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手根骨関節の非対称性とマニラプトラ類恐竜における翼折りたたみの進化 3.04.10
  Corwin Sullivan, David W. E. Hone, Xing Xu and Fucheng Zhang(2010)
  The asymmetry of the carpal joint and the evolution of wing folding in
  maniraptoran theropod dinosaurs
  Proc. R. Soc. B doi:10.1098/rspb.2009.2281論文ダウンロードできます
  ライブサイエンス
  鳥類では、その手は恒久的に尺骨側に外転し、手首関節は、翼を使わない時に
 折りたたむためにこの方向に広範囲にまげることができます。このような動きができ
 る理由は、手根骨のひとつ、橈側手根骨がくさび形という非対称形になっている事
 および手根中手骨の近位端滑車がよく発達した凸状面をしているためです。

 鳥類に連なる恐竜の系統のうち、発達した凸状面をした滑車があるのはコエルロサ
 ウリア類ですが、著者らの研究では、その中でも橈側手根骨が楔形をしている、その
 角度は原始的なコエルロサウリア類では15°程度ですが、原始的なマニラプトラ類
 では25°さらにトロオドン類31°ドロマエオサウルス科では31°というように、角度
 が大きくなりとなり、より楔形がきつくなります。

 この理由として、著者は、腕そのものが長くなることと、腕に生える羽毛が長くなる傾
 向のため、折りたたんでいないと羽毛を地面に引きずって損傷してしまうためと解釈し
 ています。そしてこの傾向が鳥類に引き継がれていったとしています。