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「ノースダコタのヘルクリーク層における地質学と古生物学」
ジョン・ホーガンソンさん(ノースダコタ地質調査所 博士)


 ヘルクリーク層からは、沢山の重要な化石が産出している。6500万年前には川がロッキー山脈から西に流れ、現在のアメリカ中西部にあたる内海にそそいでいた。デルタ地帯には様々な恐竜が生息していた。ヘルクリーク層は、ノースダコタ州南西部と中央部に分布している。

(ここから先は発掘風景や産出する恐竜の紹介)
1811年頃から発掘が始まった。南西部のマーマスでは現在も発掘している。砂岩であり、トリケラトプス、エドモントサウルスなどの草食動物を中心に出土する。トロオドンなどの獣脚類も発掘されるが、その数は少ない。T-REXも出るが、歯のみでまだ骨格は見つかっていない。

(トリケラトプスの頭骨発掘写真)
トリケラトプスが横向きになって死んでいた。荒い砂岩で、そこからここに川が流れていたことがわかる。石膏でジャケッティングして運搬する。石膏で包んだ化石は大変重いので、運搬では大変な思いをする。重機を使って運搬する。

(産出する恐竜) エドモントサウルス、パキケファロサウルスなど。植物食恐竜がほとんど。獣脚類ではドロマエオサウルス類、トロオドン。これらは捕食者とも腐肉食者とも考えられる。T-REXの骨もいくつかの場所で見つかっている。恐竜以外の化石では、カメ、ウロコ、魚、トカゲ、モササウルスなどの海生爬虫類、ヘスペロニスなどの海生の鳥類に私は興味を持っている。小型哺乳類も見つかっている。植物ではソテツ類、松ぼっくり、コハクなどがある。



ジョン・ホーガンソン博士
「恐竜ミイラ研究最前線」
タイラー・ライソンさん
(マーマス研究財団 代表)

 恐竜ミイラ化石「ダコタ」について話をする。私が16歳の時、発見した。世界にはミイラ化石は6体しかない。うち4つはアメリカ自然史博物館、ドイツ、これはマルタと呼ばれる標本、5番目は大西洋に沈んだ。これらは全てカモノハシ恐竜だ。

恐竜ミイラとは、立体的に皮膚が骨にまとわりついていることをいう。ダコタは、ノースダコタ州にあるヘルクリーク層で見つかった。この地域は、今は砂漠のような気候になっている。

(発掘地域の立体CG映像)私が16歳の時、丘のふもとにさしかかった時、偶然、胴部の脊椎骨が地表に出ていた。堆積環境から、非常に大きな川の砂州に埋まっていたと推測できる。

(発掘過程の写真)発掘すると、尾やほかの部分に皮膚化石を見つけることができた。6週間かけて全て発掘した。運搬するには石膏のジャケットを作り、下部に金属フレームを入れて移動した。ラボに運び、クリーニングをする。歯科ドリルで3年かかった。急ぐと薄い皮膚を破ってしまう。ここで疑問となることは、なぜミイラとして保存されたのかだ。

(野外で死んで骨と皮だけ残っているウシの写真) この写真のようにまず乾燥して骨と皮膚だけになり、次いで水中に埋まったのだろう。

(尾の写真)6角形のウロコが尾を覆っているのがわかる。また、背にフリルがある。手には水かきが付いているのがわかる。第三指、第四指が覆われている水かきがある。CTスキャンのデータから、皮膚や骨がどこにあるかわかる。骨に対して、尾の幅は2倍ほどあったことがわかった。このことから、ダコタはスマートな体形ではなく、ずんぐりした体をしていたことが伺える。早く走る時は、4足で走っていたと思われる。(2種の復元画、スレンダーなものとずんぐりしたものを見せ) この恐竜は恐らく大きくずんぐりした形だった。どれくらい速く走れたかというと、およそ毎秒16m(時速57.6km)。T-REXよりわずかに速かった。

タイラー・ライソン氏