いいかげん揺さぶられ飽きもきた頃、峠を下る絶景が待ち構えていた。峡谷の下に広がる盆地が川街だ。正しくは禄豊県川街郷というのだろう。周囲は低い山並み。田畑のそこここに集落の黒い瓦屋根が光る。
道沿いの食堂でいったん止まる。もう11時。発掘現場見学後の食事を予約したのだ。そこから数キロ、右手の丘に白い壁が見える。発掘現場の覆い屋だ。
聶氏の先導で道端から野原を突っ切り、崖道を上り、覆い屋前に出る。振り返れば道路の反対側に集落と見事な地層が。この風景は見たことがある。幕張の恐竜博で大きなパネルになっていた。さらにそれ以前、2001年に東海化石研究会の牧村さんが送ってきた数点の写真にあった。ああ、ここがあの写真のそこなのか・・・!と、小さな感動がよぎる。
正面のシャッターがなかなか開かない。日差しは射るばかり。さすがに皆じれてくる。横のドアを開け、内側からも手伝い、ようやくシャッターがひとつ上がった。もうひとつも上がり、内部に光が入った。
この現場のレプリカは、2004年夏、幕張で開催されている「驚異の大恐竜博」で展示されている。したがって個々の産状や部位は、そちらで確認するほうが簡単だろう。ただ言えることは、現場はレプリカほど全体に赤くないということである。土全体、赤みはあるが、はるかに薄い。
はじめは鉄柵の外側から撮影していたが、董教授のはからいで数人づつ内部に入れることになった。間近に骨を見ることができる!
この現場は幅最大28m、間口89mということで、そのうち約400uが発掘されている。かなり密集して産出しており、董教授によれば、この状態なら全体で100体は埋まっているだろうという。
チュアンジエサウルスの頭部から尾椎まで、折れ曲がりながら一箇所にかたまって出ている。珍しい脳函部の一部さえある。向かって左手の肩甲骨などにはレプリカ用に型をとったあとの樹脂片が見て取れる。化石や董教授との記念撮影を終え、一行はさらに奥に向かった。
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チュアンジエサウルス発掘現場の覆い屋

高速道路を挟んだ向かい側

化石の説明をする董教授(右)と李大建氏(左)

頚椎の一部 |