や中生代の海生爬虫類の繁殖様式に
 も関わってくるとしています。
 ヤフーニュース(共同)
 参考:Genus Keichousaurus

三畳紀の海生爬虫類オムファロサウルスその骨学、顎の
 解剖学、および魚竜類との類縁関係の証拠 1.08.04
 The Triassic marine reptile Omphalosaurus: osteology, jaw anatomy, and
 evidence for ichthyosaurian affinities
 P. Martin Sander and Christiane Faber,
  Journal of Vertebrate Paleontology, 2003, 23(4):799-816

 
 Omphalosaurus ってギョリュウだっけ?と首をかしげてしまう存在
 ではないでしょうか。ネバダ、スピッツベルゲンなどから化石は産出
 していますが、それらは断片的なものだそうです。この論文ではア
 ルプス北部で1995年に」発見された、胴部と頭蓋部の2つに分かれ
 た岩板の標本を記載しています。これにより、今までより詳細に各部
 の記載ができました。

 その胴部、頭蓋部の4つの共有派生形質は魚竜類の中に位置づけ
 させるものであり、5つの形質は魚竜類との類縁関係を示唆するもの
 だそうです。よって、古生物的記載では、?付きの魚竜類で、かつて
 消滅したともされたオムファロサウルス科、オムファロサウルス属と
 なっています。

 
鳥類の進化:魚竜の外皮繊維はドロマエオサウルス類の原
  羽毛と一致する 7.28.03
  Evolution of birds: ichthyosaur integumental fibers conform to dromaeosaur
  protofeathers
  Theagarten Lingham-Soliar
  Naturwissenschaften DOI: 10.1007/s00114-003-0448-x
  onlinefirstで全文見ることができます。
  ホルツマーデン産のStenopterygius quadricissus 、英国産
 Ichthyosaurus 最良標本に見られる外皮および真皮下繊維
 の観察から、現在主流とされている羽毛の進化仮説について
 一石を投じています。

  アブストラクトほにゃ訳
  繊維状外皮構造は、原羽毛としてドロマエオサウルス類(非
 鳥恐竜)で報告されている。この仮説は、現生および絶滅動物
 で広く一般的な皮膚と真皮下コラーゲン性繊維の複雑な構造
 に関するデータに対して考えられる。ドロマエオサウルス類の
 ”原羽毛”のように、魚竜類の外皮繊維は保存される最も外部
 の構造である。ドロマエオサウルス類のSinornithosaurusのも
 のと比較すると、これらの繊維の分岐パターンには著しい類似
 性が示される;したがって、異常な特徴と主要な特徴を識別す
 ることは難しい。翼竜標本の分析からは、翼の曲がった、また
 直線状の繊維には機能的な意味があることが示される。
 繊維はコラーゲンの二つの形にしたがっている、そしてそれは、
 恐竜Sinornithosaurus にある曲がった外皮構造は柔らかさと
 しなやかさを示すという概念に矛盾する。またSinosauropteryx
 に関する示唆は、中央部と比較してより暗い縁がある外皮構
 造はそれらがくぼみであることを暗示しているということである。
 魚竜の同様の状態の調査からは、おそらくそれが鉱化作用の
 結果であることが示される。例えば、サメ、イルカ、ヘビおよび
 カメの皮膚のコラーゲン繊維は、様々なサイズの束で集まって
 いるのが見られる。真皮の劣化は、腐敗したイルカの皮膚で留
 意されたように、繊維束の破壊と分裂した繊維の無数のパター
 ンをもたらす。この研究の全般的な発見は、恐竜の”原羽毛”の
 テーゼが現在あるよりもしっかりしたサポートを必要とするという
 ことである。

白亜紀魚竜の稀な消化管内容物 7.22.03
  Unusual gut contents in a Cretaceous ichthyosaur
  Kear, Boles and Smith
  Proceedings: Biological Sciences DOI:10.1098/rsbl.2003.0050
  アブストラクトほにゃ訳
  魚竜は、最も広範囲に研究された中生代海生爬虫類の
 グループの一つであるにもかかわらず、ほとんどの分類群
 で食性に関する直接証拠は僅かしか記録されていない。
 ここに我々は、オーストラリア下部白亜系から産出した、妊
 娠中の魚竜(Platypterygius longmani) 胴腔内に、孵化サイ
 ズの海生Protostega科カメの遺骸とエナンティオルニス類
 鳥類(条鰭魚類、燐酸ノジュールとともに)の発見を報告する;
 これは、我々の知る限り、魚竜によりカメと鳥類をともに摂食
 された最初の証拠である。非常によく保存された消化管内
 容物にはほとんど消化の形跡がなく、魚竜の死の直前の消
 化であることを示唆している。貧弱な遊泳能力から、孵化後
 のカメは、丸呑みされたりshake feedingにより処理されただ
 ろうたやすい餌食になったかもしれない。鳥類の摂食はお
 そらく腐肉食を通して生じたものだろう。脊椎動物の日和見
 主義的な食性は、白亜紀魚竜食性について主に頭足類の
 捕食を支持する、現在の解釈と争うものである。このような
 特殊化は、グループ全体の絶滅における貢献要素であると
 考えられる。しかしながら、少なくともいくつかの形態が広範
 囲の手に入る食物のタイプを利用することができたという、こ
 の証拠から、白亜紀中ごろの魚竜の衰退が、生態学的に類
 似する追求捕食者との競争などの他の要素にリンクされる
 かもしれないことを示唆する。
 参考:魚竜類の食性
     ネイチャーサイエンスアップデート

ネス湖でプレシオサウルス化石発見 7.16.03
  現代のものならネッシーの骨!と大ニュースになるところですが
 年金生活者であるGerald McSorley (67) という方がネス湖岸の
 浅い水中に潜った際に発見したのだそうです。 石灰岩中に4個の
 完全な脊椎骨が保存されているそうです。
 エジンバラのスコットランド国立博物館では、1億5千万年前、体長
 35フィートのプレシオサウルスの化石であること。またそれはスコッ
 トランドでは1世紀以上の間で初めて、ネス湖でも初めての発見で
 あるとしています。
 BBCニュース ヤフーニュース ヤフーニュース(共同)

淡水性のプレシオサウルス類Bishanopriosaurus の再研究2.20.03
  重慶侏羅系楊氏璧山上竜(一淡水蛇頸竜)的再研究
  佐藤たまき、李淳、呉肖春
  RESTUDY OF BISHANOPLIOSAURUS YOUNGI DONG 1980, A FRESH WATER
  
 PLESIOSAURIAN FROM THE JURASSIC OF CHONGQING
  古脊椎動物学報第41巻第1期pp.17-33

  プレシオサウルス類といえば海に生息していたと普通思いますが、
 ここで扱っているBishanopriosaurus youngi は非常に稀な例として、
 堆積物から淡水に生息していた事がわかっています。
 この再研究では、原記載論文でプリオサウルス類のロマレオサウル
 ス科に位置づけていたのを再検討し、プリオサウルス類だが、科の
 決め手になる頭蓋部分が欠失しているので、科レベルの位置づけは
 不確定としています。
 中国恐竜網(図)

NEW MATERIAL OF QIANICHTHYOSAURUS LI, 1999 (REPTILIA, ICHTHYOSAURIA) FROM
  THE LATE TRIASSIC OF SOUTHERN CHINA, AND IMPLICATIONS FOR THE
  DISTRIBUTION OF TRIASSIC ICHTHYOSAURS
 1.10.03
  ELIZABETH L. NICHOLLS, CHEN WEI, and 真鍋真
  Journal of Vertebrate Paleontology Vo.22, No.4 Dec. 2002 pp.759-765
  三畳紀後期に中国南部に生息していた魚竜 Qianichthyosaurus zhoui 
 の新標本について、 Toretocnemus californicus と比較しています。
 Toretocnemus californicus もよく知られていないようなのですが、両者とも
 遠位が膨大した大腿骨をもち、3本の一次指と1本の付加指が前後肢にある
 (このへんの言い方は知らないので適当です)。鰭脚の前後縁には、陥凹が
 あるそうです。そのため、Qianichthyosaurus はToretocnemus 科と関連が
 あるものとしています。また、この2つの分類群の近縁関係から、三畳紀期
 における魚竜群の太平洋にまたがる分布を示唆するとしています。

メキシコの"リオプレウロドン" 1.07.02
  すでにニュースはご存知でしょう。1月1日に流れたニュースです。
 ディスカバリーニュースによれば、独シュピーゲル誌の報道として、ドイツ
 の古生物学者がメキシコで体長18m、体重50トン以上の”海のT-REX”を
 発見したというもの。シュピーゲルを見ても、プリオサウルス類以上の事は
 よくわかりません。

 BBCニュースではLiopleurodon ferox の学名を使っています。が、これも
 その巨大さをイメージさせるために使われているようです。
 メディア報道については The Plesiosaur Siteで紹介しているリンクが詳し
 いです。

カナダ・バンクーバー島Nanaimo層群(上部白亜系)の海生爬虫類11.20.02
  Marine reptiles from the Nanaimo Group (Upper Cretaceous) of Vancouver Island
  Elizabeth L. Nicholls and Dirk Meckert
  Can. J. Earth Sci./Rev. Can. Sci. Terre 39(11): 1591-1603 (2002)
  同層群の海生爬虫類動物群について報告しています。Haslam および
 Pender 層(upper Santonian)で産出するのですが、エラスモサウルス科の
 プレシオサウルス、カメ、モササウルスが含まれるそうです。

 英ヨークシャーでプレシオサウルス発掘 10.25.02
  Scarborough という所でアマチュアのNigel Armstrong が崖に突き出て
 いる骨を発見したもの。ここではDinosaur Coast というプロジェクトが進め
 られており、発掘された化石はScarborough博物館にあるそうです。
 BBC

スピッツベルゲンからの下部三畳系魚竜頭蓋 10.24.02
  Lethaia Vol.35 No.3 pp.250-256
  The skull of a large Lower Triassic ichthyosaur from Spitzbergen
  and its implications for the origin of the Ichthyosauria
  Michael W. Maisch ; Andreas T. Matzke
  下部三畳系(Spathian)から発見されたもの。最古の魚竜化石のひとつ。
  基盤的な魚竜の中で最大なもののひとつ。頬の部分は原始形質を示し
  ている。魚竜の祖先はDiapsida内に属したかもしれない重要な証拠を
  示す。

アラスカで海生爬虫類化石発見 9.24.02
  タルキートナ山地のふもと、ユーリカEurekaという町の近郊で、
 海生爬虫類化石が発見されたそうです。脊椎骨やヒレと思われる
 ものなど。種類はまだよくわかっていません。
 アラスカで海生爬虫類化石が発見されるのは、非常に珍しく、モサ
 サウルスは未だ発見されず。プレシオサウルスは、80年前にアラス
 カ半島から肢骨断片が発見されたのみだそうです。
 アンカレッジデイリーニュース
 参考:アラスカ博物館 アラスカの恐竜と海生爬虫類
 ※Eurekaの位置はよくわかりませんが、マイクロソフトエンカルタ
   世界地図では、タルキートナ山地の南東にEureka Roadhouse
   という町があります。そこは北緯61度56分西経147度10分です。

中国貴州省でシャスタサウルス化石 8.05.02
  貴州石文化芸術宮に最近、従関嶺で発見されたシャスタサウルス(薩
 斯特魚竜)化石が収蔵されたそうです。吻部先端から尾まで約9m。これ
 まで貴州省で発見された最大かつもっとも保存のよい化石だそうです。
  新華社貴州頻道

絶滅海生爬虫類の遊泳速度見積もり:エネルギー的アプローチの再検討
  5.30.02
  Swimming speed estimation of extinct marine reptiles: energetic approach revisited
  Paleobiology: Vol. 28, No. 2, pp. 278-296. 藻谷亮介(ホームページ)

  アブストラクトほにゃ訳:中生代の海生爬虫類の巡洋速度は、これまで安定
 した遊泳中のエネルギー的均衡の数学モデルを用いることにより見積もられ
 ていた。
 この方法は、はっきりした理由なしに現生クジラ類のスピードを過大評価する
 著しい傾向が欠点であったが、そのことから、アプローチの正当性自体に疑問
 が寄せられた。現在の研究はこの欠点をひき起こした要素を確認して、修正と
 いくつかの付加的な変更を提案する。これらには、より正確な体形モデル、最
 新の新陳代謝率モデル、臨界であるよりむしろ最適のスピードモデルが含まれ
 ている。
 修正された方法は、首尾よくクジラ類を含むいくつかの現生海生脊椎動物の出
 版された最適速度に近似し、エネルギー的アプローチの基本的枠組は正当で
 あることを表している。
 この確認のもと、この方法は現生遊泳脊椎動物に知られる3つの代謝率(すな
 わち平均的変温動物、高くなった変温動物および海生恒温レベル)を仮定して、
 中生代の海生爬虫類に適用された。
 結果は、中生代海生爬虫類の相対的巡航能力に関するこれまでの推測(すな
 わち、魚竜>プレシオサウルス>モササウルス)を支持する。
 マグロ形の魚竜、Stenopterygius はおそらく、同様な食性をもついくつかの現
 生マグロ形真骨魚類と、少なくとも匹敵する速度で巡航することができただろう
  (~1 m/秒).。

中国貴州省興義から発見されたLariosaurus 新種 5.12.02
  古脊椎動物学報第40巻第2期 pp.114-126
  貴州興義中三畳統法郎組竹杆坡段 Lariosaurus 一新種
  A NEW SPECIES OF LARIOSAURUS (SAUROPTERYGIA: NOTHOSAURIDAE)
  FROM TRIASSIC OF GUIZHOU, SOUTHWEST CHINA
  李錦玲, 劉 俊, RIEPPEL Oliver

   Lariosaurus は三畳紀中期に生息していた海生爬虫類で、ノトサウルス科に
 属しています。体長20-60cm程度の比較的小型のノトサウルス類です。
 ヨーロッパでは産出していますが、当時のテチス海西部以外で初めて発見された
 ものです。新種、Lariosaurus xinyiensis sp. nov. として記載されています。
 ほとんど完全に関節した骨格の写真が掲載されています。

 概要についてはDinosaurMLにポストしたので、後ほどリンクします。
 トレーシー・フォードによると、この標本はツーソンミネラルショーにここ何年か出品
 されていたようです。彼は、しかるべき機関に収められ記載されてよかった!とポ
 ストしています(IVPP V 11866 として中国科学院古脊椎動物與古人類研究所
 に収蔵されました)。

中国貴州省三畳紀後期からキンボスポンディルス新種 3.20.02
  貴州関嶺晩三畳紀世一大型魚竜類頭骨
  CYMBOSPONDYLUS FROM THE UPPER TIRASSIC OF GUIZHOU, CHINA
  古脊椎動物学報第40巻第1期 pp.9-16
  李淳 尤海魯
  キンボスポンディルスはシャスタサウルス科に属する比較的原始的な魚竜
 です。これまで三畳紀中期の北米とヨーロッパから産出しています。
 頸部が長く体全体も長い、おそらく体全体をくねらすように泳いでいたと、いう
 ことです。

 本種はキンボスポンディルス属として最後期であるばかりでなく、アジアから
 初めて産出したところに意義があります。

 貴州省関嶺県新舗郷 上部三畳系 法郎層から産出した2個の比較的完全な
 頭蓋骨によりキンボスポンディルス属の新種として記載されています。
 Cymbospondylus asiaticus sp. nov.(亜州杯椎魚竜)

 この標本の明確な特徴には、下顎の歯が歯骨の前半にしかない、大型の上顎
 骨と既知の魚竜の中で最小の眼窩をもつことがあげられています。

 米モンタナ州白亜紀後期(ALBIAN)、THERMOPOLIS頁岩層から産出した
  新属のプレシオサウルス 3.06.02
  OSTEOLOGY OF A NEW PLESIOSAUR FROM THE LOWER CRETACEOUS
  (ALBIAN) THERMOPOLIS SHALE OF MONTANA
  Journal of Vertebrate Paleontology: Vol. 22, No. 1, pp. 29-42.
  PAT S. DRUCKENMILLER

  白亜紀の首の短いクビナガリュウ、Edgarosaurus muddi, gen. et sp. nov.,が
 記載されています。完全な頭蓋骨、26個の頚椎骨を含む34個の脊椎骨及び
 ほとんど完全な前肢がある標本です。

 Thermopolis 頁岩 (late Albian)の海成堆積物から産出したもので、西部の内
 海の初期の海進の時期に堆積したものだそうです。
 その頭蓋骨は、白亜紀の北米西部内陸部で産したプレシオサウルスのうち
 これまで記載されたなかで最も古く、最良の保存状態です。

 Edgarosaurus は系統的および層位学的に、最も近縁な首の短いプレシオサ
 ウルス Plesiopleurodon wellesi  と、多くの頭蓋骨の形質により区別される
 そうです。
 
 確立した系統の構成はないが、Carpenter 1996により明らかにされたように、
 Edgarosaurus はポリコティルス科に位置づけられる。他のポリコティルス科と
 比べ、比較的頑丈で中程度に長い肋骨、松果孔、犬歯状の歯、短い下顎結
 合および比較的多数の頚椎骨がある点で、原始形質である。

モササウルス上科の胎生化石 2.13.02
  Live birth in Cretaceous marine lizards (mosasauroids)
  Michael W. Caldwell; Michael S. Y. Lee
  The Royal Society Proceeding B Vol.268 No.1484 Issue 7Dec. 2001 pp.2397-2401
  アブストラクト
  モササウルス上科アイギアロサウルス科(aigialosaur)Carsosaurusの胎生化石を
 報告しています。少なくとも4体の成長した胎児がメスの長い胴の後部2/3に入っ
 ている(第9-21胴椎)そうです。これは有鱗目(トカゲ類とヘビ類)で唯一の胎生化石
 記録であり、このグループで最古の例であり、魚竜以外で唯一の胎生化石でもあ
 るそうです。

 その胎児の方向から、尾から先に生まれたことがわかるそうです。これはクジラ類
 カイギュウ類や魚竜などの水生有羊膜類と共通する特徴で、出産時に子が溺れる
 可能性を減らすためということです。頭が先でないので、食べられたものでないこと
 もいえるそうです。1体の胎児は出産途中だったのか骨盤の中途にあります。

 初期の中型で水陸両性のaigialosaurが胎生になったことで、卵を産みに陸に戻る
 必要から開放され、巨大な完全に海洋性のモササウルスにその後進化するのを
 可能にしたのかもしれないとしています。

 残念ながら、アブストラクトでは産地、層準などはわかりません。
 
  最古の魚竜の吐き戻し物、英で発見 2.12.02
  英、ケンブリッジ州ピーターバラPeterborough付近で発見されたものです。約1億
 6千万年前の頁岩層からです。ベレムナイトの殻が集まって固まっています。

 発見者はGreenwich大のPeter Doyle ら。魚竜に食べられた証拠として、これを顕
 微鏡で観察すると、酸で侵食されたあとが見られるそうです。糞として排泄するには
 殻が捕食者の腸を傷つけるだろうと述べています。

 ピーターバラ付近は当時、ベレムナイトの多い浅海で、魚竜は捕食後に現在のマッ
 コウクジラがカラストンビを吐き出すように、ベレムナイトの殻を吐き戻したのだろうと
 いうことです。
 ニューサイエンティスト ネットスケープ ヤフーニュース(ロイター)
 ヤフーニュース(ロイター日本語) BBC MSNBC
 ネイチャーサイエンスアップデート ナショナルジオグラフィックニュース

 魚竜類の尾びれの推進力と遊泳速度に見られるスケーリング効果1.17.02
  藻谷亮介(オンタリオ博物館)
  Scaling effects in caudal fin propulsion and the speed of ichthyosaurs
  ネイチャー1月17日号 415pp.309-312
  系統的に全く関係のない4つの脊椎動物〔マグロ類、クジラ類、ネズミザメ類、
 小骨盤類(PARVIPELVIA)の魚竜類〕は、マグロ型の体型を進化させています。
 これは、周囲の流体によって課される厳しい物理的な制約から生み出された
 収斂です。
 この研究では、こうした制約を特定して定量化するための、遊泳動力学および
 流体力学を取り込んだ数理モデルを提示し、実験データでこのモデルを検証し
 ました。
 その結果、これらの大型回遊脊椎動物では形態、運動、生理が実際に密接に
 相関して変化することが、定量的に明らかになりました。

 このモデルによって、外寸測定から最適な遊泳速度を算出することが可能にな
 り、また、マグロのような形をした遊泳動物に典型的な幅広の尾びれが、大型
 回遊動物に必要なものであるという予測もできる。この知見は、マグロ型の尾
 びれが選択されたのは尾びれの縦横比が大きくなって推進効率が上がったた
 めだとする、ポピュラーであるがかなり目的論的な説とは相入れない。

 この研究では計算をもとに、ジュラ紀魚竜類であるステノプテリギウス
 (Stenopterygius PARVIPELVIAの中に入ります)の最適回遊速度および基礎
 代謝率が、現生マグロ類のものに近かった可能性が大きいことも示しています。
 (現生マグロ類の基礎代謝率はオサガメを除く爬虫類より高い領域にあります)
 ネイチャージャパン今週のfeature(論文全文読めます)
 参考:ICTHYOSAUR PAGE RURES of the JURASSIC SEAS
     ジュラ紀の海の支配者──魚竜(日経サイエンス2001年3月号)

魚竜オプタルモサウルスの大きな眼について12.16.99
  ネイチャー12月16日号のBrief Communications欄に、カリフォルニア
 大バークレー校の藻谷亮介氏らが報告しています。
 大きな眼は光を多く集めるために必要で、それは深海に潜ったためだ
 ろうと、その証拠を化石に求めたところ、潜水病の症状があったもので
 す。以前、SVPほにゃ訳で紹介しました。
 ネイチャー門(紹介あり)
 ディスカバリーオンラインカナダ
 藻谷亮介氏の魚竜のページ

魚竜オプタルモサウルスの大きな眼について12.17.99
  ネイチャー12月16日号のBrief Communicationsをほにゃ訳してみ
 ました。
 BBCニュースでも紹介しています。12.18.99

カナダで発見された世界最大の魚竜化石について
                           10.26.99
  国立科学博物館の真鍋研究官に私もしろーとの質問を
 してみました。ここをご覧になる方からすれば、ごくごく初
 歩的なものと思われるでしょうが、私のレベルはこんなもの
 です。

 質問 この魚竜の分類上、何科とか何類に近い、これまで
     発見されている○○と類似しているなど新聞では詳
     しく報道されていませんが、そのあたりは判明してい
     るのでしょうか。魚竜化石が数体分埋もれていたそう
     ですが、それは全て同じ種類なのでしょうか(よく同
     種が複数発見されることはありますが)。
 答   ショニサウルスとは異なるとおもわれますが,それ以
     上のことは剖出が終わって,研究してみないとわかり
     ません.数種類いるのかどうかも,この標本の剖出が
     すすまないと解からないところです.
 
 質問 また、この産地ではほかに何かの化石は発見されて
     いるのでしょうか(動物、植物も含め)。発見された地
     層はどういう地層なのでしょうか。
 答  三畳紀後期の石灰岩ですが,それ以上のことは今後
     の研究課題です.

 質問 報道では、側頭窓が大きいとなっている一方、歯が小
     さくプランクトン食だったかもしれないとあります。
     しろーとにはプランクトン相手に顎を動かす強い筋肉が
     必要なのかとも思えますが。
 答   私も最初はろ過食のことは思いもつかなかったのです
     が,ろ過食には,強力でかつ巧みな顎の動きが求めら
     れます.新館1階のミンククジラのロボットを見ていただ
     くとイメージが沸くと思います.

 質問 プランクトン食だったので現在のヒゲクジラのように巨大
     化したのでしょうか。(新聞に出ている想像図を見ると、
     尾鰭のほかは比較的原始的であまり高速遊泳はしなかっ
     たとも見えます。)
 答   新聞に出ている想像図は,まだまだ検討しなくてはなり
     ません.
 
 なお、真鍋研究官は、来月発行される「国立科学博物館ニュー
 ス」第368号にこの魚竜に関する文を掲載します。
 「カナディアンロッキーの三畳紀の調査:
  魚竜の初期進化を探る」

 というもの。以下にその抜粋を掲載します。なお、これは真鍋研
 究官のご好意によるものなので、真鍋研究官の承認なしに転載
 しないでください。
 「国立科学博物館ニュース」は1部310円。国立科学博物館地下
 ミュージアムショップで販売しています。科博友の会会員には郵
 送されます。もちろんこちらには全文掲載になります。ご購入を
 おすすめします。


 前略-地学研究部では,魚竜の初期の進化を明らかにするた
 め,カナダのロッキー山脈の三畳紀の海の地層の調査・研究を
 行っています.

 -魚竜の進化史をたどると,三畳紀にはいろいろな姿形の種が
 いて最も多様性が高く,ジュラ紀以降は少数のグループが世界
 的に繁栄したことがわかります.進化の初期に,進化の実験が
 行われていたようにも解釈できます.魚竜の進化史,そして爬虫
 類の海生適応を理解するには,三畳紀を研究することが重要な
 のです.
 
 - 平成10年,11年夏は,ワピティ湖の北に約260キロの,ピン
 クマウンテン付近の約2億2000万年前(三畳紀後期)の地層を調
 査しました.平成3年,このあたりの調査をしていた考古学者が,
 シカニーチーフ川の河岸に大きな骨を発見し「恐竜化石」としてロ
 イヤルティレル博物館に報告しました.
 翌年,同博物館のベッツィー・ニコルス博士が,現地に行き,大き
 な魚竜の化石であることを確認しました.平成9年夏,ニコルス博
 士と私は予備調査のために現地に行き,河岸に露出する石灰岩
 には,魚竜の肋骨や脊椎骨などがいたるところに散乱していて,
 巨大な魚竜の化石が何体分もあることを確認しました.
 
 - 河岸の土手の下には頭骨が埋まっている可能性が高いことも
 わかりました.ショニサウルスの場合,頭骨はばらばらに見つかっ
 た数個体分の骨を組み合わせて復元したものでした.私たちの目
 の前にある大型魚竜は,胴体の骨の関節具合からして,頭骨が関
 節して残っていることが期待されました.頭骨は魚竜の系統進化の
 研究には非常に重要な部位です.
 魚竜が海への適応を高めるにつれて,体が流線型化するのに伴い,
 吻部も細長くなり,先端にあった鼻孔が後方に移動する,目が大型
 化する,後頭部(脳頭蓋)が短縮化するなど数多くの変化が起こりま
 した.これは,陸から海へ適応する過程で,魚竜は体の前進方法,
 呼吸の仕方,エサの探し方,食べ方などにおいて,大きなモデルチェ
 ンジをしなければならなかったからです.平成10年夏,頭骨の有無を
 確認するため,河岸の土手の部分を発掘することになりました.

 -平成10年夏,岩石ドリルと岩石カッター,チェーンソーなどをヘリコ
 プターで運び込み,平均6名のチームで2ヶ月間の発掘を開始しまし
 た.
 州政府の許可を得て土手の木を何本か伐採し,表土をはぎ取り,石
 灰岩を電動ドリルで掘削すること約1ヶ月,頭骨の存在を確認すること
 が出来ました.頭骨の幅は1.8メートルに達することがわかりました.
 前方に1メートル掘り進んだところで時間切れ,発掘は翌年に持ち越
 されることになりました.

 -平成11年夏,頭骨をさらに前方に掘り進むと,後頭部から目のあた
 りまではほぼ完全な状態で骨が保存されていたのに対し,吻部は骨
 がこなごなに壊れた状態になっていました.

 -石膏を浸した厚い布でギブスのようにブロック全体を覆います.-
 -後頭部を含む塊は長さ3.5メートル,幅2.5メートル,推定重量が約4
 トンにもなってしまいました.これだけの重さを持ち上げるには,大型
 のヘリコプターが必要でした.

 -ヘリコプターで吊り上げたブロックはそのまま,トレーラーに下ろして
 もらい,ロイヤルティレル博物館まで2000キロを陸路で輸送しました.
 この冬から同博物館で剖出作業が始まります.

 - まだ頭骨の全容が見えない状態ですが,頭骨の長さは約5.5メート
 ルと推定できました.
 他の魚竜に比べると,後頭部が長く側頭窓と呼ばれる穴が大きいことに
 気がつきます.この穴は,あごを動かす筋肉が収まる場所で,この魚竜は
 力強い顎を持っていたことが想像されます.力強い顎というと大きな歯を
 想像しますが,これまでに見つかっている歯は,長さ1センチ程度と頭骨
 の大きさからすると著しく小さいのです.シロナガスクジラやマッコウクジ
 ラといった大型の海生哺乳類は,ヒゲクジラ類でろ過食の動物です.この
 魚竜も体の大きさ,力強い顎,著しく小さな歯から,ろ過食であったこと可
 能性も考えられます.


ディスカバリーオンラインのニュース3点10.26.99
  時間がないのでリンクのみ。
  Big-Eyed Dinos Dove The Deepest
    昨日ほにゃ訳で紹介した魚竜の眼についてです。
  イクチオサウルスの20%に潜水病の症状を発見した
  そうです。減圧症の最も重いものに、無菌性骨壊死
  というのがあるそうなので、化石骨にその跡があった
  のでしょうか。
  参考:減圧症の病型
  Ancient 'Jaws' Had Mosasaur Meals
  Mammoth Cloning In Doubt

カナダ、ロッキー山脈から世界最大の魚竜10.24.99
  既に10月13日に紹介していますが、マスコミで大きく
 報道されていますので、再度紹介します。
 ロイヤル・ティレル博物館に、発掘のエピソードのページ
 があります。それによると、頭蓋骨だけで5.5mあり、体
 の他の部分は18mなので、間違いなく世界最大です。
 今回は頭蓋骨のみの発掘で、あとは来年以降になりま
 す。
 ロイヤル・ティレル博物館
 朝日新聞(たぶん1日で消える)

オーストラリアでプレシオサウルス発見10.18.99
  クイーンズランド博物館の発掘です。Carpentaria湾の
 川沿いからで、約1億1千2百万年前のプレシオサウルス
 の頭蓋骨、肩帯、肋骨、骨盤などがあるようです。
 オーストラリアABCサイエンス
 myCNN

イスラエルから新タイプのモササウルス9.16.99
  '93年にネゲブ砂漠で発見された化石は、当初 Prognathodonと
 呼ばれる種の大きいものと考えられていましたが、その後の研究で
 新しいタイプとされOronosaurusと命名されたそうです。
 ディスカバりーオンライン

南極でモササウルス、プレシオサウルスの化石発見7.9.99
  7月5日から9日までニュージーランド・ウェリントンのヴィクトリア大で行
 われた南極の国際シンポジウムでの発表です。
  米サウスダコタの地質博物館のジム・マーティンらがVega島、 Seymour
 島と南極半島で発掘をし、この1月に発見したそうです。この発見で、少な
 くとも4つのタイプのモササウルスが南極にいたことが判ったそうです。
 脊椎や歯、顎の骨などがあり、今後同博物館で研究されるそうです。
 CNNカスタムニュース
 ヤフーニュースライン
 参考:国際シンポジウムのお知らせ
     サウスダコタ地質博物館

北海道穂別町で発見された頭蓋骨は新種のモササウルス3.18.99
 穂別町で4年前に発見された化石が、モササウルスの新種であることが、
 同町立博物館の調査で明らかになったそうです。
 新種と特定されたのは'82年に同町内で発見されたモササウルス・ホベツ
 エンシスの化石に続き、東アジアで二例目とのこと。
 同博物館学芸員桜井和彦氏の調査で、頭頂骨、後頭部、頭骨のそれぞれ
 一部と、歯であることが判明。また、新種であることは、ホベツエンシスの
 歯が滑らかなのに対して、今回の化石の歯は、食生活の形態が異なることを
 示唆する多面体であることから。
 約7,000万年前に生息した体長5~6mの成体のものらしいとのこと。
 ヤフーニュースライン
 参考、穂別町立博物館の紹介(ここの”化石”をクリックしてください)

歌津魚竜、世界に!5.21.98
ネイチャー5月21日号では、letteres to Natureでウタツサウルスが紹介されています。
 歌津魚竜(Utatsusaurus hataii)は,1970年に宮城県歌津町で発見されました。
およそ2憶4000万年前の三畳紀中期のもので,世界最古の魚竜のグループであると考えられている
そうです。
カリフォルニア大学古生物博物館の藻谷亮介氏と北海道大学の箕浦名知男助手と安藤
達郎氏からで、ウタツサウルスの原始的特徴を明らかにしたそうです。
また、分岐分類学的解析から、魚竜は双弓亜綱の爬虫類だが、恐竜やヘビ、トカゲ、
クビナガリュウなどを含む竜群(Sauria)には入らないことを示しているのだそうです。
日本語訳については、ネイチャー日本版でごらんください。(ネイチャーは、いずれも無料
ですが登録が必要です。)陸上祖先生物の名残が見られるというのはすごい!

恐竜の楽園の水上さんのメールによれば、河北新報に解説がのっています。ただ、こちらを
見ると、「1982年、宮城県雄勝町で発掘」とあるので、いわゆる「雄勝魚竜」のことを言って
いるようです。ウタツサウルス・ハタイイの模式標本より古いタイプという扱いなのかな?

「雄勝魚竜」については、金子隆一氏の「翼竜の謎」P231に若干の説明があります。
「まだ記載されていないが、宮城県雄勝町から発見された、体長3m弱の中型三畳紀魚竜、
仮名「雄勝魚竜」も、やはり8個前後の頸椎をもつ。体全体のプロポーションはシャスタサウ
ルス科のメンバーにそっくりだ。しかし、前足や後ろ足の構造は、記載予定者による図版で
見るかぎりきわめて原始的で、ひょっとしたらこれは、シャスタサウルス科の起源にかなり
近い位置にある動物なのかもしれない。詳細は、記載が発表されるまで待つより他はない。」
と、あります。
追記:ネイチャー本文によると、「雄勝魚竜」は二次元的につぶれているので三次元的に復元
したところ、歌津魚竜と同種であることがわかったそうです。ただし、歌津魚竜が1.5m程度なの
に対し、「雄勝魚竜」は3m程度。その他、ウナギ型に体をくねらせて泳いだとか・・・いろいろ新
知見があるようです。5.23.98