四川省自貢の竜脚類新属 8.08.05
四川自貢蜥脚類一新属
A NEW GENUS OF SAUROPOD FROM ZIGONG, SICHUAN
葉 勇(YE Yong), 高玉輝(GAO Yu-Hui), 江 山(JIANG Shan)
古脊椎動物学報第43巻第3期pp.175-181
四川省自貢市沿灘区永安鎮の上沙渓廟層から発掘された、単独で保存された竜
脚類幼体の記載です。ブラキオサウルス科ベルサウルス亜科の新属とされてい
ます。
Daanosaurus zangi gen. et sp. nov. (張氏大安竜)
属名は自貢恐竜博物館の所在する行政区「大安」+saurus、種小名は、中国国
防部部長、張愛萍将軍に献名。
標本ZDM0193は、関節しない不完全な幼体骨格で、バラバラの頭骨、20数個の
仙椎より前の脊椎、1個の血道弓、完全な右大腿骨及び部分的な肋骨で構成。
頭骨がバラバラなこと及び椎体と神経弓が分離していることから、幼体として
います。
分類基準として、以下のことがあげられています;歯はスプーン形。頚椎は僅
かに伸長している。軸椎は非常に短く高さがある。頚椎椎体は後凹で、長く深
い側腔があるが、腹側隆条はない。頚椎の腔はよく発達している。頚椎の神経
棘は低く、真直ぐな上縁をもって前後方向に著しく伸長している。後部頚椎の
神経棘は幅広く、方形の棘になっているが、枝分かれはしていない。中部頚椎
の頚肋骨の前端は枝分かれしている。胴椎は後凹である。胴椎の神経棘は幅広
く板状であるが枝分かれしていない。前部血道弓は明瞭にY字形をし、血管孔は
閉じていない。大腿骨は長く真直ぐで、前後端は著しく膨大している。第四転
子はよく発達している。
神経弓の特徴は、四川盆地から産出するマメンチサウルス類に非常に似ていて、
層準も近い、産地も近いことから、同類の幼体かどうか比較しています。これ
について、恐竜の成体と幼体の区別は主に頭骨にあり、頭部から後ろの骨格で
はその形態の比例と形に大きな変化はないとしています。
これに基づいて比較すると、Daanosaurusの頚椎椎体が長くないのに対し、マ
メンチサウルス類の頚椎椎体は長い。前者の椎体長と椎前高の比が60%なのに
対し、後者の比は90%;前者の神経棘は低く横に広がるが後者の神経棘は棒状;
前者の前部血道弓の血管孔は閉じていないが、後者の血管孔は閉じている:
これらの差異から、マメンチサウルス類の幼体ではないとしています。
各椎骨の比較的原始的な特徴から、ベルサウルス亜科に最も接近するとしてい
ます。