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2億6千万年前、最古の樹上生活をした単弓類 7.29.09
 ユーレカアラート MSNBC
  後期ペルム紀、約2億6千万年前に生息していた単弓類、異歯類のSuminia は、
 他のどの脊椎動物よりも約3千万年早い時期に樹上生活をしていたことが、わか
 りました。

  ロシアのキーロフ地方から産出した、少なくとも15体の亜成体・成体からなる
 Suminia の集団化石を研究した結果、わかったことです。何らかの災害により急
 速に埋没したため、骨格が非常に良い保存状態で残っています。そのため、これ
 まで知られていなかった細かい特徴により、わかったのです。

 Suminia の体長は50cm程度です。その骨格には樹上生活に適応した特長が見られ
 ます。論文には次のような特徴があげられています。
 1非常に幅広い頚椎骨がある長いクビ
 2長い尾
 3細い肩甲骨
 4長く伸びた四肢

 このうち、四肢にさらに特徴があります。
 1前肢の指は非常に長く、前肢全長の40%に達します。
 2遠位中節骨が長く伸びています。この特徴は、哺乳類ではヒヨケザルやオオコウ
  モリにあり、ほかにイグアナ類、カナヘビ類、翼竜や鳥類の前肢にあります。こ
  れは(木に)しがみつく習性に関係があるとされています。
 3また、第一指は(枝を)握るための、対向指の役割をしていました。

 このことから、Suminia は、地上で植物を食べるのでなく、樹上で葉や細い枝を食
 べることにより、食物資源を分け合うともに、地上の捕食者を避けていたことが、
 わかるとともに、当時の単弓類がこれまで考えられた以上にいろいろな環境に適応
 放散していたことがわかりました。

 Proceedings of the Royal Society B.に論文掲載(ダウンロードできます)
 Jorg Frobisch and Robert R. Reisz 2009.
 The Late Permian herbivore Suminia and the early evolution of
 arboreality in terrestrial vertebrate ecosystems
 doi: 10.1098/rspb.2009.0911