Microraptor の飛行、複葉機説 10.25.05
後肢に非対称の長い正羽がある小型ドロマエオサウルス科恐竜、Microraptor gui の飛行
姿勢に関しては、これまでいくつかの説が提唱されました。
記載当初、徐星らは、後肢をそのまま体軸に対し外側に幅広く開くという説を出しました。こ
れについて、脚が外側には開かないという批判があったのでしょう。その後、徐星は腸骨の後
部が開いていることに着目し、後肢を脊椎と平行になるように後ろに伸ばせば、腸骨の開きに
より、自然に脚が開くとする説を発表しました。(同旨でSVP総会ポスターセッションAでも発表
しています)
米地質学会年会で(10月14日)、テキサス工科大のシャンカール・チャタジーと飛行技術者
R.J.Templinが、この飛行姿勢に関して新説を発表しています。それによると、Microraptor gui
は、飛行時に後肢の翼を単に体の下に下ろしたままで、複葉機のように使って木々の間をグラ
イダーのように滑空して飛んでいたというのです。彼らの説はコンピュータシミュレーション
に基づいています。
今までの説では、前肢の翼と同じ平面に後肢の翼がありましたが、この説では上下別の面に前
後の翼が位置します。このほうが獲物を捕まえたり運ぶときに飛行を妨げません。
また、このような飛行は樹上から滑空する理論を補強するとしています。そうでなくても、
M.gui の脚は地上を疾走するには適しているとは思えないですよね。
恐竜から鳥類への飛行も、飛行機の発達のように、複葉から単葉に発達したのでしょうか。
GSAニュース
参考:徐星の説