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中国新疆ウイグル自治区白亜紀前期の小型獣脚類 TUGULUSAURUS
 PAHAEDROLOSAURUS 5.07.05
 THE SMALL THEROPOD DINOSAURS TUGULUSAURUS AND PHAEDROLOSAURUS FROM
 THE EARLY CRETACOUS OF XINJIANG, CHINA
 OLOVER W. M. RAUHUT and XING XU(徐星)
 JVP25(1):107-118 March 2005

  Tugulusaurus および Phaedrolosaurus は、新疆ウイグル自治区のウェルホ
 Lianmugin 層(?Valangian-Albian)から産しています。1973年に董枝明により記
 載されました。本論文ではこの模式標本を再検討し、再記載しています。その
 結果、Tugulusaurus は有効な属として再記載されましたが、Phaedrolosaurus
 は無効とされ、Xinjiangovenator parvus gen. et sp. nov. が記載されていま
 す。

 TUGULUSAURUS FACILES Dong, 1973
 完模式標本:IVPP V 4025 断片的な頸から後ろの骨格。尾椎骨、胴肋骨、両手
 第一指および部分的な後肢が含まれる。

 分類基準:小型獣脚類(大腿骨長215mm);近位中部尾椎は椎体の前部2/3のみ神経
 弓があり、椎体は高さよりもその幅の方がかなり広い(幅/高さ比約1.5);尾椎体
 は遠位にいくに従い、その高さを急速に増していく;第一中手骨の最小長はその
 幅より小さい;脛骨には、外側顆の目立った半円形の外側膨大がある。

 XINJIANGOVENATOR PARVUS gen. et sp. nov. 
 完模式標本:IVPP 4024-2 関節した部分的な右後肢
 属名は新疆ウイグル自治区+ギリシャ語のハンター。種小名は標本の小ささから
 ラテン語の小を意味する。

 分類基準:小型獣脚類(脛骨+近位足根骨:312mm);脛骨の腓骨顆は、脛骨の近位
 端の外側より後方に伸びている;腓骨には近位端の前側に縦方向の溝がある。

 この両者の系統的位置については、Tugulusaurus はコエルロサウリア類で最も
 基盤的なものの一つとされています。一方 Xinjiangovenator はより派生した
 コエルロサウリア類(マニラプトラ類)であり、解析結果からは白亜紀後期アジア
 産の獣脚類 Bagaraatan と姉妹群を成していますが、両者の脛骨には顕著な相違
 があるとしています。
 これらの結果から、両者は東アジアおよびヨーロッパの白亜紀前期獣脚類と何ら
 近縁関係はないことが示されたとしています。両者が中央アジアの地方固有性に
 よるものあるいは前代の遺存種であるかどうかはさらに検討が必要だが、中央お
 よび東アジア恐竜相の生物地理史はこれまで認識されていたより複雑なものかも
 しれないとしています。