2足走行能力の生力学的な分析および感度分析 II 絶滅分類群 9.09.04
Biomechanical modeling and sensitivity analysis of bipedal running ability.
II. Extinct taxa
John R. Hutchinson
Journal of Morphology Volume 262, Issue 1 , Pages 441 - 461
DinosaurMLでThomas R. Holtz, Jr.が紹介しています。この論文と、現生動
物について分析した
Biomechanical modeling and sensitivity analysis of bipedal running ability.
I. Extant taxa
があります。
Tの方ではヒト、カンガルー、バシリスク、イグアナ、アリゲーター、シギ
ダチョウ、ニワトリ、シチメンチョウ、エミュー、ダチョウについて、分析
しています。
ここでは体重6tのニワトリの体重の62%の筋肉が1本の脚ごとにつくのだそう
です。99%ではありません。
Uの方では、Coelophysis (AMNH 7224), Compsognathus (type), Dilophosaurus
(UCMP 37302), Allosaurus (MOR 693), Velociraptor (IGM 100/986),
"small tyrannosaur" (未記載 FMNH specimen), Tyrannosaurus (MOR 555),
Archaeopteryx (Berlin), Dinornis (UCMP 77209)を用いて分析しています。
ここでT-REXはやはり早く走れなかったとされています。論文中ではフルード数
(たぶん F=平均速度/√(脚長*重力定数)) 〜17が早い走りとされ、成体
のT-REXに換算すると秒速20m(時速72km)になるが、可能な範囲は秒速5-11m(時
速18kmから39.6km)としています。
フルード数17でCoelophysisは秒速8-9m(時速28.8-32.4km)、small tyrannosaur
は秒速11-14m(時速39.6-50.4km)、またDinornis も早く走ったそうです。
アブストラクトほにゃ訳
これまでに現生二足動物について有効だった、逆動力学生力学的な分析を使
用して、私はいくつかの絶滅した恐竜分類群で、急速な2足走行のために必要
とされる、後肢伸筋の最小限の収縮活動量について計算した。
私は、5桁以上の体の大きさをカバーする、9種の獣脚類恐竜(鳥類を含む)のモ
デルを分析した。 その結果はTyrannosaurusなどの大型獣脚類はそれほど素早
く動くことができなかったという前の発見を是認するが、より小さい獣脚類
(いくつかの絶滅鳥類を含んでいる)は熟達したランナーであった。
その上、この結果は、多くの非鳥獣脚類(特に大型個体)がかなり直立した後肢
の方向を使用し、そのことが必要とされる筋肉の力、ゆえにその筋肉量を少な
くしたという主張を強化する。 加えて、筋肉束長、モーメントアームおよび肢
方向の感度分析は、これらの結論を支持し、走行能力における筋骨格限界に関
する今後の調査の方向を指摘する。
踵の伸筋の支持は全ての分類群で重要だったように示されるが、臀部伸筋が体
を支える能力は、より大きい分類群で走行能力の決定的な限界であるように見
える。
私はどんな速度が異なった獣脚類恐竜にとって可能であったか、そして、走行
能力が主竜類の体の大きさとの逆転関係でどのように進化したか議論する。
参考:Tyrannosaurus Was Not A Fast Runner
人間サイズの人間型2足ロボットで走行の基礎実験に成功(走行速度の目安)