金子隆一と行くアメリカ恐竜ツアー2003
7 サイバークオリー

 8月20日、 昨日のマイケル・ビース氏らの案内で、サイバークオリー、ハウクオリーへ向かう。彼は連邦土地管理局の人間で専門は考古学とわかった。古生物は専門ではない。

 道端には幹の太い木、コトンウッドが茂る。 舗装道路が砂利道に変わり、さらに起伏の激しい山道になる。スーツケースに入れたパソコンが心配だ。ヒルさんは無理やりという感じで運転。奥に進む。

キャンピングカーとテントが数張り現れた。発掘隊のものらしい。さらに進む。車は小高い丘の中腹でで止まる。ここはスイスのアータル博物館の発掘現場だ。

2002年千葉県幕張メッセで開催された世界最大の恐竜博で、入り口近くにほとんど完全なアロサウルス骨格とステゴサウルス骨格が展示されていた。さらに竜脚類骨格の展示も数点あった。これらはみなここからアータル博物館の連中が発掘したものだ。

 車を下りて登ると今シーズンの発掘現場があった。数人が作業をしている。素人目にも脊椎骨の連なりが見える。

説明はガービン氏。親切だが一癖ありそうな感じもする。以下、氏の説明の聞き書きになる。

 これはアパトサウルスの関節した骨格。尾椎の途中から胴椎後部まででいったん切れ、胴椎前部から頚椎まで続いている。もちろん脚もあるが、すでに石膏ジャケットされている。頭蓋はまだ発見されていない。 しかし、これだけ1体分と確認できるアパトサウルスは見事だ。

 骨格脇の小山から見下ろしながら説明を聞く。その小山の下からは、幕張で展示したステゴサウルスが発掘されたそうだ。話があまりにも膨大なので一部しか覚えていない。とにかくこのアパトサウルスは掘りはじめて2時間で発見されたそうだ。あちらには、
傷だらけのアロサウルス"アル"が発掘された現場がある。

それほど豊かな発掘現場なのだ。 ある恐竜が発見されて発掘すると、その下から2体みつかり、それを掘るとさらに下から3体見つかるというところなのだ。ある現場では11体出てきたという。別のアパトサウルスではバラバラになってはいたが、頭蓋も発見されている。これも幕張で展示されている。

 氏の説明では、平原に河が流れていた。普段は河とつながっていない三日月湖に洪水の時に流された恐竜が沈み、すぐに砂に埋まったということが繰り返されたのだという。堆積速度は平均年1mmという。

 発掘チームは国際混成で、ベルギーから来た人もいれば、ドイツ・メッセルで哺乳類を研究していた人もいる。今年の発掘は9月6日までというが、それまでにこのアパトサウルスもすべてジャケッティングされるだろう。

サイバークオリーの入り口。この先、道といえないような道を延々と走る。


資材置き場。"BONE BAR"と洒落ている。言われれば、カウンターバーのよう。


パワーショベルの下からステゴサウルスが発掘された。


発掘の様子。アパトサウルス骨格発掘。

発掘の様子。アパトサウルス骨格発掘。


アパトサウルス骨格をクローズアップ