パタゴニアの白亜紀後期層で産出したデイノニコサウルス類恐竜に関する新証拠
New evidence on deinonychosaurian dinosaurs from 2.24.05
the Late Cretaceous of Patagonia
Fernando E. Novas & Diego Pol
ネイチャー2月23日号 Nature 433, 858
- 861 (24 February 2005); doi:10.1038/nature03285
アルゼンチン、ネウケン州白亜紀後期から産出したデイノニコサウルス類恐竜の
記載です。ゴンドワナ大陸から産出したデイノニコサウルス類は、Unenlagia
および北アフリカ産の断片を除き、これまで報告されていませんでした。
この記載により、白亜紀後期の獣脚類相は、これまで考えられていたより、ロー
ラシアとゴンドワナでより同様であったことが明らかになりました。また、恐らく
デイノニコサウルス類は少なくとも白亜紀初めまでに世界的に分布していたことが
示唆されます。他のパタゴニア産のコエルロサウリア類恐竜とこの恐竜の系統的位
置により、ゴンドワナとローラシアの恐竜の幾つかのグループが異なった場所でそ
れぞれ互換分布したことがわかります。
この恐竜はドロマエオサウルス科の新属新種として
Neuquenraptor argentinus gen. et sp.
nov. と命名されています。属名は産地
のネウケン+ラプトル(泥棒、ドロマエオサウルス科はじめ比較的小型で素早さそう
な獣脚類によくつけられる)。種小名はアルゼンチンから。
完模式標本はMCF
PVPH 77(Carmen
Funes博物館) 頚椎骨断片、胴肋骨、血道弓、
左近位橈骨、右大腿骨及び遠位脛骨、近位足根骨及び左後肢の大部分です。1966年
ティタノサウルス類の肋骨郭を発掘中に思いがけなく発見されたものです。
体長約2mの成体と考えられます。
産地と層準は、アルゼンチン、ネウケン州のSierra
del Portezuelo。上部白亜系
(Coniacian 85.8-89.3百万年前) Portezuelo層。同地からUnenlagia、Patagonykus、
Megaraptor 及び未記載の新鳥類烏口骨が報告されています。
分類基準として、以下の形質の組合せによりドロマエオサウルス科だろうとしてい
ます:第二中足骨には、第三中足骨の尾側面を超える外側膨大がある(固有派生形
質);第三中足骨は近位に挟まれている;中足骨の近位半分に伸筋溝がある;第三
中足骨の遠位端はその元から蝶番関節になっている(他のドロマエオサウルス科と
比べより小程度);第二趾の第一趾節と第二趾節はほぼ同じ長さで、はっきりした
爪節骨がある。
形質の分析から、Neuquenraptor の系統的位置はデイノニコサウルス類の基盤的位
置にあるとしています。さらにドロマエオサウルス科の基盤的位置にあるとしてい
ます。仮説として、ジュラ紀後期までに世界的に分布したドロマエオサウルス科の
うち、ゴンドワナで基盤的な形質を保ったまま白亜紀後期まで生き残ったものだろ
うとしています。
朝日 読売 毎日 ニューサイエンティスト オハイオ州立大ニュース
参考:デイノニコサウリア
ゴンドワナ大陸の分裂(2億年前から現代まで。要shockwave)