獣脚類恐竜Coelophysis, Allosaurus 及び Tyrannosaurus における
比較頭蓋力学面 7.07.05
Aspects of comparative cranial mechanics in the theropod dinosaurs Coelophysis,
Allosaurus and Tyrannosaurus
E. J. RAYFIELD
Zoological Journal of the Linnean
Society Vol.144 Issue 3 PP.309-316 - July 2005
doi:10.1111/j.1096-3642.2005.00176.x
RAYFIELDは、これまで有限要素法によりTyrannosaurus やAllosaurus 個々の
頭蓋について獲物を咬んだ時の応力がどう頭蓋の構成要素に加わるかなど解析
してきました。この論文では、3つの系統的にかけ離れた獣脚類において咬合
時や摂食中の応力・変形がどのように頭蓋に加わるか解析しています。
アブストラクトほにゃ訳
工学解析手法、有限要素解析(FEA)は、ここでは3つの系統的にかけ離れた獣脚
類分類群:Coelophysis bauri、Allosaurus fragilis 及びTyrannosaurus
rex
の咬合及び摂食時に頭蓋に生じる応力や変形を調査するために用いられる。
応力のパターンは、頭蓋の背側面が圧縮されている間、腹側面が緊張する点で、
全分類群において概して同様であった、しかしながらその頭蓋には、屈曲にお
いて認識できる中立領域がないため、片持ち梁として純粋に振舞うのではない。
この類似性にかかわらず、応力パターンは完全に比較できるものではない:特
定の頭蓋領域にどのように応力が内包されるかという点に鍵となる相違があり、
そのような相違と頭蓋形態を結びつけることができる。とりわけ鼻骨の形態は
ここで明らかにされる応力パターンにより説明され得る。
Tyrannosaurus は、見分けのつかないほど癒合し、膨大した鼻骨の形態と調和
して、主に鼻骨領域でせん断及び圧縮を形成する。
逆に、Allosaurus と Coelophysis は前頭骨-頭頂骨領域(Allosaurus の場合
には、その領域はがっしり嵌合し部厚くなっている)で最大のせん断及び圧縮を
形成するが、対照的に鼻骨領域では応力は低く、Allosaurus で明白な、比較的
華奢な鼻骨及びしばしば開いている鼻骨間縫合に対応している。
このような相違は、機能的、系統的または力学的制約により制御されたかもし
れない、分類群間の代替的力学的特殊化を表している。
系統的文脈の中に置かれる有限要素モデルの作成により、非鳥獣脚類及び現生
鳥類に連なる系統の頭蓋における、このような力学的形質複合の役割の研究が
容認される。
参考:有限要素法の基礎 Internet-College of Finite ellment method