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遼寧省白亜紀後期産出の前凸後凹の尾椎をもつティタノサウリア類 10.05.04
 A Titanosaurian Sauropod Dinosaur with Opisthocoelous Caudal Vertebrae
 from the Early Late Cretaceous of Liaoning Province, China
 YOU Hailu, JI Qiang, Matthew C. LAMANNA, LI Jinglu and LI Yinxian
 地質学報英文版 ACTA GEOLOGIA SINICA Vol.78 No.4 2004 pp.907-911

 中国遼寧省北票市双廟(shuangmiao)、孫家湾層(Sunjiawan Formation ealry Late
 Cretaceous)から産出した中-遠位の尾椎骨(LPM0169 Holotype)、歯冠、中位尾椎骨
 および右上腕骨に基づき、記載されたティタノサウリア類竜脚類です。

 Borealosaurus wimani gen. et sp. nov.
 属名は、ギリシャ語の"Borealis(北方の)"から。中国北方に化石産出地があること
 から。種小名は、中国最初の恐竜Euhelopus を1922年に命名した、スウェーデンの
 古生物学者、Carl Wimanに献名。

 分類基準として、他の全ての竜脚類に対し、その中-遠位尾椎骨が前凸後凹である
 ことがあげられています。

 ティタノサウリア類の中で、同じく前凸後凹の尾椎をもつモンゴル産の竜脚類、
 Opisthocoelicaudia とともにまだ認識されていない白亜紀アジア特有のクレード
 仮称的にオピストコエリカウディア亜科を形成するかもしれないとしています。
 
 ※孫家湾層は地層の区分としては熱河群には入らないようです。羽毛恐竜などより
  年代は新しいのです。とはいえ、遼寧省で竜脚類が記載されること自体、非常に
  珍しいといえます。以前、周忠和に尋ねたところ、地方の博物館に材料はいくつ
  かあるが、獣脚類などの記載で手一杯で竜脚類まで手が回らないという実情があ
  るそうです。ほかに私の手元には、第八回中国古脊椎動物学術年会論文集(2001)
  で、董枝明が、朝陽地区の土城子層(ジュラ紀後期)から産出したブラキオサウル
  ス科とされる左前足を報告しているものがあるくらいです。