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現生爬虫類の予期されなかったアミノ酸組成と、恐竜絶滅の分子メカニズムに
 おけるその関係
 Unexpected amino acid composition of modern Reptilia
 and its implications in molecular mechanisms of dinosaur extinction
 Guang-Zhong Wang(王光中), Bin-Guang Ma, Yan Yang, Hong-Yu Zhang
 Biochemical and Biophysical Research Communications 334 (2005) 1–3
 ARTICLE IN PRESS

 アブストラクト
 恐竜の絶滅は進化生物学へのかなりの挑戦である。 集められている証拠は、小
 惑星の衝突や他の災害によって引き起こされた長期の低温などの環境の突然の
 変化が、恐竜の絶滅の原因となるかもしれないことを示すが、基本的な分子メ
 カニズムに関しては僅かしか知られていない。13の生物学的分類のアミノ酸構
 成を分析することにより、我々は、恐竜の近縁である現生派虫類の荷電アミノ
 酸(charged amino acid)組成が他の分類ときわだって異なっているのがわかっ
 たが、それは恐竜の絶滅について可能な分子メカニズムを提案するために我々
 を奮い立たせる。

 13の分類(繊毛虫門、刺砲動物門、扁形動物門、線形動物門、環形動物門、軟体
 動物門、節足動物門、棘皮動物門、条鰭亜綱、両生綱、爬虫綱、鳥綱、哺乳綱)
 これらについてNCBIからダウンロードしたデータにより分析しています。
 そして、各アミノ酸の組成について分類ごとに表にまとめられています。
 その結果、13の分類は爬虫類を除きほぼ一様な割合になりましたが、爬虫類は
 大きく異なっていました。爬虫類では荷電アミノ酸の割合が他の生物に比べ著
 しく低いのだそうです。荷電アミノ酸が多いと蛋白質がより硬く、より高温で
 の組織に対応できるのだそうです。
 この割合CvP-bias (the proportions of charged versuspolar (non-charged)
 amino acids)は他の生物では-2.991から0.993になるのに対し、爬虫類は-12.493
 であり、このことは爬虫類の蛋白質は他の生物に比べ柔らかく、これはより低い
 温度でも適応できることを示します。
 一方、恐竜は現生鳥類の祖先と考えられます。よってCvP-biasは現生鳥類と同様
 だったろう。恐竜の蛋白質は現生爬虫類のように柔らかくなく、このことが、恐
 竜が低温下で生きることを妨げた。低温下の環境で卵の孵化が妨げられたので、
 絶滅にいたったとしています。鳥類と哺乳類は恒温性、抱卵や胎生により絶滅を
 まぬがれたとしています。

 わたしが思うに、恐竜のアミノ酸組成が実際にわからないと、確実なことは言え
 ないのではないでしょうか
 ※アミノ酸については全然わからないので紹介が間違っている可能性は十分あり
  ます。
  charged amino acid の訳語についてご教示いただき訂正しました。
 新華社
 参考:A Review of Amino Acids Chembaseアミノ酸 ビジュアル生理学
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