長谷川善和先生と行く
中国の恐竜・鳥化石探訪の旅
2002年4月27日(土)から5月3日(金)


 音を立てて降っていた雨も、小降りになった。バスは錦州市内の
文雅博物館へ。
同館は、中国国内では珍しい私立の博物館。杜文雅という化石コ
レクターがそのコレクションを公開している。その名は杜氏孔子鳥
Confusiusornis dui
に留められている。

 狭い旧市街を迷う。公設市場では公安のトラックにキャベツや野
菜が山積みだった。今は公安さえも野菜を売って稼いでいるのか
!と感心していたら、ガイドによると、自分の所で消費する野菜を
仕入れにきたものだった。

 文雅博物館に到着。館長氏は恰幅のいい"青年実業家"もしくは
"その筋の人"という感じだ。私営博物館なので、もちろん化石の
販売もある。皆入るなりいきなり撮影しだす。挨拶のひまも無い。

ガイドに集められ、館長の挨拶を受ける。名刺と主な展示品のパ
ンフレットも配られた。侯連海先生とは旧知の仲。彼は先生の指
導を受けているそうだ。

 1階はみやげ用化石。ほかにプシッタコサウルスも1体展示してあ
る。2階は主に植物化石。皆そそくさと見て上に上がる。3階には昆
虫や魚類、4階には両生類、爬虫類、恐竜、鳥類が主に展示され
ている。

当然、4階に皆集中する。あの薄い岩板に小型恐竜の全身骨格!
全長70cmほど。これはドロマエオサウルス類だろうか、尾がピンと
長い。隣にはさらに小さい肉食恐竜。25cmほど。ミクロラプトルの
仲間だろうか。

 館長の特別のご好意でガラスケースが開けられ、私達は間近に
見、撮影することができた。長谷川先生はルーペで小型哺乳類の
歯を熱心に調べている。「大雑把に言うと、モグラの歯にネズミの
体」だそうだ。

所々に侯先生の"new specimen" と解説が加わる。研究途中もし
くは未研究の標本も多い。したがって残念ながらここでは殆ど画像
は見せられない。

 鳥類も孔子鳥、嬌小遼西鳥などいい標本が並ぶ。杜氏孔子鳥は
レプリカのようだ。プシッタコサウルスの大型骨格が並べてある。
自分でも化石ショーで買った骨格をクリーニングしている田村さん、
その横で記念写真を撮る。

1時間半などあっという間だ。再び下に戻り、お土産を買い始める。
ここの化石は安いものでも500元する。質はいいがホテルに比べ
ると高い。が、屏風氏、ここでも化石購入。長谷川先生も大きな標
本を包んでもらう。

 私も棚を見ると、シノサウロプテリクスの小さなレプリカ?と思わ
れるものが目に付いた。レプにしてはできが悪いなとよく調べると
、岩板部が厚い。しかも「中華竜鳥」と彫られた下に「酒」の文字が
あるではないか!おい、こりゃ酒だよ!世にも珍しい中華竜鳥酒と
聞き、田村さん2個目に手を出す。棚にはこの箱入りの酒、2個しか
置いてない。ちょっとほこりをかぶっているので、館員に、まだない
のかたずねる。その頃には長谷川先生はじめ、この酒を手に入れ
たい面々が集まる。お酒を飲まない所さんまで欲しがっている。

最初、「有、有」と倉庫に行った館員、出てきたときには「没有(無
い)」だった。あの2本しか置いていなかったのだ。400元。値引き
は委託販売のためできないという。それでも化石より嬉しい。

文雅博物館


右:杜文雅館長。左はガイド氏


お土産として売られている化石


秘酒 中華竜鳥酒