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カナダ、ブリティッシュコロンビア州三畳紀後期PARDONET層産出の
 巨大SHONISAURUS 新種 12.28.04
 GIANT ICHTHYOSAURS OF THE TRIASSIC—A NEW SPECIES OF SHONISAURUS
 FROM THE PARDONET FORMATION (NORIAN: LATE TRIASSIC) OF BRITISH COLUMBIA
 ELIZABETH L. NICHOLLS and MAKOTO MANABE(真鍋真)
 Journal of Vertebrate Paleontology 24(4):838–849, December 2004

 国立科学博物館新館の地下2階、地球環境の変動と生物の進化 のコーナーに、巨
 大魚竜、ショニサウルス・シカニエンシスの後頭部が展示されています。本論文は
 その後頭部も含めた骨格の記載です。魚竜、シャスタサウルス科、SHONISAURUS
 属の新種 SHONISAURUS SIKANNIENSIS sp. nov. とされています。同属の年代・
 地理的範囲が広がったことにもなります。
 シニア・オーサーの ELIZABETH L. NICHOLLS博士は2004年10月18日に亡くなら
 れたので、博士の記載として最後のものになるのかもしれません。

 Shonisaurus の標本は米ネヴァダ州から37産出し、その全てが単一の種、
 Shonisaurus popularis Camp, 1976 に帰せられています。しかし、標本の多くは
 つぶれたり不完全なもので、特に頭部についてはあまり解剖学的に知られていない
 そうです。本標本TMP 94.378.2は、カナダ、ブリティッシュコロンビア州、Sikanni
 Chief川のPARDONET層(Norian)から採集されたもので、その様子はディスカバリー
 チャンネルでも放映されました。

 Shonisaurus sikanniensisShonisaurus popularis と異なる点として以下の事
 があげられています。
 第一にその巨大さ。popularis が体長15mほどとされるのに対し、sikanniensis
 体長は21mに達するとされています。他に、遠位に膨大した扇形の肩甲骨、popularis
 に見られる極度に短くなった脊椎骨椎体でなく、椎体は比較的長いことがあげられ
 ています。

 さらに、肢帯間長の再検討などから、 sikanniensispopularisとも、これまで
 popularis で考えられていたような幅広の胴体ではなく、もっとスマートな体を
 していたことがわかりました。Cymbospondylus petrinus の胴に似ていたようです。

 Shonisaurus の多くの標本のうち、歯があるものは小型の標本のみです。sikanniensis
 にもありません。歯があるものは幼体と考えられるそうです。さらに成体の食性に
 ついて議論していますが、巨体を養うのに植物食でもなく、クジラヒゲのようなフィ
 ルターを使ったろ過食でもなく、豊富なベレムナイトやイカを吸い込んで食べたのだ
 ろうとしています。
 参考:SHONISAURUS POPULARIS
    Ichthosaur Page