ダイナソー試写会に行って

 2000年9月25日、東京有楽町、日劇プラザで開催された「ダイナソー」試写会に行ってきた。
DLPシネマ(フィルムを使わずデジタルプロジェクターを使用)による一度限りのデジタル・シネマ試
写会と銘打ったもの。会場30分前にはかなりの列が出来ている。会場時にはプレス取材陣が入
場する観客を撮影していた。

ハイパー・リアルな恐竜たち
 まず、画面に恐竜たちがのんびりと暮らしている光景が出てくる。エサを食むもの、子育てにいそ
しむもの、それにちょっかいをだすもの・・・恐竜たちの復元は本物を撮影したかと思うほどリアルだ
が、それを越えるものがある。表情だ。一般に恐竜には表情筋はないとされているが、この恐竜た
ちは、立派に喜怒哀楽の表情を示す。その中でも目立つのは"怒り"だろう。"驚き"もわかりやすい。

 パラサウロロフスの仔が滑空カメレオン-こんなものが本当にいたかどうかわからないが-追いか
けて森に入ると、腹をすかせたカルノタウルスに出会い、追いかけられる。仔の驚きの表情など秀
逸だ。一方、愛情表現などはどちらかといえば体全体の動きであらわしている。もっとも恐竜が色目
を使うのもぞっとしないが。

 テレビでも紹介されているように、主人公のイグアノドンは卵の時に翼竜にさらわれる。この翼竜
が飛ぶシーンも、カメラがそれを追う設定でスピード感あふれ、次から次へと景色が変わり、見ご
たえがある。

時代考証はなし
注書きがおそくなったが、登場する恐竜や他の生物は全て同時代に生息していたものではない。
ジュラ紀の恐竜も白亜紀の恐竜もはるか後の時代の哺乳類や鳥類も登場する。肉体派の女優ラク
ウェル・ウェルチ主演の"恐竜百万年"ほど荒唐ではないが、ま、人気俳優を集めたら前後8千万年
にわたってしまったというもの。あくまでストーリー重視でいこう!

あらすじ
 大雑把なあらすじでいえば、白亜紀末の隕石群の衝突により荒廃した土地から伝説の楽園の地
へ恐竜たちが苦難の旅をするドラマだ。冷酷な群れの指導者vs.ヒューマニティあふれる主人公。
モーゼがユダヤ人を率いて約束の地へという、聖書のストーリーを連想させる。もちろん主人公らは
伝説の”生命の大地”にたどり着くのだが、犠牲も避けられなかった。

辛口意見
 一応、恐竜の生態などに意見を。
・この映画の恐竜はほとんど灰色か茶色系で派手な色はない。もう少し派手な色を所々使っても良
 かったと思えるのだが。
・ブラキオサウルスの頚部はあれほど垂直に立っていたのだろうか。
・4足の恐竜がギャロップするシーンが何箇所かあったが、実際にあのような動きができたかどうか
 疑問。
・字幕の恐竜名の中に英語読みそのままというものもあったが、できればローマ字読みに統一して
 ほしかった。

 さらに隕石群について
・この映画の隕石群程度なら数百万年に一度程度の規模に見える。もっともこれはカタストロフィー
 映画ではないし、ここで恐竜たちが絶滅したら、そこでストーリーがお終いになってしまうのだが。

でも、お薦め、すごくお薦め!
 辛口の意見も書いたが、それでも私はこの映画をお薦めする。その理由は

・映像がとてもリアル。ここに再現された恐竜の姿を見るためにだけで見てもいい。観客をとてもス
 ムーズに6千5百万年前の世界に連れていってくれる。主役だけでなく、脇役の鳥類、両生類、
 翼竜なども見逃せない。

・ジュラシックパーク、ロストワールドの恐竜は最終的に人間に敵対する不可解な力として描かれて
 いた。ダイナソーの恐竜たちは、擬人化とはいえ私達に理解される存在として描かれている。し
 かも、それぞれが個性ある存在として私たちにアピールする。

・ハラハラ、ドキドキする場面もあるが、そこはディズニー映画。ハッピーエンドになる。その意味で子
 供連れでも楽しんで観ることが出来る。

とにかくリアルな恐竜にふれて、ディズニーの世界に浸って楽しむ。これが一番の楽しみ方だろう。

 
ダイナソーポスターへ(C) Disney Enterprises,Inc.All Rights Reserved
12月上旬、日劇プラザほか全国ロードショー