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恐竜幼体を常食とした哺乳類 1.13.05
 Large Mesozoic mammals fed on young dinosaurs
 YAOMING HU, JIN MENG, YUANQING WANG & CHUANKUI LI
 ネイチャー1月13日号 Nature 433, 149 - 152 (13 January 2005); doi:10.1038/nature03102

 中国遼寧省陸家屯の義県層底部(白亜紀前期)から発見された三垂歯類哺乳類について、記載
 しています。タスマニアデビルに匹敵する大きさだったこと、腹部からプシッタコサウルス
 幼体の骨がみつかったことから、三錐歯類哺乳類の一部は肉食性であって、恐竜幼体などの
 小型脊椎動物を常食にしていたことを直接示す初の証拠となり、また、中生代哺乳類の体サ
 イズの幅は従来考えられていたより大きかったことも示しているとしています。
 さらに、中生代哺乳類は多様なニッチを占め、大型哺乳類の一部は恐竜と食物や縄張りを争っ
 ただろうことを示唆するとしています。

 記載されたのは、三垂歯類、レペノマムス科 Repenomamus属の新種です。これまで中生代
 最大の哺乳類は、Repenomamus robustus で、キタオポッサムほどの大きさでした。新種
 Repenomamus giganticus sp. nov. は、robustus より50%ほど大きく、タスマニアタイガー
 ほどの大きさになります。推定体長は1mを超えます(頭160mm、胴522mm、保存された尾364mm)。
 このことから、推定体重は12から14kgとしています(robustus は4から6kg)。
 完模式標本 IVPP V14155 は、前後肢の指を欠くのみでほとんど完全に頭骨と骨格が関節した
 ものです。

 また、本論文ではrobustus 種の新標本(IVPP V13605)をも記載してます。こちらで特筆すべ
 きことは、その腹部からPsittacosaurus 幼体の骨が発見されていることです。
 この骨はバラバラに壊れており、robustus 標本の保存状態と比べ明らかな差があります。
 前肢、後肢、指骨、歯、脊椎骨、肋骨が確認されています。補足資料で、これが後に付加さ
 れたものでないオリジナルなものであることが言明されています。このPsittacosaurus
 頭胴長は140mmと推定され、その大きさから胎児ではなく幼体だったとしています。
 そして、とがった歯や丈夫な顎の特徴から、両種とも植物も食べたが肉食でもあったとして
 います。

 朝日新聞 読売新聞 毎日新聞 ヤフーニュース(ロイター)
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