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アルゼンチン上部白亜系産の新しいカルカロドントサウルス科恐竜 4.09.06
 A new carcharodontosaurid (Dinosauria, Theropoda) from the Upper Cretaceous
 of Argentina
 Rodolfo A. CORIA & Philip J. CURRIE
  Geodiversitas 28 (1) : pp.71-118.論文

  アルゼンチン、ネウケン州の白亜紀後期地層から成長段階の異なる集団で発見された、
 カルカロドンント科恐竜を記載しています。その最大個体は、体長12.2mのギガノトサウル
 スに匹敵するそうです。

 アブストラクトほにゃ訳
 アルゼンチン、ネウケン州のHuincul層(上部白亜系アプティアン-セノマニアン)産出の、新
 しいカルカロドン課獣脚類が記載された。Giganotosaurus carolinii Coria & Salgado, 1995,
 とおおよそ同サイズであるMapusaurus roseae n. gen., n. sp.は、比較的大きい三角形の眼
 窩前窩及び、癒合していないしわのある鼻骨がある、深く短く狭い頭蓋が含まれる、多く
 の形質で特徴づけられる。Mapusaurus roseae n. gen., n. sp.には、頚椎神経棘及び遠位に
 先細りする上突起(?)、高い胴椎神経棘、第一仙椎骨まで後部に伸びる中部側腔、尾椎
 副神経棘、貧弱にしか輪郭を描けない遠位顆がある頑丈な上腕骨、癒合した中手骨、坐
 骨脚まで深く伸びるbrevis窩がある腸骨、及び低い第四転子のある大腿骨がある。系統
 解析から、Mapusaurus n. gen.は、Carcharodontosaurus Stromer, 1931 及び Giganotosaurus
 Coria & Salgado, 1995 と、以下の形質が含まれる派生形質を共有する;しわのよったエナ
 メル質がある短剣状の歯、強度に彫刻された顔面骨、眼窩上棚は後眼窩骨/眼瞼複合に
 より形成される、及び背・中側に向いた大腿骨頭。Mapusaurus n. gen.の遺骸は、その100
 %がこの新属と同一であると識別できるボーンベッドから採集された。採集された中足骨
 に基づくと、少なくとも7個体がこのサイトに埋まっていた。このボーンベッドが、長期間ま
 たは偶然による屍体の集積を表すことは、考えられる。異なった成長段階にある個体か
 らなる単一の肉食性分類群は、単一集団中の変異の証拠をもたらし、Mapusaurus roseae
 n. gen., n. sp. のいくつかの行動特性を示すものかもしれない。

 カルカロドントサウルス科
 ギガノトサウルス亜科 (新亜科)
 Mapusaurus roseae n. gen., n. sp.
 属名:“Mapu”は、土着のMapuche語で大地のこと。それゆえ“Mapusaurus”は”大地の
 爬虫類”と翻訳されるべき。
 種小名:“roseae”は発見されたサイト周囲のばら色の岩から。また、1999、2000、2001
 年の発掘を後援した、シアトル在住のRose Letwinに献名したものでもある。

 産地と層準:アルゼンチン、ネウケン州Plaza Huinculの南西20km、Cortaderas地域にある
 Cañadón del Gato。RíoLimay 層群Huincul層(セノマニアン)。
 Giganotosaurus の年代はチューロニアンだそうですから、単純計算すると、それより約600
 万年古いことになりますね。

 分類基準:Mapusaurus n. gen.は、Giganotosaurus と頭蓋が以下のように異なっている;
 厚いしわのある癒合しない鼻骨、それは鼻骨/上顎骨/涙骨接合に対し前方に細くなってい
 る;上顎骨の上により大きい眼窩前窩が伸長している;より小さい上顎窓;眼窩前窓と上
 顎窓間のより広い桿(窓間柱);より低く平らな涙骨角;涙骨幅に比し横断面でより幅広い
 前頭前骨;眼瞼の外側縁は腹外側に湾曲している;より浅い歯間板;より高い位置にある
 メッケル管;より後方に傾斜している、歯骨の前腹側縁。
 Mapusaurus roseae n. gen., n. sp.は、以下の点が独特である;頬骨の上側方形頬骨突
 起が2つのまたに分裂している;小さい前方顎舌骨孔が歯骨と板状骨接合の上に位置して
 いる;第二及び第三中手骨が癒合している;遠位端が幅広く、顆間がわずかしか離れてい
 ない上腕骨;腸骨のbrevis窩は坐骨脚に対し背側に深く伸び陥凹する。
 また、Giganotosaurus と以下の点で異なる;円錐形のわずかに湾曲した頚椎上突起は遠
 位に先細りする;軸椎の前関節突起は正中線で接合する;より小さく緻密でない前棘板が
 頚椎骨の正中線上にある;著しく鋭い、頚椎神経棘の背側縁;より高く幅広い神経棘;湾
 曲した坐骨幹;より細い腓骨。

 完模式標本:MCF-PVPH-108.1 右鼻骨
 副模式標本:MCF-PVPH-108.5, 左涙骨/前前頭骨;MCF-PVPH-108.45, 右上腕骨; MCFPVPH-
 108.83, 軸椎; MCF-PVPH-108.90, 頚椎神経棘; MCF-PVPH-108.115, 右上顎骨; MCFPVPH-
 108.125, 左歯骨; MCF-PVPH-108.128,左left 腸骨; MCF-PVPH-108.165, 左坐骨; MCFPVPH-
 108.167, 頬骨; MCF-PVPH-108.177, 右後眼窩-眼瞼; MCF-PVPH-108.179, 右板状骨;
 MCF-PVPH-108.202,右腓骨。

 系統解析ではGiganotosaurus に最も近縁とし、新亜科ギガノトサウルス亜科を設立して
 います。これは、Carcharodontosaurus よりGiganotosaurus 及び Mapusaurus n. gen.に
 近縁な全てのカルカロドントサウルス科と定義されています。

 採集された中足骨、脛骨、腓骨、肩甲骨幹から推定すると、、採集された最大個体は、体
 長12.2mのGiganotosaurus 模式標本に匹敵するものとされています。