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恐竜拾遺録

(べつに、恐竜以外も・・・)

  1. よりましな恐竜写真を撮るには
  2. 5.24.97

  3. 古代出雲文化展に行って来たぞ
  4.  付:ヘンなおじさん、おばさん、にーちゃん、ねーちゃんに会うこと5.25.97

    1. 銅剣の壁、銅鐸の丘
    2.  池袋まで用事があって、ついでに東武美術館で開催中の 古代出雲文化展を見てきました。あなた、あれは彼女をだましてでも 子供を無理矢理ひっぱってでも見に来る価値はありますよ!
       入り口からすぐに加茂岩倉遺跡出土の銅鐸39個!まだ、入れ子 状になっているものもある。×印が付いている銅鐸、同笵(どうはん: 同じ鋳型から鋳造したこと)が解ったもの、生涯最多の銅鐸を見た日に なりましたよ。それに、銅剣の壁!荒神山遺跡から出土した358本の 銅剣が高さ3.5m幅8mほどの壁いっぱいに並んでいる・・・圧倒。銅鐸と 同じ×印が付いているものあり、研ぎに工夫したものあり、何も知らな くても、あの量には驚かされますよ!
       弥生時代から鎌倉時代まで土器、古墳、銅矛、祭司、出雲大社、風土記、 仏像など古代出雲ならなんでもござれの超豪華な展示です。2時間はかかる かな。忘れてならないのは図録。300ページちかいボリュームだが、中身も よく練った上で書かれています。2,000円だけど買う価値はあります。
      会期は6月8日まで池袋東武デパートの東武美術館。7月5日〜8月24日 が島根県立八雲立つ風土記の丘資料館(考古)、島根県立博物館(歴史・ 美術)、11月18日〜12月21日が大阪市立美術館です。

    3. ヘンなおじさん、おばさん、にーちゃん、ねーちゃんに会ったこと
    4.  さてその帰り、新宿駅のホームでどえらいものを見てしまった。銅鐸銅剣に 圧倒されてかなりポヤンとなった私の視界に入ったのは古代出雲人!?
      ハニワか神武天皇かといった真っ白な古代衣装に身を包んだおじさんが、蓬髪こそ まだみずらに結ってはいないものの、その頭には発砲スチロール製とおぼしき ご神体?を紐で顎に結わえ付け堂々と歩んでいるのだ。ご神体?には造花や、一瞬 だったが、日本盛と読めるシールが貼ってある。ホームの人は皆あきれて見ている が、そのまま電車に乗ってしまった。アレは何なんだ?自分で教祖様になった方 なのか? もう私の脳はマーボドウフ状態。折れた傘の柄が目についても曲玉に 見えてしまう。
       小田急のホームにたどり着き、階段を降りようとすると、そこにも怪しいおじさん の集団。皆、見ないようにして通り過ぎるのだが、その中の角刈りのおじさんは、上 は半袖シャツの下着(Tシャツじゃないよ)下は・・・真っ白な腹巻きをしているの だが、その下からはだかの足がぬっと出ている。ちょっと見には超ミニスカートとい う姿なのだ。ボディーブローが効いてきた。電車に乗れば髪を真っ青に染めたおばあ ちゃんはいるし、前の座席にすわっているおねーちゃんは中身の入ったプラダの紙袋 を膝に載せているので”あ、リッチ!”と思ったら、「会社案内」と書かれた書類が 別の袋からはみ出ている。そういえば地味なグレーのスーツだし、会社訪問帰りかな、 でも、わざわざプラダの買い物をしてきたのは人事でけんもほろろに扱われてその腹 いせかな?と、余計な想像をしてしまうのだった。そういえば、行きの電車では、ど こかの学校の剣道部らしき団体が袴すがたで乗っていたのだが、これがお引きずり袴。 草履も見えないほど裾が下がっている。あれで試合に臨んだら、自分で裾を踏んでつ っかかるだろうに。ふつーのサラリーマンの通勤時間帯には見られないヘンな人々が たくさんいるんだと、実感した一日でした。・・・つかれた

    5. 今月の雑誌から
    6. 5.28.97
       ニュートン1997年7月号では、「日本の地史 中生代3 恐竜のいた時代」として、竹内 均編集長 自らが恐竜の紹介をしています。が、まず、恐竜の分類を骨盤の違いで竜盤目、鳥盤目 の二種に分ける古典的な方法で紹介。
      ジュラ紀に生息した雷竜の次に白亜紀末期のティラノサウルスを出し、「草食ののろまな恐竜を襲い」 と書けば、知らない人はティラノサウルスがアパトサウルスを襲ったと誤解するだろう。
       恐竜絶滅の原因に「有毒植物説」、「哺乳類出現説」「種の老化説」、「気温低下説」(ここでは 「爬虫類は変温動物であり(中略)恐竜を代表とする爬虫類が絶滅したのではなかろうか」と解説)、 と延々と今では死滅したも同然の説を並べ、新しい理論として「巨大隕石衝突説」を紹介している。
       この方の恐竜学に関する知識は失礼ながら10年前の水準にとどまっているように思えるが、いかんせん、 編集長の書いたものだから、誰も訂正できなかったのではないかと、思われます。ご愁傷様。
       まだしもSIENCE SENSORのページでSIENCE1997年2月21日号から「白亜紀末の環境の大異変を多くの鳥類 が生きのびたことが明らかにされた」という紹介の方が気が利いています

       Bart No.12  6月9日号(集英社)では、映画「ロスト・ワールド」の先行紹介がされています。紹介の文章 は、全く問題がないとはいえない印象ですが(映画「ジュラシック・パーク」公開の頃 「恐竜大接近」という本を集英社から出した石田雅彦氏の文。例えば「首長竜の仲間では、ブラキオサウルス」 おいおい、いつから海生爬虫類になったんだ?)、映画の写真が7枚ほど付いています。これを見ると、 この映画のステゴサウルスは喉のよろいも腰のあたりの円盤状の骨も無い。背中の骨の板も殆ど左右が同じ 位置から出ている。どこまで取材をしたのか疑問に思う姿です。
       なお、集英社では「ロスト・ワールド」の試写会招待をしています。要項を見ると同社発行の雑誌に 付いている応募券をはがきに貼ってということですので、興味のある方は一番安い集英社の雑誌を買って 応募(網棚にあればラッキー!)してください。締め切りは6月7日(当日消印有効)です。
       なお、関連して複雑系の取材記事がありますが、こちらの方がまともに思えます。

       ネイチャー1997年5月22日号に、パタゴニアの新しい鳥類に関係の深い恐竜の化石発見の話が あります。Unenlagia comahuensis gen. et sp. nov. というこの恐竜は、肩甲骨、骨盤、後脚の形態が 始祖鳥に似ているそうです。また、翼の構造は、すでに飛ばない獣脚類恐竜において存在していた とか書いてあるようです(私の読解力を信じないこと!)。  もっとも白亜紀のこの恐竜以前にジュラ紀に孔子鳥が出現していますので、この恐竜が鳥の祖先 であることはない訳です。(もっとも孔子鳥も、普通の鳥には足に爪が4つあるのに、この鳥には 3つしか見えないなんて議論もあるようです)
      同じ号には、ティラノサウルスはいつも肉を食べていたので痛風に悩ん でいたとかいう記事もあります。

    7. 国立科学博物館教育普及活動の予定
    8. 7月12日(土)成 自然史セミナー「古生物教養講座1」
      8月20〜22日 フ 「びっくりホモ・サイエンス−化石を求めて」
      10月5日(日)フ 自然観察会「地層と化石の観察会2」
      10月25日(土)成 科学史学校「近代生物学史」
      12月13日(土)成 自然史セミナー「古生物教養講座2」
      2月7日(土)成 自然史セミナー「古生物教養講座3」
      2月21日(土)成 自然史セミナー「人骨研究法講座1」
      2月28日(土)成 自然史セミナー「人骨研究法講座2」
      3月7日(土)成 自然史セミナー「人骨研究法講座3」
      3月7日(土)成 自然史セミナー「岩石の年代測定1」
      3月14日(土)成 自然史セミナー「人骨研究法講座4」
      3月14日(土)成 自然史セミナー「岩石の年代測定2」
      3月22日(日)フ 自然観察会「地層と化石の観察会3」
      3月25日(水)成 自然史セミナー「古脊椎動物研究法講座1」
      3月26日(木)成 自然史セミナー「古脊椎動物研究法講座2」
      3月27日(金)成 自然史セミナー「古脊椎動物研究法講座3」

      ※成は成人向き、フはファミリー向きです。内容、申込み方法 は、国立科学博物館ニュース(月刊)に掲載されます。
      科博の教育普及活動のページ でも案内されます。いずれも事前に往復はがきで申し込みがいるようです。

    9. 今月の雑誌から(97年7月1日)
    10.  「ニュートン」8月号には「恐竜はやはり冷血?」という記事が載っています。 概要は、今まで、恐竜温血説の根拠となっていた恐竜の骨のハバース管の発達は、 単に恐竜が活発に活動したことしか意味しない(冷血のオオトカゲを安静組と運動 組に分けて観察すると明らかにハバース管の発達に差があった)。温血性の新しい 指標は鼻内部の皮膜に覆われた渦巻き状の組織「鼻甲介(びこうかい)」である。 これは、呼気から水分を回収する仕組みで、高い代謝率をもつ哺乳類や鳥類は呼吸率 も高く、当然呼吸で失われる水分の損失率も高くなる。それを防ぐのが鼻甲介である。  一方、恐竜には鼻甲介がない(ナノティラヌスをCTスキャンで走査)。故に恐竜 は温血動物でない。と、いうことのようです。私は以前、ナノティラヌスは CTスキャンで調べると発達した鼻甲介が存在するという記事を読んだ覚えがある のですが(大恐竜博オフィシャルガイドブック62ページ)、どちらがホントなんで しょうね。

       「子供の科学」7月号(誠文堂新光社)には福井県博の東博士が「鳥類の起源の謎」 という文章を載せています。子供向けといって馬鹿にしてはいけない。ちゃんと、始祖鳥 、プロトアビス、モノニクス、孔子鳥、遼寧鳥などの紹介がされています。そして、始祖鳥、 孔子鳥、遼寧鳥の骨格図付きです。原稿用紙4枚程度の文章ですが、立ち読みする価値はあり ますよ。

    11. エヴァの感想(97年7月28日)
    12.  テレビ東京で3夜連続再放送があったので、やっとエヴァンゲリオンを見ました。なろほど、 巷で騒がれているとおり、いろいろ謎の多い設定だ。ユダヤのカバラ思想やグノーシス派の思想、 もちろんキリスト教思想もあれば、古代ローマの哲学と、下敷きは、何重にもしいてあるようで す。ただ、テレビシリーズの設定だと、最初は単純に物理的な力で攻めてきた「使徒」が、だんだん 生命・神経系さらに心理攻撃と、人の心の面に焦点を移していく。最後の2話は全くの心理劇であり、 このあたりだけ切り離して心理学の授業に使えるのではないかと思えるほど(というか、それほど 今までのアニメからかけ離れている)です。この中で明らかになるのは、主人公達がいずれも、 「いい子」(はやりのアダルトチルドレンですかね。)であり (または、そう生きてこざるをえなかった)、他人の承認なしには生きてこられ なかったこと。自分で自分を認めてこない人生、他人との接触を極端に怖がり、自分の心の壁の中 に孤独の安住をしてきたこと(特に主人公の碇シンジ)。
       自分が自分を認めず、拒絶していれば、かわりに承認を他人からもらうしかない。「エヴァに乗れ ばほめてくれる」そこから、シンジは、「(自分を)好きになれるかもしれない」と、気づくことに より、心の壁がひび割れ、崩れて、周囲の「おめでとう」という世界に受け入れられる。
       まるで、ある種の心理セミナーのセッションそのものです。ただ、これは「気づき(エヴァの世界 では「補完」か)」の始まりであり、この後シンジがどうなったか、他の主人公達は如何に、そして この物語の世界がどうなっていくのか、全ては劇場版に持ち越されているということなのでしょう。
       営業的にはお利口なやり方ですね。いずれにせよ、投げかけられた謎に答がないままテレビシリーズ は終わっているので、ここは中途までの感想としか言えない。いずれ映画も見ようと思います。 (蛇足)心の問題を扱うなら、唯識思想あたりをバックに 善哉童子や、阿闍世のエピソードをからませると、より深みが でたのでは等と想像してしまいました。もっともユダヤ思想と相容れないかな?

    13. 今月の雑誌から(97年7月28日)
    14.  ニュートン97年9月号では、「よみがえる恐竜王国」と題してPART1では恐竜最新ニュースを列挙。 PAART2では「恐竜PAST & PRESENT」として、昔と今の恐竜の復元像の違いをいくつか並べています。
       ただ、「恐竜の楽園」ほかのホームページを見ている皆さんには旧聞に属することもあるような 感じがします。少なくとも先月号での予告ほど大特集という感じはしないな。
       SFマガジン97年9月号(早川書房)では、「新・恐竜王国」と題して(やっぱり共和国や連邦にはならないね)、 「白亜紀の狩人」(ロヴァート・シルヴァーバーグ)、「恐竜に関する調査報告集」 (ロバート・シェクリイ)、「レックス」(デヴィッド・ジェロルド) の3本のSFを掲載。また、金子隆一氏による「恐竜学最新情報」のコラム(各800字程度)5箇所 掲載です。なお、金子氏は裳華房のポピュラーサイエンスの最新刊で「軌道エレベータ 宇宙へ架ける橋」を石原藤夫氏 と共著で出しています。このシリーズは大手書店に行かないと手にとって見られないと思いますが、ご参考まで。
       ところで、金子氏の愛猫の子猫(生後3カ月)のもらい手はいませんかね?可愛いさかりなんですが、いたずら盛り で、執筆活動に障害がでているそうです(例えばマックのキーボードにおしっこをした)。