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基盤的角竜類PSITTACOSAURUS の社会的習性と大量死 9.17.07
 ZHAO QI, PAUL M. BARRETT and DAVID A. EBERTH 2007.
 SOCIAL BEHAVIOUR AND MASS MORTALITY IN THE BASAL CERATOPSIAN DINOSAUR PSITTACOSAURUS
 (EARLY CRETACEOUS, PEOPLE’S REPUBLIC OF CHINA)
 Palaeontology Volume 50 Issue 5 Page 1023-1029, September 2007
 doi:10.1111/j.1475-4983.2007.00709.x

  中国遼寧省錦州市義県のLui Tai village*の義県層陸家屯単層から産出した、6体の完全かつ
 関節した立体的骨格をもつプシッタコサウルス集団化石(IVPP V14341)に基づき、その群居性を
 論じています。
 この標本の年代はアルゴン同位体の測定では約1億2320±100万年です(前期白亜紀アプティアン)。
 標本の産出した地層は、火山噴出物が堆積したもので、また標本が完全かつ関節していることか
 ら、瞬時に火山のラハール(火山泥流)に埋まったものだそうです。

 各標本の成長の度合いを骨の成長度から調べ、6体中5体で大腿骨から年齢を算出しています。最
 年少は1.45±0.09年、最年長は2.98±0.03年と結果が出ました。このことから、少なくとも2つの
 巣立ちの時期が異なる集団から、この群れが構成されていることが判明しました。
 このことから、プシッタコサウルスは小さい、可能性としては安定した群れで生活をし、その群
 れは複数年代の階層により、構成されていたことを示唆するとしています。

 また、これは、基盤的角竜類において巣立ち後の群居性が確認された初めての直接証拠であり、
 これまで考えられていたよりもはるかに早く、角竜類の進化の初期において複雑な社会的習性が
 現れていたこと、さらにその習性は、より進化したネオケラトプシア類に見られる派手な頭部の
 装飾が現れるより先行していたことを証明するとしています。


 *私の中日辞典にはLuiの音をもつ漢字は出てきません。Liuの誤植とすれば、六台という地名が義
 県の西方の鉄道近くにあり、またその近くには古生物化石保護区があります。参考:中国電子地図