ソ連製のアントノフ機でウムヌ(南)ゴビのツーリストキャンプへ向かった。大地は白
茶色で、所々に緑の山並みが見える。1時間半程で、機は草原に着陸した。吹流し1本の
他には何もない。その傍らにツーリストキャンプがある。ゲル−包(パオ)−が50あまり
、食堂とトイレ、シャワールームが主な施設だ。ほかにカラオケバー、ドルショップも隅
にある。これが駐屯地のように柵に囲まれている。遥か南にはゴルバンサイハン山地がな
だらかに連なる。あとはゆるやかな起伏の平原。よく、ゴビの砂漠というが、草は生えて
いる。ただ、まばらなので遠くを見ると緑だが、真下は地面の色になる。数キロ先にゲル
が幾つか見える。馬の群れが草を食んでいる。
今日は、ヨリーン・アム(鷹の谷)へピクニック。途中、ゴビ自然博物館の見学もある
。マイクロバスで南に70km。山ふところに分け入る。轍(わだち)が道になっている。所
々にゲルや家畜。草原が終わりになった頃、鉄のゲートがあり、ゴビ自然博物館はある。
実はここには期待していた。旅行社の受付の女性は、「私は行ったことはないけれど、ゴ
ビの博物館はすごいらしいですよ。」と言ったのだ。でも、小さい建物だ。15m 四方程の
1階建てだ。脇にはなにやら恐竜の絵の看板があるのだが、
トリケラトプスが描いてある
。ありゃ、アメリカの恐竜じゃないか。せめて
プロトケラトプスに描き直してほしい。
中に入って唖然。恐竜関係はプロトケラトプス
1体と丸い卵1塊しかない。それでも気
を取り直して写真を撮る。一応、職員の女性に「これは本物の化石ですか?」と尋ねる。
英語を解してくれて、彼女はうなずいた。あとは、現地の動物の剥製、毛皮などだ。他に
2棟建物があって、それぞれドルショップの土産物屋だった。まあ、こんな観光客しか来
ない、それも夏場だけの所に凄い物があると期待したのが甘かった。まだまだメインはこ
れからだ。目的地の渓谷は川が流れ、信じられないことに、雪渓が残っていた。ナキウサ
ギが鳥の囀りのように鳴き、冬のためにせっせと草を刈っては巣穴に運び込んでいた。
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