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トリティロドンとは何なんだ?

 1月6日の新聞各紙で、トリティロドンの化石発見が報じられました。で、世界的な発見などと騒がれる割に、あれは一体何なのか、私たちの知識はあまりにも乏しいと思いませんか?そこで、基礎からおさらいをします。

1 哺乳類型爬虫類とは?

  哺乳類型爬虫類と聞かれて、私たちが思い浮かべることができるのは何でしょう。ディメトロドン、エダフォサウルスの2つをあげ られれば、相当知っている方ではないでしょうか。 

ディメトロドン(肉食)エダフォサウルス(草食)

写真左:ディメトロドン(群馬県立自然史博物館) 写真右:エダフォサウルス(シカゴ フィールド博物館 撮影:金子隆一)

 トカゲのようだが、歯を見ると牙があったりして、哺乳類くさい頭蓋をしている・・・私の印象はこんなものでした。両方ともペルム紀に生息していた盤竜類と言われる初期の哺乳類型爬虫類です。でも、彼らが属している哺乳類型爬虫類とは、いったい何なのでしょう?
 端的に言えば、我々哺乳類の祖先であった爬虫類、と言えます。では、どんな爬虫類がご先祖だったかと言えば、「単弓亜綱」と言われる一大グループになります。爬虫類の大きな分類の仕方として、頭蓋骨の眼窩(がんか)の後ろの後眼窩骨と鱗状骨の付き具合により、その下に孔があくか、上下に孔があくか、全くあかないかという三大分類ができます。全くあかないのが無弓亜綱(カメの仲間)、下にあいたのが単弓亜綱(哺乳類型爬虫類)、上下にあいたのが双弓亜綱(恐竜も含むその他の爬虫類)となります。このように爬虫類が分化放散したのは後期石炭紀半ば、今からほぼ3億年前のことでした。ただ、最近の分岐分類学による研究では、単弓亜綱はいわゆる爬虫類すべてに対する外群とされるほど系統的には離れた存在のようです。ゆえに生理的特性も他の爬虫類とは大きく違っていのかもしれません。

2 哺乳類型爬虫類にはどんなものがいたか

 哺乳類型爬虫類のうち最初に栄えたのは、有名なディメトロドンを含む盤竜類です。彼らは石炭紀半ばからペルム紀半ばまで栄えました。その後はさらに進化した獣弓類の天下となります。その中の2大グループの一つが「異歯類」と呼ばれるもの。さらにその中にディノケファルス類とディキノドン類の2つの主要グループがあります。

モスコプスリストロサウルス

写真左:ディノケファルス類のモスコプス 写真右:ディキノドン類のリストロサウルス(両方ともトランスヴァール博物館)

 両者とも植物食とされています。ディキノドン類は、2本の牙が特色で、その進化した種では牙以外の歯がなくなっています。

ディイクトドン化石ディイクトドン復元ディイクトドンの巣穴

上の写真は、初期のディキノドンであるディイクトドンです。体長約60cm、左の化石は巣穴の中から見つかったもの。中は復元像。
右は、その巣の化石。川岸に螺旋状に穴を掘って生活をしていました。いずれも南アフリカ博物館で。

ディイクトドンの赤ん坊頭蓋

左は、同じくディイクトドンの赤ん坊の頭骨です。
指と比較するとその大きさがわかるでしょう。


しかし、これら獣弓類は、三畳紀後期に6,000万年栄えたその地位を恐竜に明け渡すことになったのでした。それが単に恐竜との競争に破れたためなのか、環境の変動のためだったのか私にはよくわかりません。



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