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ミクロラプトルは複葉で飛んだ 1.23.07
  Microraptor gui が知られたとき、皆一様に驚いたのは、その翼が後肢にもあることでした。
 後肢の翼をどのように使って飛んだのか、記載者の徐星は、大腿骨も含め後方に後肢を伸ばし
 て翼の面積を増やして飛んだという説をとなえました。参考:徐星の説

  今回テキサス工科大のチャタジーらは、Microraptor gui は異なった姿勢で飛んだと提案し
 ています。それは、前肢と後肢の翼を同一平面で用いるのではありません。いわば複葉機のよ
 うに、後肢の翼は体の腹側でもう一つの翼として機能するのです。

 彼らは、Microraptor gui が飛行中にとれる姿勢の候補を4通り考えました。後肢が後方に伸び
 るもの、前方に伸ばすものなどもあります。が、最適と選んだのは、横から見ると"Z"字形に見
 える姿勢です。大腿骨と中足骨が大体平行になる姿勢です。後肢の翼は、前肢の翼より下部、
 かつやや後方に位置します。それはかつての複葉機における二枚の翼の位置と同じです。後肢
 の翼は、揚力や安定性を増し、縦ゆれを制御する働きがあったそうです。

 Microraptor gui の飛行能力をコンピュータシミュレーションしてみると、後肢"Z"姿勢で木の
 枝から他の木に滑空するには、秒速4.5mほどで離陸し、秒速12から15mで滑空し、40mまで離れた
 木に到達できるのだそうです。といっても、真直ぐ滑空するのではなく、ヒュゴイド運動(紙飛行
 機を飛ばすと、最初上に向かってカーブし、次に降下カーブし最後、また機首を上げて少し飛び
 ますね。あんな動きです)で滑空したと考えられるのだそうです。参考:Phugoid(Wikipedia)

 論文(ダウンロードできます)
 Sankar Chatterjee and R. Jack Templin
 Biplane wing planform and flight performance of the feathered dinosaur Microraptor gui
 Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 10.1073/pnas.0609975104
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 BBC MSNBC ニューサイエンティスト