■SVP2002年度総会レポ−ト

サム・ノーブル博物館
SVP2002ホストとなったサム・ノーブル博物館

○サム・ノ−ブル・オクラホマ自然史博物館

 かようなしだいで、筆者は会期中ほとんどNCEDの建物から外へ
出ることもなく、たまに向かいの別館に講演を聞きにいく時、道路を
横切るだけだった。建物の前には広い花壇があり、けっこう色々な
チョウが集まってくる。夜はすでにかなり冷え込むようになっていた
が、昼間は陽が照っているかぎり、半袖でもいいかなと思うほど温
かい。今がチョウの活動する最後のシ−ズンなのだろう、白、黄色
からオレンジに至る色調のグラデ−ションを見せるさまざなシロチョウ
類やタテハチョウ類にまじって、時おり渡りの途中と思われるモナ−
ク(オオカバマダラ)の新鮮な個体も現れる。

こやつらは、ほんの50センチほどの距離までカメラを近づけても平
然と吸蜜を続けているくせに、それ以上手をちょっとでも伸ばすと
間髪をいれずぱっと飛び立ってしまう。くそ、こうとわかっていれば
補虫網を持ってくるんだった。

 いや、しかし、考えて見れば、こんな所で無脊椎動物風情と戯れ
ている暇はない。まだこちらへ来てから、1度もご当地の化石類を
見ていないではないか。と、いうことで会期2日目の午後、筆者は
会場を抜け出し、タクシ−で15分足らずの距離にある「サム・ノ−
ブル・オクラホマ自然史博物館」へとやってきた。ちなみに、会期中
はSVP総会の会員証を胸につけていれば木戸御免、タダで入れる。

 この博物館は、それまでオクラホマ大学内の小さな展示室にすぎ
なかった前身組織を一気に拡張し、オクラホマの自然史全般を対象
とする総合展示施設として2000年5月にオ−プンしたばかりだが、
それだけに建物はきれい、スペ−スもゆったりしていて展示のセン
スは今風である。それに、よそではなかなかお目にかかれない標
本が多い。

 まず、中央ホ−ルから右手に入ると、最初のコ−ナ−はアメリカの
絶滅哺乳類。毎度おなじみのシャベルゾウ、アメベロドンを始め、ア
メリカマストドン、更新世のいわゆるショ−ト・フェイスド・ベア(アルク
トドゥス)、同じく更新世の巨大な角を持つ野牛(ビソン・ルティフロン
ス)のいずれも実物骨格が並んでいる。そして、その奥にはお待ち
かねのペンタケラトプスの全身組み立て骨格。筆者の知るかぎり、
よそでこの角竜の組み立て骨格を見たことはない。アルバカ−キ−
のニュ−メキシコ自然史博物館で頭骨を展示してあったのみだ。
しかも、ここの展示はわりと空間を広くとってあるので、ちょっと広角
があれば十分全身象が撮影できる。これはおすすめである。





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