■SVP2002年度総会レポ−ト

サム・ノーブル博物館
SVP2002ホストとなったサム・ノーブル博物館

○新しいミイラ化石・その他

 今回の総会はこれまでのどの総会にも増して講演とポスタ−・
セッションの数が多いらしく、事前に送られてくる予稿集・・今年は
作業に不手際があり、それが手元に届いたのは本当にぎりぎり
出発の直前だったが・・が初めて中綴じではなく平綴じになった。

講演だけで266 本、ポスタ−は288 点、これにオ−クションやら
パ−ティやらロ−マ−賞の授賞式やらが加わった盛り沢山なプロ
グラムを4日でこなそうというのだから、これはしんどい。

ばかでかいコンベンション・センタ−のあちこちに分散して同時進
行で行われるセッションの間を、予稿集と首っ引きで渡りあるかな
ければならない。しかも、その合間をぬってディ−ラ−ズ・ル−ム
で古本屋や新刊書のバ−ゲンをあさり、顔見知りの誰彼と旧交を
温め、博物館の取材もこなし、となると、本当に忙しい。とてもじゃ
ないが、オクラホマシティの見物になど出かけている暇はない。

 今年は特に、恐竜テ−マのシンポジウムがあったわけではない
が、それでもさすがはSVP、どっちを向いてもあっと驚くような新ネ
タがごろごろしている。恐竜関係だけに絞って、ランダムにそのい
くつかをご紹介しておこう。

 講演ではなくポスタ−での発表だが、今年とりわけ対外的に注
目を集めたのは、スタ−ンバ−グ以来九十数年ぶりになる、新し
い恐竜ミイラ化石の報告であった。それも別々の場所で2体であ
る。

この内1体は、すでにあちこちで報道されたいるためご存じの方も
多いと思うが、「レオナルド」と命名された体長7メ−トルのブラキ
ロフォサウルスの亜成体で、全身の90%以上がそろった完璧な
保存状態である。胃の内容物まで残っているという。

会場で配られていたチラシによると、この化石を掘りあてたモンタ
ナのフィリップス郡立博物館では、早くも「レオナルド」を展示の目
玉にすえて、大々的に売り出すつもりのようだ。これでまた行かね
ばならない田舎の小さな博物館がもう1つできてしまった。

もう一方は、ワイオミングのニオブララ郡で1995年にマ−ストリヒト
期後期の地層から発掘され、今回初めて存在が公表された属不
明のカモノハシ竜で、残念ながら頭骨を含む上半身のかなりの部
分はなくなっているが、残った骨格には肉食恐竜にやられたとおぼ
しき骨折の跡がいくつも残り、古病理学的に貴重な情報源であると
いう。

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