パタゴニアの植物化石は分子時計が示す年代より古い 12.03.14
  ペンシルバニア州立大
  古生物の年代について、化石記録と分子時計が一致しない例は、時々耳にします。
 ペンシルバニア州立大の研究者らが、アルゼンチン、パタゴニアのシダ・ソテツ・針葉
 樹・顕花植物の19の系統について化石記録と分子時計を比較しました。すると化石
 記録の殆どが有意に古いことがわかったそうです。このことから、分子時計に深刻な
 バイアスがかかっていることが示されるそうです。これらの植物はゴンドワナ大陸が
 分裂する前に大陸中に分布していたことを示すばかりでなく、他の生物の分布時期
 等にも影響を及ぼすそうです。
 Peter Wilf and Ignacio H. Escapa(2014)
 Green Web or megabiased clock? Plant fossils from Gondwanan Patagonia speak
 on evolutionary radiations
 New Phytologist DOI: 10.1111/nph.13114 論文

和歌山県白浜町で球果?の化石 11.20.14
  紀伊民報
  富田川支流の庄川の河原で見つかったもの。球果とすれば、かなり大きいもの
 とのことです。

白亜紀末の気候変動後、常緑樹から落葉樹主流に 9.23.14
  時事 アリゾナ大
  白亜紀末のインパクト後、いわゆる衝突の冬が起こったとされています。
 気候の大変動が起こりました。この研究では、米ノースダコタ州のヘルクリーク
 層とフォートユニオン層から産出したその前後220万年間の葉化石を調査しま
 した。
 その結果、大量絶滅後、森林は成長の遅い常緑樹から成長の速い落葉樹主体
 に移行したことが明らかになりました。質量に対する面積比を比較したものです。
 早く成長し、早く枯れる薄い葉をもつ戦略のほうが、ゆっくり成長し、しっかりした
 葉をもつ戦略に勝ったということになります。
 Blonder B, Royer DL, Johnson KR, Miller I, Enquist BJ (2014)
 Plant Ecological Strategies Shift Across the Cretaceous?Paleogene Boundary.
 PLoS Biol 12(9): e1001949. doi:10.1371/journal.pbio.1001949 論文

1億8千万年前のシダから古代の染色体 3.24.14
  サイエンスニュース サイエンス3月21日号ハイライト(PDF) Lund大学
  スウェーデン南部の火山岩からシダ化石がみつかり、染色体の分析から、当時
 から植物はあまり進化していないことがわかりました。
 Benjamin Bomfleur, Stephen McLoughlin, Vivi Vajda.(2014)
 Fossilized Nuclei and Chromosomes Reveal 180 Million Years of Genomic
 Stasis in Royal Ferns
 Science Vol. 343 no. 6177 pp. 1376-1377 DOI: 10.1126/science.1249884
 アブストラクト

270万年前に出現したクロマツ 1.24.14
  大阪市立自然史博物館
  クロマツの起源はこれまでよくわかっていませんでした。しかし、大阪市立自然史博
 物館 塚腰主任学芸員(地史研究室)と金沢大学によるマツの化石の共同研究により、
 クロマツの祖先であるフジイマツが約1700万年前頃にユーラシア大陸から日本へ移
 入し、クロマツは270万年前に起源したことが明らかになりました。
 Toshihiro Yamada, Mariko Yamada, Minoru Tsukagoshi.(2014)
 Fossil records of subsection Pinus (genus Pinus, Pinaceae) from
 the Cenozoic in Japan
 Journal of Plant Research DOI:10.1007/s10265-013-0621-z アブストラクト

琥珀の中に保存された、1億年前の花 1.05.14
  オレゴン州立大ニュース
  ミャンマーで発見されたものです。白亜紀"中期"の18個の花です。5枚の花弁がよく
 わかります。さらに顕微鏡で調べると、花粉管が伸びているものがあることもわかりました。
 George O. Poinar, Jr., Kenton L. Chambers, and Joerg Wunderlich.(2013)
 Micropetasos, a new genus of angiosperms from mid-Cretaceous Burmese amber
 Journal of the Botanical Institute of Texas vol.7 no.2 pp.745-750 論文

あらゆる顕花植物にとっての祖先のゲノムの秘密 12.20.13
  ユーレカアラート サイエンス12月20日号ハイライト(PDF)
  ニューカレドニア島に生えているアムボレラという常緑低木植物は、顕花植物で最も
 基盤的な位置にあるそうです。この植物の全ゲノムが解明されました。顕花植物の進
 化過程が解明される上で、重要なヒントになるそうです。
 今日のサイエンスではアムボレラの核ゲノム、ミトコンドリアゲノムそれぞれ解明した
 論文が掲載されています。
 核ゲノムの方では、顕花植物の基本的構造の基礎となる遺伝子の決定やアムボレラ
 の祖先に特有な遺伝子の決定が出ています。
 ミトコンドリアゲノムでは、その大半が蘚類や緑藻類といった他の生物との遺伝子の水
 平伝播を経て獲得されたものであるということです。植物の創傷の結果、ミトコンドリア
 DNAが融合したと推測しています。
 個人的には、ゲノムの面から顕花植物の起源年代がどこまで遡るのか知りたいところ
 です。
 Amborella Genome Project (2013)
 The Amborella Genome and the Evolution of Flowering Plants
 Science Vol. 342 no. 6165 DOI: 10.1126/science.1241089 アブストラクト

 Danny W. Rice, Andrew J. Alverson, Aaron O. Richardson, Gregory J. Young, M. Virginia Sanchez-Puerta,
 Jerome Munzinger, Kerrie Barry, Jeffrey L. Boore, Yan Zhang, Claude W. dePamphilis, Eric B. Knox,
  and Jeffrey D. Palmer
(2013)
 Horizontal Transfer of Entire Genomes via Mitochondrial Fusion
 in the Angiosperm Amborella
 Science Vol. 342 no. 6165 pp. 1468-1473 DOI: 10.1126/science.1246275
 アブストラクト
 ほかにも関係論文があります。
 参考:Amborella Genome Database

顕花植物の爆発的進化により、白亜紀哺乳類の多様性は減少した 10.03.13
  インディアナ大
  「花に追われた哺乳類」でしょうか。白亜紀前期から中ごろにかけて、被子植物の多様
 性が一挙に増大していったことが、化石記録からわかるそうです。それに応じて哺乳類も
 多様になっていったと思いたいところですが、必ずしもそうではないという研究が出ています。
 インディアナ大のDavid Grossnickleらの研究によると、白亜紀の中ごろには哺乳類の臼歯
 の多様性が著しく減少しているのだそうです。生き残った哺乳類の殆どは、主に昆虫食だっ
 た。減少は白亜紀末まで続き、その後純粋に植物食の哺乳類が出現し、多様性が増加し
 ているのだそうです。花と相性が悪かったのは、むしろ哺乳類なのでしょうか。
 David M. Grossnickle and P. David Polly
 Mammal disparity decreases during the Cretaceous angiosperm radiation
 Proc. R. Soc. B doi: 10.1098/rspb.2013.2110 アブストラクト

顕花植物状の花粉化石、三畳紀前期の地層から 10.02.13
  チューリッヒ大 ユーレカアラート
  「花に追われた恐竜」について、故金子隆一氏は、その著書でかなり批判していました。
 さて、被子植物の起源に一歩迫る研究が出ています。
 被子植物の起源については、化石からの研究と分子による研究があります。化石からの研
 究では、2004年以前にスピッツベルゲン南部のバレンツ海のコアから三畳紀中期の顕花植
 物状の花粉が検出されたことがあります。一方分子の方では時期は三畳紀から白亜紀まで
 一定していないようです。
 今回、スイス北部、WeiachとLeuggernから2つのコアが採取され、そこから約2億4千万年前
 の顕花植物状の花粉化石が見つかりました。当時この地域は亜熱帯にあったそうです。
 被子植物の起源が1億年遡ることになるでしょうか。「花と共存した恐竜」に?
 Peter A. Hochuli and Susanne Feist-Burkhardt.(2013)
 Angiosperm-like pollen and Afropollis from the Middle Triassic (Anisian) of the Germanic
 Basin (Northern Switzerland)
 Frontiers in Plant Science vol.4 No.344 DOI=10.3389/fpls.2013.00344 論文

手取層群北谷層の花粉・胞子化石の研究成果 8.12.13
  福井県
  フクイラプトルやフクイサウルスの見つかった手取層群北谷層の花粉・胞子化石に
 ついて初めて明らかにした研究成果です。研究の結果、北谷層から47属46種のシダ
 植物の胞子と裸子植物の花粉を発見しました。
 この研究から、北谷層の堆積時は、温暖で湿潤な環境であることを確かめられました
 が、一方で一部に乾いた環境を好む植物の花粉も見つかりました。
 さらに、当時のユーラシア大陸の植物相との比較により、北谷層の植物相は、大陸側
 と海側の中間的であった事が明らかになりました。
 Julien Legrand, Denise Pons, Kazuo Terada, Atsushi Yabe and Harufumi Nishida.(2013)
 Lower Cretaceous (Upper Barremian-Lower Aptian?) Palynoflora from the Kitadani
 Formation (Tetori Group, Inner Zone of Central Japan)
 Paleontological Research Volume 17 Issue 3 pp.201?229
 doi: http://dx.doi.org/10.2517/1342-8144-17.3.201

栽培イネの起源 10.25.12
  遺伝の研究ですが、ネイチャーで珍しくオープンアクセスにしているので紹介します。
 ジャポニカイネは最初、中国南部の珠江中流領域周辺でルフィポゴンの1集団から栽培化され
 たことが判明したそうです。
 Xuehui Huang, Nori Kurata, Xinghua Wei, Zi-Xuan Wang, Ahong Wang + et al. (2012)
 Whole-genome sequences of wild rice and cultivated rice varieties are used to produce
 a map of rice genome variation, and show that rice was probably first domesticated
 in southern China.
 Nature 490,pp.497-501(25 October 2012)doi:10.1038/nature11532

白亜紀の森林をマッピング 2.28.12
 Planetearth
  世界中の白亜紀化石森林のデータベース(n=2238)を元に、白亜紀の森林がマッピングされまし
 た。その結果、前期白亜紀においてはアラウカリア上科及びポドカルプス上科の針葉樹が世界的に
 優勢であり、特に湿潤熱帯および亜熱帯生物群系でそうだったという、従前の予想が確認されたが、
 後期白亜紀には大幅に縮退していったこと。季節的に乾燥する中緯度地域で最も普通に見られる
 ヒノキ上科およびマツ上科は高緯度地域において温度条件に関連づけられているが、それらも、そ
 れほど著しくではないが、同時に縮退していった。空間的な分析では、針葉樹森林(特にアラウカリア
 上科)の縮小は、被子植物の興隆とリンクしている。データから、被子植物が中期白亜紀に爆発的に
 多様化したが、末期白亜紀(約2500万年後)に近代の針葉樹の残存的な分布パターンが確立される
 まで、森林の主要な位置を占めなかった。現生のデータと比較すると、白亜紀森林の生産性は、古
 中緯度〜高緯度において著しく高かった(2倍)。これは極方向へ温帯が15度ずれていたことを意味
 する。我々のデータは白亜紀の気候‐植生モデルの定量的な検証を提供し、将来の地球温暖化の
 長期的な理解を深める。
  Emiliano Peralta-Medina and Howard J. Falcon-Lang
 Cretaceous forest composition and productivity inferred from a global fossil wood database
 Geology First published online January 23, 2012, doi: 10.1130/G32733.1 v. 40 no. 3 p. 219-222
 アブストラクト

ペルム紀のポンペイ、火山灰に覆われた森林発見 2.22.12
  ペンシルバニア大ニュース ネイチャーニュース 朝日新聞
  2億9800万年前、ペルム紀前期の、火山灰に覆われた森林から、古代の植生が復元されて
 います。
 中国、内蒙古自治区から寧夏回族自治区にある賀蘭山(Helanshan)山脈北部、内蒙古自治区
 のWuda(烏達)の西方8qの地域から発見されたものです。
 その地域では、当時100km以上離れたところからの火山灰により、倒木やその葉が覆われた
 ものです。計1000u以上になる近接する3か所のサイトから、6つのグループの植物が確認さ
 れました。木性シダ類、 ノエゲラシア群と呼ばれる植物、胞子を有する木、シダの仲間などです。
 植生の構成は、サイトごとに微妙に異なっているそうです。また、この発見により当時のアジア
 ではノエゲラシア群が主要なグループだったことが初めてわかったそうです。 
 Jun Wang, Hermann W. Pfefferkorn, Yi Zhang, and Zhuo Feng
 Permian vegetational Pompeii from Inner Mongolia and its implications for landscape
 paleoecology and paleobiogeography of Cathaysia
 PNAS 2012 ; published ahead of print February 21, 2012, doi:10.1073/pnas.1115076109
 アブストラクト(論文フリー)

キク科植物の起源 9.24.10
  ネイチャーニュース 朝日新聞
  キク科植物は現在世界中に分布していますが、その起源については化石証拠が稀で、よ
 くわかっていなかったそうです。分子からは、5,000万年前南極で進化し、南極の寒冷化に
 伴い、ゴンドワナの他の大陸に分散していったものと考えられているそうです。
 今回中期始新世約4,750万年前パタゴニアで発見された花および花粉の化石は、その特徴
 が現生のキク科植物と近縁であることを示し、また花粉の特徴も同様であるそうです。
 V. D. Barreda, L. Palazzesi, M. C. Telleria, L. Katinas, J. V. Crisci, K. Bremer, M. G. Passalia,
 R. Corsolini, R. Rodriguez Brizuela, F. Bechis
 Eocene Patagonia Fossils of the Daisy Family
 Science Vol. 329. no. 5999, p. 1621 DOI: 10.1126/science.1193108 アブストラクト

DNA解析から、被子植物の起源は2億1千500万年前 3.17.10
  ユーレカアラート イェール大学ニュース
  被子植物、花を咲かせる植物の最古の化石記録は、約1億4千万年前です。そして
 約1億2千万年前に急速な分化が起こったとされています。
 PNASに掲載された論文では、多くの植物のDNAを調べ、その分子進化を解析しまし
 た。その結果、被子植物の起源は化石記録よりはるかに古く後期三畳紀、約2億1千
 500万年前に遡ることが解明されたそうです。またこの起源と放散は、完全変態昆虫
 の多様化にも関連するそうです。
 Stephen A. Smith, Jeremy M. Beaulieu, and Michael J. Donoghue(2010)
 An uncorrelated relaxed-clock analysis suggests an earlier origin for flowering plants
 PNAS published online before print March 16, 2010,
 doi:10.1073/pnas.1001225107 アブストラクト

ゴビ砂漠で花粉・胞子化石を初発見 林原自然科学博物館グル−プ 8.31.09
  山陽新聞
  後期白亜紀のゴビは乾燥して貧弱な植生だったそうです。
 9月4日から岡山市で開催される日本地質学会で発表されます。
 発表詳細については、同学会プレスリリース中「後期白亜紀野モンゴルに生息し
 ていた“草食系”恐竜は何を食べていたのか?(8/28解禁)(資料2)」をご覧くだ
 さい。

 プレウロメイア、国内2例目の産出鑑定 12.05.08
  岐阜新聞 中京学院大学
  宮城県利府町で産出した植物化石が三畳紀の木本性ヒカゲノカズラ類、プレウロメイアと
 中京学院大冨田進特認教授が鑑定。

被子植物の世界最古化石を北海道で発見 金沢大 5.09.08
  産経新聞 北海道新聞
  金沢大山田敏弘講師らのグループが、北海道三笠市の白亜紀前期の地層(蝦夷層群
 日陰の沢層 約1億年前)からトリメニア科に属する被子植物の種子を発見したと発表し
 ました。同科はこれまで南半球だけに分布するとされていました。1億年前の北半球から
 発見されたことで、被子植物の起源はゴンドワナ大陸という通説に疑問を投げかけるも
 のとしています。
 Toshihiro Yamada, Harufumi Nishida, Masayoshi Umebayashi, Kazuhiko Uemura and Masahiro Kato 2008.
 Oldest record of Trimeniaceae from the Early Cretaceous of northern Japan
 BMC Evolutionary Biology 2008, 8:135doi:10.1186/1471-2148-8-135
 アブストラクト(論文ダウンロードできます)

8900万年前の花化石 新潟大・高橋教授が発見 3.10.08
  読売新聞 9日付
  福島県広野町の後期白亜紀(約8900万年前)堆積岩中から発見。直径2.8mmの花化石だそ
 うです。バンレイシ科の花としては最古の化石とのこと。
 3月23日、首都大学東京で開催される日本植物分類学会の一般口演で発表されます。
 参考:新潟大学理学部自然環境学科高橋研究室

800万年前のイトスギ発見、ハンガリー・化石化せず残る 8.14.07
 日本経済新聞
 ハンガリー北東部の村で、一部が化石化しないままで残っている800万年前のイトスギの木が
 発見されたそうです。

森林総合研究所、化石花粉で過去35万年間のシベリアタイガの変遷を解明
  7.12.07 日経プレスリリース
  バイカル湖周辺ではマツ・トウヒ・カラマツ属を主とするタイガが温暖期に1万年続き、
 その後10万年近くタイガ消失が続くというサイクルが繰り返すそうです。

中国遼寧省から1.6億年前の被子植物 6.14.07
  人民日報 中国科学院ニュース(英文) 
  被子植物の起源が3千万年遡ったそうです。遼寧省の中期ジュラ紀海房溝層から産出
 したもので、雌花の花序などがあります。Schmeissneria sinensis と命名されています。
 Xin Wang(王?), Shuying Duan, Baoyin Geng, Jinzhong Cui and Yong Yang 2007.
 Schmeissneria: A missing link to angiosperms?
 BMC Evolutionary Biology 2007, 7:14 doi:10.1186/1471-2148-7-14 論文

「最古の森」の樹木化石発見=3億8000万年前、米国で−巨大なシダに類似4.19.07
  時事
  ネイチャー4月19日号
  Giant cladoxylopsid trees resolve the enigma of the Earth's earliest forest stumps at Gilboa
  p904 William E. Stein, Frank Mannolini, Linda VanAller Hernick, Ed Landing & Christopher M. Berry
  doi:10.1038/nature05705

重慶市 1.5億年前のマツの木の化石発見 ジュラ紀のものか 12.16.06
  チャイナネット 四川在繊

1億5000万年前のジュラ紀の木の化石を発見―重慶市 12.11.06
  Record China ヤフーニュース

中国遼寧省から1.25億年前の被子植物葉化石 12.07.06
  京報網
  2003年に記載された Sinocarpus decussatus (十字中華果)の葉ということです。
 Angiosperm leaves associated with Sinocarpus infructescences from the Yixian
 Formation (mid-Early Cretaceous) of NE China
 Q. Leng and E. M. Friis
 Plant Systematics and Evolution online first DOI 10.1007/s00606-006-0461-6
 アブストラクト

新種ソテツ葉類化石/葉にのこぎり状のとげ/原町の1億5000万年前地層から/
  相馬の研究会員 荒 好さん発見
 7.26.06
  福島民報23日付
  
700−1500万年前 佐治で古代マツの花粉化石発見 10.06.05
  日本海新聞10月5日付
  鳥取市佐治町の辰巳峠で古代のマツの一種・カタヤ属の花粉化石発見。
  名城大学環境創造学科の斉藤毅助教授らの研究グループ 。
  参考名城大学環境創造学科地圏環境変遷学研究室

Runcaria 中期デボン紀の前種子植物 10.29.04

韓国で最古の米発見 10.21.03
  BBC
  1万5千年前というものです。

中国遼寧省義県層から被子植物記載 11.18.03
  Sinocarpus decussatus gen. et sp. nov., a new angiosperm with basally syncarpous
  fruits from the Yixian Formation of Northeast China
  Q. Leng(冷琴) and E. M. Friis
  Plant Systematics and Evolution vol.241 No.1-2 pp.77-88

  凌源市大王杖子から産出した化石で、1.25-1.22億年前のものだそう
 です。Sinocarpus decussatus gen. et sp. nov., 十字中華果と命名され
 ています。種子の入った実がついています。
  中国恐竜網(写真)

イチョウの進化上のミッシングリンク 6.21.03
 The missing link in Ginkgo evolution
 ネイチャー6月19日号掲載 Nature 423, 821 - 822 (19 June 2003);
 ZHIYAN ZHOU(周志炎) AND SHAOLIN ZHENG(鄭少林)
 イチョウはよく生きた化石と言われます。
 人民日報 中国科学院

絶滅ゴンドワナ植物の遊泳する精子 3.27.03
  ネイチャー3月27日号掲載ブリーフコミュニケーション
  Swimming sperm in an extinct Gondwanan plant
  西田治文, KATHLEEN B. PIGG & JOHN F. RIGBY

  オーストラリア、クイーンズランドで発見されたペルム紀、
 約2億5千万年前の植物化石。Glossopteris homevalensis
 というシダ植物の胚珠化石中の花粉室で花粉管とその中
 の精子について報告しています。

 Glossopteris におけるこの単純な生殖様式の発見は、種
 子植物(裸子・被子植物をあわせたもの)との系統関係や
 受粉の進化について意義をもつものです。
 参考:Glossopteris画像
     Introduction to the Glossopteridales
     恐竜時代の植物−化石でたどる植物進化

  ミズキ科最古の化石発見/「ヒロノイア」と命名 9.24.02
  福島県広野町の白亜紀後期の地層「双葉層」(約8900万年前)
 から、ミズキ科とみられる被子植物の果実の化石を発見。
 新潟大の高橋正道教授らによりヒロノイアと命名。
 福島民報社
 参考:Palaeobotany & Palynology

美濃加茂市の公園建設現場で珪化木の巨木発見 8.29.02
  約2000万年前の針葉樹の根元の部分。展示へ。
  ヤフーニュース

コロラドの、K-T境界層から140万年後の熱帯雨林 6.28.02
  A Tropical Rainforest in Colorado 1.4 Million Years After the Cretaceous-Tertiary Boundary
  Kirk R. Johnson, Beth Ellis
  サイエンス6月28日号掲載 Vol.296, No. 5577, Issue of 28 Jun 2002, pp. 2379-2383
  ヤフーニュース(AP ロイター) サイエンティフィックアメリカン

カナダ極地方の化石研究から植物はこれまで考えられたより初期から
 発達していたことが判明 6.12.02
  Morphologically complex plant macrofossils from the Late Silurian of Arctic Canada
  American Journal of Botany. 2002;89:1004-1013.
  Michele E. Kotyk, James F. Basinger, Patricia G. Gensel and Tim A. de Freitas
  北極点からおよそ800マイル、ノースウェストテリトリーズにあるバサースト島から
 発見された植物化石に基づく研究です。およそ4億2千万年前の維管束植物です。
 これまで最古の維管束植物は4億2500万年前のものですが、まばらに胞子嚢を
 つけるような植物だったそうです。今回の植物は緻密に胞子嚢があり、より後の
 デボン紀の植物に類似しているそうです。
 Study Of Fossils Found In Arctic Shows Plants More Developed At Earlier Time
 ノースカロライナ大チャペルヒル校ニュース

葉に記録される白亜紀末絶滅の地球外起源 6.12.02
  An atmospheric pCO2 reconstruction across the Cretaceous-Tertiary
   boundary from leaf megafossils
  D. J. Beerling,, B. H. Lomax, D. L. Royer, G. R. Upchurch Jr., and L. R. Kump
  Proc. Natl. Acad. Sci. USA, Vol. 99, Issue 12, 7836-7840, June 11, 2002

  白亜紀末の大量絶滅の原因はチチュラブクレーターを作った巨大隕石 による
 と、一般に思われていますが、インドのデカン高原を形成した大規模な溶岩噴出
 活動により環境が悪化したためとする説もあります。
 この研究では、K-T境界層の前後、6,590万年前から6,400万年前の間 の70の
 植物化石を調査しています。植物の葉の気孔は、二酸化炭素が 大気中に多く
 なるとその数が少なくなります。それから彼らは大気中の 二酸化炭素量を復元
 しました。

 白亜紀末から第三紀はじめにかけて、二酸化炭素のバックグラウンドレベルは
 350-500ppm なのに対し、K-T境界層から10,000年以内では、5倍にもなる、
 2,300 ppm に達していました。このことは、急激な温暖化 を意味し、気温は摂氏
 7.5度も上昇したということです。

 このような急激な二酸化炭素レベルの上昇は長期にわたる溶岩噴出活動では
 考えられず、衝突の衝撃により二酸化炭素を含む石灰岩が
 大量に蒸発することで放出されたと考えられるそうです。
 Dino heatwave recorded in leaves
 Fossils point to asteroid causing dinosaurs' demise
 ナショナルジオグラフィックニュース

アルカエフルクトゥス科、新しい基幹的な被子植物の科 5.03.02
  サイエンス5月3日号掲載 Science 2002 296 pp.899-904
  Archaefructaceae, a New Basal Angiosperm Family
  Ge Sun(孫革),1 Qiang Ji(季強), David L. Dilcher, Shaolin Zheng, Kevin C. Nixon, Xinfu Wang
  1吉林大学古生物中心標本室


   被子植物の起源は、わかっていそうでまだ不明な点が多いようです。98年
 孫革らは、同じサイエンス誌上(98.11.27)で"最古の被子植物"として遼寧古果
 Alchaefructus liaoningensis を報告しています。ただ、この記載標本では被子
 植物の特徴が断片的であったそうです。

 今回報告されたのは、Alchaefructus sinensis (中華古果)という同属の新種。
 また新科アルカエフルトゥス科 Archaefructaceae(古果科) が設けられました。
 標本は遼寧省北票と凌源の義県層下部(ジュラ紀後期-白亜紀前期)から産
 出したものです。

 雌性生殖器官を構成している心皮は、タネが中にある間、閉じています。雄性
 生殖器官オシベのやく(葯)は雌性生殖器官の下側に位置しています。しかし、
 がくへん(萼片)や花弁はありません。

 草本であったこと、また淡水魚 Licoptera davidi と一緒に産出した(表紙参照)
 ことからもわかるように、水生だったということです。他の植物が進出していない
 湿地で新しい繁殖の仕方を進化させたのかもしれません。

 現生被子植物173分類群との系統を分析したところ、アルカエフルクトゥス科は
 これらの姉妹群になることが明らかになりました。同科は現生被子植物の直接
 の祖先というより絶滅した系統と見るほうがいいのかもしれません。
 ヤフーニュース(AP) BBCニュース 朝日新聞
 ネイチャーサイエンスアップデート 新華社遼寧省版
 フロリダ大ニュース ナショナルジオグラフィック
化石になった花たち 5.18.02
  ネイチャーバイオニュース アルカエフルクタス科について


中国青蔵高原、1,500万年前の植物からDNA抽出 4.17.02
  新華社です。中国科学院寒区旱区環境与工程研究所と中山大学植物分
 子生物学研究組合の共同研究。
 青蔵高原(青海省とチベット自治区にまたがる高原)の多年凍土区鄂陵湖の
 堆積物から1,500万年前の植物DNAを抽出したそうです。
 PTB法という方法を用いたそうです。2個のDNA序列が得られ、これは現代の
 眼子菜Potamogeton distinctus という水面に漂う植物の属する眼子菜科に
 なるそうです。
 凍土の堆積物中で保存がよかったので抽出できたそうですが、DNAによる解
 析ができれば、ほかの古生物の分類系統も段違いに精度がよくなるでしょう。

大阪府岸和田市岸和田城本丸の石垣からコダイアマモ化石発見3.11.02
  石垣を修復中に大量に見つかったそうです。コダイアマモは白亜紀の植物化
 石あるいは生痕化石といわれています。
 ヤフーニュース(毎日)
 参考:コダイアマモ(香川県自然科学館きしわだ自然資料館)

初期被子植物の系統で2倍体内乳発見 1.31.02
  Identification of diploid endosperm in an early angiosperm lineage
  JOSEPH H. WILLIAMS AND WILLIAM E. FRIEDMAN
  ネイチャー1月31日号pp.522-526
  被子植物の受精は重複受精といって、精細胞の1個が卵と融合し、もう1
 個は中央細胞の核と融合。受精卵は細胞分裂をして胚に発達し、受精した
 中央細胞は細胞分裂をして内乳となるそうです。内乳は胚乳となる植物が
 多いのですが、違う部分が胚乳になるものもあるそうです。
  この内乳は、これは遺伝的には両親に由来し、通常は三倍体だそうです。
 そのため、現生顕花植物の祖先の内乳も三倍体と考えられてきました。

 ところが、原始的な被子植物であるスイレン科コウホネの一種
 Nuphar polysepalumに、両親由来の二倍体内乳があることがここで報告さ
 れています。また、二倍体内乳が初期の被子植物系統に一般的なもので、
 これが顕花植物の祖先の状況に相当する可能性があることも示されていま
 す。
 NSFニュース

 南半球でも白亜紀末後の環境激変、植物化石から証拠 11.23.01
  Indication of Global Deforestation at the Cretaceous-Tertiary Boundary by New Zealand
  Fern Spike Vivi Vajda, J. Ian Raine, Christopher J. Hollis
  ニュージーランド南島(メキシコから11,000km離れているそうです)で、その
 年代の植物化石から明らかになったことです。
 西海岸のMoody Creek mine で岩石中の花粉とシダ類の胞子化石を調査し
 たところ、いわゆるインパクト後でその割合が変わり、そのことから、以前には
 湿地で豊かな森林だったところが縮小し、シダの生えている所が拡大したこ
 とを表すそうです。
 環境の激変で植物がいったん絶滅すると、最初にコケ類、次にシダ類が生え
 ることから、南島でもそれがあったとしています。
 BBCにより書きました。

植物が陸上に進出したのは化石証拠よりはるか以前8.10.01
  サイエンス8月10日号掲載
   Molecular Evidence for the Early Colonization of Land by Fungi and Plants
   Daniel S. Heckman, David M. Geiser, Brooke R. Eidell, Rebecca L. Stauffer,
   Natalie L. Kardos, and S. Blair Hedges


  これまで化石証拠から、植物が陸上に進出したのは4億8千万年前とされて
 きました。ペンシルバニア大のBlair Hedgesらは現生の119種の植物、地衣類
 および動物のDNAを用いて分子時計を研究しました。すると、この年代は大幅
 に遡り、約7億年前になるそうです。しかも最初の地衣類は13億年も前に陸上
 に進出したという結果がでたそうです。

 これはカンブリア爆発よりはるかに以前であり、植物の陸上進出による環境変
 化、例えばCO2の低下とO2の上昇が動物の進化を促す一方、気温の低下に
 よる地球雪玉時代をもたらしたと考えられるそうです。
 MSNBC BBC デイリーインサイト ユーレカアラート(地衣類と苔類の写真)
 参考:サイエンティフィックアメリカンSnowball Earth

古生代後期に起きた大気中CO2減少と関連した陸上植物の葉の形状の進化
                                             3.15.01
  ネイチャー3月15日号掲載
 Evolution of leaf-form in land plants linked to atmospheric CO2 decline in the
  Late Palaeozoic era
 D. J. BEERLING*, C. P. OSBORNE* & W. G. CHALONER†
  陸上植物の葉の起源は、古生代後期に大気中のCO2分圧が90%減少したこ
 とと関連があるそうです。
  植物が陸に上がってから約4千万年間、葉はなかったのですが、葉を作ること
 により光を受けるメリットが過熱の危険を上回るまでCO2分圧が下がった時期を、
 モデル復元したものです。それによると、約3億8千万年前に分圧が下がり、葉を
 付ける方が得策となったそうです。
 ネイチャーサイエンスアップデート ネイチャーバイオニュース(日本語)

白亜紀初期のスイレン類の化石証拠3.15.01
  ネイチャー3月15日号掲載
 Fossil evidence of water lilies (Nymphaeales) in the Early Cretaceous
  ELSE MARIE FRIIS, KAJ RAUNSGAARD PEDERSEN & PETER R. CRANE
  スイレン類は系統解析では被子植物の系統樹の根幹から最初に枝分かれした
 植物とされていますが、化石証拠が得られていませんでした。
 今回、花構造とそれに付随した花粉の化石に基づき、スイレン類が白亜紀初期
 (1億2500万〜1億1500万年前)までさかのぼるものであることがわかりました。
 また、初期被子植物の花が一般に、現生の同類の花に比べて非常に小さかった
 とするこれまでの観察結果とも符合するそうです。

陸上植物の祖先は淡水藻類から2.20.01
  AAAS(American Association for the Advancement of Science )年次総会
 ルイジアナ州立大のRussell Chapman らが発表したものです。
 彼らによると、高度な陸上植物と淡水藻類(スミレモ類)は別々に同じ細胞分裂の
 メカニズムを有しているそうです。
 「隔膜形成体*」の形成は全ての多細胞陸上植物に基本となることなのですが、
 このメカニズムは同じ祖先から由来したものと考えられます。
 今後、これに関わるDNAの分析により、類縁関係や上陸した時代について、詳し
 くわかるでしょう。
 これまでは、海草が陸上植物の祖先だと考えられていたそうです。潮の満ち干
 の合間に海面より上にくることにより、上陸の準備ができたと考えられていまし
 た。一方、発表者達は、海草は淡水に適合しにくかった(淡水である雨など)か
 もしれないとしています。
 *細胞分裂の後期に紡錘体赤道面を横断して形成される薄い障壁。やがて細
 胞膜がその中にできる(マグローヒルバイオサイエンス用語事典より)
 ネイチャーサイエンスアップデート

琵琶湖に固有の藻類2.19.01
  滋賀県立琵琶湖博物館の発表。従来から琵琶湖の優占種として生息してい
 るプランクトン性藻類二種類が、琵琶湖の固有種と判明。
 琵琶湖の環境問題に長年、取り組んできた故鈴木紀雄元滋賀大名誉教授にち
 なんで「スズキケイソウ」「スズキケイソウモドキ」(姉妹種)と命名。
 ヤフーニュース

 トクサ類とシダ類の系統について1編
 Horsetails and ferns are a monophyletic group and the closest living
  relatives to seed plants
 トクサ類とシダ類は単系群で、種子植物に最も近縁な生存種である 2.1.01
  ネイチャー2月1日号掲載
 デイリーインサイト
 
絶滅のシダ化石発見 原町で1.23.01
  原町市内の山林で、中生代ジュラ紀後期(約1億5000万年前)の地層から、
 シダ種子類の葉と実(雌の生殖器官)の化石が、このほど同時に見つかったとの
 こと。発見者はアマチュア化石研究家の平宗雄さん。
 ヤフーニュース

滋賀県甲西町朝国野洲川河床から発見された二重の立木化石、成因判明
  4.5.00
  2月2日付けで、この化石が発見されたことをお知らせしました。今回は、そ
 の成因について発表されています。
 河床で発見された約260万年前の約40本の立木化石のうち、直径約1.5m、高
 さ約1.5mの1本だけが、上下の太い幹の間が細い幹によりつながっていたそう
 です。

 この成因について、甲西町教委は二重の立ち木化石について、甲賀湖(約260
 万年前の古琵琶湖)が決壊して土石流が発生、大量の土砂で大森林は埋没し
 たが、巨木だけは倒れずに残った。その後、土砂で川の流路がせき止められ
 池ができ、巨木は腐食して倒れた。後に池の水が引いて泥が乾き始めたころ、
 生命力の強い一本が泥の中から芽を出して二重の立ち木として成長を続けた
 ―と説明しています。
 ヤフーニュース

滋賀県野洲川河床から260万年前の二重の立木化石2.2.00
  滋賀県甲賀郡甲西町朝国の野洲川河床で、約二百六十万年
 前(第三紀後期鮮新世)の古琵琶湖層群地層中にある化石林に、
 二重になった立ち木化石が見つかったと一日、甲西町教委が発
 表しました。いったん土石流に埋まった木が芽を吹き返したもので
 す。
 ヤフーニュース(日本)

新種の植物化石、福島県で発見1.28.00
  原町市と福島県鹿島町の約1億5千万年前(ジュラ紀後期)の地
 層で、同町のアマチュア化石研究家、平宗雄さん(43)が発見した
 植物化石5種類が新種であることが、茨城県自然博物館の滝本秀
 夫学芸員らの調査で27日までに分かった。
  肉食恐竜の足跡のごく近くで見つかったものもあり、滝本学芸員は
 「恐竜が生きていた時代の植物の様子や環境を知る上で有効な材
料になる」と話している。
28日から早稲田大学で開かれる日本古生物学会で研究結果を発表
する。  新種と分かった化石は平さんが1979年(昭和54年)以降、約
20年にわたって林道わきのがけなどから採取した。
 シダ植物のオオタニワタリに似たテニオプテリス属やソテツに近いニ
ルソニア属などの新種と判明。葉が柔らかい種類のものもあり、草食
恐竜が好んで食べていたと推測されるという。
 長さ約50cm、幅が約10cmのペロウディア属の葉も見つかった。ペ
ロウディア属について滝本学芸員は「現在、似た植物はないが、被子
植物の祖先の可能性もある」としており、植物の進化の解明の手掛か
りにもなりそうだ。(河北新報)

つる植物の居場所12.19.99
  ネイチャーバイオニュースです。11月25日号に掲載された顕花植
 物の起源についての二つの論文を解説しています。日本語で読め
 るのがありがたい!

被子植物の系統について11.26.99
  同じくネイチャー11月25日号に2つの論文が掲載されています。
 いずれも遺伝子の比較をしてその系統を分析したものです。
 「最古の被子植物:ミトコンドリア、色素体、核内ゲノム から得られた
 証拠」YIN-LONG QIUほか
 被子植物および裸子植物の基本系統すべて(105種、103属、63科)
 から、計5個のミトコンドリア遺伝子、色素体遺伝子、核内遺伝子(1
 列に並べると8733塩基対の長さ)のDNA塩基配列の系統発生解析
 を報告しています。この研究から、アンボレラ属やスイレン目、シキミ
 目トリメニア科アウストロバイレヤ属は被子植物の進化の第1段階に
 あたり、アンボレラ属はほかの被子植物すべての姉妹群になることが
 明らかになりました。また今回、グネツム目が針葉樹の姉妹群だが被
 子植物の姉妹群ではないことを示し、「被子植物説」に異議を提出して
 います。
 
 もう一つの論文は、「同義遺伝子を比較生物学に利用して推論した
 被子植物の系統発生 Angiosperm phylogeny inferred from multiple
 genes as a tool for comparative biology」 PAMELA S. SOLTISほか
 2名です。
 こちらは被子植物560種と顕花植物でない種子植物7種について、
 色素体遺伝子rbcLとatpBおよび核内18S rDNA のDNA塩基配列を
 最大節約法で解析した結果を報告し、被子植物の比較生物学に用
 いるための精度が高く裏づけも多い系統樹を示しています。
 ネイチャー

顕花植物の進化史が判明10.30.99
  サイエンス10月29日号に掲載。
  The Root of Angiosperm Phylogeny Inferred from
  Duplicate Phytochrome Genes
  Sarah Mathews and Michael J. Donoghue
  顕花植物のもつフィトクロームA、Bという遺伝子の分
 析により、これが約1億5千万年前に分かれたこと、また
 それは顕花植物が現れたのと同時期だったそうです。
 顕花植物は2つのグループに分かれますが、その1つは
 現在ニューカレドニアのみで発見されているAmborella
 いう植物。もう1つは残り全部となります。
 Amborellaは約1億年前に出現した、現存する最古の顕花
 植物だそうです。
 チャートの次にはNymphaea と Cabombaceae一般にはス
 イレンとして知られているものが来るそうです。
 ディスカバリーオンライン

約8,900万年前の被子植物化石発見9.21.99
  香川大農学部高橋正道教授ほかの研究グループが、約8,900
 万年前の被子植物の花の化石を福島県の地層から発見したそう
 です。東アジア・環太平洋地域での白亜紀の被子植物の花の化
 石の発見は初めて。来月5日の日本植物学会で報告。
 ヤフーニュースライン
 高橋正道教授紹介
   Palaeobotany & Palynology
   Cretaceous fossil flower from Northeast Japan写真あり
 日本植物学会

光合成により酸素を生産する最初の生物の痕跡を発見8.5.99
  ネイチャー8月5日号掲載
  大気中の酸素は最初からあったのではなく、シアノバクテリアあ(
 ラン藻)の光合成により生産されたものだそうです。豊富な酸素によ
 り好気性生物が進化してきたのです。
  ラン藻の最初の活動時期がいつかを示す最も古い証拠が、オース
 トラリア地質調査機構のR Summonsらにより明らかになりました。
 西オーストラリアのマクレイ山の25億年前に堆積した頁岩から、ラン
 藻が死後に残した化合物2‐メチルホパンが豊富に含まれていること
 が明らかにされまた。
 ネイチャー
 ヤフーニュースライン
 ABCニュース
 BBCニュース
 ディスカバリーオンライン

全ての植物系統樹を作成−陸生植物は単一の祖先から8.5.99
  これもセントルイスで開催された国際植物学会での発表です。
 12カ国から200人の研究者が共同で植物の系統樹を作り上げたそう
 です。その結果、生物の系統は緑色植物、褐色植物、紅色植物、菌
 類、動物の5つの大きい系統樹に分かれるそうです。このうち緑色植
 物のなかに木も草もシダもコケも含まれます。
  さらに、全ての陸生植物は、少なくとも4億5千万年前に、単一の淡
 水に生育した植物を祖先として進化したことが明らかになりました。
 「このことは太陽が宇宙の中の一つの星にすぎない事が判ったのに
 匹敵する」と、発表者の一人Brent D. Mishleカリフォルニア大教授は
 語っています。
 BBCニュース
 ABCニュース
 ユーレカアラート
 ディスカバリーオンライン
 サイエンスデイリー
 Green Plant Phylogeny Research Coordination Group
 XVI International Botanical Congress
 ヤフーニュースライン(日本語)8.9.99追加

最古の現代的な樹木は3億6千万年前に4.22.99
 ネイチャー4月22日号に掲載されています。
 Archaeopterisと命名されたこの木はデボン紀末の1千5百万年
 間、森林の90%を占めるほど繁栄していたそうです。50から100年
 ほど生えていたようなので、立派な木といえるでしょう。しかし、現
 代の木の直接の祖先というよりは、傍系に近いそうです。
 モロッコのサハラ砂漠のデボン紀の海成層から木の幹が発見され
 たことが始まりだそうです。
 Brigitte Meyer-Berthaud, Stephen E. Scheckler,Jobst Wendtの
 研究です。
 ユーレカアラート
 ABCニュース
 BBCニュース

中国で最古の花の化石発見11.27.98
 中国東北部(遼寧省)北票で、世界最古の花の化石が発見されました。
 報告者は米フロリダ大のDavid DilcherとInstitute of Geology and
 Paleontology at the Academia Sinica(南京)のSun Geです。
 1億4,200万年前の石灰岩層から(lower Yixian Formation)で、その上
 に火山灰が積もった湖の底だったと考えられています。
 現在見られる花の形状はしていないようですが、果実とその中に種も
 あることから花とされたようです。ご存じのようにこの地層からはシノサ
 ウロプテリクス(中華竜鳥)、カウディプテリクスなどの化石が発見され
 ていますが、花の発見は初めてだそうです。これ以前は、花の化石は
 1億3,000万年前が最古だったということです。
 この報告はサイエンスの11月27日号に掲載されています。
 ヤフーニュースライン(化石の写真付き。拡大写真
 サイエンス表紙の化石写真
 CNNニュース
 CNNカスタムニュース
 ABCニュース
 サイエンスディりー(独自取材のようです)
 フロリダ自然史博物館フロリダ大学
 CNNカスタムニュース恐竜とトリの関係について

インドで最古の化石発見11.9.98
 CNNカスタムニュースによると、インド・オリッサ州で32億年前の
 藻類の化石が発見されたそうです。同地の豊富な鉄鉱はこの藻
 類の活動の結果とか。
 CNNカスタムニュース