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北東中国下部白亜系から産出した、長い繊維状の外皮をもつ、
 新しい巨大コンプソグナトス科恐竜 3.16.07
 JI Shu'an, JI Qiang, LÜ Junchang and YUAN Chongxi
 A New Giant Compsognathid Dinosaur with Long Filamentous Integuments
 from Lower Cretaceous of Northeeastern China
 ACTA GEOLOGICA SINICA(地質学報英文版) vol.81 No.1 pp.8-15

 中国遼寧省北票市四合屯Hengdaoziの義県層から産出した、巨大コンプソグナトス科恐竜
 を記載しています。体長2.37mあり、これは熱河生物群の獣脚類では最大のコエルロサウ
 ルス類であるとともに、最大のコンプソグナトス科恐竜になります。

 Sinocalliopteryx gigas gen. et sp. nov. と命名されています。
 属名は、Sino ギリシャ語の中国、Callio ギリシャ語で美しい、pteryx ギリシャ語で羽
 種小名は、gigas ギリシャ語で巨人。

 完模式標本:JMP-V-05-8-01 (Jinzhou Museum of Paleontology) 殆ど完全な骨格。
         論文の写真では、繊維状外皮構造が頭部、頚部、背、腰、尾の両側、脚の
         一部に見えます。長いものは10cmを超えるそうです。

 分類基準:非常に大型のコンプソグナトス科(体長2.37m)で49個の尾椎をもつ。他の同科
 恐竜とは以下の点で異なる(ただしHuaxiagnathusと同様の特徴を共有する)、上腕骨+橈
 骨と等しい長さの手、非常に大きくほぼ等しい長さの手第一指と第二指、第一中手骨の近
 位断面は幅がより小さい、尺骨の肘頭突起は退縮している。
 Huaxiagnathusとは、遥かに大きいサイズ、前上顎骨の長い上顎突起は上顎骨の眼窩前窩
 垂直レベルまで伸びていない、比例して長い尺骨(上腕骨対尺骨長比は114%、Huaxiagnathus
 の160%と比較して)、腸骨寛骨臼前翼はその前腹縁へ下向きに曲がる、遠位に癒合しない坐骨。

 腹腔内に不完全なドロマエオサウルス科恐竜の脚と4個の小石があります。脚は自然に関節した
 脛骨、腓骨、中足骨及び指骨が含まれています。この脛骨長は15.5cmで、Sinocalliopteryx の腹
 腔の高さに比べ非常に長いとしています。また脛-腓骨の近位は両側の後位腹肋の間にあり、遠
 位は後位胸胴椎近くの左肋骨に覆われています。この保存状態から、このドロマエオサウルス科
 脚はSinocalliopteryx 腹腔内に本当にあることが示唆され、Sinocalliopteryx の捕獲物だった
 ことが最も確からしいとしています。
 
 アブストラクトほにゃ訳
 新しいコンプソグナトス科恐竜、Sinocalliopteryx gigas gen. et sp. nov.は、中国北東部遼寧省西部
 前期白亜紀義県層産出の完全な骨格に基づき設立された。これは Huaxiagnathus orientalis
 上腕骨+橈骨と等しい長さの手、非常に大きくほぼ等しい長さの手第一指と第二指、第一中手骨
 の近位断面は幅がより小さい、尺骨の肘頭突起は退縮している、という特徴を共有している。し
 かし、遥かに大きいサイズ、前上顎骨の長い上顎突起は上顎骨の眼窩前窩垂直レベルまで伸び
 ていない、及び比例して長い尺骨等の相違点がある。Sinocalliopteryx gigas gen. et sp. nov.は、既
 知のコンプソグナトス科恐竜中最大であり、ある程度までのコンプソグナトス科における体の大型
 化傾向を示唆している。長い繊維状外皮構造がこのコンプソグナトス科の体全体に付着している
 が、このような構造は最初に基盤的コエルロサウルス類で進化したことを確認している。この巨大
 コンプソグナトス恐竜は腹腔中の不完全なドロマエオサウルス科恐竜の脚によってさらに示される
 ように、獰猛な肉食の獣脚類だった。