32 恐竜をさがせ!
監修 平山 廉
復元画 小田隆 復元標本 徳川広和 背景CG 吉岡 正人
写真撮影 川嶋 隆義 写真合成 西山克之・大澤良恵
偕成社 全3巻 31×24cm 36ページ 各1,470円 2008年7月発売
小学校中級から
第1巻 恐竜の時代研究室 ISBN978-4-03-437660-7 C8745
第2巻 恐竜のなかま研究室 ISBN978-4-03-437670-6 C8745
第3巻 恐竜のデータ研究室 ISBN978-4-03-437680-5 C8745
子ども向けの恐竜本は企画すること自体むずかしい。今のはやりは恐竜キング。
ともすれば、恐竜カードのポイント向けの特徴にしか目をむけなくなる。そんな中で
知恵をしぼって出来上がったのがこの本。
「恐竜研究室にアソビにおいで!」腰帯で恐竜ハカセ 平山廉先生が手を振ってい
る。そう、「あそべる まなべる」がコンセプト。本の中にある「○○をさがせ!」という
指令に従って○○を探すうち、自然と恐竜の知識が身につくようにできている。
その○○は、テーマにより、恐竜を探し出すものもあれば、トリケラトプスの骨格を探
すもの、果ては、恐竜と同じ重量の乗り物を探すものまである。恐竜以外のものや現
生の生き物は、子どもが身近に見聞きするものなので、恐竜自体も身近に感じられ
るだろう。
この指令と答えがそれぞれ2ページづつ、計4ページで1つのテーマの研究室が構成
されている。答えは簡潔に解りやすく書かれている。そして、テーマは各巻で見事に
整理され、体系的に仕組まれている。恐竜はどのような生き物かという基礎的なテー
マに始まり、図鑑類ではなかなか触れられない卵、足跡にも研究室が与えられ、羽毛
恐竜まで至っている。子ども向きながら、現在の恐竜学のトピックについて理解できる
範囲で押さえているといっていい。
欲を言えば、平山先生には腰帯や前書きだけでなく、本文中にも登場して活躍された
方が、あの朗らかな笑い声で研究室の雰囲気をより活気あるものにしたのではないか
と思うのだが・・・
とはいえ、自分の子どもの頃と比べ、こんな本で恐竜のことを学べるなんて、今の子ど
もは幸せと、しみじみ思う。この本を読んだ子どもが成人した頃、「恐竜は子ども向けの
怪獣もどき」という日本社会の恐竜観が変わっていく予感がする。