金子隆一と行くアメリカ恐竜ツアー2003

今日は北米古代生命博物館だけ。展示は充実しているが、金子氏によればバックヤードのない見せるだけの博物館という。

道路沿いに見えるその姿は、写真で見てはいたのだが、こんな建物?とあっけにとられる。

いわば、ユタの恐竜秘宝館なのだ。我々が一般に博物館に対してもつイメージを崩す外壁だ。あえて言えばユネスコ村大恐竜館ののりか。もちろん中身のグレードははるかに良いが。

中に入ればトルボサウルスのお出迎え。ひとしきり撮影してから入場料を払う。9ドル50セント。一応、先カンブリア紀から標本展示は始まる。金子氏によればこのあたりの標本にも他では一般展示していない貴重なものがあるという。が、こちらにはどれともわからない。適当にお茶を濁し、メインの恐竜展示に移る。

ジュラ紀ということなのだろう。前座の恐竜たちのあとにはスーパーサウルスの全身骨格。

とてもカメラにおさまらない。ただ、気をつけないと意外と小さい恐竜の中にいい標本がある。見落としは禁物。ここで、自分のデジカメの欠点にあらためて気づいた。広角から望遠までの性能は高いがレンズが暗い。金子氏のデジカメはストロボなしで撮影できるが、私のほうはストロボなしでは難しい。おかげでバッテリー消費がすさまじい。しかも黒い化石以外は、近くでストロボ撮影するとみな白く飛んでしまう。博物館で恐竜撮影する場合、望遠はそれほど必要ない。むしろ広角とレンズの明るさ、さらに欲をいえばマクロ撮影に優れていれば申し分ない。つい画素数などに目がいきがちだが、レンズ性能は重要なファクターだ。

ジュラ紀、白亜紀と展示は続く。間には子供にお遊びの施設がある。堆積ごっことでもいうのだろうか。川の流れを思わせる特大の水槽に砂とチョコラザウルス大の恐竜がたくさん置いてある。川の中に恐竜を寝かせれば、やがて流れてきた砂に埋もれる。1億年たてば化石のできあがり!ただ、この川の水、衛生基準が厳しいのか塩素の臭いプンプン。長く遊べば手が荒れるか呼吸器がおかしくなるだろう。

白亜紀ではスタン2体が向かい合わせに。思わず前肢の指を確認する。こちらは2本。やはりワイオミング恐竜センターの指は新資料か。プロトケラトプスやオヴィラプトルの卵も展示してある。羽毛恐竜の資料は皆無といっていよい。鳥類は孔子鳥1体あるだけ。

この先は砂に埋もれた骨格を刷毛で掘り出すコーナー。あとは哺乳類の時代。最後に人類がマンモスを仕留める骨格群像で終わる。

さあ、あとはショップ!が、ここはダメ。子供用おもちゃがほとんど。Tシャツはデザインもいただけないし、サイズもXLが多くて日本人向けのMは皆無。まず食指が動かない。

見終わっての印象は、やはり見せるだけの場所。それ以上の何者でもない。ただし、見るものはたくさん貴重なものがある。考えてみれば一般の博物館見学でバックヤードに入ることはまずない。そう考えればまずまずなのだろうか。ただ、ある程度以上の恐竜ファンには物足りないだろう。この博物館は専任の学芸員っているのだろうか。展示標本解説の印刷物もないし、スペース的に特別展をする場所もなさそう。ドワーフマンモスを指してトリケラトプス!と叫ぶ子供に正しい情報を伝える説明員も見当たらない。ただし、説明員はこんかいの他の博物館にもいなかった。日本の最近できた博物館とコンセプトは異なるということか。まあ、このツアーは前半がきびしかったから最後はこれでしめるのも悪くない。

北米古代生命博物館外観


入り口前のトルボサウルス




スーパーサウルス


ユタラプトル


ガストニア


獲物を争うスタン2体


プシッタコサウルス