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初の巣穴に住み穴掘りする恐竜の生痕化石及び体化石の証拠 3.22.07
 David J. Varricchio, Anthony J. Martin and Yoshihiro Katsura(桂 嘉志浩(岐阜県博物館))
 First trace and body fossil evidence of a burrowing, denning dinosaur
 Proceedings of the Royal Society B: Biological Sciences
 FirstCite Early Online Publishing DOI: 10.1098/rspb.2006.0443 論文フリーアクセスです

 恐竜の世界がまた一つ広がった気がします。モノニクスのように、そうではなかったかと思われる
 恐竜はありましたが、巣穴の(周囲の堆積岩と異なる)中で発見されたという直接証拠、それに、骨
 格を見ると、腕の筋肉付着領域が広い、骨盤と後肢が頑丈など、穴掘りに適した体をしていること
 がわかりました。

 米モンタナ州Beaverhead郡Lima Peaks近郊、Blackleaf層('中期'白亜紀)から産出した「巣穴」と
 成体及び2体の幼体を記載しています。
 基盤的鳥脚類としてのヒプシロフォドン・グレードの新属新種として
 Oryctodromeus cubicularis gen. et sp. nov. と命名しています。
 属名はギリシャ語oryctodromeus で、「穴を掘るランナー」
 種小名cubicularis は、「巣(穴)の」。この恐竜が巣穴に住む習性から。

 完模式標本:MOR 1636a 癒合した前上顎骨、後位/後頭骨部の脳函、3個の頚椎、6個の胸胴椎、仙
 椎及び23個の尾椎骨、3個の胴肋骨、肩甲烏口骨、肩甲骨、烏口骨、上腕骨、尺骨、橈骨、両脛骨、
 遠位腓骨及び第四中足骨。
 副模式標本:MOR 1636b 完模式標本と関連して発見された頭部及び体部、2体の幼体で、最も直線
 的な寸法で成体の55から65%の大きさ。

 アブストラクトほにゃ訳
 米モンタナ州南西中期白亜紀Blackleaf層における化石発見から、恐竜に穴を掘る習性があった、初
 の生痕及び体化石証拠がもたらされた。Oryctodromeus cubicularis gen. et sp. nov.の1個体の成
 体及び2個体の幼体骨格、すなわちヒプシロフォドン・グレード恐竜の新種は、堆積物で充填された
 巣穴の奥の広間から発見された。巣穴と成体の寸法の一致から、Oryctodromeus が巣穴の製作者で
 あることが支持される。さらに加えて、Oryctodromeus は、穴を掘る習性と一貫する吻部の特徴や
 肩帯及び骨盤を表すが、一方走行に適した後肢のプロポーションも保持している。成体と幼体が終
 端の室内に一緒にいたことから、恐竜類における広義の親による子の保護を決定的に証拠付けてい
 る。現生の穴を掘る脊椎動物の走行者のように、Oryctodromeus の穴掘りも子を育てる重要な適応
 だったかもしれない。穴掘りはそれにより小型恐竜が極地、沙漠及び高山地域の極端な環境を利用
 したかもしれない仕組みをも表す。恐竜の中でシェルターを見つけるあるいは作る能力は、白亜紀-
 古第三紀インパクトイベントのシナリオに矛盾するかもしれない。穴を掘る習性は、非鳥恐竜の習
 性について知られる範囲を広げるとともに、恐竜の走行性祖先は、穴掘りのような、異なった機能
 的領域の進化を十分に妨げてはいなかったことを示唆する。

 モンタナ州立大ニュース(写真あり)
 ナショナルジオグラフィック ニューサイエンティスト