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後期ジュラ紀新疆ウイグル自治区から、基盤的アルバレツサウルス類 1.29.10
  サイエンス1月29日号 毎日新聞 ジョージ・ワシントン大ニュース
  参考:同大新疆ウイグル自治区の発掘

  中国新疆ウイグル自治区、ジュンガル盆地の上部ジュラ系Shishugou(石樹溝)層
 (約1億6千万年前)から産出した、殆ど完全な骨格に基づき、アルバレツサウルス
 上科恐竜を記載しています。

 Haplocheirus sollers 新属新種
 属名:haplocheir(ギリシャ語)をラテン語化、単純な手。派生したアルバレツサウルス
 上科に見られる特殊化した手ではないため。
 種小名:sollers ラテン語で上手い。派生したアルバレツサウルス上科にはできない
 指の動きが可能なため。
 完模式標本 IVPP V15988 尾の遠位を除き完全な骨格
 推定体長190から230cm 若い成体または亜成体後期。

 今回記載されたHaplocheirus sollers は、アルバレツサウルス上科恐竜の生息期間
 を6千300万年遡って同上科最古最基盤最大の恐竜となりました。このことは、アルバ
 レツサウルス上科の起源が南米ではなくアジア起源であることを示しています。また、
 同上科恐竜に小型化のパターンが見られることも示しています。さらに、同上科恐竜
 について、これまでアヴィアラエ類の姉妹群またはその中に含まれる位置づけとする
 仮説も提唱されていましたが、マニラプトラ類の基盤的グループであることも明らか
 になりました。

 同上科恐竜については、二次的に飛行しなくなった鳥類とする説もありました。この恐
 竜の産出年代は、始祖鳥Archaeopteryx より古いので、マニラプトラ類が鳥類から派
 生したものでなく同類の方が鳥類より古くから存在したことが明らかになりました。

 アルバレツサウルス上科の他恐竜、モノニクスやシュブーイアの上顎歯は、円錐形で
 鋸歯がありません。Haplocheirus の上顎歯は約30個ありますが、湾曲し、後側に小
 さいセレーションもあります。下顎前部には大きい円錐形に近い歯が、後部には小さい
 湾曲したセレーションある歯があります。したがって、このクレードの基盤では肉食
 であったとしています。

 モノニクスなどはその名が示すように、1本指に見える手をしています。Haplocheirus
 には3本の指が備わっています。この指は十分機能し、論文ではものをつかむ能力が
 あったとしています。一方、第三中手骨が内外側に細くなっている点や、第四中手骨
 が非常に短く、細くなっている点から、派生した同上科恐竜に見られる指の癒合と退
 縮は、後期ジュラ紀はじめから、この恐竜の段階で始まっていたとしています。

 Jonah N. Choiniere, Xing Xu, James M. Clark, Catherine A. Forster, Yu Guo, Fenglu Han
 A Basal Alvarezsauroid Theropod from the Early Late Jurassic of Xinjiang, China
 Science 29 January 2010: Vol. 327. no. 5965, pp. 571 - 574 DOI: 10.1126/science.1182143