ディメトロドンとサメは互いに捕食しあった 10.24.14
  GSA2014プログラム ライブサイエンス
  これもGSA2014におけるロバート・バッカーの発表からです。ディメトロドンは約2億
 9千万年前、ペルム紀前期における陸上生態系の頂点捕食者でした。しかし、その餌
 となる大型植物食動物は、その当時、ディメトロドンの数に比較し少ない。このことは
 1970年代から当時の古生物学者E. C. Olsonにより指摘されたいました。バッカーは、
 テキサス州の発掘地で30のディメトロドン標本と、わずかに2個体の植物食動物標本
 を発掘したそうです。一方、ディメトロドンの歯には60以上の魚類の断片があったそう
 です。当時の大型魚類はXenacanth というサメです。ディメトロドンはこれを捕食して
 いたとしていますが、一方、このサメの歯はとても鋭く、ディメトロドンの帆の骨に鋭い
 傷痕が発見されているそうです。このことから、ディメトロドンとサメが相互に捕食して
 いたとしています。

ポーランドの上部三畳系からディキノドンと推定されるコプロライト 7.02.14
  100個以上のコプロライト(糞石)が見つかっていて、その地域で植物食の
 大型動物はディキノドンということです。
 主に柔らかい植物を食べていたが、わずかに木の破片もまじっているそうです。
 Piotr Bajdek, Krzysztof Owocki & Grzegorz Nied?wiedzki (2014)
 Putative dicynodont coprolites from the Upper Triassic of Poland.
 Palaeogeography, Palaeoclimatology, Palaeoecology
  DOI: 10.1016/j.palaeo.2014.06.013 アブストラクト

約3億年前、植物食単弓類カセア科の祖先は小型 4.17.14
  ユーレカアラート(PlosOne トロント大) 時事
  カセア科は最大4mを超す大型の植物食単弓類ですが、その祖先は小型で
 虫などを食べていたようです。
 Eocasea martini と命名されています。体長は20p程度でした。
 Reisz RR, Frobisch J (2014)
 The Oldest Caseid Synapsid from the Late Pennsylvanian of Kansas, and
 the Evolution of Herbivory in Terrestrial Vertebrates.
 PLoS ONE 9(4): e94518. doi:10.1371/journal.pone.0094518 論文

中国新疆ウイグル自治区からカンネメイエリア形類ディキノドン 4.09.14
  新疆ウイグル自治区、Dalongkou(大竜口(?))の下部三畳系 Jiucaiyuan
 (韮菜園)層から産出したカンネメイエリア形類ディキノドンを記載しています。
 Sungeodon kimkraemerae 新属新種
 三畳紀最前期のカンネメイエリア形類として初めてのものです。これまでカン
 ネメイエリア形類の先駆けとなるものはペルム紀後期から知られていました
 が、真のカンネメイエリア形類は三畳紀後期の初めからしか知られていませ
 んでした。この記載は、両者の架け橋となります。
 Michael W. Maisch & Andreas T.Matzke (2014)
 Sungeodon kimkraemerae n. gen. n. sp., the oldest kannemeyeriiform
 (Therapsida, Dicynodontia) and its implications for the early diversification
 of large herbivores after the P/T boundary.
 Neues Jahrbuch fur Geologie und Palaontologie - Abhandlungen 272(1): 1-12
 DOI: http://dx.doi.org/10.1127/0077-7749/2014/0394

モザンビークからエミドプス上科ディキノドン記載 12.11.13
  お知らせ自体は5日にしたものです。ほにゃ訳も加えました。

モザンビークから完全な頭蓋をもつディキノドン類記載 12.05.13
  モザンビークで、PalNiassaという国際チームにより発掘・記載されたものです。
 Niassodon mfumukasi 新属新種 頭蓋長58oという小型のものです。
 マイクロCTスキャンにより、その脳の仮想モデルが構築され、初期哺乳類の脳
 機能の進化を解明するために重要なものとなるそうです。
 Castanhinha R, Araujo R, Junior LC, Angielczyk KD, Martins GG, et al. (2013)
 Bringing Dicynodonts Back to Life: Paleobiology and Anatomy of a New
 Emydopoid Genus from the Upper Permian of Mozambique.
 PLoS ONE 8(12): e80974. doi:10.1371/journal.pone.0080974 論文

既知最古の共同トイレは、三畳紀大型植物食動物の群居性の証拠をもたらす
  11.29.13
  アルゼンチン、約2億3500万年前の地層から、カンネメイエリア形ディキノドンの
 糞石集積がみつかりました。哺乳類でも複数個体が糞を一定の場所にする例が
 知られていますが、これはその最古の例になるそうです。
 Lucas E. Fiorelli, MartA-n D. Ezcurra, E. MartA-n Hechenleitner, Eloisa
 Arganaraz, JeremA-as R. A. Taborda, M. Jimena Trotteyn, M. BelAcn von
 Baczko & Julia B. Desojo (2013)
 The oldest known communal latrines provide evidence of gregarism in
 Triassic megaherbivores.
 Scientific Reports 3, Article number: 3348 doi:10.1038/srep03348 論文

キノドン類はペルム紀末の大量絶滅後、多様性を増加させた 8.29.13
  Marcello Ruta, Jennifer Botha-Brink, Stephen A. Mitchell
 and Michael J. Benton.(2013)
 The radiation of cynodonts and the ground plan of mammalian
 morphological diversity
 Proceedings of the Royal Society B vol. 280 no. 1769 20131865
  doi: 10.1098/rspb.2013.1865 アブストラクト(論文フリー)
 ブリストル大

2億5千万年前の単弓類(哺乳類型爬虫類)と両生類の奇妙なカップル 6.28.13
  サイエンスニュース Witz大 ESRF
  南アフリカ、カルー盆地で発見された巣穴化石をスキャンしたところ、中に奇妙なカッ
 プルの骨格が眠っていることが明らかになりました。
 1つは、単弓類トリナクソドン、もう1つは両生類Broomistega です。両生類の方は、
 肋骨に負傷をしていて、考えられるストーリーとしては、休眠中のトリナクソドンの巣
 穴にBroomistega が怪我の保養のため入り込んでいたところ、洪水で2匹とも埋まっ
 たということのようです。この発見により、トリナクソドンが休眠をとる行動様式をとって
 いたことも示唆されるとしています。

インド、西ベンガルからキノドン記載 3.21.12
  西ベンガル、Damodar valleyの下部三畳系Panchet層から産出したキノドンを記載しています。
 Panchetocynodon damodarensis 新属新種
 D. P. Das and Abir Gupta (2012)
 New cynodont record from the lower Triassic Panchet Formation, Damodar valley.
 Earth and Environmental Science Journal of the Geological Society of India 79(2): 175-180
 DOI: 10.1007/s12594-012-0022-2 アブストラクト 論文

南ドイツからディキノドン 2.14.12
  ドイツ南部 Stuttgart層から産出した、カンネメイエリア形類ディキノドンの下顎骨を記載
 しています。三畳紀のドイツにディキノドンが生息していた初証拠となるそうです。
 Schoch, Rainer R. (2012)
 A dicynodont mandible from the Triassic of Germany forms the first evidence of large
 herbivores in the Central European Carnian.
 Neues Jahrbuch fur Geologie und Palaontologie - Abhandlungen 263(2): 119-123
 DOI: http://dx.doi.org/10.1127/0077-7749/2012/0216 アブストラクト

2億6千万年前、ブラジルの捕食動物 1.17.12
  時事 ディスカバリー ESTADAO(ポルトガル語) Ultimosegundo(ポルトガル語)
  2億6千万年前、中期ペルム紀ブラジルを支配していた獣弓類、Pampaphoneus biccai は、
 南米で発見された最古の肉食陸上生物だそうです。記載論文はPNASに掲載されています。
 Juan Carlos Cisneros, Fernando Abdala, Saniye Atayman-Guven, Bruce S. Rubidge,
 A. M. Celal engor, and Cesar L. Schultz
 Carnivorous dinocephalian from the Middle Permian of Brazil and tetrapod dispersal in Pangaea
 PNAS January 17, 2012 doi: 10.1073/pnas.1115975109 アブストラクト

高山市からトリティロドンの歯化石 8.06.11
  読売新聞中部発(8月3日付)
  高山市荘川町の手取層群、約1億1300万年前の地層から、トリティロドンの歯化
 石が発見されました。3年前に京都大学の松岡助教のグループが見つけた石から
 先月クリーニングしたもの。下顎の歯ということです。
 これまで発見されたトリティロドン化石では石川県白山市から産出した約1億3000
 万年前のものが、最も新しい年代でした。今回の発見はトリティロドンの生息年代
 をさらに広げるものとなっています。
 7日開催の荘川化石フォーラムで松岡助教も講演するので、この発見について詳し
 い説明がされるでしょう。

2億6千万年前、最古の樹上生活をした単弓類 7.29.09

インド産のリストロサウルス、分類学、相対成長及び頭蓋二形性
  6.15.05

ロシアのペルム紀ディキノドン類の系統解析、ペルム紀生層序と
  パンゲアの生物地理 10.6.03
  Phylogenetic analysis of Russian Permian dicynodonts (Therapsida: Anomodontia):
  implications for Permian biostratigraphy and Pangaean biogeography
  KENNETH D. ANGIELCZYK and ANDREY A. KURKIN
  Zoological Journal of the Linnean Society Volume 139(2) pp.157 - 212

  ロシア産ペルム紀の8つのDicynodon ディキノドンおよび南アフリカ
 産の18の分類群を系統解析しています。その結果、ディキノドン属は
 偽系統であることが示唆されるとしています(単系統を強固にしりぞけ
 るものではないが)。そのほかKannemeyeria のローラシア起源など
 に及んでいます。

ディイクトドンの性的二形 2.03.03
  Diictodonは約5千万年ほど前に生息した、単弓類のディキノドン類
 で。過去20年発掘された化石の調査で、牙の有無が性的二形をあら
 わすことがわかったそうです。
 トロント大ニュース
 The Permian mammal-like herbivore Diictodon, the oldest known
 example of sexually dimorphic armament
 Corwin Sullivan ; Robert R. Reisz ; Roger M. H. Smith
 Proceedings: Biological Sciences Vol. 270 No.1511 pp. 173 - 178

トリティロドンの化石発見 中学生が体験イベントで 8.29.02
  千葉県立中央博物館の「化石発掘体験」で28日、トリティロドン歯化
 石発見
  河北新報 ヤフーニュース(毎日)

ディキノドン消滅のミステリー9.7.99
  ネタに困ったら南アフリカへ・・・という訳でもありませんが、最近の
 南アフリカ博物館は結構充実しています。残念ながら画像資料は、
 それほど眼につきませんが、文章としての資料には面白いものがあ
 ります。標題もその一つ。オンラインリソースとして、いくつか古生物
 関係のトピックがあります。最後にディキノドンから進化した人類の
 イラストがあるのがご愛敬。
 オンラインリソースやミュージアムレターの中に古生物学関係のトピッ
 クがあります。英語に挑戦で読んでみてください。
 南アフリカミュージアムオンライン(ここで南アフリカ博物館を選択)
 南アフリカ博物館(単独で見る場合にはこちらで)

南アフリカ、カルーで発見された皮膚印象つきリストロサウルス7.6.99
  南アフリカ博物館のニュースでロジャー・スミス博士が紹介しています。
 仰向けに四肢を投げ出した姿勢の化石は大洪水によって即時に埋められ
 たそうですが、この化石はペルム期末の環境の大激変による大絶滅の謎
 を解くカギともなりそうです。
 MuseNews SURVIVOR OF THE GREAT EXTINCTION
 生前はこんなお姿を
 山本聖士氏の復元イラスト

南アフリカで2億6千万年前の新種の哺乳類型爬虫類化石発見3.11.99
  ヨハネスブルグのワイトウォーターズランド大学のプレスリリースによると、バーナード・
 プライス古生物学研究所教授のブルース・ルービッジとカナダのシーン・モデストをリーダー
 とするチームは、北部ケープ州カルー盆地の Williston近郊で非常に重要な化石頭蓋を発見
 しました。発見自体は'95年に同チームのJohn Nyaphuliによりますが、新種とわかったのは
 '98年、シーン・モデスト(この方はメソサウルスの研究では有名だそうです)によるそうです。
  これは、羊ほどの大きさの植物食の動物で、哺乳類に連なる進化の道筋の中で最も初期の
 メンバーで、異歯亜目に属するものです。異歯亜目は約2億5千万年以前ペルム紀に栄えて
 いました。
  発見された化石はAnomocephalus africanusと命名され、その記載はProceedings of the
  Royal Society of Londonの2月22日号に掲載されています。
  「この発見以前は、異歯亜目を含む哺乳類型爬虫類の起源はロシアにあると考えられていま
 した。しかし、この発見は異歯亜目の科の関係の再評価に導くとともに、2億6千万年前のゴンド
 ワナ大陸の現在南アフリカとなっている地域が進化のホットスポットであり、哺乳類の遙かな祖
 先は南アフリカから発祥したという見解を強化するものである」と、ルービッジは述べています。
  金子隆一氏の「哺乳類型爬虫類」P139によると、ルービッジは'90年に最も原始的な特徴をもつ
 2億5千6百万年前の異歯亜目”パトラノモドン・ナイアフリ”を記載しています。今回の発見は、それ
 以来の快挙かもしれません。
 ワイトウォーターズ大学プレスリリース
 CNNニュース
 ABCニュース
 サイエンスデイリー
 ヤフーニュースライン
 CNNカスタムニュース1
 CNNカスタムニュース2
 参考、バーナード・プライス古生物学研究所

南アフリカで殆ど完全なゴルゴノプス化石発見12.12.98
 写真を見てびっくり!左側は5年前にお世話になった、南アフリカ博物館
 のロジャー・スミス博士です。あごひげが印象的です。
 ゴルゴノプスとは、約2億5千万年前、ペルム期後期に生息していた肉食
 性の哺乳類型爬虫類で、ゴルゴノプス下目に属します。これまで頭蓋は
 発見されていたものの胴体の発見は初めてだとか。また脚が発見された
 ことで、ゴルゴノプスが爬虫類のように横につきだした歩き方をしたか、哺
 乳類や恐竜のように直立歩行したかも解明されると報じられています。
 BBCニュース
 ワシントン大学のプレスリリース12.14.98追加
 ゴルゴノプスについてさらに知りたい方はこちら
 南アフリカ博物館