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3 バヤンザク探訪

 三日目は、バヤンザクで化石発掘体験である。バヤンザク−あのアンドリュース探検隊 が70年あまり前、「炎の絶壁」で大量の化石を発掘した所だ。聖地の巡礼に行くような気 分になってしまう。ツーリストキャンプから北北西に70km。途中、砂丘に寄ったりしなが ら昼頃到着。同乗してきた食堂のコックが昼食を作る間に、化石が落ちていないか探して みる。皆、化石など見たことのない人ばかりで、私に一々「これは化石?」と聞きに来る 。なけなしの知識で「怪しいと思ったら舐めてみてください。舌に吸い付いてくるのが化 石です。」と教える。刺すような光の中、一向に化石は見つからない。茂みにトカゲが隠 れている。トヤさんが「あ、トカゲ!」と、喜ぶ。石は時々綺麗な物が見つかる。メノウ のかけらなのだろうか。しかし、モンゴルは鉱石、化石の類は国外持出し禁止で、税関で 見つかると、1,000 ドルの罰金だそうだ。もし見つけても、どうやって持出そうか。
 
 そうこうしているうちに昼食が出来上がった。メインは羊肉のシシカバブだ。他にピラ フやサラダもついて、なかなかの豪華さ。マイクロバスの陰にシートを敷いて一休み。

 昼食後、崖の方に移動する。途中、遊牧民のゲルに寄って馬乳酒をご馳走になる。どん な見知らぬ者であっても来客には馬乳酒と乾酪をふるまうのが、草原の作法だ。お礼に、 ポラロイドカメラを持っている人が、彼ら家族の写真を撮った。遊牧民は、普段写真を撮 る機会がないため、ポラロイドを非常に喜ぶ。わざわざ服を着替えて写る者もいる。仏壇 の脇のガラスには、ダライラマの写真とともに、こうしたポラロイドを挟んで記念にして いる。

 そこを辞して数キロ行くと、赤い崖が見えてきた。なるほど、「炎の絶壁」と探検隊が 名付けた訳だ。夕日の頃には本当に燃えているように見えるだろう。バスを停め、崖上の 平原から私達は、尾根をつたっておりていった。トヤさんは、先週ここで恐竜の卵を見つ けたという。何かないかと、目を皿にして探す。私は、雨水の流れた跡にかけらでものこ っていないかと、調べてみた。小石ばかりで化石はない。と、私を呼ぶ声がする。崖の露 頭で何か見つけたようだ。行ってみると、ピストルのような形の塊が土からやや露出して いる。生憎、道具は何も持っていない。石で周囲を引っ掻いて形をはっきりさせてみる。 私も経験が無いので化石ともなんとも断定できない。ただ、化石にしてはもろすぎる気が して、それ以上はやめてしまった。結局収穫なしで引き上げることになった。「 今度私の恐竜の卵、持ってきてあげる。」と、トヤさんが耳打ちしてくれた。
 一旦ウランバートルに戻り、近郊のウンドルドブのツーリストキャンプで乗馬体験の日 の夕方、彼女は恐竜の卵を見せてくれた。だんだん自分では自信がなくなってきたと言い ながら、ポリ袋の包みを開いた。やや平たい丸い塊が1つ。卵とも何とも言い難い。ただ 、表面は卵の殻にひびが入ったようになっていて、かけらが少し落ちていた。彼女がかけ らをくれた。持ち帰って調べてみよう。
 乗馬体験について一言。尻が痛くなったけれど、楽しかったよ!



4 ウランバートル自然史博物館へ


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