底生生物を捕食していたプレシオサウルス 10.10.05
Bottom-Feeding Plesiosaurs
Colin R. McHenry, Alex. G. Cook, Stephen Wroe
サイエンス10月7日号 Science, Vol 310, Issue 5745, pp.75 , 7 October 2005
長い頸、小さい頭部のプレシオサウルスは、水中を遊泳する魚などの獲物を巧みに
捕らえていたと考えられてきました。今回報告された標本では、それ以外のエサも捕っ
ていたことが示されています。
オーストラリアのクイーンズランド博物館が大鑽井盆地の白亜紀前期の堆積から採集し
た2体のプレシオサウルス標本です。それぞれ5から6mあります。標本QMF33037は、部分
的に関節した胴体及び関連する肢骨部分でアプティアン後期Doncaster層から産出してい
ます。その胃部には、多くの底生無脊椎動物、大部分は斧足類(二枚貝)の殻片ですが、
腹足類(巻貝)やウミユリの断片もありました。胃石は35個ありました。水中を遊泳する
ベレムナイトも未消化物が固まった胃石の中にありました。しかし、その断面を調べた
ところ、92%が巻貝と二枚貝の殻、8%がベレムナイトと見積もられました。
2つ目の標本QMF2100は、アルビアンのallaru層から産出しました。胃部には完全な十脚
類(エビ、カニなどの類)の甲殻、甲殻類断片、魚の鱗がありました。胃石は135個ほどあ
り、様々な酸性・中性火山岩で、その産地は化石産地から少なくとも300km離れた所だそ
うです。胃石の役割について、浮力調節のほか、甲殻類の殻を砕くのにも役立ったろう
としています。
白亜紀後期のエラスモサウルス科の層序分析により、その食性が遊泳する頭足類から硬
骨魚類にシフトし、また成長過程で食性に変化があった、またデータから、この科の初
期により基本的な食性の変化が起こり、エラスモサウルス科の頚部のような明らかに特
殊化した構造でさえも、狭い生態を必然的に示すものではないことが示唆されると、し
ています。中生代を通じて長い頸のプレシオサウルスが成功したのは、一つにはその融
通のきく摂食器官のためだったかもしれないと、しています。
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