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白亜紀後期エジプト産のアベリサウルス科:獣脚類生物地理との関係 4.01.06
 An abelisaurid from the Late Cretaceous of Egypt: implications
 for theropod biogeography
 Joshua B. Smith . Matthew C. Lamanna
 Naturwissenschaften DOI 10.1007/s00114-006-0092-3

 パレルモ大地質学古生物学博物館に所蔵されている獣脚類の歯(MGUP MEGA002)につい
 て比較検討し、アベリサウルス科である、それもカルノタウルス亜科のMajungasaurus
 に非常に近いものとしています。この歯はエジプトのナイル傾向上流にあるIdfuから
 産出したもので、年代は白亜紀最後期です。このことから、南米とアフリカの生物相の
 交流は白亜紀後期まであり、白亜紀のアフリカ陸生四足動物は、孤立して発達したもの
 という考え方を弱めるものとしています。

 アブストラクトほにゃ訳
 最近の古地理学のシナリオでは、白亜紀後期中にアフリカ大陸が分離したと仮定して
 いる。上部白亜系のアフリカの地層からアベリサウルス科獣脚類が産出しないことは、
 仮定されたアフリカの分離を支持するものとして、アフリカのアベリサウルス科がごく
 少数であることは、主にサンプリングの問題であるということの承認とともに、提供さ
 れている。ここに我々は、エジプト、上部白亜系(マーストリヒト期、〜7千万年)Duwi層
 産出の抜け落ちた獣脚類歯について報告する。この歯は、マダガスカルのアベリサウル
 ス科、1921年、“Megalosauruscrenatissimus (= Majungasaurus crenatissimus)に
 比定された。エジプトの歯と24の獣脚類分類群の歯列間の形態的一致をテストするため
 に、判別関数分析が用いられた。その分析ではサンプル中の歯の96.6%を正確に分類し、
 その歯をMajungasaurus に割り当てた。最近の古地理復元では、白亜紀後期以前にマダ
 ガスカルとアフリカが現在の位置関係に到達したと仮定しているので、エジプトの歯が 
 本当にMajungasaurus に属することはありそうもない。それにもかかわらず、アベリサ
 ウルス科としてのその歯の分類は、そのクレードへの関連を支持する。この歯は、この
 ようにアフリカ主大陸のセノマニアン後からアベリサウルス科が産出した、正当な証拠を
 提供する。ニジェール及びモロッコで最近アベリサウルス科が発見されたことととあわせ、
 この結果から、アベリサウルス科は白亜紀のアフリカで放散したグループであり、少なく
 とも2千5百万年間、複数の場所に存在していたことが示されるとともに、アフリカの分離
 が白亜紀後期中だった仮説に対する支持を弱めるものである。